機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 別   作:グランクラン

30 / 44
いよいよタービンズ戦です。サブレ回の本領発揮です。サブレの見たことのない一面に期待を。それと今回はサブレの一人称視点と三人称視点の二つの書き方をしています。


燃ゆる太陽に照らされて

 小さな頃俺サブレ・グリフォンは学校帰りの帰り道で兄であるビスケット・グリフォンがいじめられている現場を見つけてしまった。俺はいじめられていた同い年の子供を殺そうとした。兄が涙を流し、おびえながらも俺の腰にしがみついて俺を止めたとき、俺は自分が人を殺そうとしていたことに気が付いた。俺が殴りつけた子供は顔が原型をとどめないほどに腫れていた。俺はそんな光景を目にしても心が動かなかった。後になってマーズ・マセに言われた。

『お前は……化け物だ』

 

 マーズ・マセはノブリスの事務所から少し離れた大通りで一人煙草を吸っていた。サブレはどこか面白くなさそうな顔をしながら近づいてくる。

「どうした?面白くなさそうな顔だな?」

「なんで俺なわけ?俺じゃなくてもよくない?」

「………変わったな。昔のお前なら文句を言うどころか、顔色一つ変えずに人を殺したろ?まあ、それを確認したかっただけだが……」

 マーズ・マセがその場を去ろうとすると、サブレは食い気味に駆け寄る。マーズ・マセはそんなサブレに告げる。

「サブレ……見届けろ。一人の女と男の生きざまを。お前にはその義務がある」

 サブレはその言葉を聞くとそのまま駆け出していく。副リーダーの男が車で駆け寄ると、マーズ・マセはそのまま車に乗り込む。

「変わりましたか?あの子は?」

 副リーダーがそう尋ねるとマーズ・マセはたばこを外に捨て答える。

「あいつに初めて会ったあの時の事を俺はよく覚えている。俺はあいつが化け物だと感じた。人を殺すことに顔色一つ変えず、命令さえあればだれでも殺す。ゆえに『死神』と俺は名付けた」

「そうですね。私もそう思いました。あの子は多分心が無い。誰かを想うことも……好きになることさえない。けど……」

「ああ。あいつはジュリエッタに会い、変わった。いや……鉄華団に入ってに変えるべきか。あいつらには感謝せねばな。俺があきらめていたことをあいつらは成し遂げた。いや……あいつに必要だったのは年の近い仲間だったのかもしれないな。今から思えば……俺がやってきたことは全部失敗ばかりだ。妻を失い……娘を失い、サブレに何も与えてやれなかった」

 副リーダーは珍しく微笑むと一言フォローを告げる。

「これからすべてを取り戻せますよ」

「いや……失うさ……友を」

 

「ですが!」

 クーデリアがマクマードに食い気味に立ち上がるが、マクマードは意見を変えない。

「タービンズはギャラルホルンから違法組織と認定された。手助けなどしようもんなら巻き添えくらって潰されるのがオチだ。お前らにはこの後の作戦があるんだぞ、お前らの行動にテイワズの未来がかかってるんだぞ。オルガ・イツカにもそう言っとけ!」

 決して譲らないマクマードに三日月が代わりに答える。

「分かった。言っとく」

 三日月の淡白な答えにクーデリアがショックを受ける。マクマードも三日月があっさり引き下がる姿に疑問を持つ。

「やけにあっさり引き下がるじゃねぇか」

「目を見れば分かるよ。あんたはてこでも動かない」

 三日月たちが屋敷から出ていくと、マクマードは名瀬と通信で話をする。

「所帯がでかくなればあちこちに綻びが出るのは必然よ。それがギャラルホルンだろうがテイワズだろうが……で、どうしてほしい」

 マクマードが名瀬に尋ねる。

「おやじ。盃を返させてくれ。タービンズを解散する。そのうえでダメな息子の最後の頼み……」

「女どもの面倒を見ろってんだろ?俺の直轄組織に入れるよう手配してやる」

 名瀬は深く頭を下げる。

「恩に着ます」

「今までお前のわがままをどんだけ聞いてきたと思ってんだ」

「これが最後です」

 名瀬は最後だと決め決意を固める。

 

