三百年の眠りより目覚めたモビルアーマー、イオクの行動により行動を開始したハシュマルはビームを空高く打ち上げる。
マクギリスはイオクの乗るモビルスーツに向かい自分の感情を向ける。
「バカが……目覚めさせてしまったのか」
「な……何なんだこれは?」
イオクは何が起きたのか全く理解できずにいると、三日月の目はまっすぐハシュマルの網に向き、その姿に魅せられていた。ハシュマルは一気にイオクとの距離を詰めると、イオクが反応するのが完全に遅れる中空高く打ち上げた。
「えっ?」
「イオク様!ぐわぁ~!」
イオクに攻撃する傍ら同時にイオクの部下のモビルスーツに対してテイルブレードで潰した。イオクは中破した機体を何とか起こし、目の前にあるモビルアーマーに脅威を感じてしまった。
「あ……あれが………モビルアーマー」
イオク達が太刀打ちできずにいると、マクギリスはオルガに対して提案を出す。
「今のうちに離脱しよう」
しかし、そんなマクギリスの提案に対してオルガはあくまでもここに残ることを提案した。
「待ってくれ。このままじゃ採掘場がめちゃくちゃになっちまう。今本部に応援を呼んだ。到着すれば……」
「無駄だ、あれはそんな生易しい代物ではない」
マクギリス達が話をする間にハシュマルはテイルブレードで薙ぎ払う。応援が来ても無駄だという言葉をハシュマルは眼前で示していた。
「こういう事態を避けるために慎重に事を運んだというのに……イオク・クジャン………愚かにも程がある」
イオクはそんなマクギリスの言葉など知る由もなく、無謀にもハシュマルに挑もうとしていた。
「何がモビルアーマーだ。所詮は三百年前の遺物!恐るるに足らず!」
前に出て戦おうとするイオクに対し、部下はイオクを守ろうとハシュマルに攻撃を加える。
「イオク様迂闊です!ここは一旦下がって陣形を……」
しかし、部下の攻撃など意味をなさず、大きな砂煙を上げイオクの目の前から姿を消すと、一瞬でイオクの後ろに回った。そして攻撃を加えようとテイルブレードが伸びると、部下の一人がイオクを庇う。
「イオク様!」
テイルブレードの攻撃はイオクの部下に直撃する一緒にイオクも吹き飛んでしまうが、そんなその場にいた者たちの眼前にプルーマが大量に姿を現す。
「なんだこいつら!?この数は!?」
「ありゃ一体……」
「モビルアーマーのサブユニットだ。プルーマと呼ぶらしい。だがあれほどの数とはな」
大量のプルーマの出現にさすがのマクギリスでも驚きが隠せずにいた。そんな中部下の一人がイオクに対して撤退を進める。
「ここはお退きくださいイオク様!損傷した機体では……」
しかし、イオクはあくまでも戦うつもりでおり、機体を前に進める。
「右は動く!まだやれる!」
「意気込みだけで勝てる相手ではありません!」
「この場は我らが凌ぎます。ですからどうか!」
その場にいる部下の全員がイオクが撤退するまでの時間稼ぎの為にハシュマルに無謀な攻撃を開始する。
「バカな……お前たちを見捨てろというのか!?」
「クジャン家の未来をお考え下さい。イオク様の命はあなた一人のものではないのです!」
「………みんな……すまん!」
イオクは涙を流し、機体のスラスターを最大まで上げ、その場から撤退していく。その間にイオクの部下はプルーマの軍勢の中に消えていった。
「敵は必ず取る!我が名に懸けて……誓うぞ!」
イオクは敵を取ることを誓い、部下たちに守られながらその場から離脱していく。
その間にザックは採掘場の施設を襲撃しているプルーマの軍勢を遠くから確認していた。
「ん?なんだありゃ?」
ラスタルからの連絡を受けたジュリエッタとヴィダールはイオクからの連絡が途絶えたという情報を彼らに伝えた。
