DU:ゼロからなおす異世界生活   作:東雲雄輔

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盾の勇者の成り上がりが面白い!

久しぶりにジョジョ以外のアニメ見てて胸熱な気持ちになりました。個人的にはラフタリアが一番可愛かったです。

これを受けて盾勇のSSも書こうかと魔が差しましたが…………今後の仕事次第ですかね。アイデアだけは出てくるのですが、文に書き起こすのは大変ですからね。


第36話:カルステンの異変

 

 

 

 

 

―――これは十条旭が、異世界にやって来るほんの少し前の話。

 

 

 

ルグニカ王国。カルステン領―――領主『クルシュ・カルステン』。

 

 

優秀な騎士を送り出した名家カルステンの中でも歴代最高とも呼ばれる突出した才能を持つ女傑。

 

文武両道は勿論のこと、政務軍務に関しても高い知識と教養を持ち、領民から厚い信頼を寄せられ、17歳にして『公爵』の爵位を冠するまでに至り、更には若くしてカルステンの家督を継承した自他共に認める才女。

 

才能だけにとどまらず、彼女の凛々しく力強くも端正な顔立ちと軍人ならではの鍛え抜かれた肢体。その麗しき美貌もまた彼女の人気に拍車をかけている。

 

 

無論、彼女とて才能だけで大成したわけではない。彼女は生まれながらにして、己の在るべき姿、己に課せられた使命、己が背負った宿命、己が望む理想……それらを物心つく前から悟っており、それらを成就するために幼い頃から確たる信念と覚悟のもと、弛まぬ努力を続けてきていたのだ。

 

その過程において、多くの障害に苦悩することもあったが、彼女は決してそれに怯むことなく前進し続けてきた。彼女は、民のために打ち出した政策や遠征等で結果を出し続けることで領主としての信頼を獲得したのだ。

 

 

従って、彼女が王選候補者となった際、彼女こそが次期国王最有力候補であろうと誰もが信じて疑わなかった。どのような相手も彼女は、類まれなる智謀と武力を持って捻じ伏せるであろう。そんな彼女の勝利は絶対に揺るがないものだと思われた。

 

 

―――だが、事態は急展開を迎えることとなる。

 

 

 

 

 

「―――どういうことですか、クルシュ様……」

 

 

「今、言ったとおりだ―――私『クルシュ・カルステン』は此度の王選を“辞退する”」

 

 

「そんにゃ……そんにゃのって―――」

 

 

「いずれ、正式に皆の前で発表するつもりた。話はこれで終わりだ。フェリス、下がって良いぞ」

 

 

「にゃっとくできません!」

 

 

 

 

 

フェリックス・アーガイルは、クルシュ公爵に仕える従順な騎士である。否、騎士と主君というだけの関係ではない。フェリックスとクルシュの間にはそれらを超越した確かな絆がある。

 

故にこそ、納得できなかった。

 

あのクルシュが……王選に挑むことすらせずに、敵前逃亡するなどあってはならない。ありえないっ。西から太陽が上ってくることよりも考えられない。

 

 

 

 

 

「こんなことって……私達の悲願はどうにゃるんですか!?」

 

「…………。」

 

「クルシュ様が私を助けてくれた時に誓った約束も……果たせにゃいままで。このまま尻尾巻いて引き下がるのが、クルシュ様ののぞみだとでも言うんですか?」

 

「ああ。そうだ」

 

 

 

 

 

ウソだ。そんなことはありえない。彼女は自分にそんな嘘をつける人じゃない。きっとなにか事情があるはず。戦う前から諦めるなんて、『クルシュ・カルステン』にとっては身を切られる以上の苦痛のはず。

 

そんな残酷な決断を顔色一つ変えずに迷いなく実行できるのだとしたら、それはもう……『クルシュ・カルステン』ではない。

 

 

 

 

 

「クルシュ様……質問に答えてください」

 

「なんだ、聞こう」

 

「クルシュ様は、何者かに脅されたりしていませんか?もしくは王選になる前に誰かに唆されたとかはありませんか?」

 

「ない。フェリスも知っているはずだ。私にそういった駆け引きや取引は通用しない」

 

「にゃら……王選を辞退するなんて言い出したのは、どうして?」

 

「至極単純な理由だ。私は王の器ではなかった。故に辞退する。王選にかける労力・時間・資金を考えれば当然のこと……王には王たる相応しい人物がなるべきだと私は言っているのだ」

 

「そんにゃの……にゃんの理由にもなっていませんっ!クルシュ様が身を引く理由には、にゃらないじゃにゃいですか!」

 

「無駄な努力ほど無駄なものはない。王は一人でいいのだ。結果がわかりきっているのであれば、無駄な諍いは必要ないということだ」

 

「……っ!?」

 

 

 

 

 

ありえない。

 