 オルガは壁を思いっきり叩く。

「くそっ!名瀬の兄貴がハメられたことは分かってんのにおやじは知らぬ存ぜぬを決め込みやがった!」

 イライラするオルガをメリビットが諫める。

「団長。今動けばタービンズ同様鉄華団も違法組織と認定されます。名瀬さんもそれがよく分かっているから団長に動くなと命じたのでしょう」

「分かってるよんなこたぁ!でも俺は兄貴を……」

 それでも助けたいオルガだが、それでもメリビットが引き留める。

「鉄華団を潰す気ですか?」

「それでも……なんとかしてぇと思っちゃいけねぇのかよ俺は……」

 団長室にシノと昭弘が入ってくる。

「らしくねぇなぁオルガ」

「タービンズはどこにいる?」

 シノや昭弘はタービンズの現居場所を尋ねるとメリビットが答える。

「アリアドネの航路外にある中継基地です」

「俺の流星隊と昭弘の筋肉隊で脱出した非戦闘員を保護しに行く」

 シノの言葉に昭弘が反応した。

「おいシノ筋肉隊ってのはなんだ?」

「二番隊なんてださい名前じゃあかっこつかねぇだろ」

 二人が言い争いをしていると、メリビットが口をはさむ。

「二人ともわかってるの!?今鉄華団が動くということは……」

「直接やり合わなきゃいいんだろ?」

「民間人を助けるだけだ」

「俺の流星号と昭弘のグシオン、ライドの雷電号が先行する。流星号と雷電号はロケットブースター付きのクタンで運ぶ。グシオンには新型の追加ブースターパックを装備。もうヤマギ達に作業を進めさせてる。俺達が中継基地付近でモビルスーツの運用テストを行っている途中避難してきたタービンズの非戦闘員を救うってシナリオだ。それなら名瀬の兄貴に背いたことにはならねぇだろ?」

 シノと昭弘にオルガが頭を下げる。

「シノ……昭弘……兄貴を頼む!」

 

「軌道計算はこっちでやっといたからできるだけクタンの操縦系には触んないで」

 シノと昭弘とライドは出撃するために機体に乗り込み、出撃する。

「四代目流星号、ノルバ・シノ!」

「雷電号、ライド・マッス!」

「ガンダム・グシオンリベイクフルシティ、昭弘・アルトランド出る!」

 三人が飛び出た後、フォートレスの旗艦でサブレ用の獅電がブースター付きの強化外装である『シラヌイ』で出撃しようとしていた。

「これがシラヌイ?」

 元ファントムエイジの整備長が機体回りの整備を完全にしていた。サブレはそんな整備長と話をしていた。

「ああ、シラヌイ。強化外装って言ってな、遠くへ移動するだけではなく、その場でそのまま戦闘できるように出来てる……なんか変わったな」

「そうですか?」

「ああ、表情が豊かになったというか……何があったのか?」

 サブレが少し考えて答える。

「楽しかったし……何でだろう」

「サブレさん!整備終わりました!」

「へぇ~い」

 サブレはそのまま機体に乗り込む。整備長は不思議そうな顔をする。

「ほんとに変わったな……楽しいなんて言葉……あいつから聞けるとは思わなかったが……」

「サブレ・グリフォン!獅電改シラヌイ!出る!」

 そのまま出撃していく。

 

 ハンマーヘッドは中継基地で撤退作業が着実に進んでいく。名瀬はブリッジにいるメンバーに告げる。

「もうここは俺だけでいい。お前らも早く輸送船に行け」

 名瀬の言葉にエーコが驚く。

「俺だけって……ダーリン一人でハンマーヘッドを動かす気?」

「いざって時に敵艦隊への囮として使うだけだよ」

 すると一人の女性がブリッジ内で叫ぶ。

「基地周辺のレーザー通信S7がロスト。S4.S8もです。まっすぐこっちへ向かってくる……」

 

「目標の小惑星を肉眼で補足」

 オペレーターが目標を捉えたと報告を上げるとイオクは艦長席に座って待機する。

「よ~しモビルスーツ隊を発進させよ!ダインスレイブ隊は艦隊後方で待機!」

 大量のモビルスーツを展開させるイオクにジュリエッタは呆れたような顔をする。

「小物相手にこれほどの戦力を投入するのですか?」

「どんな相手であろうが全力を尽くす。クジャン家の家訓だよ」

「ご立派で」

『いつまで付き合わなくてはいけないんでしょうか?』

 

