デスノート A true new world starts   作:有山氏

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発出
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夜神粧裕はサングラス、マスクの格好で傘をさして喫茶店に向かった。

 

家からそう遠くない喫茶店だが、生憎の雨だ。着くまでには服が雨で湿った。

 

喫茶店の中には客は1人もいなく、従業員がカウンターでヒマそうにしている。

 

端っこで窓から人通りが確認できる席につく。マスクを取り外し、従業員に声を駆けコーヒーが一つやってくる。

 

「おい、何で、こんな所にくるんだ。お前はキラの妹だぞ」

 

リュークが粧裕を見下ろし声を掛ける。

 

「あなたと話すためよ」

 

リュークは疑問に思う。

 

「まあ家には監視カメラと盗聴器がついてるから。ここにはカメラも、もちろん盗聴器はついてない。でもお前が俺と話したいなんて珍しいな」

 

監視カメラと盗聴器が家に付けられてから、1週間は経った。恐らく日本のデスノート対策本部、"L"の指示だろう。

 

予め家の中の背景を写真で取り、僅かなズレでも確認すれば、誰かが家に入ってきた事になる。

 

そこで恐らく兄のように監視カメラと盗聴器が付けられてると粧裕は分かり、リュークに数を数えさせた。

 

「話ってのは、アレよ」

 

「アレか。アレならもう完璧だ。安心しろ」

 

「そう。よかったわ」

 

「ああ。監視カメラや盗聴器がつく前にやっといてよかったな」

 

粧裕は微笑しコーヒーを啜る。

 

「だが、こんな所にいていいのか。お前家に閉じこもってんだろう。急に家に誰もいないとお前あやしまれんだろう」

 

「私もずっとじゃないわ。内職の関係でたまに外に来るわよ」

 

粧裕はキレ気味に答える。

 

 

「ーーそれに少しくらい怪しまれないと、ね?」

 

 

コーヒーカップをテーブルに置く。

 

リュークは粧裕の言葉に笑みを浮かばせる。

 

「面白え。やっぱりキラの妹だな」

 

リュークの声は流し窓から外の景色を眺める。

 

大粒の雨が降られ、ほとんど見えない。

 

この辺は人通りが少なく、居酒屋や喫茶店がある裏通りだ。

 

雨に埋もれる景色を見ていると、チャランチャランとドアを開く音がした。

 

時刻は3時ごろ。

誰か来ても可笑しくないが、雨が降っており、しかも敢えて人がいない喫茶店に来たのに客が来るなんて、粧裕は疑問に思いドアの方に目を向ける。

 

ドアが小さく揺られ閉まる。

中には誰もいなく従業員だけ。

 

気のせいなのかと思い、よく周りをみるが誰もいない。

 

粧裕は首を傾けながら、コーヒーを手に取り啜る。

 

「気のせいではないですよ」

 

後ろから男の声がした。

 

粧裕は一瞬驚きを見せるが、直ぐに平常を保たせる。

 

まさか、直接来た……?

 

粧裕は微笑し、後ろの男の声に答える。

 

「え、気のせいって?」

 

後ろを振り向くと、パーマがかった長い後ろ髪が目に映った。

 

皿には大量の角砂糖が置かれ、その男は角砂糖をコーヒーに入れると、それを啜る。

 

「あ、他にお客さんいたんだ。びっくりしましたよ。さっき見た時は誰もいなかったのに」

 

「そうですか。私は堂々とここに来ましたが」

 

粧裕は目を細め、その男から目を離して目の前のコーヒーカップを見る。

 

「まったく気づきませんでしたよ」

 

「そうでしたか」

 

後ろからコーヒーを啜る音が聞こえる。

 

「あなたは夜神粧裕さんですね」

 

粧裕はこれで後ろにいる男を横目で見る。

 

「そうですけど、あなたは?」

 

コーヒをテーブルに置く音が聞こえ、面倒草そうな息づかいをしている。

 

 

「ーー私はLです」

 

 

粧裕は目を見開くと、すぐに微笑する。

 

やはり後ろにいる男はL。

いや、正確にはLの後継者か。

 

直接来るとなると、やはりキラとして疑われてると粧裕は感じた。

 

だが、これでいいと納得して、何事もないようにLに答える。

 

「Lって。まさか、あのL?」

 

「はい」

 

淡々とする声が異様な冷たさを運んでくる。

やはり危険な男と感じながら粧裕は口を挟む。

 

「確かLは死んだ。あなたは後継者ですよね?」

 

Lはその言葉に苦笑する。

 

「そうです。私三代目のLです。それを知ってるとなると警察の資料をお読みで?」

 

「ええ、そうよ」

 

「なら、キラはどうやって人を殺してるか分かりますね」

 