確かに普通であれば無駄なことを回避するという回答をする人もいる。だが、クルシュ・カルステンは普通ではない。否、普通であることを許されない。何故ならば、それこそが彼女の選んだ覇道であるからだ。

 

確信した―――彼女はもう……自分が知っている『クルシュ・カルステン』ではない。

 

 

 

 

 

「―――クルシュ様……あにゃたは病気です。今すぐにでも……治療が必要です。私についてきてください」

 

「不要だ。私は至って健全だ。いや、余計な重みを背負わなくなって寧ろ清々した。実に清々しいいい気分だ。今なら100人の騎士を相手にしても難なく薙ぎ倒せることであろう」

 

「―――っ!!」

 

 

 

 

 

フェリックス・アーガイルは腰に帯刀していた短刀を抜いた。本来、主君に向けて剣を向けるなど最低最悪の不敬である。だが、それをせずにはいられなかった。

 

『彼』フェリックス・アーガイルは治癒術師だ。王国随一の治療魔術を施すことが出来るが、その分、剣の腕はからっきしであった。かたや武芸に秀でたクルシュ・カルステン。その実力差は明白。どうあがいても勝ち目はない。

 

だが、乱心した主を止めることもまた騎士としての忠義であった。

 

 

 

 

 

「……何をしている、フェリス」

 

「クルシュ様……どうか目を覚ましてください。いいえ、一日でいいんです。私の治療を受けてください。そうすればきっと気づいてもらえます―――元のクルシュ様に戻っていただけるはずです」

 

「剣を納めろ。これ以上、不敬を働けばいくら私でもお前を守りきれなくなる―――繰り返す。おかしな言いがかりはやめて、剣を納めろ。さすれば、此度の所業をなかったことにできる」

 

「申し訳ありません。クルシュ様……その命令だけは聞けません。クルシュ様が私の治療を受けて頂くまではっ!」

 

「…………やむを得んか」

 

 

 

 

 

クルシュは重々しく椅子から腰を上げた。彼女もまた、主従の関係を理解した上で主として配下に裁きを下さねばならない。その心の痛みはフェリスと変わらない。

 

『泣いて馬謖を斬る』という言葉がある。

 

三国志で有名な諸葛亮が、命令に背いた愛弟子の馬謖を軍律の遵守のために涙を飲んで処刑に踏み切ったという故事である。

 

今、正にクルシュが行おうとしているのがそれだ。

 

 

 

 

 

「―――最後に警告するフェリックス・アーガイル。武器を捨てて、今すぐにこの部屋を出ていけ」

 

「っ………イヤにゃっ!」

 

「強情なのは結構。だが、知っておろう―――お前に私は止められぬ」

 

「クルシュ様の病気は……わたしが治すニャ!」

 

「愚かな……フェリックス・アーガイル。私に楯を突くことが、どれ程愚かしい行為か。その身に教えてやる」

 

 

 

 

 

―――この日、フェリックス・アーガイルはカルステン公爵に対する叛逆罪により投獄されることとなる。

 

 

しかし、投獄されるもその翌日に脱獄。

 

 

領主クルシュ・カルステンの私室に深夜忍び込み、寝込みを襲おうとするも敢え無く失敗。再び投獄されることになるが……クルシュの計らいによりあっさり無罪放免となった。

 

 

以後、フェリックス・アーガイルはクルシュに刃向かうことなく、彼女の忠実な部下として働くようになる。

 

 

しかし、奇妙なことに彼はそれ以降一切治癒魔術を使わなくなった。

 

 

彼の治癒魔術を頼り諸国から集まってきた怪我人や患者に対して、彼は一切の治療を施さなくなってしまったが……―――その真意は誰にも明かされていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――時は戻って、メイザース領。

 

 

 

 

 

「―――というわけで、新作料理を作成してみたいと思う」

 

「えっと……何がどういうわけなのか、さっぱりわからないんだけど」

 

 

 

 

 

俺はキッチンで開けてもらった時間の中で新作料理の試作に挑もうとしていた。理由は簡単―――

 

 

 

 

 

「暇すぎてやることがないからだ―――あと、ついでに接待の準備」

 

「本音と建前か完全に入れ替わっていると思うんだけど。そもそもロズワールからお屋敷の仕事はやらなくていいって言われていたんじゃあ」

 

「勉強だけで一日潰せる程、勉強熱心じゃあねえんだよ、俺は。だから、せめて建設かつ前向きに時間を潰そうと思ってよお〜。これでいいもの作れたら、献立の幅も広がるし、お客人も喜んでくれる。それこそWin-Winになるわけだぜ〜」

 

「アキラの料理にはわたしも期待したところだけど…。でも、アキラはまだ病み上がりなんだから、あんまり無理をさせるのもちょっと……」

 

 

 

 

 

