というわけで『相棒』です。
「くぅ~!これが地球かぁ!本当に着いたんだなぁ!」
シノはコックピットの上で背伸びをしながら自分たちが地球に降りていることに実感を持ち始めていた。
しかし、オルガだけがそんな状況下でも唖然とするような表情で島を見つめていた。
「しっかり見てなよ!ギャラルホルンにはこっちの位置をつかまれているんだから」
ビスケットが指示を出す。
「うぇっしょっぺぇ!なんでこの水こんなにしょっぺぇんだ?」
「海水だからな」
「海水?なんすかそれ?」
「う~ん……簡単に言えば塩水かな……」
ライドたちとサブレがそんな話をしていると、三日月たちも荷物を運びながら歩いていた。
「三日月モビルスーツはいいの?」
「バルバトスはメンテ終わるまで動かすなって」
クーデリアは空を見上げると、歪な三日月が夜空を明るく照らしていた。
「見ることができましたね」
「あれが?三日月とおんなじ名前のやつ?」
「着いたんですね私たち。地球に……着いたんですね」
クーデリアが感傷に浸っている中オルガだけは違っていた。
(俺はこの島を知っている。来たことがある?いや、そんなわけはねぇ)
オルガはデジャブのような感覚に襲われていた。
(そうだ……みんなでこんな風に作業をしていると島の方から蒔苗とかいう爺さんが出てきて……)
オルガが島の方を向くと、オルガの考えている通りに一人の老人がタカキと共に現れた。
「タカキ、誰?その人」
「いや……なんかこの人が話があるって」
「お前さんたちだな。鉄華団というのは」
「すごいよなみんな真っ青。海も空も。あんなに大きい雲初めて見た」
「でもなんか臭くない?海って。体もベタベタするし」
「クリュセの方が全然都会じゃん」
「たまたまこの場所がこうだってだけじゃないの?サブレさんが言うには経済圏の中心部に行けばかなり建物があるらしいし」
「なんかよぉ。もっと派手なとこ行きてぇよな。けど、これで仕事おわったんだよな~。ボーナスとか出んのかな~」
ライドたちが浜辺で休んでいると、後ろからサブレがこっそり近づいてくる。
「だれかな?仕事もせずにさぼってるのは?」
「「「うわぁ!!」」」
ライドたちは急いで立ち上がり、振り返る。
「「「すぐに仕事始めます!!」」」
そんな中格納庫ではシノたちが荷物を運んでいた。
「交渉が終わって火星に帰ったら俺たちすっげぇことになるんじゃねぇか?大歓迎されてもう女たちが寄ってたかって……」
「無事に帰れりゃな」
「うだうだ言ってんじゃないの!ちゃっちゃと働いたら?」
三日月と雪之丞はバルバトスの対策をしていた。
「追加したスラスターはやっぱもうダメだなぁ。他は例の商会からもらったパーツでなんとかなるんだがなぁ……」
「私らも手伝うよ」
アジー達が格納庫に入ってくると、そのまま三日月のもとに近づいてくる。
「そっちはもういいの?」
「漏影は元々地上用にセッティング出してきたから。それにバルバトスでちょっと試してみたいセッティングがあるんですよね。うちでリベイク組んでるときに思いついたんですけど、筋肉より三日月君向けかなぁって。本当はアガレスにしてあげたいんだけど、元々地上用にも改造してあったんでバルバトス用に」
蒔苗からの差し入れだと渡されたものを開けると、中から活きのいい魚が出てきた。
「なっなっ何よこれ!?」
飛び跳ねる魚に驚く三日月たちに対し、ラフタ達タービンズのメンバーは驚くことなく、そのままラフタは素手で魚をつかんだ。
「すっごいよ!これヒラメじゃない?」
「ああ。うまそうだね」
「ねぇカレイじゃない?」
そしてサブレも前に出ていきおいしそうな顔をする。
「うんカレイだと思う」