「先行したイオク隊からの連絡が途絶えた」
「まさか全滅したのですか?」
ジュリエッタの推測にヴィダールが別の可能性を提示する。
「だとしても全滅と判断するのは早計かもしれない。火星支部はファリド公の支配下だからな。偽情報の可能性もある」
そんなヴィダールの言葉にジュリエッタは心から鬱陶しそうな顔になる。
「まったく……いなくなって静かになったと思ったら更に面倒を引き起こすのですね」
(もしかしたら……彼に会えるかもしれない。今度こそ強さの秘密を……)
ジュリエッタの心にはいまだにサブレの存在が移っていた。
シノ達一番隊は採掘場が見下ろせる場所にいると、採掘場の状況をオルガたちに伝えた。
「団長俺だ。採掘場に到着した。モビルアーマーってのはもういねぇな。探して追うか?」
「いや。先に俺たちと合流してくれ」
オルガはシノたちに即時の合流を告げる。シノはすぐにオルガと合流すると、簡単に説明した。
「採掘場に残ってたのはギャラルホルンの機体だけでした。生存者はゼロ」
ダンテの報告にオルガはさすがに驚きを隠せない。
「そこまで確認できたのか?」
そんなオルガの質問に今度はシノが答えた。
「確認も何も全部のコックピットがすげぇ念入りに潰されてたからよ」
シノの言葉に今度はマクギリスが納得した。
「やはりな。モビルアーマーとはそういうものだからだよ。君はあれをどう見た?三日月・オーガス」
マクギリスは隣に座っていた三日月に対して問うと、三日月はざっくりした感想を述べた。
「すごかったな。すごくきれいだった。地球で見た鳥みたいだ。あれ……ハシュマルっていうんだよね?」
三日月の問いにマクギリスが驚きながら答える。
「……天使の名を持つ人類の厄祭。かつて人類に敵対し当時の人口の四分の一を殺戮したという化け物だ。その名前……どこで聞いた?」
「?別に……聞こえた」
それ以外に答えるつもりのない三日月にあきらめたマクギリスは続けてモビルアーマーの説明を始めた。
「何しろモビルアーマーとはただひたすらに人間を殺すことそれだけに特化したマシンだからな」
シノとダンテは全く理解できておらず、互いに首をかしげる。
「今から三百年前ギャラルホルンの始祖たるアグニカ・カイエルが戦った人類の敵……厄祭戦と呼ばれる人類の災禍はあのモビルアーマー達によってもたらされたものなのだから。モビルアーマー……人類を狩るために天使を真似て造られた悪魔・モビルスーツ。それを操るための阿頼耶識」
マクギリスからの報告が終わると、ビスケットがシノたちに追加報告を聞く。
「他の報告はある?」
「ああ……採掘場の燃料と資材の倉庫がぶっ壊されてた」
「え?でもあそこは人はいなかったよね?」
ビスケットの疑問に今度はザックが先ほどの情報を報告する。
「あっそれ俺も見ましたよ。なんかちっこいのが火事場泥棒みてぇにわらわらと」
その報告にマクギリスは前髪をいじりながら推測を述べる。
「補給か。半永久機関であるエイハブリアクターと違い推進剤やオイルは消耗品だからな」
「定期的に補給を受けなきゃいけないってことなんだ」
マクギリスの推測が終わるとオルガはあくまでもハシュマルを狩ることを提案する。
「なるほど。どんな化け物でも結局奴は機械ってことだ。なら俺達鉄華団にやれねぇわけがねぇ。違うか?」
そんなオルガの力強い言葉に真っ先に三日月が反応する。
「オルガとビスケットがやれって言うならどんな奴でもやってやるよ」
マクギリスもハシュマル討伐に賛成の意見を出す。
「確かにその通りだ。アグニカ・カイエルはモビルアーマーを倒してギャラルホルンを築いたのだからな」