エミリアは微妙そうな顔をしてるけど、俺としては『接待の準備』という大義名分を得てここに立っているんだぜ。ここでそれすらも取り上げられてたまるか。

 

 

 

 

 

「エミリアこそ……勉強頑張りすぎだぜ〜。焦ってもいいことねぇんだし、こういう遊びも必要なんだよ」

 

「これが何かの役に立つの?王選には全く関係ないように思うけど」

 

「おばあちゃんが言っていた。『人生とはゴールを目指す遠い道……重い荷物は捨て、手ぶらで歩いたほうが楽しい』ってな―――たまにはよぉ〜、背負ってばかりでなくて……余計な遊びに手を出してみるのも悪くはないぜ」

 

「…………っ」

 

「迷惑ってんなら無理に誘ったりしねぇけどよ〜。重い荷物をたまには誰かに預けてみるのもありだと思うぜ。特に俺みたいな無知な人間だったらよぉ〜……そういう重さも感じねえからよ」

 

 

 

 

 

これはレムとの一件で学んだことだ。俺はこの世界において失う地位も名誉も立場もない。誰よりも自由な存在なんだ。だから、他の人が背負ってるものを代わりに背負ってやることだってできる。

 

エミリアの王選にかかるプレッシャーをこれで少しでも晴らしてやれたらな……っていう俺のしょうもない思いつきだぜ。

 

 

 

 

 

「―――……アキラのそういうところ、本当にズルいと思うな」

 

「ん?……今、何て言った」

 

「……こんなことばかりしてないでもっとお勉強しなさいって言ったの。わたしの王選の勉強もそうだけど……アキラだって勉強しなきゃならないこと、たくさんあるんだからね」

 

「グレート……耳が痛いぜ。仕事の傍ら勉強するってのはモチベーションが続かねぇんだよなぁ」

 

 

 

 

 

二宮金次郎じゃねえけどよ。働きながら勉強するって口で言うほど楽じゃあねえんだよな。

 

 

 

 

 

「とにかく今は料理だ。料理!献立の幅と味付けのバリエーションを増やすためにも妥協は一切しないぜ」

 

「この前、アキラが作ってくれた『まよねーず』と『おむらいす』っていうのも美味しかったけど……まだ他になにか作るの?」

 

「今回作るのは『ヴァニラ・アイス=クリーム』だ。これに成功したらスイーツ系のメニューのはばがひろがり、夢が広がるんだぜ。普通の料理じゃあレムに勝てないから、アイデア力で勝負しないとよ」

 

「そういえば……レムの姿が見えないけど、どこに行っちゃったのかしら?」

 

「ああ……―――

 

 

『レムはなんでも引き受けます!やります!申しつけてください。そしてうまくやった暁には頭を撫でてくださっても構いませんよ♪』

 

 

―――って意気込んでたんだけどよぉ〜。流石に屋敷の仕事を終わらせてからなって丁重にお断りさせてもらったんだぜ」

 

 

 

 

 

ここ最近、レムの『アキラ依存』がひどくなりつつある。ことあるごとに俺に『かまってオーラ』を出してくるのだ。

 

例えば―――

 

 

 

『アキラくん、今のレムはどうですか?』

 

『アキラくん、レムに何かしてほしいことはないですか?』

 

『アキラくん、レムに何か言いたいことはないですか?』

 

『アキラくん、レムを褒めてくださっても構いませんよ』

 

『アキラくん、レムの頭を撫でてくださっても構いませんよ』

 

『アキラくん、レムはすごく頑張りました!ご褒美を所望します!』

 

 

『―――アキラくん』

 

 

『―――アキRAくんっ』

 

 

『―――AKIRAくんっ!』

 

 

 

………とまあ、こんな感じだ。結構、エグいのを端折ってるところもお察しして頂きたい。

 

ハッキリ言ってレムの甘え方は、完全に子犬のそれと同レベルだ。いや、同レベルと言っちゃあ失礼かもしれねぇが……本当に純粋な好意を包み隠さずにこれでもかというくらい真正面から向かってこられるのだ。たまったものではない。

 

普通の人なら多少なりとも羞恥心とか世間体とかがブレーキをかけるが、レムの行動にはそれがない。そういう意味で直情的な愛情表現をする子犬と同じなのだ。 

 

 

勿論、レム程の美少女にこれだけ好意を示されて悪い気は一切しない。だが、にしても限度というものがある。

 

ここまでくるとさすがの俺もどうしていいかわからなくなるんだぜ。だから、ヤンデレ化しないように今は適度に距離を置こうとしている段階だ。

 

 

 

 

 

「レムはアキラのことが大好きだもんね」

 

「やめろっ!聞いてるこっちが恥ずかしくなるんだぜっ。〜〜〜ったくよぉ……俺は何でこうなっちまうかねぇ。こんなクソハーレムラノベの主人公みたいなの俺のキャラじゃあないんだぜ」

