無限の欲望と呼ばれる夏   作:ドロイデン

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 どうも、またまた本編じゃなくて番外編を投稿してるドロイデンです。とりあえず一言

相変わらずFGOガチャが渋すぎる!!カーマは何とか手に入れましたが、沖田オルタガチャが全く当たらない!!マジで!!

それもこれもヤンざしちゃんの呪いって奴のしw(消し飛ばされました)


番外編 白百合は交わりけり

 それはノーヴェのお願いでヴィヴィオへ俺が格闘技を教え始めた頃の話だ。

 

「はぁ……喉かだな」

 

「そうね~」

 

「ワン!!」

 

 その日は研究も休みにして、愛する鈴と愛犬であるツァイトと一緒に散歩へ出掛けていて、あの戦いの日々が嘘のように平和だった。

 

「……ん?」

 

 と、市街地を歩いていた時にふと珍しい黒い車が対向車線の路肩に止まってるな、そう思って眺めていると、信じられないものを目にした。

 

 ラウラやチンクさんとは違った、透き通るような銀髪の少女をまるで物のように車に押し込め、急発進した。誘拐の現行犯だった。

 

「マズッた……白鈴はメンテナンスで置いてきてるからな」

 

 肝心なところで必要なものがないことに若干ため息をつきたくなるが、幸いにしてあの少女の魔力の感じは覚えることができた。

 

「鈴、ツァイトを頼む」

 

「はいはい、夕飯準備して待ってるからね~」

 

「ワン!!」

 

 俺の言葉にツァイトは元気に吠え、俺は屈伸しつつ、すぐに使いなれた身体強化魔法を使う。

 

「さて……あまりやりたくない鬼ごっこの開始と行くか」

 

 

 

 結論から言えば誘拐犯達は簡単に捕まえることができた。できたわけだが、

 

「……」

 

 助けた少女の目が完璧に虚になっていることに俺はため息をついた。

 

「とりあえず、名前を聞いても良いか?」

 

「……リンネ、リンネ・ベルリネッタです」

 

 ベルリネッタ、その名字にどこか聞き覚えがあった。が、そこは一先ず捨て置くことにする。

 

「まぁ、誘拐された場所が偶々俺の近くで良かったわけだが……一応聞くけど、リンネはこいつらと面識は?」

 

「いえ……でもそこの男の人は……私のクラスメイトの兄弟って」

 

「学校……ちなみに聞くけど、そのクラスメイトの人との関係は?」

 

「……っ」

 

 唇を噛みしめたその瞬間、俺は何も言わずに察した。間違いなく俺と俺のクラスメイトと同じ関係だったと見て間違いない。しかし、

 

「……もし俺の言うことが間違ってなかったらだけど、リンネはそのクラスメイトに……虐められてたとして、そのクラスメイトの兄弟が誘拐する理由はあるか?」

 

 勿論嫌いだから強姦させる……という点も考えられなくはないが、

 

「……あの娘達が……私の宝物を……お義爺様との約束も……」

 

「……なるほど、つまりいじめに耐えかねてぶちギレて、そのクラスメイトをぶちのめした……と」

 

 とりあえず男どもから更なる事情聴取が必要になるだろうが、

 

「てことはもしかしてだが……リンネは今保護施設かなにかに居た筈だよな。それがここに居るって事は……」

 

「……私が戻ったら、あの人たちに迷惑が掛かるから」 

 そう言う彼女に俺はため息を一つついて、

 

「バカかお前は!!」

 

「イタッ!?」

 

 軽く拳骨を一つ、リンネの頭に与えることにした。

 

「リンネ、見たところお前はまだ10歳ぐらいだよな」

 

「……はい」

 

「だったら迷惑ぐらいかけてもバチはあたんねぇよ。聞いたところ養子なんだろうが、養子でも両親にはかわんねぇし、何より親ってのは子供の我が儘が嬉しいって思うんだよ」

 

「けど……私の我が儘であの人たちに迷惑は」

 

「そういうのは自分一人である程度なんでも出きるようになってから言え」

 

 と、同時に俺は、

 

「そういうわけなんで、そこにいる人、出きるなら局の方に連絡を取って貰っても良いですか」

 

「……あら?私のこと気づいてたの?」

 

 振り向きながら声をかけると、まるで呆れたように一人の女性が入り口からやって来た。

 

「そりゃ俺の後ろから、魔力強化抜きでついてくるのを気付かないわけないでしょ。元格闘家のジル・ストーラさん」

 

「そういう貴方はあの管理局の織斑・S・一夏……でしょ。そのあなたがデバイスを持ってないなんて、なんとも不自然なこと」

 

「丁度今日は休日でね、ついでとメンテナンスに出してたらこのザマさ。とりあえずリンネは俺が保護させてもらうし、何よりここまで大事になったからな」

 

 休日返上とは行かないが、ちょっとばかりリンネのメンタルケアをするとしようか。

 

 

 

「そういうわけで、保護施設と親御さんに話をつけてきたから、よろしくな鈴」

 

「よろしくって、まぁなんとなく予想してから良いけど」

 

 リンネを自宅へと連れてきた俺は、キッチンに立つ鈴の苦笑を受け止めながら、リンネをソファーに座らせる。

 

「悪いな、いきなり連れてきちまって」

 

「いえ……あの、織斑さん」

 

「一夏で良いよ。俺の周りのやつは大概そう呼ぶからな」

 

 分かりました、と素直に言うリンネに意外と少し驚く。

 

「あ……」

 