「でも、油断はできないよ」
ビスケットが全員にくぎを刺しておくと、石動はモビルアーマーの情報を手に入れていた。
「准将。今軌道上の新江本部長から連絡が入りました。第三地上基地がモビルアーマーの襲撃を受けたとのことです」
そこは先ほどまでマクギリス達がいた場所だった。
「先ほどまで我々がいた場所だ。あの規模の基地ならかなりの量の補給ができただろうな」
「それから新たにアリアンロッドのハーフビーク級が接近中とのことです」
石動の追加報告を聞いたシノはオルガたちに援護に行くのかどうかを問う。
「で?俺たちはどうする?そこに援護しに行くのか?」
そんなシノの提案にマクギリスがきっぱりと不要だと判断した。
「不要だ。今から行っても間に合うまい。それにあの辺りは見晴らしがいい平地だ。あれを迎え撃つのに適しているとは言えない」
マクギリスの言葉にオルガが反応する。
「迎え撃つ?あんたが?」
「「我々が」だ。協力してくれるだろう?あれを起動させてしまったのは我々ギャラルホルンの失態だともいえる。その責任を取らねばならない。だがそもそもあれを掘り出したのは君達鉄華団だ」
ビスケットはオルガの方を見ると、オルガのやる気に満ちた表情に大きくため息を吐く。
「分かってる。投げ出すつもりはねぇよ。やるしかねぇだろ。おい!この辺りの地形データを持ってこい!」
「ならオルガ、俺はサブレを回収しに宇宙港まで行ってくるよ。近くにアガレスを連れてきて」
ビスケットはモビルワーカーの上に乗り、オルガに頼み込む。
「分かった。任せとけ」
ビスケットはそのままモビルワーカーと共に宇宙港へと移動していくと、マクギリスも覚悟を決める。
「准将……」
「ようやく地固めのできた火星を手放すわけにはいかない。それにイオク・クジャンの言っていた七星勲章。私もほしくなった」
石動は全員の目の前でプルーマとモビルアーマーの関係を説明した。
「モビルアーマーの最も厄介な所はあの無数に引き連れたプルーマと呼ばれている子機達です。あれには攻撃の他にもう一つの重要な本体の修復があります」
マクギリスは同じように説明に口をはさむ。
「直してしまうんだよ、自分たちでな。更に言えば本体にもプルーマの生産機能があって時間と資材さえあればあれは無限に増え続ける」
マクギリスの説明にシノたちは軽く引いてしまう。
「めちゃくちゃだな」
「そうやって無限に人を殺し続けるのさ」
三日月はマクギリス達の説明を聞くと、簡単な作戦を思いついた。
「つまりあれをやるにはおまけとの連携を断てってこと?」
「正解だ」
「修復が済み次第あれは人口密集地を目指すはずです。人間を見つけて殺す。それがモビルアーマーの基本プロトコル……本能とも言えるものですから」
「だから下手に追撃するよりも奴の進路に罠を張り迎え撃つのが得策だろう」
マクギリスが大まかな作戦を立てると、オルガは周辺にある人口密集地を調べる。
「一番近い人口密集地……」
シノが真っ先にどこかを理解した。
「って!そんなのクリュセに決まってんじゃねぇか!」
オルガとマクギリスは互いに分かれて別行動を始めようとしていた。
「俺たちはクリュセに向かうぞ!」
「我々も船からモビルスーツを降ろす、三時間後に合流を」
シノが先に先行するべきではないかと問う。
「俺の流星号はまだ十分動けるぜ。先行して二番隊を待った方がいいんじゃないか?」
「いや。お前には別の仕事がある」
オルガはシノにウィンクを飛ばし、シノにだけ特別な指示を出す。
ジュリエッタとヴィダールはイオク捜索の為に出撃した。
「とりあえずイオク様達の降下地点周辺から捜索を開始します」