 

「それは、アキラがレムのためにものすごく一生懸命頑張ってたからでしょう。ラムもレムもすごく感謝していたもの」

 

「……グレート。これ以上、掘り返すのはマジにやめろ。手元が狂いそうだからよ〜。それに……これ以上、あいつらに妙な気を遣ってほしくないんだぜ」

 

 

 

 

 

エミリアもラムもレムも俺のことを大層評価してくれちゃあいるが、本当は違うんだぜ。本当にすげぇのは誰かに希望や勇気、執念を与えられるやつのことを言うんだ。

 

俺にとってのレムとラムがそうであったように―――

 

 

 

 

 

「言いたくはないが、あいつらはただ目の前の単純な答えが見つけられなくて苦しんでいただけだ。俺が何かしなくてもあの二人なら何れ『答え』に行きついていたはずだ。悔しいが……俺はたまたまあいつらにとってのきっかけになれたに過ぎないんだぜ」

 

「もうっ、アキラってば本当にひねくれてるんだから……アキラがいたからこそ、今の二人があるんでしょ。そんな言い方したら、ラムとレムが可哀想よ」

 

「俺はただ自分に正直に生きることに長けてるだけだ。そういう馬鹿な人間からでも学べることは多少なりともあるってことかもしれねぇな」

 

 

 

 

 

俺は今でも忘れねえ。

 

自分ならやれる。出来るはずだと意気込んでいた挙げ句、最悪の醜態を晒したあの時のことを。

 

『俺のクレイジー・ダイヤモンドだって満更でもねぇんだ。間違いなく俺は成長している。エミリア達の力を借りなくても一人でやれるはずだ』

 

そんな慢心めいた自信が、ラムを死なせ、レムを殺し、俺自身も死ぬという悲劇的結末を生んだんだ―――俺は自分で利口ぶっているという最低の間抜けだった。

 

あの『未来』に置いてきてしまった二人のことを俺は絶対に忘れない。

 

 

 

 

 

「元を辿ればよお〜。ラムもレムも双子だからって互いを縛る必要なんかないんだぜ。せっかくそこん所のしがらみがなくなったのによぉ〜……今度は俺に縛られていたとあっちゃあ、それこそ本末転倒じゃあねえか。だから、今は適度に距離を置くくらいがちょうどいいんだぜ」

 

「そうやって素直にお礼を受け取れないのはアキラの悪いところよね」

 

「だから違うっつってんだろ。ラムはまだ要領がわかってるからいいが、レムは特に何にでも一直線で頑張り過ぎなんだぜ。ただでさえ屋敷の仕事で大変なんだ。俺のためなんかじゃあなく、もっと自分のために生きてもらわねぇとよぉ〜」

 

「……確かにレムはそういうところがあるわよね。じゃあ、アキラはレムのことが嫌いなわけじゃないんだ」

 

「ンんなわけねぇだろ。俺のレムへの感謝とリスペクトは今でも変わらず顕在なんだぜ。けどまあ、俺だっていつまでもここに……―――」

 

 

 

バァンっ!!

 

 

「アキラ君!」

 

 

 

「ん?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

突然、厨房の扉が勢いよく開かれる。そこから眩しいばかりの笑顔のレムが立っていた。

 

そう。あの期待に満ちた顔には見覚えがある。昔、近所で世話していた野良犬が投げたボールを拾って戻ってきた時の顔とそっくりだ。

 

 

 

 

 

「午前中のお仕事は全て終わらせてきました。レムもアキラ君の『ばにら・あいす』作りのお手伝いをいたします!頑張りましたから、お昼まで何度でも挑戦できますよっ!」

 

バヂヂ、バヂヂヂヂ……ッッ

 

 

 

 

 

レムの青い前髪をかき分けて純白のツノが稲光を纏って輝いていた。爛々と輝くレムのツノと反比例して、レムの瞳からハイライトが消え失せているのは断じて俺の気のせいではない。

 

 

 

 

 

「グレート……『一手』遅カッタナ。かつて元祖ヤンデレ山岸由花子は一晩で手編みのセーターを編んだというが……今やレムも同じ境地にたどり着きつつあるんだぜ」

 

「アキラ。ちゃんと責任とってあげなさいね」

 

「―――こいつは……グレートにヘビーだぜ」

 

 

 

 

 

一抹の不安を抱えてはいるものの、レムも合流して三人でヴァニラ・アイス=クリームに挑戦することとなってしまったぜ。といっても、アイスクリームは材料さえ揃ってしまえば、さほど難しい工程はない。

 

 

 

 

 

「材料も揃えたし、早速……と行きたいところなんだが、まず最初に準備しなくちゃあならねぇもんがある」

 

 

「準備?まだ他に準備するものがあるの?」

 

「はい!はい!レム、知っています。それは料理をする上で絶対に欠かせないもの―――つまり『愛情』ですね!?」

 

