デスノート A true new world starts 作:有山氏
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パソコンの光だけが灯されるその部屋で、地べたに座る1人の青年がいた。
覇気が無いような表情であるが、鼻筋は整っている。加えて涼し気な瞳をしている。
無造作でパーマがかった黒髪が眉まで降ろされ、肩まで伸びる襟足は跳ねている。
白の長袖シャツで、真っ黒なジーンズを履いていて裸足だ。
そんな彼は片膝を立てて腕を気だるげに下ろし、パソコンのスピーカー越しから聞こえる男性の声に耳を傾けていた。
『科学施設を経営する社長、クラス・ライナーが自宅の一室で心臓発作を起こした。遺体を検出した結果異常はないのだが、彼は心臓の持病を持ち合わせていない』
画面越しにクラス・ライナーの写真と事件の詳細が映し出された。科学の多機能性を期待して花の研究をしていると記されている。
青年は天然でカールがかった髪を触りながらパソコンに目を移す。
じっくり事件の詳細を確認すると、設置されているマイクに息を吹き込む。
「アメリカのFBIの方々の見解をお聞かせ下さい」
スピーカー越しからヒソヒソと会話を交えている。
恐らく青年の様子を伺っているのだろう。
『私達は事故ではないと思っている。他殺かもしれない。でも証拠がない。一つ言えるのは部屋は密室だった』
しばらくし、男性が応えた。
「なるほど。クラス・ライナーは科学分野で花の研究をされていたらしいですね」
『そうらしい。自宅にもスタンドの上に花が幾つか飾られている』
画面に自宅部屋が映し出された。スタンドは縦長でその上に鉢花が幾つか置かれている。だが、一つだけ花が添えられたいない鉢がある。
ここで、青年はある考えを思いつき、それに沿って話を展開させる。
「花も植えられていない鉢がひとつ置かれてますね」
『恐らく、枯れたか、新しく入れ直そうとしたのだろう』
「鑑識はスタンドの上の鉢花に手を回しましたか?」
『ああ。資料によると鉢や、中に入っている土を鑑識が調べたが何もでなかったと書かれている』
青年は吐息混じりに口を開く。
「確かに何も出るわけないですね」
その口調は敬語ではあるが、ため息混じりに発するためにだるそうに聞こえる。
『どういう事だ?』
スピーカー越しの男性の口調は少し尖っていた。
『よく鉢の中を見て下さい。植えられていた痕跡がありますね」
『確かにあるが?』
「枯れた場合でも、花を入れ替える場合でも、まず土を新しくします。しかし土はそのままに残っている。そのままの状態では衛生面で良くないですし、花に関して研究をされていた訳なのですから、そんな事は知っていた事でしょう」
『つまり、どういう事だ。』
「彼が死ぬまでは花は植えられていたんです。ですが部屋は密室だった。となると彼が死んだ後には花が自然に消滅したという事になります」
スピーカー越しから議論のこえが聞こえてくる。
『そんな事が可能だとして、それが今回の事件に繋がるのか?』
「はい。繋がります。消滅した花というのは微粒子に人間の体内にある酸素に触れると、自然に枯れ果て土と同化し跡形も無くなるクライダルという花です。クライダルは鑑識でも成分を確認できないほど特殊な花なんでしょう。そして、クラス・ライナーは欧米にあるクライダルの種を取り寄せて研究に入った」
スピーカー越しからキーボードを打つ音が聞こえる
『確かにその花は欧米の一部に咲いてるようだ。そしてこれは……』
スピーカー越しからの声が途切れたので青年が言葉を付け加える
「花には毒の成分を持つ微粒子があり、それを人間が吸い込むと血管が膨張し、最悪の場合は死に至る。そして、微粒子が人間の口から出る酸素を過多に接すると花は自然消滅する。もちろん、さっきも言った通り微粒子は認識できないので体内に入った微粒子も同様です」
スピーカー越しから納得のする声が多々聞こえ始める。
『君の推理は正しいようだ。つまり、彼を恨む誰かがバレないようにクライダルの外見を研究施設で加工して彼の部屋に持ち込ませたのか?自殺だとしたら態々こんな手を組んだ死に方はしないだろう?』
「はい。殺人でしょう」
彼を両腕を伸ばし、人差し指だけを使ってキーボードを打ち込んでいく。データベースに侵入にクリス・ライナーの情報を得ていく。内容を把握すると、キーボードから指を離し腕を下ろした。
「危険物とされたクライダルの研究に関わっていたのは、クラス・ライナーを含めて二人だけです。それ以外の者にはクライダルの存在を黙認していたそうです」
『なら、そいつが犯人か。そいつは誰だ?』
「副社長であり、弟のビル・ライナーです。彼がクラス・ライナーに加工したクライダルを部屋に置くように誘導したのでしょう。動機は研究施設の跡継ぎを早急に済ませて金を多く得たかったのか、資金源の調達に苦になったのか、色々ありそうですね」
『そうか。急いでビル・ライナーを捕まえる。今日は助かった。証拠も確証もなく我々は捜査に行き詰まっていたのに、君は良くこんな短時間で事件を解決できたな。流石だよ』
青年は左膝の上に左腕を乗せて自分の顔を支える。
そして右腕を顔に近づけて親指を唇に添え、彼は一言気だるげに呟くのだ。
「『L』ですから」
Lではありますが、松山さん演じたLでも、池松さん演じたLでもありません。※2人のLは大好きです!
今回の話は夜神粧裕と同様に彼の天才的な推理力を知ってもらうために書きました。推理トリックは意味不明で穴がありまくりですが、それを解いたLは天才であると理解して頂ければ、それで問題ないです。