「二手に分かれよう。その方が効率がいい」
そのまま両機とも大気圏を突破していく。
三日月はクーデリアのもとに訪れると、アトラやクッキーとクラッカに退避するようにと伝える。
「確かに開拓当初に作られたシェルターがあったはずです。でもあれはとてもこの町の全員を収容できる広さは……」
「どうすんの?」
三日月の問いにクーデリアは力強く答える。
「いえ、私は避難しません。そうなれば必ず立場の弱い人々がつまはじきにされます。そういった人達の助けになればと、このバーンスタイン商会を立ち上げたのに真っ先に逃げ出しては、この先誰も信用してくれません。三日月達が命を懸けて戦っているように、私も自分の仕事に命を懸けたいのです」
すると、アトラも決心を固める。
「なら私も逃げない。この町には女将さん達もいるし、クーデリアさんを放っていけないよ。ビスケットとここで待ってる」
「「私たちも!!」」
クッキーとクラッカも同じようにここに残る決意を固めると、三日月は立ち上がる。
「分かった。オルガにはそう伝えるよ」
そういうと三日月はそのまま部屋を出ていく。
サブレは中央宇宙港に到着していた。
「ハッシュ、先にオルガと接触しろ」
ハッシュに向けてそう命令すると、ハッシュは「分かりました」と言ってモビルワーカーに乗ってその場を後にする。ビスケットが来るのを待っていると、ビスケットがモビルワーカーの上に乗って姿を現したと同時にアガレスがさらに後方から現れる。
「サブレ!急いで!」
「分かってるよ………たく、こうなりたくなくてオルガに説明したのに」
「文句を言っている場合じゃないよ!」
サブレとビスケットはそのまま機体に乗り込むとアガレスを起動させた。
オルガたちはクリュセの前で臨時作戦本部を作って作戦を練っていると、三日月がクーデリア達のところから戻ってくる。
「何?避難しないだと?」
クーデリア達の決意を素直にオルガに問うと、オルガは説得を諦め作戦に集中することにした。そんな中、三日月はオルガに作戦内容を聞いた。
「ハシュマルの迎撃ポイントは決まったの?」
「ああ。クリュセを狙うなら必ずここを通るはずだ。この谷で奴を迎え撃つ」
すると、後ろから団員がバルバトスを運び込んだと叫んだ。
「三日月さん!バルバトスルプスきました!」
三日月はまっすぐバルバトスの方へと歩き出す。
「止めるよ。ここに来る前に」
「頼んだぜ。ミカ」
三日月がバルバトスに乗り込むと、オルガの後ろからメリビットが話しかける。
「団長どうぞ」
メリビットはオルガに上着を渡すと、オルガそれを受け取る。
宇宙港ではマクギリスと石動の目の前に二つのモビルスーツが用意されていた。そのうちの一機はグリムゲルデを改修した機体だった。
「やれやれ……まさかこんな所で使うことになるとはな。ヘルヴィーゲ・リンカー。グリムゲルデを改修した機体だ。今の立場にある私には使うことのかなわない機体。使いこなして見せろ」
その場所より離れたところでヤマギとエーコは宇宙港の作業員と共にテイワズから持ってきたフラウロスを下していた。そんなヤマギたちの目は二機のモビルスーツの方を向いていた。
「なんでこんな民間宇宙港に……」
作業員はヤマギ達の積み荷にも怪しんでいた。
「あんたらの積み荷も十分物騒ですよ。まさか戦争でも始めるんじゃないでしょうね?」
昭弘たち二番隊は先行してハシュマルの様子を確認していた。
「近づきすぎんなよ。リアクターを感知されたら一発だからな」
そんな昭弘とは別に昌弘はハシュマルの速度が遅いことに気が付く。
「でも、意外と遅いな」
「あのおまけの歩調に合わせてんのか?本部にこのデータを送れ。いいぞ。これなら作戦の準備に余裕ができる……」