 

「違っ……いや、あってるんだけど……そうじゃないっ!」

 

 

「アキラくんが言っていました―――『どんな調味料にも食材にも勝るものがある。それは料理を作る人の愛情だ』って」

 

 

「だから、それは天道語録だっ!おばあちゃんが言ってたやつだよっ!勝手に俺の語録に加えてんじゃあねえぜ!」

 

 

 

 

 

本格的に先行きが不安になってきた。そもそも、レムに対抗して新しいメニューの開発に挑むはずだったのに……レムがここにいたんじゃあ本末転倒なんじゃあなかろうか。

 

 

 

 

 

ゴトッ

 

 

「アイスクリームに欠かせないのが、この『硝石』だよ」

 

 

「硝石……これが料理に必要なの?」

 

「サルトペターですね。宮廷の料理人が氷水を作ったり、食材を冷凍するときに使うものです」

 

 

「グレート。流石によく知ってるな」

 

 

 

 

 

アイスクリームの起源は実はかなり古い。製氷機等が開発されて氷が当たり前に作れるようになった近代社会よりもずっと前から存在する。殷や古代エジプトでは天然の氷で作った氷菓子があったと言われているし、カエサルなどの幾人かの歴史上の有名人も食べていたという話もある。

 

そして、16世紀以降になるとある鉱物が発見されたことから一気にアイスクリームは進化を遂げることとなる。

 

 

 

 

 

「この硝石を使えば氷を自在に量産することが可能となり、これによって画期的な氷菓子を生み出すことができる。まだこのルグニカには浸透していない氷菓だが、大ヒット間違いなしだぜ。それこそが『ヴァニラ・アイス…―――」

 

 

ヒュォオオオ…… パキパキパキパキッッ

 

 

「……って、こらそこっ!『ヒューマ』を使うなっ!!」

 

 

「「え?」」

 

 

 

 

 

エミリアは俺のアカデミックな解説を受けて感心するでもなく無言で魔法の氷を作り出す。レムもレムで『氷が必要ならレムがいくらでも!』と言わんばかりに魔法で氷を作り出す。

 

 

 

 

 

「グレート……魔法が使える奴はこういうとき得だよな。俺には精々……『目くらまし』と『ものを治す』ことで精一杯だからよ」

 

 

「いいえ、そんなことはないです。アキラ君の能力《ちから》は素晴らしいです!アキラ君の優しさが形と力を持ったような……他の誰にも真似できない力だと思います!」

 

「レムの言うとおりよ。アキラはその力でわたしやレムを何度も助けてくれたでしょ。だから、そんな自分を悪いように言っちゃダメ」

 

 

「……ありがとよ」

 

 

 

 

 

軽い自虐ネタのつもりだったのだが、エミリアとレムには真正面から切り替えされてしまった。それが照れくさくも……少し誇らしくて嬉しかった。

 

『隣の芝生は青い』とはよく言ったものだ。自分が持ってる力に限界を感じた時、他人が持ってるものがひどく羨ましく思える。

 

 

 

 

 

「まあ、氷が調達できるならあとの話は早い。牛乳、卵、生クリーム、砂糖、バニラフレーバーがあれば『ヴァニラ・アイス=クリーム』は誰にでも作れる」

 

「レムに対抗するって割には意外に簡単にできちゃうのね。レムを超えるならもっと手間と時間のかかるものを作るものだとばかり思っていたけど」

 

「料理は手間をかければいいというものじゃあないぜ。料理の味を決めるのは『下準備』と『手際のよさ』―――それさえ身につければ、誰にでもうまい飯が作れる。それが料理のいいところなんだぜ」

 

 

 

 

 

なんてキザったらしいことを一丁前にほざいていやがる……と思うかもしれねえが、これは俺だからこそ言えるセリフだ。

 

何せ、俺は『料理人』には絶対になれない男だったからだ。

 

 

 

 

 

「アキラって……たまに本当にいいことを言うわよね。いつもおバカなことばかりしてるくせに……今の一言は、ちょっとだけカッコよかったかも」

 

「グレート……その『たまに』ってのは余計だぜ。そもそも……俺はいつだって本気でしか動いてないぜ。バカやるにしても全力だ。中途半端ってのが一番後悔するからな―――ま、やみくもに突っ走ってもダメなこともあれば、冴えない時もあるけどよ。だが、たまにはいいこともある」

 

「なるほど。さすが、アキラくんです。レムもアキラ君の素晴らしい御言葉に感銘を受けました。今後はレムも死力を尽くして全力でやらせていただきます―――ふんすっ」

 

「……お前はちょっと自重しろ」

 

 

 

 

 

レムの努力する姿勢はスゲーと思うし、そのひたむきさと一生懸命さは人として見習うべきだと思うが……何事もやりすぎは良くないんだぜ。

 

