ベルが流派東方不敗継承者なのは間違っているだろうか?   作:友(ユウ)

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第十六話 ゲルマン忍者、オラリオに立つ!

 

 

 

【Side ????】

 

 

 

 

『やるんだ! デビルガンダムの呪いから私達を解き放つためにも! 頼むドモン! デビルガンダムに最後の一撃を!!』

 

私は弟に向かって叫ぶ。

 

『……………………わかった』

 

しばらくの葛藤の後、弟は頷いてくれた。

弟が操るゴッドガンダムがハイパーモードを発動。

その拳にシャッフルの紋章が浮かび上がる。

 

『……………兄さん………!』

 

弟の泣きそうな震えた声。

フッ、大きくなっても泣き虫な所は変わっていないな。

 

『ばぁぁぁぁぁく熱ッ………!』

 

その手に生み出される輝き。

私達を解き放つ希望の光。

 

『石破ッ! 天驚けぇぇぇぇぇぇん!!』

 

その輝きが弟の手から放たれた。

私の、私達の視界が光で埋め尽くされていく。

2つに分かれてしまった心と身体。

それが今一つになる…………

 

『『ありがとう…………ドモン』』

 

同時に紡がれた弟への感謝の言葉。

そして、

 

『兄さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!』

 

消えゆく意識の中、最後に聞こえた弟の慟哭の叫び。

すまないドモン。

辛い選択をさせてしまったな。

だが、本当に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無の中を私は漂う。

ようやく私はデビルガンダムの呪いから解き放たれた。

デビルガンダムに操られていたとは言え、私は多くの罪を犯してきた。

だが、叶うことならば母さんと同じ場所に行きたい。

そう思った。

…………思った?

何故だ?

何故私に意識が残っている?

私はあの時に死んだ筈では?

そこまで思い至ったとき、光を感じた。

 

「ううっ………」

 

意識が浮上する。

最初に視界に映ったのは、見知らぬ天井。

しかも作りは木造で、かなり古い建築技術を思わせる。

 

「こ、ここは………?」

 

思わず疑問を口にする。

何故私が生きているのか。

なぜベッドの上で寝ているのか。

未だ理解が追いつかない。

すると、

 

「気が付いた? 自分の名前は言える?」

 

すぐ横から聞こえた女性の声。

いや、まだ少女といった年頃か。

頭に付いている変わったアクセサリーが気になったが、私は彼女の質問に答えようとして、

 

「私はキョウ………うっ」

 

自分の名を答えようとして、頭に痛みが走り、別の記憶が浮かび上がる。

 

「いや、シュバ………ううっ………!」

 

その記憶の通りの名を出そうとした所、またもや頭に鋭い痛みが走り、元の記憶が浮かぶ。

何故か記憶が2つある。

しかも記憶が混同し、記憶が浮かぶたびに頭に痛みが走る。

 

「すまない………記憶が混乱しているようだ…………少し時間をもらいたい………」

 

私は名も知らぬ少女に言う。

 

「いいけど………変な真似したらすぐに追い出すから」

 

少女はそう忠告し、部屋を出て行く。

私は深呼吸し、現状を把握するべくゆっくりと記憶を掘り起こした。

 

「……………………」

 

その際に気付いたことは、私の中には2つの記憶がある。

いや、正確には分かれてしまった光と影がまた再び1人に戻り、同化したと言うべきか。

 

「身体は…………生身の肉体か………」

 

どういう訳か、自分の身体は健康で無傷の生身の肉体。

生命力を吸われ続けて瀕死の状態でもなければ、DG細胞の欠片もありはしない。

 

「一体何が起こったというのだ…………」

 

瀕死の状態ならば、まだ奇跡的に生き残ったと理由を付けることも出来る。

だが元々瀕死だった生身の身体と、DG細胞で作り上げられた仮初の身体だったものが、全くの無傷の生身であり、服すら新品同然だったことに説明がつかない。

それに奇跡的に生き残ったとしても、運び込まれるのは病院の筈。

この様な古い様式の建築物に運び込まれる事はまずない。

ひたすら考えに没頭していると、時間が経っていたのか、

 

「落ち着いた?」

 

扉を開け、先ほどの少女が入ってきた。

 

「ああ、すまない。世話になったようだな」

 

「そう。じゃあ悪いけど大丈夫なら早く出てって欲しい。ウチにはタダ飯を食わせる余裕は無い」

 

淡々と言葉を紡ぐ少女。

言い方は少々乱暴だがその言葉に嘘は感じられず、どうやら本当に切羽詰まった状況であるようだ。

ふと見れば、ロングスカートと上着の間あたりから、何か尻尾のようなものが覗いている。

…………頭にある犬のような耳のアクセサリーといい今の尻尾といい、この子の趣味だろうか?

