無限の欲望と呼ばれる夏   作:ドロイデン

8 / 80
02 空港火災

「さて、そろそろね……」

 

 あれから数分経ち、クアットロがなぜか右腕に着けている腕時計で時間を確認すると、IS『シルバーカーテン』を発動した。

 

「チンク、セイン、トゥーレ、初期配置に着いたかしら?」

 

『こちらセイン、目標の保管場所に到着』

 

『チンクだ、何時でもいける』

 

『トゥーレです、こっちも大丈夫だよ』

 

 三者三様に答えるが、どれも大丈夫らしい。

 

『あとクアットロ姉さん、任務前に確認したいんだけど』

 

「何よ、もう時間がそこまで――」

 

『タイプゼロファーストとセカンドが居たんだけど?』

 

「……なんですって?」

 

 クアットロはあり得ないとでも言うように目を見開いてる。

 

「それは本当かしら?」

 

『全く見たことのない人間ならともかく、写真でも見たことのある人間なら早々間違えないよ』

 

「……困ったわね、下手に巻き込んだらドクターに怒られるし……」

 

 う~ん、とクアットロは悩むように頤に指を当てる。

 

「……なら、俺が行きますか?」

 

「はぁ?幾らプロジェクトFの残滓でドクターのお気に入りとはいえ、まだ実戦慣れしてない人間を出させると?」

 

「デスヨネー……」

 

 当たり前のように突っぱねられ、仕方なく僕は彼女の近くで待機する。

 

「う~ん、とりあえずそっちは癪だけど管理局に任せるしかないわね。下手に介入すれば大変な事になりかねないし」

 

『分かりました。それじゃあ合図をお願いします』

 

「オッケ~、それじゃあ……作戦開始よ!!」

 

『『『了解!!』』』

 

 そこからは正しく電光石火、セインさんがISでレリックを奪い取り、トゥーレが警備やらの人間を洗脳して気絶させ、クアットロがハッキングでシステムをダウン、そしてチンクさんがどうやったかしらないが辺りを爆発、発火させる。正しく訓練されたコンビネーションで行われるそれは、今の僕にはどうあっても太刀打ちできるそれじゃなかった。

 

「凄い……」

 

「フフフ、こんなもの序の口よ。今は管理局レベルのプロテクトは突破できないし、トゥーレも実戦経験は少ないけど、そのうち私達ナンバーズだけで管理局を相手取る事だって不可能じゃないんだから」

 

「そうですか……」

 

 まるで嬉々として語る彼女に若干退きながらも、彼女達の実力を知って、姉とは違う意味で強いことを感じ取った。

 

「はーい!!全員とーちゃーく!!」

 

 と、その時セインさんが二人を抱き抱えて真後ろから飛び出してきた。そして俺に向かって正しくルパンダイブ……って、

 

「せ、セクハラ撃退拳!!」

 

「ハグ!?」

 

 思わず右拳を捻りながら捻り込む形でセインさんの腹部をアッパーでぶん殴ってしまった。しかもそのせいでセインさんは軽く吹っ飛んで頭から海面に飛び込む。

 

「イ、イチカ!?いきなり何してるのさ!?」

 

「い、いや……なんか身の危険を感じて……特に貞操が……」

 

 トゥーレが驚きながら突っ込むが、俺にもこう言う以外どう対応するべきか分からなかった。

 

「だ、誰か私の心配をしてくれても……」

 

「自業自得だ、バカ者」

 

「セイン、アナタは少し反省しなさい」

 

 目を回してるセインさんに、姉の二人は容赦のない口撃を仕掛けてる。

 

「それにしてもイチカ、随分と格闘技が得意なんだね?セイン姉様をあんな風に吹っ飛ばすなんて」

 

「鈴……僕の彼女から太極拳やら中国拳法を無理矢理仕込まれてな……それのアレンジだよ」

 

「あら?それならイチカ君は武器戦闘より徒手空拳の格闘戦の方が得意なのかしら?」

 

 クアットロが興味津々に近付いてくる。というか言われてみればこの人もだいぶ発育がいいんですけど……

 

「どちらかと言われればのレベルですけどね。ただ武器にしても刃物は体質的に無理なんで」

 

「そう、なら施設に着いたらデバイスはそっち方面で進めさせてもらうとするわ」

 

 そういうクアットロの目は、まるでマッドサイエティストのような、意地は悪いが確かな技術を持ってる人間の目だった。

 

「クアットロ姉様、程々にしておいてくださいね」

 

「分かってるって、程々に凶悪無比なデバイスを……」

 

「ちゃんと倫理は守ってくださるなら、俺はそれでいいですよ」

 

 え~!!とブー垂れるクアットロを眺めていると、いつの間にやら元に戻ったセインさんが車を地面の中から持ってくる。

 

「四人とも~!!私が運転するんだからさっさと乗り込んでよ~!!」

 

「……セインさん、一応聞きますが免許は?」

 

「ナハハ!!戸籍すら持ってない私達にそれを聞くかな?」

 

「……そうですね、そんな常識捨てておきます」

 

 とりあえず、犯罪者でも良いので少しだけ平穏が欲しいと願う僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばさっきイチカ君、アナタ彼女居るって聞こえたけど?」

 

「?そうですよ、ドクターとも俺の彼女を治してもらうことで……って、チンクさんとセインとクアットロさん、どうしたんです?」

 

「「「い、いやなんでもない(わよ)」」」

 

「(そういえば私以外全員歳上だっけ?)」

 

 余談だが、この場にいるメンバーを記してみると、

 

クアットロ→18

チンク→17

セイン→16

一夏→14

トゥーレ→(製造年数的には)3

 

 である。何気に悲しい事実であった。




次回『03 ナンバーズ』
セイン「リリカルマジカル頑張っちゃうよ~!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。