「えっ………それ食べ物ですか?」
魚を持ってきた男性は三日月の背中をジッと見つめると固まってしまう。しかし、見られていると気が付いた三日月が振り向く。
「何?」
「あっ………いえ。失礼します」
そういうとそそくさと車で走り去っていく。
「なんだ?」
「おめぇらの背中が気持ち悪いってよ。地球じゃ阿頼耶識なんかやってる奴はいねぇからな。俺のこいつだってこの星じゃ似たようなもんだ。生理的に受け付けられねぇ。厄祭戦の記憶が残るかぎりはな」
アインは先ほどの戦闘で重傷を負い、助からないような怪我を負ってしまった。
「阿頼耶識だと?バカを言うな!アインを化け物にするつもりか!?」
「人類は自然であらねばならむ……そんな価値観はギャラルホルンが意図的に広めたものだ。厄祭戦で進化した技術が自分たちに反旗を翻す道具になって使われることを恐れてな」
「だからなんだ?」
「アインを救いたいのだろ?」
「もちろん。奴を俺は助けて……いやそれだけじゃない。俺は上官の敵を討ちたいというあいつの気持ちに………その思いに応えたいんだ」
「だからこそ阿頼耶識という手段が最良だと言っている」
「なぜ………なぜ阿頼耶識なんだ?」
「お前に教えてやろう阿頼耶識の本当の力を」
オルガ達が蒔苗のところに向かっているとき、ラフタ達はもらった魚で夕食を食べていた。おいしそうに食べるラフタ達に対し、三日月たちは明らかに引いていた。
「マジかよ?」
「嘘だろおい……やっぱり食べ物じゃねぇよこれ」
「こっち………睨んでやがる」
「先にどうぞ」
「えっ!い……いやそっちが先に………」
「遠慮しないでいいから」
三日月は魚を食べようとせず火星ヤシを夕食代わりに食べていた。
「ちょっと三日月!口ぐらい付けてくれたって!タービンズのみんなに手伝ってもらってすっごい大変だったんだから!」
「へぇ~」
「もういい!」
まったく手を付けない三日月に対しアトラは料理を奪い取る。
「ん?うんま~!なんかよく分かんないけどすっごい複雑な味で!」
「嘘だろ?」
「そこまで引くことかな?」
魚にドン引きするライドたちに対し、サブレは魚を食べながら不思議そうな声を出す。
「ほんとだって!火星に帰ったら自慢しよ「こんなの食べた」って」
「生臭い……生臭ぇよ………」
「あっ……クーデリアさんの仕事終わったら火星に帰るんだよね?火星に戻ったらクーデリアさんすごいことになっちゃうんだろうな。なんか手の届かない人になっちゃいそう」
そういうアトラの目はどこか寂しそうだった。
三日月たちが食事をしている傍らオルガたちは蒔苗との対話に入っていた。
「い~やいやいやいやよう来てくださった。わしが蒔苗東護ノ介だ。待ちわびておったよ長いことな。腹は減っとらんか?」
「蒔苗さん。あんまりゆっくりできる時間は俺たちにはないんだが」
そういうオルガのセリフとは別にオルガにはこの先の展開がなぜかすべてわかっていた。
「ギャラルホルンならば心配無用。奴らはここには現れんよ。この島はどこの管理区域に属しておるか知っておるかな?」
「オセアニア連邦……ですね?」
「連邦の許可がなければ勝手に入り込むことはできないということですか?」
「ご名答!ふふっ。お前さん美形のうえに頭も切れる。や~結構結構」
「いえそんな……」
(もしそうなら………少し試すか)
オルガは自分の脳裏によぎった予感が当たるのかを試すことにした。
「けどオセアニア連邦が俺たちを匿う理由もないでしょう?」
「ところが大あり。むしろあんたらに表彰状でも渡したいくらいに感謝しておるよ。うまく運んだんだよ。ドルトの改革がな。十分成功と言ってよかろう。地球と同等の条件を彼らは手にしたようだからな」