いや、他人の趣味に口出しするほど野暮ではないが。

私は気を取り直し、

 

「そうか、迷惑をかけた」

 

私は言われた通り立ち去るために立ち上がろうとして、

 

「おぉーい! ナァーザ!」

 

突然男性の声がした。

扉の向こうから足音が聞こえ、次の瞬間に扉が開いた。

そこには美男子といえる容姿の整った男性がおり、入ってきた瞬間目を丸くしてこちらを見つめていた。

 

「な………な………ナァーザが男を連れ込みおった!?」

 

身体を仰け反らせ、少々大げさな身振りで驚愕することを表す男性。

 

「バカなこと言わないで。店の横で行き倒れてた馬鹿を拾っただけ。私が無視してもどうせミアハ様が拾うと思ったから先に拾っただけのこと」

 

歯に衣着せぬとはこういう事を言うのだろうか?

少女は感情の起伏が少ないのか、淡々とそう言うだけだ。

 

「そうか! それは大変だ! お客人、遠慮せずにくつろいでいくと良い!」

 

男性はおおらかな態度を見せるが、逆に少女は目を細める。

 

「私はミアハという。こちらはナァーザだ。お客人、名前を伺ってもよろしいか?」

 

ミアハ?

ミアハという名前は、どこかの神話に出てきた名前だったような………

 

「どうかしたか、お客人?」

 

「む、すまない。少々考え事をしていた」

 

ただの偶然だろう。

そう思った私は佇まいを直す。

そして、デビルガンダムから解き放たれた私が名乗るべき名は、

 

「私はキョウジ。キョウジ・カッシュという。改めてお礼を言わせてもらいたい」

 

私は名乗り、頭を下げる。

 

「キョウジ…………名前の響きからするとタケミカヅチの所と同じ…………」

 

「極東の出身………?」

 

タケミカヅチ…………

確かそれはネオジャパン…………日本で古くから信仰されてきた武神の名前だ。

こちらは間違いない筈。

だが、極東の出身とはどういうことだろうか?

 

「客人………いや、キョウジ殿? どうかなされたか?」

 

再び考え込んだ私にミアハさんが怪訝な表情を向ける。

 

「いや、先程あなたの口からでたタケミカヅチという名と同じ名の神を知っていたのでな。少々驚いていた」

 

「ほう! タケミカヅチの知り合いか!」

 

「いや、その名と同じ神の名を聞いたことがあるだけだ。その人物を知っているわけではない」

 

「何を言っている? タケミカヅチという『神』を知っているのだろう。それならばタケミカヅチで間違いあるまい」

 

その言い方に引っ掛かりを覚えた私は聞き返した。

 

「待て。何を言っている? その言い方ではまるで、その者が『神』であるというように聞こえるのだが?」

 

「だからそう言っておるではないか。タケミカヅチは『神』だぞ。まあ、この私も『神』なのだがな」

 

「なん……だと………?」

 

どういうことだ?

タケミカヅチは『神』であり、目の前にいるミアハさんも『神』だと。

 

「……………すまない。情報が欲しい。何でもいい、この場所に関することを教えていただきたい」

 

「「?」」

 

私の言葉に2人は不思議そうな顔をしながら顔を見合わせた。

 

 

 

 

 

 

正直、狐につままれた気分だった。

2人の口から出る言葉は、私の常識が通用しないものばかり。

太古の昔から存在する迷宮、『ダンジョン』。

そこから溢れ出る怪物、『モンスター』。

地上に降り立った『神々』。

神々の恩恵を受け、ダンジョンを探索する『冒険者』。

ダンジョンを中心に発展してきた迷宮都市『オラリオ』。

正直、創作小説の設定を聞かされているのではと思った程だ。

だが、極めつけはナァーザさんの耳と尻尾がアクセサリーではなく、本物だということ。

ナァーザさんは犬人(シアンスロープ)という獣人なのだそうだ。

ここまでくれば、出てくる答えは一つ。

ここは地球ではなく、

 

「…………異世界…………というものか………」

 

信じられないというのが本音だが、受け入れるしかあるまい。

 

「どうかした?」

 

ナァーザさんが問いかけてくる。

 

「お二方、私の話を聞いて欲しい。正直、信じられない話だとは思うが………」

 