昭弘がデータを送るように指示を出すと、どこから攻撃されたのか、ハシュマルに攻撃が当たる。さすがの二番隊に動揺が走ると、ライドが驚きを口にする。
「なっ!?モビルアーマーの進路が!」
ハシュマルの進路が大きく変わる。ハシュマルに攻撃を加えたのはイオクだった。
「くそっ!一体どこのバカ野郎だよ!」
昭弘達はすぐに状況をオルガたちに伝える。
「見たか!正義の一撃!」
イオクはあくまでも倒したと確信する。
オルガのもとにメリビットさんが二番隊から仕入れた情報をそのまま伝える。
「モビルアーマーの進路が変わったそうです!南東から何者かの砲撃を受けその方向に
移動を開始したと!」
オルガは手元の地図を確認すると、ハシュマルの進路方向にある施設を確認する。
「南東だと?まさか……農業プラントがありやがる」
ハシュマルの急な進路変更に二番隊のライドが真っ先に動いた。
「ライド!」
「俺が先回りしてそこの連中を逃がします!」
その間に三日月はバルバトスを起動させ、そのまま立ち上がる。
「進路が変わった?」
そこにようやく追いついたハッシュが獅電に乗り込み、先ほどの進路変更の情報を三日月に伝える。
「らしいです。今は二番隊が対応してますけど……」
「バルバトス。出るよ」
三日月はそれだけを聞くとそのまま飛び出していく。さすがにハッシュがその行動に驚く。
「えっ!?団長に連絡しなくていいんですか?」
「ほっとけ。サブレがいない以上、三日月を止められる人間はいねぇよ」
しかし、そんな中イオクは達成感と共にあった。
「やった……やってやったぞ!これで手向けになるか?お前たちの忠義のおかげであのモビルアーマーに一矢報いることができた……」
そんなイオクの前にジュリエッタが降り立った。
「今の砲撃はあなたですか?イオク様」
やってきたジュリエッタにイオクはいかに自分がすごいことをしたのか説明する。
「ジュリエッタ!?どうだ見たか!奴に報いてやった!」
しかし、ジュリエッタはそんなイオクを見下すような目で見る。
「バカですかあなたは。あの距離ではかすり傷もつきません」
「なん……だと……?レギンレイズの最高出力だぞ!」
イオクは言葉を失った。
「その程度でなんとかなるならモビルアーマーが最強の兵器などと呼ばれたりしません。何をするんですか?」
イオクはコックピットの中に戻っていく。
「止めるな!部下達は命を賭して俺にチャンスをくれたのだ。その敵を取れずにおめおめ戻るなどと!」
「いいから!もうあなたはおとなしくしていてください!」
ジュリエッタの怒鳴り声もイオクには通じず、イオクはそのままハシュマルの方に向かって移動を始める。
「ライドを援護すんぞ!ケツをたたいてこっちに注意をひきつけろ!」
二番隊の決死の攻撃もハシュマルは全く意味をなさずまっすぐに農業プラントに向かっていく。三日月も農業プラントに急ぐ。
「ミカ!」
急ぐ三日月の前にオルガから通信がくる。
「聞こえてる」
「今更迎撃ポイントは変えられねぇ。なんとか凌いで奴の進路を引き戻してくれ」
「分かった。サブレは?」
「そっちに向かっているはずだが……」
「くそ!完全にこっちを無視してやがる!」
二番隊の決死の攻撃もハシュマルの進路を変更するまでには至らなかった。チャドも文句をつぶやきながら攻撃を加える。そんな中昭弘もぼやく。
「人間の多い方に向かってるってことか!」
ハシュマルは農業プラントにいる人々を捉えると、口を開け、ビームを放出する準備に入った。そんなハシュマルと農業プラントの間にライドが割って入る。
「させるかよ!……へっ!?」
