また、これからもちょくちょくvivid軸の番外編を入れていくのでよろしくお願いします。
どうも皆さん、シャルロット・トゥーレです。本編ではなんだか最近台詞も無いし影が薄いしと良いとこなしですけど、今日は私がメイン回です!!
「ちょっとトゥーレ、アンタ何処に向かって話してるの」
と、クアットロ姉に冷たい目で見られてるけど、そんなことでへこたれて居られない。
「まぁそういうのはどうでも良いからクアットロ姉」
「……まぁ良いけど、それより一夏君から頼まれてた資料出来上がったから持ってってちょうだい。新型の魔力コンバーターのやつ」
「あ、了解」
一応私は一夏……織斑・S・一夏の専属秘書として、ミッドに構えてる管理局公認の研究所、『スカリエッティラボ』にて活動してます。もともと私は一夏のサポートを目的として産み出されたしね。
一夏は一夏で、二代目スカリエッティとして学会ではそれなりに注目視されていて、主に風力とかの自然エネルギーで魔力を生成する新型のコンバーターとか、ガジェットを改良した災害救助マシーンの開発とかをしてるんだ。
ちなみに職員は全員で20数名程度、一夏が所長兼主任研究員、クアットロ姉様が副主任、簪が技術主任として活動してたりする。
「けど、今の時間って一夏はノーヴェ達とじゃないの?」
「あー、そう言えばそうだったわね……まったく、所長が研究所に居ないで出歩いてるとかどうなのよ」
「それは確かにね」
それでも一夏はちゃんと書類を全てノルマ終わらせてから行ってるんだから凄いんだよね……。
「……ところでクアットロ姉、最近ヴァイスさん達と合コンしたらしいけどどうなの?」
「……トゥーレ、腕ひしぎ逆十字からの首を180度回転してあげようかしら?」
「し、失礼しました~!!」
「オ、トゥーレか、珍しいなお前がこっち来るなんて」
何時もの公園にて、すっかりトレーナー姿が似合うようになった姉ノーヴェの挨拶に、私はスーツ姿で手に持ったバスケットを見せる。
「一夏に渡す書類が有ってね、ついでに差し入れも。それで、ヴィヴィオはどんな感じ?」
「どんなって、何時も通りだよ。インターミドルももう少しだし、何よりヴィヴィオのスタイルはアイツとアタシと一夏の三人で組み上げてきたもんだし」
「そっか」
ヴィヴィオのカウンターヒッターとしての戦術は、一夏が無理なく怪我なくできるように真剣に考えて作り上げて、ノーヴェはそれを上手く使いこなせるようにトレーニングすることで、まるでスポンジの如く吸収してる。
「けどさ、どうやったらヴィヴィオの蹴りが研究所の木を伐採できてるんだろ……別に構わないんだけどさ」
「なんでも一夏曰く、インパクトの瞬間だけに魔力をほぼ全て乗せられるようにする特訓なんだと。しかも的確に同じ場所に当てるのが難しい踵蹴りでマスターしちまえば、ヴィヴィオの目の良さもあって攻防隙が無くなるとか」
「そりゃ普通は足の甲で蹴るからね、どんなキックファイターも」
「まぁ流石にファイトスタイルに影響があるから、踵蹴りじゃなくて甲で蹴るのにしてるけどな」
怪我はしやすくなるけどな、と呟くノーヴェに私は少しだけ苦笑いをする。
「ところでそのヴィヴィオに一夏は何をやってるの?投げ技?」
「なんか、当たる攻撃を捕まえて投げ飛ばす練習だと。あのミウラって娘、強力なキックファイターらしいし」
「なるほど……あ、ヴィヴィオが蹴り飛ばされた」
「大人モードとはいえ、ソニックムーブ使ってる一夏の蹴りを捕まえるのはまだ無理か」
「う~一夏師匠恐るべし……」
「これでも格闘戦でフェイトさんを潰せるからな。まだまだ未完成なヴィヴィオに遅れはとらないよ」
「こーら一夏、初等科の娘にムキにならないの」
かれこれ30本近く吹っ飛ばされ(といっても一夏は本気で蹴ってないし、ヴィヴィオも強く蹴られた時の受け身の練習らしいけど)、ボロボロで目を回しかけてるヴィヴィオに、持ってきたドリンクを手渡す。
「ごめんねヴィヴィオ、一夏厳しくて」
「い、いえ!!むしろ一夏さんを越えるカウンターヒッターになるので大丈夫です!!」
「ヴィヴィオ?俺のスタイルはカウンターヒッターじゃなくてヒットアンドアウェイだからな~」
「いやどっちかと言えばカウンターヒッターだろ、投げ技とか使うのは」
失礼な、と呟く一夏に私は苦笑しか出来ない。
「まぁヴィヴィオもそのうち慣れれば、相手のパンチの勢いを利用して背負い投げとか、刃物持った敵を避けて肘折したりもできるさ」