私は、自分の状況を簡潔に話すことにした。

 

 

 

 

 

「…………私の話は以上だ」

 

私は自分の状況を話し終えた。

ナァーザさんは訝しげな目を私に向けている。

それもしかたあるまい。

私とてこの場にいることが信じられないのだから。

 

「要するにキョウジ殿は、異世界でその悪魔の化身とも呼べる出尾留頑駄無とやらに取り込まれたが、己が分身を生み出し弟を導き、その弟に自分を討ってもらったはずだが、気付けばここに居たと?」

 

「ああ。正直、信じてもらえるとは思ってはいないが………」

 

「いや、子供達は『神』に対して嘘は吐けん。少なくとも、キョウジ殿からは嘘を感じなかった」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。信じよう、キョウジ殿を」

 

「ありがとう」

 

私は頭を下げる。

 

「それでキョウジ殿。貴殿の話が真実ならば行く当てはあるまい。身の振り方が決まるまでは私の【ファミリア】で面倒を………」

 

「ミアハ様! それは………」

 

神ミアハの言葉を遮るようにナァーザさんが声を上げるが、

 

「それについては提案がある!」

 

更にその言葉を遮るように強めの口調で言葉を放った。

2人は驚いたように私の方を向く。

 

「神ミアハ。私をあなたの【ファミリア】へ加えていただけないだろうか?」

 

「「!?」」

 

2人が驚愕の表情を見せる。

 

「い、いや、私としては嬉しい申し出だが、そなたは良いのか? 自分で言うのも何だが、私の【ファミリア】は落ちぶれていて、【眷属】もこのナァーザ1人しかいない。もっと他の【ファミリア】を探してからでも遅くは………」

 

「神ミアハ!」

 

神ミアハの言葉を私は遮る。

 

「あなたの困っている者を見過ごせぬその思いは素晴らしいものだ。しかし、それによって自分の守らなければならない者に負担を背負わせてしまっては、本末転倒ではないか?」

 

私はナァーザさんを見る。

 

「ナァーザさんの様子を鑑みるに、この【ファミリア】の状況は思わしくないのでしょう。神ミアハとは違い、ナァーザさんは私を置いておくのは反対のご様子」

 

「ッ!?」

 

「ナァーザ!?」

 

「おそらくナァーザさんも本心では無いのでしょう。しかし、【ファミリア】存続のためには私という穀潰しは早めに出て行ってもらいたい、と言ったところか」

 

「…………否定はしない」

 

「ナァーザ!」

 

神ミアハは叱るように叫んだ。

 

「私とて恩があるあなた方を困らせたくは無い。しかし行くあてもない。となれば、あなた方の【ファミリア】の一員になれば、あなた方に恩を返せる上に、私も住む場所には困らない。先程も話したとおり、今の私は元々のキョウジの身体に分身体の記憶が融合した状態だ。即戦力にはならなくとも、戦闘の経験もある上に、これでも元の世界では学者だったのだ。知識面でも役に立つ部分はあるだろう」

 

「………………」

 

ナァーザさんは考えるように何度か頷くと、

 

「私は賛成する」

 

「ナァーザ! 虫がよすぎるぞ!」

 

「キョウジの言うとおり私達の【ファミリア】の状況は最悪。正直、あと数ヶ月持つかどうかも怪しいところ。それに、私はダンジョンに潜れない」

 

ナァーザさんはそう言いながら、右腕の袖を捲くり上げる。

そこには生身の腕ではなく銀色の義手が存在していた。

 

「モンスターにやられたのか?」

 

私の言葉にナァーザさんは頷く。

 

「簡単に言えば、今の私はモンスター恐怖症。どんなモンスターが相手でも、目の前にすると震えが止まらなくなっちゃう。そして、右腕を失った私にミアハ様がこの義手を用意してくれた。とんでもない借金と引き換えに…………他の団員はその負債に呻いて、ミアハ様を見限って皆出ていった。製薬の知識と技術は先輩達に教わっていたから薬師には転職できたけど………借金を返せるほど、お金も録に稼げない」

 

「ナァーザ」

 

「だからあなたが【ファミリア】に入ってくれた方が、ずっとミアハ様の役に立つ。役立たずな私と違って」

 

「ナァーザ、もういい。止めよ」

 

今にも泣き出しそうな雰囲気を持つナァーザさんを、神ミアハは静かな声で黙らせる。

 

