DU:ゼロからなおす異世界生活   作:東雲雄輔

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オープニング詐欺。プロモーション詐欺。世の中には蓋を開けてみて騙されたと思うような作品が多数あります。

作品が始まってから一向にスタンドを使わない主人公を見てるとこの作品もタイトル詐欺なのではなかろうかと最近になって思う。


第3話:エルフのヒロインは義理堅い

 

 

 

 

「もう一度言うわ。その人から離れなさい!」

 

 

 

少女からの度重なる警告。言う通りにしない男達に少女はその身から殺気を放ち脅してくる。鋭くつり上がったつり目が細められたことによりその紫の瞳が鋭い眼光を放つ。

 

どうやらあの女の子見た目だけでなくグレートにただ者じゃないらしい。

 

 

 

「ま、待てよ。嬢ちゃん。そんな目で睨まれたら落ち着いて話もできやしねえ。俺達、嬢ちゃんとやりあうつもりはないんだよ。なあ?」

 

「そ・・・そうそう!」

 

 

「―――大の男が三人で一人をよってたかって取り囲んで弱いものいじめするなんて恥ずかしくないの?」

 

 

「・・・“弱いもの”いじめって、地味に傷つくんだぜぇ」

 

 

 

そもそもこの子の乱入がなけりゃあ俺のセクシーコマンドーでもうちっとグレートに立ち回れたろうによぉ。しかし、この状況で援軍に来てくれたことは非常にありがたい。

 

技の発動こそ邪魔されたが、それもここで助けてくれたことでグレートに帳消しだぜ。

 

 

 

「さあ、わかったらわたしから盗んだものを返してっ!」

 

 

「・・・ハ?( ゜д ゜)」

 

「盗んだものだぁ?」

 

 

「とぼけないで。お願いだから!アレは大切なものなの。アレ以外のものなら諦めもつくけど、アレだけは絶対にダメ!今なら、命まで取ろうとは思わないわ―――だから返してっ!」

 

 

 

オイオイ・・・な、なんか話の方向性がおかしくなってきたぞ。このままにしておいて大丈夫なのかよ!でも、ここで迂闊に動くと何か俺にまで被害が及びそうなんだよな。

 

 

 

「お、お前・・・コイツを助けに来たんじゃねえのか?」

 

 

「いいえ。ちがうわ。・・・随分、見慣れない格好ね。どこから来たのかわからないけど。わたしと関係あるのかと聞かれたら無関係だと答えるしかないわっ」

 

 

「盗んだもの・・・もしかしてあの金髪の女のこと言っているのか?」

 

「だったら、それこそ俺達も無関係だ!あの金髪のガキを追っていたらこの野郎が邪魔してきやがったんだっ!」

 

「そーだそーだっ!」

 

 

「・・・嘘を言っている様子じゃないわね。じゃあ、その人があの子の仲間なのね」

 

 

 

何やら勝手な結論を出されてるみたいだが、ここだけは誤解を解いておかなくてはならない。でねえとこの銀髪エルフの女の子まで敵に回っちまったらえれぇことだ。

 

 

 

「断じて違えよっ!俺もあの子とは初対面だ。コイツらに絡まれていたみたいだから運悪しく通りすがった俺が仕方なく手を貸しただけだ―――もっとも俺はどうやら囮にされちまってこのザマだけどよぉ」

 

 

「そう。何だかよくわからないけど・・・複雑な関係みたいね。でも、あの子と関係があるのは間違いないみたいね――――ねえ、あなた、あの子がどっちの方へ逃げていったかわかる?」

 

 

「やれやれ・・・現在進行形でチンピラ三人に袋叩きにされている“弱いもの”にはわからねえよ」

 

 

「そう。それもそうね。あなたは無関係な通りすがりで善意で仕方なく助けただけだものね」

 

 

「―――あ・・・あの女の目・・・養豚場の豚でも見るかのように冷たい目だ。残酷な目だ・・・『かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね』って感じのっ!」

 

 

「失礼ねっ。そこまで非道いことは思ってないわよっ!」

 

 

 

俺の渾身の皮肉もこの子には通じなかったようだ。やれやれ、よくも悪くも正直というか真っ直ぐというか融通が効かないのが弱点らしい。

 

 

 

「たぶんあんたが探してるガキなら、壁を越えた向こう側だぜ。ここに入って行くのは見えたけど俺達が来たときにはもういなかったからな」

 

 

