最初に感じたのは何かの焼ける匂いだった。こんな匂いを【
恐る恐る目を開ければ、そこに広がっていたのは地獄の様な光景だった。一面が炎の海に包まれ、人は全て死に絶えそこで本当に生活が行われていたのか疑問に感じるほどの惨劇に思わず目を背けてしまう。
そして、自分の体の感覚に大きな違和感を感じる。具体的に言うと、まるで体が小さくなった様なか、そんな感じだ。
その時、何かがこちらに近づいてきていることに気がついた。それは覚束ない足取りではあったが、確かに近づいてきている。
それは男だった。ボロボロの黒いコートを着て無精ヒゲを生やしている。その目には涙が浮かんでいた。
よく見ればその男は背中に何かを背負っている。意識の朦朧としている俺にはそれが何かは分からなかったが。
俺は無意識のうちに手を伸ばしていた。すると、それは取られ、俺は男の抱き寄せられた。
「ああ…! 生きてる、生きてる、生きてる…!」
俺はその男の言葉を最後に、再び意識を落とすのだった。
懐かしい夢を見た。あまり思い出したくはない記憶であると同時に、本当に大切な記憶。岸波白野には存在しない衛宮白野だけの記憶。
それはともかく、さっきの夢のせいで目が冴えてしまった。とりあえずシャワーでも浴びて、さっぱりとしてからまた眠るとしよう。浴び終える頃には、また眠気も戻っているだろうし。
それは浴室に向かっている途中のことだ。右手の甲に熱が発生する。岸波白野としては懐かしく、衛宮白野としては初めての感覚。
"令呪の発現"
これが起こったということは聖杯戦争が近いということ。
ついに来た。俺はこの時を待っていた。このために魔術の修練をしてきた。
彼女を召喚するために
もうシャワーを浴びるという考えは頭になく、俺の脚はこの時のために描いていた陣のある空き部屋に向かっていた。
漸く…漸くまた会えるんだ。彼女と───アルテラと!!
「素に銀と鉄。礎には石と契約の大公。祖には我が
彼女の事を強く想いながら、詠唱を始める。
「
触媒には、彼女と深く繋がった証であり、この世界にきた時から身につけていた
「—————
「—————告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば答えよ」
そして、俺が———体の岸波白野が縁を結ぶことのできるサーヴァントは彼女ただ1人
「誓いをここに。我は常世全ての善と成るもの、我は常世全ての悪を敷く者。」
何故なら、俺のこの身は全て彼女のために有るのだから
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ————!」
詠唱が終わるとともに、渦を巻いていた魔力が収束し、人の形を成す。それは、純白のべールを身につけた、褐色の少女—————アルテラだった。
「聖杯の寄るべに従い、参上した。問おう、お前が私の