「すまぬ。まるで情につけ込むような真似をしてしまった。今の話は忘れてくれ。だが、今言ったとおり私は莫大な借金を抱え込んでいる。キョウジ殿の気持ちは嬉しいが、やはり他の【ファミリア】に………」

 

「神ミアハ。私はその話を聞く前に既にあなたの【ファミリア】に入ると言ったはずだ。そして何より、今の話を聞いて更に決意が固まったと言えよう」

 

「…………本当に良いのか?」

 

「愚問だ」

 

私は言い切る。

 

「…………感謝する」

 

神ミアハは頭を下げた。

すると、ナァーザさんに向き直り、

 

「ナァーザ」

 

「はい………」

 

「先程、お前は自分を役立たずだと言ったな」

 

「…………はい」

 

「私は、ただの一度もそんな事を思ったことはない」

 

ナァーザさんは目を見開くように驚いている。

私はそのやり取りを見て、自然に口元に笑が浮かぶ。

 

「神である私はお前に何度も救われている。例え以前より貧しき身に成り下がっていようが、私はお前のおかげで満たされているのだ。だからもう自分を責めるな」

 

「………それは命令ですか?」

 

「いや、懇願だ。お前を誰よりも思う私の、心からのな」

 

ナァーザさんの頭に手を添える神ミアハ。

おそらく神ミアハにはその様な気はないのだろうが、ナァーザさんの頬は赤く染まっており、少なくともただの主従関係だけの想いではあるまい。

2人をしばらく見つめていると、神ミアハが私に向き直る。

 

「恥ずかしい所を見せたな。ではキョウジ殿…………いや、これからは同じ家族(ファミリア)になるのだ。これからはキョウジ、と呼ばせてもらおう」

 

「よろしく頼む。神ミアハ」

 

「私の事もナァーザでいい。よろしくキョウジ」

 

「ああ、よろしく頼む。ナァーザ」

 

改めて挨拶を交わすと、

 

「ではキョウジ。そなたに【恩恵】を刻もう。上着を脱いでこの椅子に座ってくれ」

 

私は言われた通り上着を脱ぐ。

脱いだ上着はナァーザが持ってくれた。

 

「では、【恩恵】を授けよう」

 

神ミアハは私の背中に触れる。

どうやら【恩恵】を刻んでいるようだ。

少し時間が経つと、

 

「よし、終わりだ」

 

そう言い、用紙――おそらく羊皮紙だろうか――を取り出し、それに私の背中に刻まれた【神聖文字(ヒエログリフ)】を共通語(コイネー)と呼ばれる言葉に書き直して写す。

そこで、

 

「ほう。最初から【スキル】が発現しているとは珍しいな。しかも【レアスキル】か………」

 

【スキル】というのは経験を積んだ冒険者が希に発現させる特殊能力。

そして【レアスキル】は今まで誰も発現させた事のない【スキル】の事らしい。

神ミアハは【ステイタス】を写し終えた紙を私に見せてくれる。

だが…………

 

「…………………」

 

………読めん。

私は言葉が通じていたために文字が違う可能性を失念していた。

 

「すまない神ミアハ。恥ずかしながら字が読めない。口頭で教えてもらえないか?」

 

「おお、すまぬ。お前は異世界の出身であったな。文字が読めなくとも不思議ではない」

 

神ミアハはそう言いながら、私の【ステイタス】を読み上げてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

キョウジ・カッシュ

 

Lv.1

 

力  :I0

 

耐久 :I0

 

器用 :I0

 

俊敏 :I0

 

魔力 :I0

 

 

 

《魔法》

【】

 

 

《スキル》

覆面忍者(シュバルツ・ブルーダー)

・覆面を被る事で発動

・【ステイタス】を変化させる。

 

 

 

 

 

 

 

「……………スキル、【覆面忍者(シュバルツ・ブルーダー)】………か………」

 

その名前に偶然とは思えない因果を感じる。

 

「一時的に【ステイタス】を上昇させるスキル?」

 

「だが、“上昇”ではなく“変化”ときた。正直試してみなければわからん。ナァーザ、覆面は何処かに無いか?」

 

「そんな都合良くは……………」

 

ナァーザがそこまで言った時、持っていた私の上着からパサリと何かが床に落ちた。

 

「………何これ?」

 

ナァーザが床に落ちた何かを拾う。

 

「そ、それは………!」

 

それを見たとき、私は驚愕した。

黒、赤、黄の三色が縦に分かれたその覆面。

紛れもなく、シュバルツ・ブルーダーが使っていた覆面そのものだった。

 