「そう……なのですか。実ったのですねあの願いは………」
「よかったですねお嬢様」
「ええありがとうフミタン」
「それもお前さんたちの動きがきっかけとなってな。そして、この先どうなるかわからんが、一時的にでもドルトの生産力は落ちるだろう。アフリカンユニオンにとっては大きな痛手だが、他の経済圏にとっては万々歳。その呼び水となった恩人をギャラルホルンに売り渡すような真似をオセアニア連邦はせんよ。いや~愉快!実に痛快!でなんだったかな?お前さんたちが来た理由は」
「それはアーブラウとの火星ハーフメタル資源の規制解放の件で……」
「そうだったそうだった。それはもうわしにとっても実現したいと常々考えておったとこだ。だが今は無理だな」
「無理?それはどういう……」
「わしは失脚し亡命中の身だからな。つまり今のわしにはなんの権限もない」
(やっぱりそうだ。このまま……)
「ちょっと待て!それじゃ俺たちはなんの力もない爺さんに会うためにこんなところまでわざわざ来たってことなのか!?」
「では……では私たちがやってきたことは無意味だったと!?」
「そうは言うとらん。まだまだ残っておるよ。逆転の目はな」
「話は分かった。んじゃ一度持ち帰ってほかの奴らと話………」
(そうだ……この爺さんはここで俺たちを………)
「持ち帰る?ぬるい……ぬるいな。お前さんら少し勘違いしとらんか?お前らはどうやって火星に帰るつもりだ?帰る手段がどこにあるっていうんだ?ええっ!?」
「ま……待ってください。なぜ急にそんな……」
「言うたはずだ。お前たちをギャラルホルンに売り渡さぬようオセアニア連邦が動いていると。だがそんな話わしの一存でどうとでもなる」
「脅す気か?」
「脅すも何も……まあいい。賢い選択ができるまでせいぜいゆっくり考えることだな」
蒔苗との話し合いは終る中、オルガは———
(じゃあやっぱり………あの夢は本当になるかよ。だったら俺は!)
一つの決意を固めた。
オルガとビスケットは二人で蒔苗との会話からみんなのもとに歩いて戻っていた。クーデリアたちを先に行かせて。
「俺は決めた。蒔苗の話に乗るぜ。どっちを選んだってリスクがあるってんなら上りはでかいほうがいい。そう思わねぇか?……ビスケット」
しかし、そんなオルガの言葉にビスケットはサブレの「健全に生きてくれ」という言葉と、兄の死が脳裏によぎり、オルガの言葉に反感を強く覚えた。
「帰ろう。目的はもう達成したんだ。あとはみんなで火星へ。テイワズに頼めば装備は無理でも俺たちだけなら……」
(そうだよな……お前はそうくるよな)
「それだけじゃダメだ。火星で細々やってるだけじゃ俺たちはただのちょっと目端の利いたガキでしかねぇ。いずれまたいいように使われるだけだ。のし上がって見せるんだ。テイワズからも蒔苗のじじいからも奪えるものは全部奪って……」
「やめてくれ!今のままでも十分じゃないか……仲間の事をもっと考えてくれ………」
「俺が仲間の事を考えてねぇってか?」
「そうじゃない!また危険な道をあえて選ぼうとするのはやめてくれって言ってるんだ!」
「考えたうえでのことだ!どう動くのが俺たちの将来の為になるのかって」
「ここで無理してまた誰かが死んだりしたらどうなる。こんなこと続けて将来も何も……」
「決めたことだ!前に進むためにな!それともお前は乗れねぇって言いたいのか!?それとも降りるってか!!」
その言葉にビスケットは怒りを覚え怒鳴る。
「ああ!僕は鉄華団を降りる!!」
ビスケットはだまって廊下の奥へと消えていった。
(それでいいんだよビスケット。お前が死なないでいてくれたら………俺は!)