「そう・・・とにかくここには犯人はいないのね――――急いで追いかけなくちゃっ!!じゃあ、わたし急いでいるからごめんね!《タッタッタッタッ!》」

 

 

 

銀髪エルフの子は目的の人物がいないとわかるや俺達の横を素通りして奥の方へと走っていった。

 

 

 

「う~~~~ううう・・・あんまりだ」

 

「残念だったな。せっかく助けが来たと思ったのによぉ」

 

「―――HEEEEYYYYッッ!!あァァァんまりだァァアァッッ!!AHYYY!AHYYY!AHY!WHOOOOOOOHHHHHHHHッッ!!」

 

「うるせぇ、泣くなっ!そのうっとおしい泣きかたをやめろっ!」

 

 

 

さらっと見捨てられたことに柱の男の如く号泣する俺。ただ泣いているように見えるがそれは違うぜ。俺は荒っぽい性格なんでな。激昂してトチ狂いそうになったので泣きわめいて頭を冷静にすることにしたのだ。

 

 

 

タッタッタッタッ・・・ぴたっ

 

 

「《くるっ》―――――だからって見逃せる状況じゃないわよね」

 

 

ドキュンッ! ドキュンッ! ドキュンッ!

 

 

「ごぉわっ!?」

 

「ぐぎゃぁあっ!!」

 

「おぐ―――っ!?」

 

 

 

銀髪エルフの女の子は突然踵を返してチンピラ三人に向けて手をかざすと勢いよくなにかを発砲した。見るとそれはソフトボールよりも一回り大きいくらいの氷の弾丸だった。

 

 

 

「これはまさしく―――『エ●ラルドスプラッシュ』っ!?」

 

「あなた、頭、大丈夫?」

 

「ええっ!?いくら俺でも出会って間もない女にいきなり『アタマ大丈夫』って心配されるほど病んでないぞっ!」

 

「違うわよっ。さっき顔を強く殴られていたでしょう。わたしが心配していたのはそっち」

 

「だったら、最初からそう言ってくれよぉ。聞き方に悪意があるぜぇ」

 

 

 

少女は俺の思っていた以上に真っ直ぐな性格だったらしい火急的速やかに解決せねばならないことがあるにも関わらず俺のためにこうして残ってくれたのである。

 

 

 

「ぷ…―――ふざけやがってぇええっ!!魔法使いだろうが、なんだろうがブッコロスっ!!俺を本気にさせてただですむと思うなっ!!《シャキッ!》」

 

 

「グレートッ・・・光物を出してきやがったか」

 

 

「その足手まといを抱えた状況で俺達に勝てると思ってんのかぁあああっ!!」

 

 

『――――やめときなよ。この子に何かしたら君たちただじゃあすまないよ』

 

 

「・・・なんだ、この声?」

 

 

 

どこからともなく聞こえてきた子供のような謎の声に周囲を見回す。しかし、ここには俺達5人以外誰もいない。

 

 

 

ぴょこっ♪

 

 

「―――ニャゥ!」

 

「さあ、これでもまだ戦うつもりっ?」

 

「うわっ、何コレ!?メッチャ可愛い!猫じゃん!猫、猫!」

 

「・・・ちょっと邪魔しないでよっ」

 

 

 

銀髪エルフの女の子の手にとても愛くるしい二足歩行の猫が現れ。俺は一目でその愛くるしさに釘付けになった。

 

 

 

「―――テメエ、『精霊術師』か!?」

 

 

「いかにも。今すぐおとなしく引き下がるなら後は追わないわ。すぐ決断して。5秒以内に」

 

 

「クソアマァっ!!覚えてろっ!いつかこの借りは必ず返すからな!」

 

 

「さっき言った言葉、聞いていなかったのかい?『この子に何かしたらただじゃあおかない』って―――精霊はおっかないからねぇ。末代まで祟るよ」

 

 

「―――――ひっ!?く、くそぉ・・・覚えていやがれぇ!!」

 

 

 

愛くるしい猫精霊が愛くるしい声で凄んでも俺としては可愛らしさしか感じないのだが、チンピラ三人はえらく怯えた様子で逃げていった。

 

どうやら精霊というだけあって見た目によらず恐ろしいスペックを秘めているらしい。FFでいうところの“召喚獣”みたいなものか。となるとこの子はさしずめ“召喚師”に当たるわけか。

 

――――――なんだろう、そう思うと妙にコイツが哀れに思えてきたぜぇ。具体的には『一時の平和の礎となるために壮大で悲しい旅に出る運命を背負わされたヒロイン』のようによぉ。