「…………これも因果か………ナァーザ、それを私に」

 

「う、うん…………」

 

ナァーザから覆面を受け取り、私はそれを被った。

それと同時に、

 

「こ、これは…………!?」

 

私の背中を見ていた神ミアハが驚愕の声を漏らす。

 

「【ステイタス】が………変化していく…………」

 

そして、

 

「な、何だこれは!?」

 

今までで一番と思われる神ミアハの驚愕の声が響いた。

 

「何があった?」

 

私は尋ねる。

 

「す、少し待て!」

 

神ミアハは慌てて新しい用紙を取り出し、再び【ステイタス】を写していく。

そして、

 

「ナ、ナァーザ! これを見てみろ!」

 

神ミアハは新しく書き写した【ステイタス】をナァーザに見せる。

 

「………………………………………何これ?」

 

長い沈黙の後、ナァーザが呟いた。

 

「一体どうしたというのだ?」

 

私が尋ねると、

 

「う、うむ………真に信じられんのだが…………」

 

神ミアハはしどろもどろになりながらも変化した【ステイタス】を語りだした。

 

 

 

 

 

 

シュバルツ・ブルーダー

 

Lv.ゲルマン忍者

 

力  :引導を渡してくれるぅーーーーーッ!!

 

耐久 :打倒など無理の一言ォーーーーーッ!!

 

器用 :修行が足りんぞ!

 

俊敏 :どうした! 隙だらけだぞ!!

 

魔力 :馬鹿者ォーーーーーッ!!

 

忍者 :それそれそれそれぇーーーーーーッ!!

 

 

《魔法》

【】

 

 

《スキル》

【ゲルマン忍法】

・ゲルマン忍法

 

 

 

【明鏡止水】

・常時発動

・全【ステイタス】激上昇

・精神異常完全無効化

 

 

 

 

 

 

「ふむ、さっぱりわからん」

 

私は率直な感想を述べる。

スキルの欄にあるゲルマン忍法と明鏡止水はわかるがそれ以外はさっぱりだ。

だがもしや…………

私は立ち上がり、数歩歩いて2人に向き直る。

 

「どうしたキョウジ?」

 

神ミアハが怪訝そうな表情を向けてくる。

そこで私は、少し速く動く感覚で2人の後ろに回った。

 

「なっ!? き、消えた!?」

 

「何処に…………!?」

 

どうやら2人には私の動きを捉えることが出来なかったらしい。

 

「後ろだ」

 

私が声をかけた所で同時に2人は振り返り、私の存在に気付く。

 

「どうやらこの状態では、シュバルツ・ブルーダーの力が使えるようだ。 それに伴い、身体能力も上がっている」

 

私はほぼ確信した結論を述べる。

 

「そ、そうか………まあ、ダンジョンに潜るにあたって強くて悪いことはない。頼もしいスキルだと思っておけばいいだろう」

 

「わかった。それで、これから私は何をすればいい?」

 

「まず、冒険者になるにあたって、ギルドでの冒険者登録が必要。今日はもう遅いから、明日の朝に行く。私も付いてってあげる」

 

「頼む。それと、もう一つ頼みがある」

 

「何?」

 

「こちらの文字を教えて欲しい。先程も思ったが、読み書きが出来なければ困ることが多いだろうからな」

 

「ん、わかった。必要な事は教える」

 

「感謝する」

 

 

 

 

 

あてがわれた部屋で私は思う。

異世界に来て私は新たな絆を得た。

だが、弟は………ドモンは無事にガンダムファイトに優勝できただろうか?

最早ドモンの家族は父さん1人………

いや、レインがいたな。

ガンダムファイトの勝敗がどうあれ、彼女ならずっとドモンを支えてくれるだろう。

最早会える術はないが、私はお前の幸せを心から願っているぞ。

元の世界に別れを告げるように心の中で思い、私は眠りについた。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにキョウジは3日で共通語(コイネー)を完璧にマスターしたらしい。

 

 

 

 

 






第十六話です。
ベル君が出てこなかった!
オールキョウジサイドでした。
師匠と同じくキョウジがこの世界にきたのは永遠の謎!
突っ込まないでください。
さて、キョウジが学者なのでLv.が1なのは当然だなと思ったアナタ!
残念だったな!
Gガンキャラが普通なわけがないだろう!
てなわけで、シュバルツINキョウジでした。
今回はどうでしたでしょうか?
シュバルツの【ステイタス】のはっちゃけぶりが伝わったでしょうか!?
それでは次回に、レディー……………ゴー!!!


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