 と、まるで見計らったように愛犬ツァイトがリンネの側にやって来て、かって知らずかその小さな体をリンネの膝の上に乗せてしまった。

 

「わんちゃん飼ってるんですか?」

 

「おう、ツァイトっていうんだ。人懐っこくてな、撫でても良いぞ」

 

 それじゃあ、と、おずおずといった感じでゆっくり一撫ですると、その触り心地がリンネのなにかに触れたのか、なんとも言えない表情となった。

 

「……親御さんから話は聞いたよ。恐らく転校することになるって」

 

「……分かってます。あんなことを起こしたら、そのままでいられませんよね」

 

 そこまで言ってリンネは真剣な目で此方を見る。

 

「……一夏さん、私、強くなりたいです」

 

「……強くなりたい、か。どうしてだ?」

 

「……もう何も、失いたくないから。自分が弱いせいで傷つくのは嫌だから」

 

 その言葉に俺も真剣な目になる。

 

「……リンネ、強いのが力だと思ってるなら最初に言っておく。それは大分強いの意味を履き違えてるぞ」

 

「え?」

 

「恐らくリンネの強くなりたいっていうのは物理的な力のことだろ?けど、それだけが強いやつはそれに呑まれる……暴力って力に」

 

 それじゃリンネがやり返したクラスメイトと一緒だ、そう言うとリンネは嫌な顔をした。

 

「……丁度いいし、明日ちょっと付き合え」

 

「?」

 

「本当に強いやつを見せてやるよ。まぁリンネの1つ年下だけどな」

 

 けどその前に、

 

「まずは夕飯を食べるとするか。遠慮しないで食べてってくれ」

 

 

 そんなこんなで翌日、俺はリンネを連れてミッドにある室内運動場……主に格闘技の練習に使われる場所へとやって来ていた。

 

「待ち合わせの場所は……あぁ、居た居た」

 

 目的の人物を目で探してみれば、見慣れた紅い髪の女性と、金髪の少女が立っていた

 

「おっすノーヴェ、ヴィヴィオ。待たせたか」

 

 待ち人……ノーヴェ・O・スカリエッティと高町ヴィヴィオに声をかけると、二人もこちらに気付いた。

 

「おはようございます、一夏さん」

 

「こっちも今さっき着いたところだ……で、そっちのは?」

 

「リンネって言ってな、丁度いいからヴィヴィオの練習を見学させようかなって」

 

 俺がそう言うとリンネは軽くお辞儀し、ノーヴェが不思議そうにリンネのことを眺める。

 

「さて、それじゃあヴィヴィオはまず準備運動とランニング、それからパンチングの基本を確認だ。ノーヴェ、ミット持ってきてくれ」

 

「おう、任された」

 

 そう言うとヴィヴィオは近くでストレッチを初め、ノーヴェは倉庫へと向かっていった。

 

 そこから俺はリンネを連れて少し離れる。そして始まったヴィヴィオの練習を、リンネは真剣な表情で見ていた。

 

「……凄い」

 

「お、どうしてそう思った?」

 

「何て言うか……真剣に打ち込んでるって感じで……私より年下なのに、才能があるなって」

 

 まぁ素人目からしたらそうなんだろうが、近くで見てきた俺達からするとその意見は少し違う。

 

「……残念だけど、ヴィヴィオの体は本当は格闘技に向いてないんだ」

 

「え?」

 

「魔力量もそうだけど、ヴィヴィオは多分管理局の魔導師の平均と同じか、もしかするとそれより低い。当然出力も」

 

 元々はゆりかごのパーツとして産まれたヴィヴィオは、聖王核(レリック)があっての運用を前提にしていた影響もあって、基本的な能力は平均よりも低くデザインされていた。

 

「本来なら格闘技には向いてない、どちらかと言えば後方支援の射砲撃型の魔導師が適正なんだ」

 

「じゃあなんでヴィヴィオさんは……」

 

「……ヴィヴィオも被害者だから、だな」

 

 その言葉にリンネは驚く。あんな笑顔で練習してる少女が……

 

「言っておくけどいじめの被害者じゃない。……詳しくは守秘義務で話せないが、ヴィヴィオは大きな事件の中心人物として、それこそ彼女の親を傷つけるように仕向けられた」

 

「!?」

 

「だから、ヴィヴィオは事件が解決してから、今度は自分が強くなって、また同じことが起こらないようにって、一人で格闘技の練習を初めた。強くなって心配されないようにって」

 

 もっとも、ノーヴェに見つかってからは彼女が真剣に師事してるし、俺もコーチとしてしっかり面倒を見てるわけだが。

 

「リンネ、お前がどういう意味で強くなりたいのかは分からない。けど……」

 

「――一夏さん」

 

 俺の言葉を遮り、リンネは再び真剣な表情で此方を見る。

 

「私も――私もヴィヴィオさんのような強さを持つことはできますか」

 

「……あたりまえだ」

 

 俺はそう言ってリンネの頭を軽く撫でてやる。

 

「そんじゃ、俺もちょっと準備するとするか」

 

「え、一夏さん?」

 

「ヴィヴィオ!!俺とノーヴェで組手するから、リンネの側に居てくれ!!」

 

「ちょ!?一夏!?今日は見てるだけなんじゃねぇのかよ!!」

 

「固いこと言うな、弟子がもう一人増えるんだし、コーチの実力見せぐらいやらせろ」

 

 俺は軽く屈伸と肩を回してノーヴェの前に立つと、笑いながら構える

 

「そんじゃあ……行くぞ!!」

 

 

 

 数日後、リンネがSt.ヒルデ魔法学院に転入してくることになったのはまた別の話。

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