ライドの獅電にビームが直撃すると、ビームはナノラミネートアーマーの性質上、ビームを拡散させながら農業プラントに直撃した。その攻撃にチャドが驚く。
「あれはまさかビーム兵器!?」
昭弘も驚きを隠せずにいる。
「んだそりゃ!?ライドは無事なのか!?」
「大昔の兵器だよ。モビルスーツのナノラミネートアーマーなら大丈夫だと思うが……」
チャドの予想通り、ライドは無事だった。
「な……なんだってんだ?今の攻撃……えっ?」
ライドが後ろを振り向くと、農業プラントが火の海に包まれていた。ライドは絶句してしまう。
「そんな……俺……守ろうと………うわぁ~!!」
ライドはプルーマに攻撃を仕掛けるが、プルーマは大量にライドの獅電を取り囲む。
「くそっ!くそっくそっくそっくそっくそっ!なんなんだよお前!なんで今更出てくるんだよ!ずっと埋まってろよ!バカ野郎!」
あっという間にプルーマは獅電を取り囲み、プルーマの大群の中に獅電は沈んでいく。ライドの目の前のモニターにプルーマの姿しか映らないと、ライドは絶望に包まれる。しかし、突然プルーマ達がライドから引きはがされる。
「な……なんだこれ!?」
そんなライドの前の前にバルバトスが立ちふさがる。
「生きてる?」
「三日月さん!」
アガレスも進路変更を聞き、農業プラントへと進路を変更するが、サブレはアガレスの移動を止める。
「どうしたの?」
「……いい加減限界だ………出て来い!宇宙港から俺たちを付けてきてるだろ!」
サブレの怒鳴り声と共にゼパルが姿を現す。ビスケットはさすがに驚く。
「いつの間に……」
「つけてたんだ。兄さんを……」
イラクはにやりと笑い、サブレは不機嫌そうに睨む。
「賢いガキは嫌いだな……」
「あんた……誰だ?」
そんなサブレの問いにイラクは軽く笑いながら答えた。
「そう聞いてくるということはすでに理解できてるんだろ?俺は厄祭戦時代の人間だよ」
「そ、そんなこと……ありえない!ありえませんよ!」
ビスケットは動揺しながら叫ぶが、サブレは冷静になる。
「マーズ・マセから聞いてはいたんだ……それも阿頼耶識の研究の成果というわけだ」
「え?どういうこと?」
ビスケットだけがまるで理解できずにいると、イラクが代わりに答える。
「簡単だよ。阿頼耶識を使って肉体を変えながら俺は生きてきたんだ……」
「じゃあ……サルガっていうのは……」
「俺が最初に乗っ取った人間の名前だ……まあ、昔の人間だがな……」
「乗っ取った人間は……どうなるんですか?」
ビスケットの問いにイラクは悪い表情を浮かべる。
「消えるさ……自我は約一か月を懸けて完全に消えてしまう」
サブレはアガレスの武器を構え、そのまま交戦のかまえを取る。
マクギリス達も移動しながら進路変更の情報を手に入れた。
「予定外の進路変更か。やはり物事はこちらの思惑通りには進まないものだな」
「それにしてはどこか楽しげにも聞こえますが?」
石動はマクギリスの楽しそうな表情になっていると理解する。
「そうか?だがやはり気持ちのいいものではないな。予想外の駒の動きは盤面を乱す……」
そんなマクギリス達の前にヴィダールが姿を現す。
「エイハブウェーブ!IFFを確認。これはギャラルホルンの機体コード!?しかしあれは……」
「ガンダムフレーム」
マクギリスとヴィダールは出会ってしまった。
どうだってでしょうか?今のところは大きな変化はありません。次ではいよいよイラクの目的の一つが判明します。いずれはイラクとマクギリスの出会いの話をどこかでしようと考えています。今回の活躍が少なかった分、次回ではサブレがだいぶ活躍します。
次回のタイトルは『クリュセ防衛戦』です。楽しみに!