 

 

 

「さてと。ケガはない?・・・と言いたいところなんだけど。あなたには聞きたいことが――――ねえ、あなた何してるの?」

 

「なあなあ!何だ、その可愛い生き物!?そいつ撫でてもいいか?是非ともモフりたい《ワクワクワクワク》」

 

「――――ダメよ。ちゃんと質問に答えてから」

 

「それだと質問に答えたらボクを撫でていいみたいになってるよ」

 

 

 

女の子の言葉に猫は不満そうに声をあげる。よくよく考えたらちゃんと話ができるんだから本人(本猫?)に許可をとるのが先だったな。

 

 

 

「なあなあ、撫でてもいいか、お猫様?具体的にはモフモフして肉球を触りたい」

 

「う~~~~ん・・・見たところ邪念はないみたいだし。いいよ。ただし、この子にちゃんと協力することが条件だね」

 

「協力って・・・俺にできることがあるとは思えんが」

 

「――――ちょっと!パックとばかり話してないでわたしの質問に答えなさいよっ!あなたに聞きたいことがあるのはこっちなんだから《ぐいっ!》」

 

「っ――――おぅちっ!!」

 

「あっ・・・ごめんなさいっ」

 

 

女の子が肩を引っ張った弾みで殴られた部位があちこち悲鳴をあげた。こんなことになるなら多少無茶してでもあいつらを蹴散らしておくんだったぜ。

 

 

 

「本当にごめんなさい。あなたに乱暴するつもりはなかったの」

 

「いいっていいって。ちゃんとわかってっからよぉ。お前が来てくれたお陰でピンチを脱することができたんだぜぇ。感謝してるよ」

 

「――――――っ《パァアアアアッッ》」

 

「え?何だ、それ」

 

「動かないで。じっとしてて《コォオオオオオッ》」

 

 

 

少女が俺に手をかざすと少女の手から青白い光が放たれ俺を優しく包み込んでいく。それと同時に全身の痛みが薄れていくのを感じる。

 

 

 

「―――終わったわよ。これでもう何ともないでしょ」

 

「おおっ!本当だ。ありがとなん!すげえ。今のがいわゆるベホマってやつか。実際に体験したのは初めてだぜ」

 

「・・・“ベホマ”?」

 

「回復魔法だとか回復呪文の俗称だよ。ケアルガって呼ぶやつもいるかな」

 

「ふ~~~~ん・・・――――じゃなくて!」

 

「「え?」」

 

 

 

猫神様と戯れていた俺に女の子はツッコミをいれてくる。今のやり取りの中で何か不味いことでもあっただろうか?

 

 

 

「勘違いしないでね。あなたを助けたのもあなたを治したのもわたしのためなんだから。パックに触らせてあげたのもあなたに喋ってもらいたいことがあったから。ただそれだけなんだからね」

 

「・・・うん?」

 

 

 

何かこの銀髪エルフのお嬢様は突如として奇妙な理屈を語りだした。言わんとすることはわかるんだが変にツンデレ要素が混じってるせいでわかりにくいぜ。

 

 

 

「あなたにはわたしの一方的な要求に答えてもらうわよ」

 

「つまり、お前は意地でも自分に恩義や謝恩を感じてほしくないわけね」

 

「そんなこと言ってないじゃないっ!わたしは徽章を盗んだ犯人についての情報を要求しているのっ!さあ、言いなさいっ」

 

「・・・う、う~~~~むっ」

 

 

 

どうしたものかな。この子がすごく良い子なのはわかるんだがよぉ。俺は生憎あの銀髪少女のことなんて全然知りやしねえし。かといって俺のためにここまでしてくれた女の子を『1ミリも知りません』の一言で切り捨てるような不義理は果たせねえ。

 

 

 

「―――ねえ、あなた本当にもしかして何も知らないの?」

 

「ああ。さっき話した内容に一切嘘はねえよ。そもそも俺があの子と出くわしたのは偶然だ。しかも、俺はあの三人から逃げるためのスケープゴートにされちまったから・・・さっきの情報以上のことは何もわからねえ」

 

「―――――・・・パック」

 

「うん。この人は間違いなく嘘はついてない。徽章のことも知らないようだしね」

 

「・・・そう」

 

 

 

何故か俺は全く悪くないはずないのに妙に罪悪感を感じてしまう。徽章というものが何なのかはわからないが、この子にとってはよっぽど重要なのだろう。この子は多分、金銭とかへの執着がなく自分の物欲だとかそういうものが希薄なタイプだ。