「アリアンロッドが来たって?」

「私達が牽制に出る!」

 ラフタとアジーがブリッジから出て出撃し、牽制に行こうとするがそれを名瀬が止める。

「奴らの相手は俺がする。アリアンロッドが来るまで多少の時間がある。お前らが安全圏まで離脱したのを見届けたら俺も尻尾を巻くさ」

 名瀬がそういうと今度はアミダだけが付いていこうとする。

「とはいえあんた一人じゃ危なっかしすぎてみてらんないよ。私が護衛につく。ラフタ、アジー。あんたらは家族を守るんだ。モビルスーツは足は速いが携帯火器じゃ船の装甲は抜けない。慌てずに避難できるよう誘導してあげな」

 アジーはそんなアミダと名瀬の意図を知りながらも反論できない自分に歯噛みするしかなかった。

 二人がそのまま出撃し、辟邪で船の後方につこうとする中、アジーがラフタに言葉を向ける。

「輸送船の後方につくよ……ラフタ?」

 答えないラフタにアジーが心配するが、ラフタが涙を拭き前を向く。

「大丈夫……私が家族を守る。絶対に守って見せるから!」

 名瀬は遠ざかっていく船を見つめるなか上着を脱ぎ、操縦席につく。

「いい子だ。そのまま進め。まっすぐに。出るぞ。アミダ」

 アミダはそのままハンマーヘッドの前に出る。

「しかし女ってのはなんでこう男の嘘が見抜けるかねぇ。男も男さ。すぐ分かる嘘をつく」

「ならなんで女は男に騙される?」

「そりゃ本気で惚れてないからさ。あんた一人で罪を背負うつもりだろ?けどあんた一人じゃモビルスーツに囲まれてタコ殴りに合うのがオチさ。露払いは私がする」

「何もかもお見通しか。惚れられてるねぇ俺は」

 ハンマーヘッドと共に前に進んでいく。最後の戦いへと向けて。

 

「打って出るとはな。その行為には敬意を表しよう。モビルスーツ隊を前に出せ!」

「モビルスーツ隊から通信。敵強襲艦の信号弾を確認。停戦要請です!」

 オペレーターがモビルスーツ隊からの連絡を告げる。

「ふん!モビルスーツ隊からそのような報告があったようだが誰が敵艦からの停戦信号を確認したものはいるか!?」

「……いえ!誰も見ておりません!」

「ふふっ……つまりそういうことだ!」

『お父様から一連の会話を録音しておけと言われましたけど……こういうことでしたか』

「ダインスレイブ隊を艦隊前面に展開。扇状の陣形をとらせろ!ダインスレイブ隊、放て!」

 ダインスレイブ隊が放つ弾頭はアジー達が護衛してた輸送船に直撃する。

「攻撃!?どこから!?」

「なんてこと……輸送船が!」

 どこから飛んできた攻撃か全くわからないアジー達は驚きを隠せない。名瀬は輸送船に向けられた攻撃から輸送船を守るためにさらに前に出る。

「輸送船とはいえ船のナノラミネートアーマーを軽々と……まさか例の兵器を使ったのか?ったくコケにしてくれるぜ。お前ら相手の射程外まで逃げろ!」

 輸送船が逃げるために船を移動させるのを確認したイオクはダインスレイブ隊に次弾を装填させる。

「逃がすわけないだろ。ダインスレイヴ隊次弾装填急げ!」

 アミダが次弾を装填するのを確認すると名瀬に告げる。

「第二射が来る。スモークを!」

 スモークを放つが意味がなく、ダインスレイヴが再び輸送船にあたる。イオクを心配する部下の一人が尋ねる。

「イオク様。ブリッジを戦闘態勢に移行させなくてよろしいのですか?」

 そんな心配など知る由もないイオクは自信満々に答える。

「ああ、よろしいとも。奴らに王者の貫禄というものを見せつけてやろうではないか」

 ジュリエッタはため息を吐き出撃しようとする。

「イオク様。ジュリアで出ます」

「結構。行ってくれ。活躍の機会はもうないだろうがな」

 身を振り返りそのまま機体に乗り込むジュリエッタは新型機で出撃する。

 