特に今のレムは手を抜くということを知らない。こんなレムを暴走させ続けていたら近い将来爆発する。努力の方向音痴に加えて、手加減が一切聞かないってんだから見ているこっちのほうが心配になってくるんだぜ。

 

―――けどまあ、とりあえず今のところは背負ってた荷物から開放されたことに喜びを感じているようだし。このイキイキとしてるレムを優しく見守ろう。

 

考えてみれば、レムは幼い頃にトラウマを抱えて以来、あえて言い方悪く言えば……ラムに尽くす『奴隷』のような生き方を自分に強いて生きてきたのだ。

 

急に鎖から解放されて自由を持て余して……雛鳥が最初に見たものを親と思い込む『刷り込み現象』みてぇに……地獄から抜け出すきっかけとなった俺に心酔しているに過ぎない。

 

こういうのを『吊橋効果』というのだろうか?―――だとしたら、俺が何かするまでもなく遠からず幻想《ユメ》から覚めるはずだぜ。

 

 

 

 

 

「―――ってなわけで……作り方は、今、教えたとおりだぜ。とりあえず、まずは地道にやってみようぜ」

 

「アキラ、これすごく手が冷たい」

 

「本来は専用の器具を使って時間をかけてやるんだけどな。俺がやってるのは小学生の頃に調理実習で教わったやり方だからな」

 

「何で、あえて効率の悪いやり方でやらせるのよ〜!アキラのおたんこなすっ」

 

「俺が作ろうとしてるのはただのアイスクリームじゃない。『ヴァニラ・アイス=クリーム』だ!一味違ってねぇと意味ねぇんだよ」

 

「んもうっ、何それ、意味わかんないっ!」

 

「グレートっ!ここでそのセリフが来るかよぉ!もう一回、今度はカタカナで言ってくんねえか?」

 

「ナニソレ、イミワカンナイ!?」

 

「グレートだぜ、エミリア!」

 

「〜〜〜〜っ!……んもう、アキラのどてかぼちゃ!」

 

 

「アキラくん、アキラくん!レムの方はどうですか?」

 

 

「おう!どれどれ……―――って、うわぁあああああああああっっ!?」

 

 

 

 

 

いそいそとレムが試作中のアイスクリームを見せようと駆け寄ってくるが、俺はその背後を見て唖然とした。

 

そこにはアイスクリームが入ってるであろうボウルが山積みにされていた。ゆうに一ヶ月分くらいはあるんじゃあなかろうか。

 

 

 

 

 

「いや、作りすぎだよっ!!この屋敷をアイスクリームで埋め尽くすつもりかよっ!?自重しろって言ったそばから全く手加減する気ねぇなぁ、お前はっ!!」

 

「アキラ君が量産に成功すればルグニカの食文化に革命を起こせると仰っていたのでレムも頑張ってみましました!―――頭をなでてくださって構いませんよ?」

 

「なでるかっ!ルグニカの食文化以前にお前の頭の革命の方が先決だよっ!!……ったく、いくら魔法で氷を作れるからと言ってもよ〜。手作業でこんだけやってたら手がかじかんじまうだろうがよぉ〜」

 

 

ぴとっ

 

 

「っ……あ、あきらくん!?」

 

「あ〜あ……手がこんなに冷たくなっちまってるじゃあねえか。だから、加減しろっつったのによ」

 

 

 

 

 

レムの手をとってみるとまるで氷のように冷たくなっちまっていた。ちょっとやそっとなら大丈夫かも知れねぇが……これは明らかにやりすぎだ。

 

俺はレムの両手を自分の手で包み込んで温めるようにして軽く熱するように擦りあわせる。

 

 

 

 

 

さすさすさす

 

 

「あ……あの……アキラくん。そ、その……レムの手、冷たくなってしまってますから……そんなにされると―――」

 

「やれやれ……料理人は手が命なんだぜ。増してや、レムのこんな小さくて可愛いらしい手を大事にしないなんて神様……いや、吉良様への冒涜なんだぜ。レムは可愛いんだから、もっと自分を大事にしないとダメなんだぜ」

 

 

トゥンク…

 

 

「……アキラきゅん」

 

 

 

 

 

あれ?俺、冷静に考えると物凄くチャラいことしてねえか?

 

でも、こうして改めてレムの手を握ってると……とてもなめらかな関節と皮膚をしている。白くってカワイイ指だぜ……頬ずり……したくなるような―――

 

 

……って、俺は杜王町の殺人鬼かっ!!

 

 

そもそも今している『これ』も決して下心とかじゃあねえぜ!俺はただレムが無茶をするから心配になって……レムの手が傷ついたりすると俺がすごくイヤだから。それに、この尊いレムを守ることは全人類にとっての義務であって……つまり、この行為には全世界の男性諸君からの期待と欲望が詰まっていて―――

 

……って、俺、さっきから誰に言い訳してんの!?