 

――――そんな子が自分の都合を犠牲にして助けてくれたんだからよぉ。このまま引き下がったんじゃあ男が廃るぜ。

 

 

 

「仕方ないわね。でも、あなたは充分な情報をわたしに与えてくれたわ。『あなたは何にも知らない』その情報をわたしはもらうことができたから、あなたの怪我を治した対価は十分にもらったわ」

 

「話せば話すほどお前だけが損していると言う罪悪感に駈られるのは俺だけか?」

 

「そ、損なんかしてないわよ。わたしは自分のためにやったの!あなたがまた今度困ったことになってもわたしは絶対に助けたりしないんだからねっ!あなたを助けることでわたしが得られるメリットがないんだもの。だから、今後は余計なことに首を突っ込まないようにしてね。こういう人気のないところに立ち入ったりしちゃダメよ!これは心配じゃなくて忠告っ――――いいわねっ!」

 

 

 

そう一方的に言い残すとエルフ少女はあくまでも凛とした佇まいで背を向けて冷たいふりをして去っていった。

 

 

 

「なんか遠●凛みたいなやつだな。アレじゃあ将来損する羽目になっぞ」

 

「ゴメンね。素直じゃないんだよ、うちの子。変に思わないであげて」

 

「―――その心配はないぜぇ。変なやつだとは思ってないからよぉ。ただまあ・・・心根の底から変わったヤツだなとは思うぜぇ。生まれてこの方あんな素直じゃないお人好しを見たことないからよぉ」

 

「・・・そうだね。だから放っておけないんだ。うちの子は素直じゃなくて優しいから」

 

「お前もか。奇遇だな―――ヘヘッ、俺もだぜ!お前らの人探しに俺も一枚噛ませろよ。いい目を出すぜぇ。俺はよぉ」

 

「いいのかい?君まで損することになるかもよ」

 

「お生憎様。俺はこの世界で失うものがなくてなぁ。お陰で人探しする時間は腐るほどあるぜ」

 

 

 

猫精霊は俺の行動に納得がいかないようだったが、俺は強引に話を押し進めた。あの銀髪のエルフの女の子を手伝えるチャンスは今をおいて他にねえんだからよ。

 

 

「――――おいっ、待ってくれよ。なあ!」

 

「何かしら?もうわたしに用はないと思うんだけど」

 

「一つ言い忘れていたことがあってな。俺もお前から大切なものとやらを盗んだヤツを探しているんだよ。俺はあいつを探し出してどうしても一言文句を言ってやらなきゃなんねえんだよ」

 

「・・・それがわたしになんの関係があるの?」

 

「だからよぉ。要するに俺も手伝うって話だ。あんたと一緒に探し回っていた方が俺も効率がいいことに気がついた。あんたと同じだ。俺が一方的に得をさせてもらおうって考えだ」

 

「・・・・・・。」

 

「悪くねえだろ。そっちも使える人手があるに越したことはねえだろうしよぉ」

 

 

 

俺が『銀髪エルフ論理』を駆使して畳み掛けるもこの少女はまだ納得できないらしい。自己流の所謂“俺得理論”を使われて、断る言葉が思い付かなくて困っている様子だ。

 

しかし、そこに猫神様からの援護射撃が入った。

 

 

 

「いいじゃないか。この子の言うことももっともだと思うしお言葉に甘えておきなよ」

 

「でも、わたしは―――」

 

「闇雲に一人で王都を探し回るのはいくらなんでも無謀だよ。人手は多いに越したことはないと思うなぁ」

 

「だって、彼はもうわたしとは関係なくて・・・」

 

「意地を張るのも可愛いと思うけど、意地を張って目標を見失うのは愚かしいと思うよ。ボクはボクの娘が馬鹿な子だと思いたくないなぁ」

 

 

 

エルフの少女は俺の様子を見て暫し黙考して悩んでいたようだったが口に手を当てて一言だけ呟いた。

 

 

 

「――――あなた、変な人なのね」

 

「お前に言われたくねえよっ!!」

 

 

 

とりあえず何とかこの頑固な少女を納得させることには成功したらしい。残る問題はあのコソドロ金髪女をどうやって探し出すかだぜ。

 

 

 

 

 

 

 




主人公は基本的に結果さえよければそれで良しなタイプ。過程や……!方法なぞ……!どうでもよいのだァーーーーッ !!
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