「支えるよラフタ」

「あれは!ハンマーヘッドが……ダーリン!」

 ハンマーヘッドがそのままスモークの先に突っ込んでいくのをラフタ達が見届ける。

「弾幕張るよ!」

「釣られるな。他のみんなもだよ!」

 アジーとラフタが機体を走らせるとギャラルホルンのモビルスーツが散開する。

「脱出艇を庇う気か。散開して撃破せよ!」

「敵の数が多い。このままじゃ……」

 敵の数の多さにタービンズのメンバーが泣き言を言うとラフタがそのままモビルスーツをゼロ距離射撃で撃墜する。

「タービンズに泣き言なんて!」

 名瀬はラフタ達が苦戦しているのを確認すると、アミダに救援に向かうようにと告げる。

「アミダ!ラフタ達の救援に行ってくれ!」

「分かった!」

 そういってひるがえすとアミダの前にジュリエッタがぶつかってくる。

「この出力……アリアンロッドの新型?」

「一合で分かる。強い相手と!」

 アミダとジュリエッタがぶつかり合う中、また一隻落ちてしまう。

「船が!」

「今は逃げることだけを考えて!」

「あいつらランチを標的にしてる!」

「これがギャラルホルンのやり方か!!」

 ギャラルホルンの非道なやり方にラフタは怒りを覚えかける。

「よくもー!!」

 ライフルから弾を放とうとするが、弾切れを起こす。

「弾切れ!?もう?」

 弾切れした辟邪にギャラルホルンのモビルスーツが近づいてくる。ラフタの目の前で武器を振り下ろそうとするモビルスーツにグシオンの一撃が入る。

「昭弘!どうしてここに……」

「理由が必要か?行け。俺たちが時間を稼ぐ!」

 昭弘がラフタを守っている間にシノとライドも到着した。ライドの一撃がモビルスーツに叩き付けられる。

「やるようになった!」

「師匠の教えの賜物ですよ!」

「こっちはいい。家族を守れ!」

 昭弘がラフタに守るようにと告げる。

「けど!」

「俺に背中を預けろ!」

「……昭弘!今度会ったらギュ~ってしてやるから覚えとけよ!」

「なんで絞められなきゃなんねぇんだ……」

 勘違いしている昭弘にラフタが去っていくと、ギャラルホルンのモビルスーツの一機を黒い獅電が薙ぎ払い、そしてそのままハンマーヘッドに向けて走っていく。

「さっきのモビルスーツってサブレ?」

「なんでここに?」

 シノとライドが驚きを隠せずにいると、そのままアミダの方に向かっていく。

 名瀬はどこか嬉しそうな表情になる。

「オルガの奴……何もすんなっつったのに……」

「見えるよ。あんたのにやけ面がね」

「よそ見なんて!」

 ジュリエッタが動きの止まったアミダの機体に攻撃を加えようとするが、それを邪魔するようにサブレの獅電が剣を振り下ろす。ジュリエッタはそのままジュリアンソードで受け止める。しかし、そのまま獅電は蹴り飛ばす。

「ここは俺が抑えます!アミダさんは名瀬さんの援護に!」

「すまないね」

「あなたは!」

 サブレの機体にジュリエッタのジュリアがぶつかってくると、サブレに聞きなれた声が聞こえてくる。

「ジュリエッタか!?」

「その声……サブレ!?」

 その途端サブレの感情が揺さぶられる。ジュリアの連撃を獅電で捌く。

「攻撃を捌きますか!やはりやりますね」

「………なんで?どうしてこんなに……」

 サブレは戦いの中で己の感情を揺さぶられようとしていた。

 

 ガランと戦っていた時、初めてイライラしながら戦っていた。戦う時は決して感情が動かず、命じられた命令に従って殺すだけ。それが俺だった。なのに……どうして彼女と……ジュリエッタと戦ってから何かがおかしくなってきた。ガランやイラクと戦う時にイライラしながら戦っていた。あんな奴らに仲間が殺された事に……殺されそうになっているときに不意にそんな状況は嫌だと考えてしまった。心を締め付けられるような気持になった。俺の中に感情が生まれた。そうだ……俺は………人間なんだ。俺は。化け物じゃないんだよ。

 

「分からない……分からない………分からない!!」

 サブレは乱暴に戦う中、サブレの攻撃はジュリエッタを追い詰めていく、ジュリエッタは追い詰められる中、とどめの一撃が入ろうとする。しかし、サブレの攻撃を受け止めるアミダ。さすがのジュリエッタもこの行動に戸惑う中、混乱するサブレにアミダが答えを教えてくれる。