しかし、そんな思いとは別にオルガの苛立ちは全く収まらず、思いっきり壁をけりつけた。
「遅いな~兄さんたち」
サブレはただ一人食堂でオルガとビスケットの帰りを待っていた。クーデリア達から聞いた話とその時の話し合いの結果をオルガ達に伝えようとサブレが代表してここで待っていた。すると、ドアを思いっきり蹴りつけるオルガに驚くと、サブレは目をパチクリさせ、オルガが入ってくるのを待った。オルガはそのまま勢いよく椅子に座る。
「………なにかあった?」
「ビスケットが鉄華団を降りることになった」
「へ?どういうこと?何があったらそういう話になるの?」
「………」
オルガはどこか話しづらそうにしているのをサブレが感じ取ると、サブレは一つため息を吐く。
「まあ、オルガが本当に納得してることならいいけどさ……なんか、今のオルガは納得できてないような表情なんだよね……」
「どういう意味だ?俺が納得できてねぇっと?」
「そうじゃない?納得してる人はそんな風な顔をしないと思うよ」
オルガは一瞬顔を背け、小さくため息をつく。
「ほんと……どうしてこうなっちまったんだろうな?」
「話しなよ。別に笑ったりしないし、怒ったりもしないからさ。俺たち家族だろ?」
「ああ、きっかけは………」
オルガは語り始める自分が見た夢の話を。
「おうビスケット」
雪之丞に呼び止められたビスケットはふと足を止める。
「えっ?ああ……まだやってたんですか?」
「タービンズのエーコって子に言われてな。地上戦闘用のサスペンションをいじってんだ。俺が役に立てんのはこれくらいしかねぇしなぁ。どうかしたか?」
雪之丞はビスケットの変化にとっさに気が付いた。
「いえ……ちょっとオルガとぶつかっちゃって……」
ビスケットは先ほどの会話を雪之丞に直に話した。
「いつまでもそんなにうまくいくかどうか……もっと穏やかな道を選んで行くことだってできるはずなのに……」
「そうかもしれねぇ。けどそうじゃねぇかもしれねぇ。先の事なんて誰にも分らねぇよ。オルガだってビクビクしながら前に進んでんだ。勘違いするんじゃねぇぞ。鉄華団はただのラッキーだけでここまでやってこれたんじゃねぇ。オルガがいて、みんながいて、そしておめぇがいたからだ。それともおめぇはいままでオルガが一人で走ってるつもりだったのか?思い出してみろよ。オルガがいの一番に頼ってたのは誰だ?」
「えっ?」
ビスケットはふと言われた言葉で思い出してみる。
『力を貸してくれ!ビスケット』
それを思い出した途端ビスケットは涙を軽く流した。雪之丞さんはビスケットの帽子を取り、頭をなでる。
「どうだ?」
「俺……ちゃんと謝らなきゃ………。オルガに……ひどい……ことを……」
「ああ、謝れ。そんでよ、ちゃんと話してみろ。いつもそうやってきたじゃねぇか」
ビスケットは黙ってうなずき、雪之丞はビスケットに 帽子をかぶせてやる。
「………なるほどね夢で兄さんが死ぬか……」
サブレはオルガからビスケットが死んでしまう夢を見たこと、そしてここ数時間で何度もデジャブをみていたこと、そしてビスケットが死んでしまうことが分かってしまったことを素直に話した。
「あいつがさ……生きててくれりゃ俺はそれでいいんだ。あいつが死ぬぐらいなら……」
「でもさ、オルガは本当にそれで満足?オルガは兄さんがそばからいなくなってしまうことが。違うよね?ほんとうはオルガは兄さんとこれからも歩いて行きたいんだろ?」
「でもよ!俺が前に歩くことであいつが死んじまうんなら俺は……」
「それはオルガが一人で歩いたらの話でしょ?だったら二人でちゃんと話しなよ。今までだってそうやってきたんじゃない?俺にはよくわからないけどさ。オルガがいの一番に頼ったのは兄さんだったんじゃない?違う?」
「………そうだな。いつのまにか俺一人で走ってるつもりだった。そうだよな、俺たち二人で走ってきたんだ」
「………謝りなよ。そして、今度は二人で話し合えばいい。まあ、兄さんに反抗させるようなことを言った俺の責任だけどさ。だけど、オルガも悪いんだから、謝ってそして今度は兄さんに話せばいい、そして二人で見つけるんだ。兄さんが死なない方法を」
「ああ……サンキュな」