「ええ、デスノート。死神のノートがあると資料に載ってました」

 

 

「ーーそれなら、話は速い」

 

 

粧裕はコーヒーを啜りLに質問する。

 

「で、何?私に会いに来たの」

 

「そうですね。」

 

「なら、私がどうしてここにいると分かったのかしら?」

 

粧裕は質問するが、大体の事には気づいてる。

 

ここまでくる間に誰かに付けられてる気がした。10年前にFBIの捜査員が殺害された事によりFBIは協力しないだろう。

 

そうなると、あの尾行はLだったんだと改めて認識させられた。

 

「尾行しました。申し訳ありません。幸い家から近くて、雨に余り濡れずすみした」

 

確かにさっき見た時は、髪など濡れてる気配は無かった。

 

「そうですか。とすると名探偵であるあなたが私の前に現れたという事は私は疑われてるですか?」

 

「はい。その通りです」

 

「酷い話ね。私がキラの妹だからかしら」

 

「それも疑いがかかる一つの理由ですね」

 

「単純な名探偵ね。なら他にも理由はあるの?」

 

「数週間から前から日本の犯罪者が集中的に異変死している。何故そんな事が起きたのか。それはキラは恨みを持つ人間がいるんです。その人間に会うためにキラは態と日本にいると示してる、そう判断しました」

 

「なるほど。そのキラが私と、あなたは考えてる?」

 

「はい」

 

「恨みっていうと私の場合は兄が死んだから復讐するとも考えられるわね」

 

「その通りですね」

 

「でもそれは理由というより憶測では?」

 

「はい。ですが私は99%、あなた、いやキラは私の考えてる通りに動いてると思ってます」

 

粧裕は相手から見えてないのにも関わらず眉に皺を寄せる。

 

「それは、凄い自信ね」

 

「まあ、そうですね」

 

さっきと比べてLの声は砕けた口調だ。

 

「後、私はキラの疑いがある事をあなたに伝えるためにここに来た訳ではありません」

 

「それは、何ですか?」

 

「それは言えません」

 

「残念ね。聞きたいわ」

 

2人の会話が途切れる。

 

粧裕は、後ろでコーヒーを啜る音が聞こえ再び話しかける。

 

「教えてくれませんか?他に何の理由があって私に会いにきたのか」

 

Lは膝の上に手を置いて顏を支え、口元に親指を添える。

 

「残念ですが事情があるので」

 

「まあ、そうですよね。しつこく聞いてすみません」

 

すると、後ろから不規則な音が聞こえた。いやさっきから聞こえていた。

 

短な音であったり、伸びる音。

 

雨の音や店内の換気扇の音で聴きづらい。よく集中しないと確認できない音だ。

 

それに交えコーヒーを飲む音が聞こえ、

 

 

 

「では、これで」

 

 

 

チャランチャランとドアの開く音が聞こえ、後ろを振り向くとLはいなくなっていた。

 

漫画のような速さで飛びでたのかと思いながらコーヒーを飲む。

 

「おい、今のLだな?」

 

「あら、リューク、忘れてたわ」

 

Lとの会話に夢中になりリュークの存在を気にしてなかった。

 

「酷えな。まあそれはいい。お前完全に詰んでるな?」

 

粧裕はその言葉に気にせずリュークに答える。

 

「いいのよ。これで」

 

粧裕は先程の音を携帯で調べる。

 

小さく不規則に鳴る音。

粧裕はこれをモールス信号と捉えた。

モールス信号とは、2つの組み合わせで構成された文字を伝える信号方である。

 

最後に聞こえた不規則な音を調べると、粧裕は、その音がなんのか分かった。

 

「分かったわ」

 

「何がだ?」

 

「数週間前に私が日本の犯罪者を裁き始めた頃、他の国で犯罪者が裁かれてたのにピタッと止まった」

 

「ああ、そうだったな」

 

「その後を調べると、他の国で犯罪者ではない人間が不審死を遂げ始めた。それらは不法取引を行う、トップ、司法取引で生きてる、法では裁かれない犯罪者達よ。ねぇ、リューク?」

 

「何だ?」

 

「デスノートは何冊地上にあるの?」

 

「6冊だ」

 

ニヤニヤしなからリュークは言う。

 

「なら何冊、あるいは全部のノートを奪い、悪を殺すキラもどきが使ってるという事ね」

 

「成る程な」

 

「そのキラが、ようやく見つかったわ」

 

「見つかったか。いや、だから、どうするだ。お前の目的はLを殺す事で他のキラには興味ないんだろ?」

 

粧裕は口元を緩め、天井を眺める。

 

 

 

「利用するなら別。これでやっと、デスノートをLの前で堂々と使えるわ」




本格的に物語が動き出しました。
次回もお楽しみに〜

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