「サブレ……あんた恋をしてしまったんだね。彼女に……」

「俺が……恋を?」

「戦いはその人の本質を写すもんだ」

 サブレが戸惑いを隠せない中、アミダはジュリエッタの方を見る。

「この子の事お願いしてもいいかい?」

 そんなアミダのお願いに驚くジュリエッタは驚きながら逆に問う。

「敵である私に頼むのですか?」

「……あんたもこの子のことが好きなんだろ?」

 アミダの唐突な答えに驚きながらも答える。

「……はい」

 アミダは去り際に二人に告げる。

「大切にしなよ。あんた達にとっての太陽を……そして、見届けな……私たちの戦いを」

 そのまま飛び去っていくアミダにサブレは身動きが取れずにいた。ジュリエッタはスモークで隠れているのをいいことに、あえて戦わずにその場で静観した。

 名瀬はスモークから飛び出ると、降伏信号を発する。

「敵強襲艦、スモークから出ました」

「信号弾確認。降伏信号です!」

「聞けない相談だな。ラスタル様の隣に立つためには非情を貫き通す覚悟が必要とされる。全艦!敵強襲艦を砲撃せよ!」

 イオクの攻撃でハンマーヘッドのあちらこちらから火の手が上がる。名瀬は額を強くぶつけ、頭から血が流れる。アミダは降伏を認めないアリアンロッドに突っ込んでいく。

「降伏すら認めないか……なら相手の頭を潰すだけだ!」

「アミダさん!」

 サブレが向かおうとするのをジュリエッタが邪魔する。

「邪魔するな!」

「駄目です!向かえば生きて帰れません。……お願いです……生きてください」

(名瀬……私らがいなきゃあんたは咲くことすらできない。だったら私は……)

 突っ込んでくるアミダにイオクは戸惑いを隠せずにいた。

「敵モビルスーツなおも本艦に向かって接近中!」

「まさか特攻する気か?ダインスレイヴ隊!」

「ジュリエッタ機の固有周波数が射線上に反応があります」

「あの機体ならかわせる!放て!」

 イオクの命令でダインスレイヴの攻撃がアミダに直撃する。名瀬も驚きを隠せず、サブレとジュリエッタも驚きを隠せない。

「お、お前のところは味方に向けて攻撃をするのか!?」

「イオク様……なんてことを……」

 そんなジュリエッタからの敵意から気が付かないイオクは一人喜んでいた。

「やっ……やった……やったぞ~!」

 アミダは最後の力を振り絞る。

(名瀬……見せてやるよ。とびっきりの輝きを)

 アミダの最後の攻撃がイオクのブリッジにぶつかる。アミダの機体が爆散し、そのまま頭部がサブレの乗る獅電に向かってきた。

「見えたぜアミダ」

(一人じゃ逝かせねぇ。そうだろ?アミダ。女は太陽なのさ。太陽がいつも輝いてなくちゃ男って花はしなびれちまう。いつも笑っていてくれよアミダ。強く激しく華やかに笑っていてくれ。そうすりゃ俺はどんな時だって顔を上げることができる。お前って太陽に照らされりゃあ俺は……)

 ハンマーヘッドに次々とダインスレイヴの攻撃が決まる。イオクは怯えながら艦長席の後ろに隠れる。艦橋に攻撃が決まると名瀬は笑いながら命を落とす。しかし、イオクへの攻撃は直前でそれ、隣の船に落ちていく。

 サブレの獅電にアミダの百錬の頭部が流れてくる。すると、気が付くとアミダと名瀬の声が聞こえてきた。

(生きな……)

(大切にしろよ……お前の太陽を……)

「行ってください……今ならごまかせます。早く!」

 ジュリエッタの言葉でサブレは百錬の頭部を抱えたままその場を去っていく。

 

 タービンズの全員が、ラフタが、アジーが涙を流す中、昭弘は悔しそうに拳を操縦席にたたきつける。シノとライドもやるせない気持ちになる。クーデリアとアトラはそれぞれの愛する人の胸で泣き、三日月はどこか遠くを見つめる。ビスケットもどこか悔しそうな表情になる。オルガも「兄貴……」とつぶやきながら涙を流す。サブレも悔しそうに涙を流した。

「アミダさん……名瀬さん……」

 初めて人の死に涙を流した。




どうだってでしょうか。サブレの意外な一面というか、サブレの過去やサブレが死神と言われた理由がいい気に明かされた回でしたね。
次回は『それぞれの愛』です!よろしく!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。