ビスケットは一人暗い中歩いていると反対側から一人の影が近づいてくる。それが少しづつ大きくなるとそれが三日月だとはっきり理解できる。三日月はビスケットの表情から何かあったのだとすぐに気が付いた。
「何かあった?」
「えっ?ああ、オルガと……その……喧嘩しちゃって」
どこか申し訳なさそうにしながらビスケットは頭をかくと、三日月は表情を暗くさせる。
「俺……喧嘩は嫌だな」
「え?」
「俺オルガとビスケットが喧嘩するのは本当に嫌だ。なんか、シノやユージンがする喧嘩とは違って、こう………うまく言えないけど………なんか嫌だな」
「………俺もそう思ってたとこ。今から謝りに行こうかなって」
そんな話をしていると、建物の方からオルガとサブレが出てきた。
「ミカ、ビスケットこんなところにいたのか」
「オルガ」
二人の視界があい、どこか気まずそうな雰囲気が流れる中、サブレが気を遣う。
「砂浜の方に行ってきなよ」
「ああ、そうだな」
オルガとビスケットが海岸の方に消えるのを二人で見届けると、三日月が話を切り出した。
「何かあったの?オルガ」
「聞く?オルガの話」
三日月が黙ってうなずき、サブレは語り始める。
オルガの夢の話を———
二人で砂浜にたどり着くが、どちらも会話の始まりを切り出せずにいると、二人が同時に切り出した。
「ごめん!オルガ」
「すまねぇ!ビスケット」
二人は同時に「えっ?」という声をあげると、同時に顔をあげ視界が合う。そして、二人は全く同時に笑い始める。
二人は馬鹿らしく思い始めた。あんなに悩んで、喧嘩していたことがこんなにも簡単に済むのだと、そして自分たちは同じことを考えていたのだということにようやく気が付いた。
オルガもビスケットも砂浜にしりもちをつくと、呼吸を整えた。
「本当にすまねぇなビスケット」
「謝るのはこっちのセリフだよ。オルガに一人で背負わせてた。そのつもりでいた」
「俺だってお前がいるのに一人で走ってるつもりでいた。でもよ、サブレに言われたよ、そして気が付いた。俺はお前と一緒に走ってたんだな」
「そうだね。なのに、俺は……」
ビスケットがふと黙ると、オルガは語り始めた。彼の夢の話を———
「俺夢を見たんだ、お前が死ぬ夢。最初は夢だってそう思ってた。でも、この島に来てからはそれがデジャブのように感じた。そして分かったんだ。お前が死ぬんだって。でもさ、それは俺が一人で抱え込もうとしたからなんだって気が付いたんだよ。夢の俺は何でもかんでも一人で抱えこもうとしていた。だからお前を失ったんだ。だったらよ!俺はお前と話し合いながら進んでいけばいいだけなんだよな」
オルガは立ち上がりビスケットを見下ろす。
「お前と一緒に………」
ビスケットに手を差し出すと、ビスケットはそれを受け止め同じように立ち上がる。
「そうだね!俺たちで一緒に進んでいこう。……だったら一つ俺から約束があるんだ」
「聞くよ。お前との約束だ」
「たしかに俺たちは子供だ。だからオルガの焦る気持ちもわかる。でも、それでいいんだよ。俺たちはまだ学ぶ側の人間だ。マクマードさんやノブリス・ゴルドンのような人たちとは対等には戦えない。だったら、その人たちから少しづつ学んでいけばいいんだよ。そしたら十年、二十年先に俺たちだってあの人たちと並んで歩ける。だから焦らないでほしいんだ。もし、焦りそうになったら俺も力になるよ」
ビスケットのそんな言葉にオルガ何よりも救われた。十年、二十年先を一緒にっと———
「そうだな。お前との約束だ。必ず守る。約束する。だから一緒に帰ろう!」
「ああ。オルガ、俺たちで鉄華団を支えていこう!俺たちで一緒に!」
オルガはその言葉に涙が出そうになった。その言葉は夢でビスケットが自分に言おうとしていた言葉かもしれなかったからだ。オルガは涙をこらえ、笑顔で返す。
「ああ!俺たちで一緒に!」
二人のかわされる握手はどこまでも固く結ばれた。
どうだってしょうか?十年、二十年先をちゃんと考えることができたらオルガもテレビのような事態になっていないのかな?と思い、今回のビスケットの言葉が思い浮かびました。次回はいよいよ島での攻防戦になります。
次回は『別の未来へ』です!お楽しみに!