気がつけば世界は広がっていた。目が突然覚めたかの様に頭の処理が追いつかず、視界に入る暴力的なまでの景色に、僕はただただ思考を停止させられていた。
例えるならばそう、水平線の向こうにかすかに姿を見せる光。ほんの少ししか見えていないのに、その光はどんなものより眩くて、どんなものよりも尊く感じた。
世界の始まり、そんな神話的状況を彷彿とさせる光景が、僕の前には広がっていた。
ようやく現状を受け止め始めた僕は、自分がそれに近づいていることに気がついた。そう、あの光に僕が向かっているんだ。不思議とそのことに恐怖は無かった。僕にはそれがやるべきことなのだ、という根拠のない使命感さえあった。
眼に映る光がどんどん大きくなっていく。光は日の出のようにその全貌を少しずつ見せ、それに比例して視界を覆う割合が増えていく。
ーーーーーーーーーーそして、遂に、
光しか見えなくなった。
ーーーーーーーーーー瞬間 とてつもなく強い衝撃が僕を襲う。そして間髪入れず襲いかかる強烈な痛み。身体を削られ、バラバラになりそうだ。そうだ、これは熱さだ。この痛みは熱によってくるものだ。
それに気が付いた僕は、今自身が堕ちているいることも理解する。そう、堕ちているのだ。ーーーーまるで隕石のように。
痛い、熱い、痛い、熱い。熱い、痛い、熱い、痛い。思考はそれしか言葉を紡ぐことが出来なくなる。そしてついにーーーー
爆発音。例えるなら圧力に耐えきれなくなった風船が、破裂する様な軽い音。もしこの光景を見たならば迫力なんてものは大してないだろう。僕の質量はいつの間にやらその程度になっていたのだ。
しかし、それでもその衝撃は僕の意識を刈り取るには十分だった。再び意識がブラックアウトする。
大地があった、海があった、空があった。森があった、川があった、山があった。それらは僕の記憶に残るものと、大して差異は無かった。そう、僕は正に隕石の様に堕ちて、この星にたどり着いたのだ。
此処は何処なのだろう。どんな星なのか、人の様な存在は居るのか、僕はどうしていけば良いのか、何も分からない何も知らない。
ーーーーけど、歩いていなかければならない。生きねばならない。もう怖がるのはやめよう。物事は理解しようとすることから始まる、思えばそれが彼女の口癖だった。
「ーーーーミュウ……」
そうだ、既にこの身が人では無いとしても、アイデンティティを持たない
『ポケット』に収まりそうな大きさで、人では無い『モンスター』の身体だけれど、何だか歩んでいく勇気が胸の中には在った。
というわけで主人公はソレになった訳です