「ふむ……」
私、ジェイル・スカリエッティは科学者であり技術者である。つい先日かのプロジェクトFの残滓であり、かのプレシア・テスタロッサの遺児……フェイト・T・ハラオウンの第二の故郷たる第97管理外世界……通称地球へと足を伸ばしに行ったのだが、何分面白いものを見つけた。
「ドクター、また監視用サーチャーを使って……いったい何を見てるのですか?」
「あぁウーノ、この間地球で助けてあげた少年をね」
「少年?ついにドクターはショタコンになったのですか?」
流石のこれには私も苦笑いを禁じ得ない。
「おいおい、流石にどういう考えに至ったらそうなるのかね?」
「お言葉ですがドクター、それは私達ナンバーズを見ても同じことが?」
ふむ、そう言われて少しだけ思い直してみる。
上から順に特徴を簡潔に挙げるとすれば、ファザコン、コスプレ、脳筋、鬼畜ドS、ロリ、変態、シスコン、男の娘、ツンデレ、おっとり、天然、無表情……
「……確かに君の言うことも間違ってはいないかもね、ウーノ」
「はい、とりあえず私の評価がファザコンなのは詳しく聞きたいところですが、まぁそれは些細な事なのでどうでもいいです」
ウーノは冷やかな……それでも殆ど表情が変わらないが……笑みを向けてくる。
「それで、ショタコンに目覚めたのでないのなら何故ドクターが気にするのですか?」
「ふむ、ならこれを見たまえウーノ」
私はそう言いつつ手元の紙束を一部、彼女に渡す。
「?これは?」
「彼の血液及び遺伝子生体データさ。助けたときにほんの少し貰ってきたのだが……いやはや凄い収穫を得たものだよ」
ウーノは訝しげにこちらを見やると、すぐに渡された紙束を見る。途端、彼女はまるであり得ないというようにこちらを見る。
「これは……しかしドクター、こんなことがあり得るのですか?」
「だから収穫なのさ。いやはや、まさかあんなところで
そう、プロジェクトF、私が提唱した所謂クローン技術だ。クローニングして産み出した素体に記憶を定着させることにより、従来の技術では考えられない程の知識や行動力を最初から与える事が出来る禁断の技術。
その最大の目的はクローニング元になった人間の肉体と記憶を複製することだ。まぁ最も、完全複製は不可能だったのだが。
「しかし、プロジェクトFの残滓ならば『発電』のレアスキルを獲得してる筈では?当時ドクターのいた場所でその反応は何処にも」
「いや、彼の場合は『発電』とは少しだけ違うのさ」
そう、彼は確かにプロジェクトFの残滓であるのは間違いない。何故なら
「ところでウーノ、軽く想像してほしいんだが、全身の骨や筋肉に傷や損傷を……例えば金属バットで体を殴られたり、集団に蹴られ殴られを毎日のように受けた場合、体はどうなるかね?」
「?そんなもの、強烈な痛みで歩くどころか立つのさえやっとかと」
「そう、だがね、彼はその状態で、恐らく一年以上何事もないように立って歩いてる、さらには苦もなく走ってるじゃあないか」
その言葉にウーノは漸く気がついた。
「……有り得ない、そんなこと肉体が慣れてしまうという理論があっても、苦もなく走ったりなんて不可能です」
「そう、だから彼に備わっていたリンカーコアのレアスキルとしての能力は、『発電』という系統でも別方向……『
生体電気……人間は体を動かしたり、痛みを感じたときに脳から特定の電気信号が流れる。そして彼は恐らく、
「……もしそれが本当ならば」
「そうだね、彼こそが本当の意味で、プロジェクトFの体現者であり、そして
しかも調べてみれば、彼のオリジナルとなった人間は当然、その事を知ってるであろう人間も、既にこの世には存在してないというではないか。
「ですがドクター、彼はまだ地球で言うところの小学校6年生、とてもではありませんが此方に引き込むのは難しいかと」
「いや、それについては問題ないさ、まぁもっとも、決行は彼が中学3年生になってからだが、仕込みに時間は掛からないさ」
そう言って私は施設の一つ、ナンバーズである少女達の眠るポットへとやってくる。
「……あれ?ドクター、ポットが一つ増えてませんか?」
ウーノは不思議そうに呟く。そこには金髪のショートカットに9番目のノーヴェと頭半分ほど低い少女がポットの中に横たわっていた。
「あぁ、彼を引き込むに至って、彼と同年代の少女を使った方が良いと思ってね、新規で産み出したのさ。勿論、戦闘機人としての能力もISもそれぞれ強力さ」
「……なるほど、それでは13番目のナンバーズと言うわけですね。ちなみに名前は?」
「戦闘機人としての名前はトゥーレ……そして地球での名前は……そうだね……
シャルロット……それが彼女のコードネームさ」
「トゥーレ……シャルロット……流石はドクター、名前のセンスだけは本当にすばらしい」
「ふふ、まぁねぇ。さて、そういうわけだから私はガジェットの新型を造るとしようかね」
そう言いながら私達は歩いていく。私は君が此方に来るのを楽しみにしてるぞ……織斑一夏。
オマケ
スカリエッティがそんなことを考えてるその頃、
「……」ズーン
「……なんや?フェイトちゃん物凄い落ち込みしとるで?」
「なんでもフェイト、今回の執務官試験、また落ちちゃったらしいよ」
「去年はなのはのアレがあったから仕方無いけど……今年は今年で去年のを引きずっちゃったのかな……」
「……大丈夫だよはやて、ユーノ、アルフ、三度目の正直って言うから……うん」
「けど二度あることは三度あるっても言うよな~」
「ハグ!?」
「ヴィータ!!気にするなテスタロッサ、経験はそうそう裏切らないさ」
「うん……でもクロノは一発で合格したらしいし……二人は進路決まってるのに私だけ……嘱託のままなんて……」
「大丈夫だよフェイトちゃん!!全力全開で次に挑めば良いんだから!!」
「な、なのは~!!」ムギュー
「なんやろ、もう二人で幸せな家庭でも作ったらええんやない?」
こんなことがアースラであったとかなんとか……