「オイコラ、背負い投げは兎も角肘折は反則になりかねないからダメだっての」
「相手の足を掴まえてハンマーするのと同じだって」
「男子なら兎も角、女子でそんな事できるかぁ!?」
いや、ノーヴェなら簡単にできそうだよねそれくらい。
「なんか変なこと考えてねぇよなトゥーレ?」
「そんな事ないよ。それより一夏、クアットロから頼まれた資料持ってきたけど?」
「ん?あぁ悪いな、ヴィヴィオとの練習の後に貰っても良いか?ヴィヴィオもだいぶ熱が入ってきた頃だし」
「おっす!!一夏師匠、お願いします!!」
大人モードにチェンジして立ち上がるヴィヴィオに、笑いながら練習に付き合う一夏を見て、なんだか親子というか、年の離れた兄妹のように見えた。
「ただいま~」
夕方、一夏達と別れ帰宅した家にて、私は同居人へと聞こえるようにそれを告げた。
「あ~しゃるるんおかえりー」
出迎えたのは現在シェアハウスしてる本音で、その小さな体にエプロンを付けてやって来る。
「あれ、簪とクアットロ姉は?」
「二人なら~くあくあの部屋で例のアレ~」
「……まさかまた?」
この二人……というよりもクアットロ姉はかなり腐ってるというか……八神家のシャマルさんと一緒に同人誌を作ってたりする。
そしてそこに、なにをどうしてそうなったのか、最近では簪まで加わってしまい、コミケでは結構有名という。
「まぁ~そろそろ夏コミの時期だしね~お互いに新作ノルマ一本で作るらしいよ~」
「言っとくけど、今年からは何があっても私は手伝わないからね」
「そう言いながら~結局手伝ってたけどね~」
ぐぬぬ……事実だから何も言えない。
「とりあえず私も部屋に戻って、それからシャワーでも浴びようかな」
「お~だったら一緒に流し合いでもする?」
「う~ん、たまにはそれも良いかもね」
というわけで私たち二人は一緒にお風呂へ向かうのだった。
あ、描写は無いからね……想像した皆のエッチ
「はぁ、今日も一日疲れた……」
夕食を終えて、自室のベッドへと座った私は、ふと今までの思い出を振り返っていた。
一夏との最初の出会い、短かったIS学園での日々、そしてJS事件……まだ10数年しか生きてないけど、それなりに濃い内容ばかりだった。
特にJS事件後は、一夏は自分の研究所を作るって言って、そこから私と簪とクアットロ姉でサポートして、今のラボを作り上げて……なんだか濃すぎて寿命が縮みそうなんだよね。
「……トゥーレ、まだ起きてる?」
「簪?うん、起きてるよ」
入るよ、とそう言って入ってきた眼鏡の無い簪は近くの机に備え付けられた椅子に腰をかける。
「どうしたの珍しい」
「……何となく、眠れそうになくて」
ダウトだ。寝付きはかなり良いタイプの簪がそうなるのはまず無い。けどそう言うってことは……
「……刀奈さんのこと?」
私がそう聞くと、簪はコクりと頷く。ある意味分かりやすいと言えば分かりやすい。
「……最近、縒りを戻したいって言ってきて」
簪の家庭環境はかなり複雑というか、むしろ簪が一方的に嫌ってるというか……しかもJS事件を期に完全に家から離れると宣言しているのだが、刀奈さんは元の姉妹に戻りたいということなのだろう。
「……別にお姉ちゃんのことは今は嫌いじゃない。なんだかストーカー染みてるけど常識の範囲内で動いてるし」
「まぁ虚さんが居るからね」
「……けど、縒りを戻したら更識が生活に介入してくるし、何より家の人間はほとんど信用してないから」
なるほど、確かに簪の言葉も尤もだ。深く広がった溝は一朝一夕で埋まるものではないしね。まぁでも、
「簪ももう成人して大人なんだし、別に好きにして良いんじゃないかな。例えば姉妹としての仲は戻すけど、家との関係は戻さない……とか」
「……けど、それでお姉ちゃん納得するかな」
「そこはやってみないとじゃないかな。それに、力関係じゃ今は簪の方が上だしね、色々と」
何せ簪は……っと、これは本編のネタバレになるから言えないね、うん。
「とりあえず、正面から向かい合って話すことが第一だよ、簪はそういうのは苦手だけどさ」
「……うるさいトゥーレ」
そう言って簪は立ち上がると部屋を出ていくのか扉の方へ
「……でも、ありがと」
「うん、どういたしまして」
そう返事をすると、簪はさっさと出ていった。外の星は満天で、私は電気を消して、天窓からそれを眺めるのだった。