 

 

 

 

 

「……と、とにかく、ちゃんと手を温めようぜ。な!こんなキンキンに冷えた手じゃあこの先の作業もままならねえしよ〜」

 

「いえ………レムは、このままアキラくんの人肌で温めてほしいです。それだけでレムは、体の奥からあたたかくなれますから」

 

「雪山で遭難した男女みたいなことを言ってんじゃねぇぜ。怪我はいつでも治せるけどよぉ〜。女の子が体を痛めつける様は見てて気持ちがいいもんじゃあねえからな〜」

 

 

すっ

 

 

「あ……」

 

「急激に冷やしたから……いきなり極端な高温で温めようとすんなよ。ゆっくりぬるま湯とかで温め直したほうがいいんだぜ」

 

「ありがとうございます。レムはこの手を一生洗いません」

 

「―――いや、洗えよ。食卓を預かるものとしてまじでそれは許されんぞ」

 

 

 

 

 

レムに念押しをして、重ね合わせていた手を離すとレムは名残惜しそうに一瞬だけ俺の手を捕まえようとしたが、すぐに引っ込めた。

 

女の子なりに異性とのスキンシップには思うところもあるらしい。

 

―――『彼女いない歴=年齢』の俺にはわからないけどな!

 

 

 

 

 

「……しっかし、どうするよ、この大量のアイスクリーム。この量を食い尽くしたら間違いなく腹壊すぜ」

 

「…………。」

 

「おう。エミリア、そっちはどうだ?なかなかいい感じじゃねえか」

 

「―――またレムにだけはあんなに優しくして…」

 

「あン?」

 

「あ〜あ……わたしも手が冷たくなっちゃったな〜」

 

 

 

 

 

エミリアはボウルから手を離して、ただでさえ色白だったのが冷えて余計白くなってしまった両手をこすり合わせる。

 

まるで『わたし誰かさんのせいでひどく不機嫌です』ってアピールしてるかのようだぜ。

 

 

 

 

 

「え、エミリア……少し休んでていいぜ。あとは俺がやるから」

 

「わたし、アキラに朝から無理矢理部屋から引っ張り出されて、“あいす”作るの手伝わされてるのにな〜。昨日も王選の勉強を遅くまでしてて、朝すっごく眠かったのにな〜。わたしの手すごく冷たくて……誰かに温めて欲しいな〜」

 

「………っ」

 

「ああ〜、手が痛いな〜」

 

「わかった!ごめん、ごめんって!……俺が悪かった!」

 

 

 

 

 

グレート……エミリア特有の唐突な駄々っ子モードが発動しちまった。

 

俺もエミリアとはそこそこ長くつるんでるし、男として女の子の機嫌を損なわねえよう振る舞ってるつもりだが。たまに脈絡もなく不機嫌になる時があるんだぜ。

 

触らぬ神に祟り無しと行きてぇところだが……エミリアの息抜きのためとはいえ、無理やり借り出しちまった負い目もある。ここは素直に言うとおりにしよう。

 

 

 

 

 

「ほ、ほら……手出せよ。俺の手は太陽の手だからすぐに温まるぜ」

 

「別に期待してないからいりません」

 

「(露骨にすねてやがるぜ。仕方がない。ここは少し強引に行くか)―――…いいから、手貸せって。少しは温まるからよ」

 

 

ぎゅう

 

 

「わわっ……本当だ、アキラの手……すごく暖かい」

 

「ふふふっ、太陽の手はただ手が暖かいだけじゃあねえんだぜ。パンの調理においては手の中で生地の発酵が進みやすいという……まさにパン職人の才能の象徴なんだぜ―――因みに、俺、パンこねたこともないけどよぉ〜」

 

「ホント自慢にならないわね」

 

 

 

 

 

俺のつけたオチにエミリアは苦笑いで笑ってくれた。少しは機嫌が直ってくれたみたいだぜ。

 

しかし、エミリアの手もレムに負けず劣らずキレイで柔らかい。ケアをしているこっちの方が逆にこのスベスベのお手々に癒やされてるみてぇな錯覚に陥る。この肌の冷たさも気持ちよくて……少し頬ずりしてみても……罰当たらねぇんじゃあ―――

 

 

……だから、俺は女性の手に欲情する爆弾魔かっ!?

