ベルが流派東方不敗継承者なのは間違っているだろうか?   作:友(ユウ)

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ROUND【13】 戦争遊戯(ウォーゲーム)開始! 参上シャッフル同盟!!

 

 

 

 

 

戦争遊戯(ウォーゲーム)】開催決定から2日後。

オラリオの街の前に広がる平原に数えきれないほどの冒険者が集っていた。

それは全て、ベル(不敗)に引導という名の八つ当たりをするために集った者達である。

まあ、仕える主神に命じられて仕方なく来た者達もそれなりにいるが………

 

「ぶっ殺せーーーーっ!!」

 

「死~ね~や~~~~!!」

 

「血の雨見せたる!!」

 

殆どの冒険者は血気盛んである。

すると、そんな血気盛んな冒険者達の間を、彼らとは違う冷静な雰囲気を纏った大男が横切る。

あれだけはしゃいでいた冒険者達が静まり返ってその男の前から道を作るように別れた。

その男は冒険者達を意に介さずにそのまま通り過ぎる。

冒険者達はその男を見送ると、

 

「オッタル来た! これで勝つる!!」

 

「勝利の女神(フレイヤ)様は我らにあり!!」

 

大歓声を上げた。

今横切ったのは、【フレイヤ・ファミリア】に所属しているオラリオ唯一のLv.7。

最強の冒険者である【猛者(おうじゃ)】オッタルだったからだ。

オッタルが参加すると分かって更に盛り上がる冒険者達。

そんな冒険者の大軍を遠巻きに見ているのは、広い草原にポツンと立つ5つの人影。

 

「おうおう。向こうの奴らは盛り上がってんなぁ」

 

ヴェルフ(不敗)が右手を額に当てて日光を遮るようにしながら冒険者達を眺める。

 

「ふう………もうすぐ帰れるというのに、ベル様は何もしなくてもトラブルを引き寄せるのですね」

 

そんな事を言うリリ(不敗)。

 

「いや! 僕の所為じゃないよ!?」

 

ベル(不敗)はそう反論するが、

 

「何言ってるんですか? ベル様とアイズ様が堂々とデートしたからこんなことになったんでしょうに」

 

「うぐぅ…………」

 

リリ(不敗)の返しに言葉に詰まるベル(不敗)。

 

「………………ごめんなさい」

 

一緒に居たアイズ(不敗)が申し訳なさそうに謝った。

 

「いや! アイズの所為じゃ…………!」

 

ベル(不敗)は慌ててアイズ(不敗)を止める。

 

「まっ、俺としちゃあ憂さ晴らしに暴れられるんなら何でもいい」

 

ベート(不敗)がボキボキと手の関節を鳴らしながら軽くストレッチをしている。

傍目から見れば5人VS冒険者数千人というふざけた戦いではあるのだが、5人は全く気負うことなくリラックスしている。

 

 

 

オラリオの街の方でも、参加しない冒険者達や一般人などが『神の鏡』で観戦している。

まあ、大方の見物客はベル(不敗)に対する神々による私刑だとしか考えていない。

とは言え、恒例の賭けは行われており、それはここ『豊穣の女主人』でも行われていた。

 

「今のところ全員がオラリオ連合に賭けてるな……………仕方ないっちゃぁ仕方ないが、これじゃあ賭けになんねえよ…………」

 

賭けの元締めの冒険者がボヤく。

 

「せめて大穴狙いの神達が相手側に賭けてくれればよかったんだが…………」

 

そう言う分の悪い賭けを好む神達は、大概アイズのファンなので、今回ばかりはオラリオ連合に賭けているのだ。

 

「ちっ、これじゃあ今回の賭けはお流れだな……………」

 

元締めは舌打ちをしながら、返金が面倒だと内心思いながら行動しようとした時、

 

「は〜い! 私、ベルさんに賭けます!」

 

シル(不敗)が突如として声を上げた。

 

「…………まさかそっちに賭けるとは思わなかったぜ………で? いくら賭けるんだい?」

 

そう言われ、シル(不敗)が少し考えると、

 

「そうですねぇ……………では、リューを賭けましょう!」

 

「…………シル、勝手に人を賭けの景品にするのは止めてください。まあ、心配はないでしょうが」

 

シル(不敗)に押し出されたリュー(不敗)が呆れた様にそう漏らす。

しかし、賭けの景品にされる事には特に拒否しなかった。

 

「へっ………………いや、お友達を賭けると言われても……………」

 

「心配いりませんよ。だって、勝つのはベルさんなんですから!」

 

