負傷者がいる所為で一歩進む動作が遅かった。
獄寺は胸をやられていた。血は止まったようだが、額から汗が流れると言う事はまだ痛みがあるのだろう。
それよりも雲雀だ。六道骸に何度も蹴られたのだろう。肩を貸している遥だから分かったが、骨を何本か折られている。それでも骸の下へ行こうとしていると言う事はやられた事が相当屈辱的だったのだろう。
「ひいぃぃ!」
ツナの声だった。
遥達は足を速め、入口が見えた時、雲雀はトンファーを構え、それを骸に向けて投げた。獄寺はダイナマイトを取り出し、導火線に火をつけてツナに群がる蛇達にダイナマイトを放り投げた。
目的地に着くと、雲雀は遥の肩から手を離し、投げたトンファーを拾って構え直した。
骸の右目の六の文字が四に変わると、二人は走り出した。雲雀の猛攻を骸は三叉槍で弾きながら雲雀の肩に一撃いれた。
「時間の無駄です。手っ取り早くすませましょう」
骸の右目が今度は一の文字に変わると、雲雀の頭上に満開の桜が現れた。これは幻術。相手の脳に作用して幻覚を見せ、現実で起きていない事を思い込ませる術だ。幻術を使うには才能が重要になってくる。そう簡単にできるものではないと言う事だ。
幻術で桜を出現させ、雲雀のサクラクラ病を利用しようとしたのだ。だが、先ほど、雲雀は獄寺から預かったサクラクラ病の処方箋を飲んだのだ。よって、骸の幻術は効かない。
雲雀は骸の腹に一撃入れ、追い込むようにトンファーをクロスさせ、骸の顎に攻撃した。
骸は倒れ、その拍子に三叉槍の穂が転がっていった。
骨が折れた状態で戦っていた所為か、雲雀は糸が切れたかのように倒れた。
「ツナ、冬花は?」
「一宮先輩は、マインドコントロールされたフゥ太に腹を刺されて……ビアンキも」
遥は倒れていた冬花の下に駆け寄り、肩を三回叩いた。すると、冬花はゆっくりと目を開けた。
「冬花、大丈夫か?」
「うん……六道骸は?」
「雲雀が倒したんだ」
「医療チームは不要ですよ」
遥と冬花が話している時、雲雀に倒されたはずの骸が起き上がっていた。銃口をツナ達に向けて撃つのかと思えば、自分のこめかみに銃を当てた。
「
骸は自分で自害した。
その時、冬花の肩が震えた。
ビアンキの目が覚め、獄寺に手を貸してくれないかと言う。獄寺が仕方が無く、近くに寄ろうとするとツナがいきなり大声で近付いてはいけないと叫んだ。
「獄寺君、ツナ君の言う通りだよ。ビアンキさんに近付かないで」
いつもとは違う低い声で冬花は睨むようにして言った。
「獄寺今すぐ離れろ!」
遥が冬花の言った事に気付き、獄寺に手を伸ばすが、一足遅く、獄寺の頬に切り傷が入った。
ビアンキの手には骸が持っていた三叉槍の穂が握られていた。
「演技なんてしなくていいよ。その三叉槍で傷つけられた者は貴方の憑依を許す事になる。最初から自分の駒を増やすためにフゥ太君に三叉槍を持たせた。そうでしょ?六道骸君」
ビアンキの右目に六の文字が現れた。
槍の名称についての補足です。
今回の話にありましたが、穂と呼ばれるのものは槍の刀身の事を指します。
骸君が使っているのは三叉槍と呼ばれる槍で、穂が三つある槍と考えていただければ良いです。大雑把な説明なので気になる方は調べて下さい。