 

 

 

 

 

「ねえ、アキラ…」

 

「なんだよ」

 

「これ……なんだか……急に、すごく恥ずかしくなってきたんだけど」

 

「お前がやらせたんだよっ!!」

 

 

 

 

 

拗ねて俺に手が冷たくなったから手を温めろと文句を言った途端にこれだよ。相変わらず、行動原理がちぐはぐと言うか……精神年齢がズレてるというか……―――とにかく読めないやつだぜ。

 

まあ、しかしだ……こうやって手を握られて顔を赤くして照れくさそうにそっぽを向いている仕草は女の子って感じでグッとくるものがあるぜ。

 

レムが飼い主に尻尾振って甘えたがる『仔犬』なら、エミリアは世界を知らない人見知りな『妖精』と言ったところか……動物的な愛らしさではなく。なんつーか、こう……神聖で華やかな……そんな感じの印象を……

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

「―――ジョジョ、ここにいるの?ロズワール様がお呼びに……―――っ!?」

 

 

「……げっ!?」

 

「ラム?……アキラに用事?」

 

 

 

 

 

そこにタイミングが悪いことに厨房にラムが急いだ様子で入ってきた。

 

俺はというと動揺するあまりエミリアの両手を握ったまま硬直してしまった。

 

いかん。さっきまで冷え切っていたレムやエミリアの手よりも遥かに冷たい絶対零度のラムの視線が俺に突き刺さる。

 

 

 

 

 

「……何してるの?」

 

「何って……見りゃあわかるんだろうが」

 

「エミリア様の手を握って息を荒くして欲情しているようにしか見えないわ―――汚らわしい」

 

「違うからっ!エミリアの手が冷えてたから俺の手で温めてただけだから!やましい気持ちとかないから!」

 

「そう……―――ところでエミリア様の手は気持ちよかった?」

 

「おう。スベスベで最高だったんだぜっ!」

 

 

 

ヒュカォオオオオン……ッッ!!

 

 

 

「えりなぁぁああああああっ!?」

 

 

 

 

 

俺がにこやかに答えるとラムからフーラが飛んできた。紙一重でかわすことはできたが後方においてあったアイスクリームのボウルが真っ二つになっちまった。

 

 

 

 

 

「―――とうとう本性を表したわね……この下賤な性獣が。レムにあれだけ慕われていながら身分を弁えず恐れ多くもエミリア様に手を出すだなんて万死に値するわ」

 

「テメエ、わざと俺の手を狙っただろっ。つーか、性獣って何!?魔獣よりもカースト低そうな二つ名つけてんじゃねえぜ、このラムレーズンがっ!」

 

 

「あ〜もぉ〜……二人とも、いい加減ケンカしないの。屋敷が壊れちゃうでしょ―――それよりもラム。アキラに何か用があったんじゃないの?」

 

 

「失礼しました、エミリア様。ですが、エミリア様。ジョジョが下半身に物を言わせてエミリア様に襲いかかろうとしているのをラムは使用人として見過ごすわけにはいかないわ―――『正義の道』を歩む事こそ『運命』なのだわ」

 

「テメエが正義を語ってんじゃあねぇ!そう言うテメエは今まで割った皿の枚数をおぼえているのか!?」

 

 

「もぉ〜っ、二人ともケンカしないの!ロズワールが呼んでるんでしょ。アキラも話が進まないからここは我慢してっ」

 

 

「なっとくいかねぇ!!」

 

 

 

 

 

エミリアはいつも喧嘩の仲裁をするときは、大抵、これだ。喧嘩両成敗といいつつも……しれっと俺に我慢しなさいと言ってくる。

 

まるで兄弟喧嘩でお袋が『あなたはお兄ちゃんなんだから我慢なさい』と躾けるようなアレを彷彿とさせる。

 

―――エミリアは俺達のコミュニケーションの輪に入る時、一体どういう立ち位置でいたがっているのだろうか?……無理をして『お姉さん』『お母さん』ポジションに立とうとしているかのような奇妙な違和感がつきまとうんだぜ。

 

 

 

 

 

「―――ジョジョにお客様が来ているわ。急いで来賓室まで来て頂戴」

 

「俺に『客』だぁ〜?それ、アーラム村の連中じゃあねえんだよな」

 

「ええ。ジョジョの治療を依頼していたカルステン領領主『クルシュ・カルステン』様から使者が来たのよ。早く準備して頂戴」

 

「え?……ちょっと待って、ラム。使いの人が来るのは明日の予定じゃなかったの?」

 

「ラムにも詳しくはわかりません。ただ……向こうからは『その異色な精霊使いに興味が湧いたから』としか聞かされていないわ」

 

 

「―――っ!」

 

 

 

 

 

ラムから伝えられたその言葉を聞いて俺の顔に緊張が走った。

 

 

既に先の戦いで一度は退けたスタンドの驚異。

 

 

それに気付いた何者かが俺に探りを入れてるのではないか……

 

 

そんなグレートにヘビーでろくでもない予感がしてならなかった。

 

 

 

 

 




ここからは完全にオリジナル展開です。FGOで言うところの1.5部といったところでしょうか。

リゼロで言うところの第3章は、あえて時間軸を無視するストーリー展開となってしまいます。

二次創作におけるオリジナル展開はかなりリスキーですが、あえてやってみます。

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