ニコッと笑みを浮かべてシル(不敗)はそう言い切った。

 

 

 

 

『えーみなさん、おはようございますこんにちは!今回も『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の実況を務めさせていただきます【ガネーシャ・ファミリア】所属、喋る火魔法ことイブリ・アチャーでございます。今回の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』は何と平行世界から来たベル・クラネル率いる5人とこちらの世界のオラリオ連合の戦いになります。というか、これはもう集団リンチではないでしょうか。自分もこんなの実況したくないんですけど…………』

 

実況係はそんな事を言う。

 

『とは言え、私も実況のプロ! ここは我慢して実況を続けたいと思います!『それでは、間もなく正午となります!』

 

実況者の声が跳ね上がり、オラリオ中の人々の視線がすべて『鏡』に集まる。

 

戦争遊戯(ウォーゲーム)………開幕です!!』

 

実況の合図を皮切りに、冒険者達が津波の如くベル(不敗)達に迫る。

 

「「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「死~ね~や~~~~!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「血の雨見せたる~~~~!!」」」」」」」」」」

 

そのままベル(不敗)達は冒険者の波に呑み込まれる。

オラリオの誰もがそう思っていた。

しかし、ドゴォォォォォォォンと爆発するような音が響き渡り、最前列の冒険者達が吹っ飛んだ。

何故なら、リリ(不敗)が地面を殴りつけて巨大な罅割れを起こしていたからだ。

リリ(不敗)は隆起した大地の針先に立ち、冒険者達を見下ろしながら言い放った。

 

「【ブラック・ジョーカー】!! リリルカ・アーデ!!」

 

右手の甲にブラック・ジョーカーの紋章を輝かせながらリリ(不敗)が名乗りを上げる。

『神の鏡』から見ていた人々には、リリ(不敗)のバックに巨大なブラック・ジョーカーの紋章が浮かび上がって見えていた。

続けてベート(不敗)がその場で右の回し蹴りと左の後ろ回し蹴りを繰り出し、リリ(不敗)と同じように右手の甲に浮かび上がったのクラブ・エースの紋章を見せつける様に言い放つ。

その背後には巨大なクラブ・エースの紋章が浮かび上がっていた。

 

「【クラブ・エース】!! ベート・ローガ!!」

 

因みに回し蹴りを繰り出した際、その衝撃で前の方に居た冒険者達は吹っ飛んでいる。

更にヴェルフ(不敗)が大刀を振り回すと共に、ローゼスビットの花びらが舞い散り冒険者達を吹き飛ばしつつ、

 

「【ジャック・イン・ダイヤ】!! ヴェルフ・クロッゾ!!」

 

そのまま流れる様に右手の甲のジャック・イン・ダイヤの紋章を見せつけると同時に背後に巨大なジャック・イン・ダイヤの紋章が輝く。

アイズが剣を振りかぶり、炎のような闘気を纏わせながら薙ぎ払うと、その闘気が迫ってきた冒険者達を吹き飛ばす。

 

「【クィーン・ザ・スペード】!! アイズ・ヴァレンシュタイン!!」

 

前の三人と同じように右手のクィーン・ザ・スペードの紋章を見せつけながら、背後に巨大なクィーン・ザ・スペードの紋章が浮かび上がる。

そして最後に、ベル(不敗)が闘気を開放しながら叫ぶ。

 

「【キング・オブ・ハート】!! ベル・クラネル!!」

 

その闘気の開放でやはり近くに居た冒険者達は吹き飛び、ベル(不敗)はバックの巨大なキング・オブ・ハートの紋章を背に、右手のキング・オブ・ハートの紋章を輝かせる。

そして、

 

「「「「「我ら! シャッフル同盟!!!」」」」」

 

五人が息を合わせてそう名乗りを上げると、一際大きな闘気の爆発が起こり、攻めてきていた冒険者達の約半分を吹っ飛ばした。

その光景に、後続の冒険者達は思わず足を止めてしまう。

すると、

 

「ダンジョンファイトォォォォォォォォォッ!!」

 

ベル(不敗)が高々と叫び、

 

「「「「レディィィィィィィッ…………!」」」」

 

四人が続くように声を張り上げ、

 

「「「「「ゴォォォォォォォォッ!!!」」」」」

 

ベル(不敗)達が本当の始まりを告げたのだった。

 

 

 

 





はい、外伝13話です。
開幕ブッパだと思った?
残念、名乗りを上げただけでした。
それだけでも半分は脱落しましたけどね。
では、次回の活躍に、レディィィィィィィッ………ゴーーーーーッ!

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