「……やっぱり殺りづらい」
支援も全く無い状況で一人、クローン供の胸部……爆弾の配置されている部分ごと『雪片』の高出力魔力刃で一刀両断しつつ、俺は周りの数を見て呟く。
何せクローン兵とは言うが、痛覚がないのか斬っても動いてくるわ、下手に切り捨てると爆発して被害がくるわ、かといって脚を切り落としても自爆する、やりづらいことこのうえない。
唯一、変換資質である電撃を使えば爆弾を起爆させずに無力化できるものの、それには直にそれを爆弾に当てなきゃいけないし、加減を間違えたり別の場所を斬るとこれまた爆発するから面倒という、作ったやつの気が知れない。なにより
「爆弾の位置をずらして配置するとかどんな考えしてやがる!!」
大体人間の臓器に当たる場所にあるのは確定なのだが、一体一体が五臓六腑ランダムでどこかに爆弾を積んでるために、一々特定しなきゃならないという最悪なこと。これを考えたやつはマジでマッドサイエンティストだ。(余談だがコイツらはリンカーコアで生命活動してるらしい)
「くそったれ!!こんなことならトゥーレを完全オフにするんじゃなかった!!」
アイツがいれば瞬時的確にサポートしてくれて爆弾の位置を教えてくれるのだが、生憎彼女は疲れを癒すためにルーの実家の世界で休養中だからこの場に居なかった。
ちなみにクアットロはクアットロでこの場にいる俺以外の味方全員へのオペレートをしてるせいで、此方に回す余裕がなかったりする。
「(クアットロからアレは使うなって厳禁されてるし、何より局に縛られて動けないエース・オブ・エースに気取られる訳にもいかんし……)こうなったら……」
一気に斬り飛ばすと思った次の瞬間、まるで狙ったように真横から爆発のような衝撃が走り、クローン供のうち数体が宙に浮き爆発する。
「待たせた一夏!!」
快活に、そして同時に敵を蹴り飛ばしながら声をかけてくる紅……ノーヴェがイライラに達したような不機嫌な表情で突撃してきた。
「おま、何やってんだ!!外は!?」
「あっちはヴォルケンリッターやら、お嬢とお前の親友二人が蹴散らしてるから安心しろ」
「いやそういうことじゃ……」
「それより伝言だ、リイスが
その言葉に俺は嫌な汗が流れる。いや、確かにアレはこういうときにこそ役立つ魔法だがしかし……。
「……束さんは?」
「通信を受けてすぐに転移で脱出したよ。あとは一夏とエース・オブ・エースだけ」
「それを早く言いやがれ!!」
俺は急いでエース・オブ・エースの方へ移動すると、彼女をお姫様抱っこの状態で担ぎ上げる。
「ちょ!!何を!!」
「うるさい!!リイスさんがディアボを使うつもりだからさっさと撤収だ撤収!!」
「ディア!?だ、だったら私も普通にバリアジャケット展開して逃げれば」
「そんなことしてる時間があったら俺が抱えて飛んだ方が圧倒的に速い!!」
それに、と言おうとした瞬間にまたあのクローン供がわらわらと寄って来はじめた。
「くそ、数が多すぎて撤退するのも一苦労だぞ!!ノーヴェ!!」
「此方だってじり貧だっての!!アタシも一夏もインファイターなんだから仕方ないだろ!!」
俺もノーヴェもシューター系は使えなくはないがというレベルで、しかも格闘しながら並列思考でシューター使うなんて頭パンクどころか爆発しちまう。
「――ディバイン・シューター!!」
と、見覚えのある桃色の光弾が数発奴等の頭部に直撃、それと同時に少し強めの衝撃が起こりクローン供を一部後退させる。
やったのであろう当人……高町なのははデバイスを展開せずにシューターをさらに四つほど展開している。
「エース・オブ・エース……」
「今は味方だから。それにさっきから役立たず扱いされるのも何だか心外だし」
ちょっと退いてて、と彼女に言われ俺は降ろすと、いきなりデバイスを展開、彼女の代名詞たる杖に魔力を貯め始める。
「……言っておくけど、非殺傷でもこれくらい対処する方法はあるんだよ。もっとも砲撃魔導師かフェイトちゃんぐらいしかできないけど」
「砲撃魔法で?いったい何を」
「簡単。あと私の直上に居ないと危ないよ」
そう言ってエース・オブ・エースは杖を連中に向け
「ディバイン・バスター!!」
代名詞の一つでもある砲撃を放ちながら、なんとその場で高速横回転を始めやがった。
「ノーヴェ!!」
「分かってる!!」
慌ててそれぞれ上空に退避してなければ、巻き込まれて殲滅させられてた可能性大だ。というか巻き込むつもりかこいつは。
回転が終わってみると、立っているクローン供は全く居らず、まさしく薙ぎ払ってしまったのだ。慌てて確認してみれば、どうやら凪ぎ払いで壁に激突した際に爆発したり、その爆発に巻き込まれ誘爆したらしい。
「……被害検証大変だろうな」
「う……」
もっとも非殺傷設定でも物質破壊は可能なためだいぶホテルの内観はボロボロ、支えているであろう柱も二つほど半ばから真っ二つに抉られてる。
ついでにクローン供が連鎖爆発してくれたもんだからしっちゃかめっちゃか、高級ホテルが一夜にして廃屋決定だった。
「そ、そんなことよりリインフォースさんが魔法を使うんでしょ!!早く退避するよ二人とも!!」
(逃げたな)
(逃げやがったな)
ジト目を向けながらも、最早時間がないためとりあえず従い、奴等が開けた壁穴から屋外へ脱出する。
「こちらサマー、ノーヴェとエース・オブ・エースと共に退避完了した。何時でもやってくれ」
『こちらリイス、了解した。任せてくれたまえ』
そう言って上空に逃れた直後、ホテルの中心から見覚えのある黒い球体がホテル全体を覆い尽くし、そして一瞬にして収縮。ホテルもろとも消し飛ばしてしまった。
「……これ、修理費用払うの誰なんだろうな」
「え"、普通君達が払うんじゃ……」
「いや、今回に関してはそちらの味方コードだし、何よりデアボ使えるのって、公式的にはそっちの部隊長なんじゃ」
俺のその言葉にかのエース・オブ・エースは崩れ落ち、今月のお給料が、と迫り来るであろう現実に打ち拉がれていた。
「……ノーヴェ、とりあえず俺らは撤収するぞ」
「お、おう……」
「ちょ――」
何か言いたげなエースの台詞を聞くまでもなく、俺らはすぐにその場から転移した。正直被害届出されても、あのクローンのせいだから正当防衛だろ、とだけ思いたい。
オマケ
「今月からどないすればええねん……」←八神はやて、減給二ヶ月
「うう、なんで私まで」←高町なのは、減給二ヶ月
「えっと……ドンマイ?」←フェイト、戦線に加われなかったために処罰なし
近いうちに荒潮提督さんの『マテリアルズ・ストラトス』とコラボやります。なので、ちょっと時間が掛かります、はい。
え?沖田オルタ……当たらなかったよコンチキショー!!(始末剣振り回しながら)