第四話 勧誘
二学期が始まり、多くの生徒が学校での生活の感覚を取り戻していた。
遥は冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し、コップに注いだ。
机にできたての目玉焼きを置いた三日月が険しそうな顔をした。
「並中生、また襲われたんだってね」
「そうなの。まだ犯人は分かっていないんだけどね」
冬香が珈琲を飲みながら言った。
二日前から並中生が無差別に襲われている事件が起きた。最初の被害者は風紀委員だった。その後も風紀委員の者が襲われた所為か風紀委員を狙った犯行かと思われたが、風紀委員以外の生徒も襲われたとの事から無差別との事が分かってきた。
生徒会である冬香は、その事件には何かあると思い、昨日から近所の人に訊き込みなどをしていたが、成果は零だった。
「これ以上、被害は増やすわけにはいかないから……」
「何かあったら私も手、貸すしさ」
「うん」
その時だった。冬香の携帯から電話が入った。その内容は、並中生が襲われたと。
遥と冬香はすぐに鞄を持ち、連絡のあった病院へ向かった。
「三年が五人、二年が四人、一年が二人か……」
「共通する点と言えば、どいつも運動部出身だな」
遥は病院に運ばれた人が書かれてある紙を見ていると、同じクラスの持田までもやられていた。
二年の時に問題を起こしたそうだが、あんな奴でも一応は剣道部主将だ。実力では遥の方が断然上だが、本人いわく、めんどくさいからと言った為、持田がやる事になったらしい。
病院内を歩いていると、遥達の方に風紀委員が向かってきた。一人だけ強面が居る。彼の名は草壁哲也、風紀委員副委員長だ。
「冬香さん」
「草壁さん、雲雀君はやはり」
「はい、敵のアジトへ向かいました」
雲雀はもう情報を手にしていた。流石と言うべきだろう。
「彼は群れるのが嫌うからあれだけど、一人で乗り込むのはねぇ」
「それじゃあ、私が行ってこようか?スッって行って、サッと連れ帰ってくるからさ。ついでにうちらに宣戦布告してきた奴らもボコッてくるよ」
遥は竹刀を持って、出て行った。
「はぁ、遥も雲雀君も何と言うか似たもの同士と言うか……はぁー」
冬香は思わずため息を吐いた。
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「ってか場所しらねぇわ」
冬香を無視して出てきてしまった為、今電話をかけたら雷が落ちるだろう。それは何としても避けたかった。
悩んでいると、遥の後ろから針が飛んできた。遥はすぐに察知し、針を避けた。
「おいおい、ひでぇなぁ。喧嘩ってのは面と面を向き合ってやる奴だろ?」
「……並盛中学校、三年B組出席番号十番、九条遥」
「黒曜中の制服、てめぇか。最近、並中生を襲ってるってのは」
黒曜中、並盛の隣町にある中学校。あそこは不良校として有名だ。だが、ここまで行きすぎたのはいままで無かった。
「黒曜中、二年柿本千種。骸様がお前を呼んでいる……壊してでも連れて行く」
「骸……?わりぃな。そういう強引な勧誘はお断りだ」
遥は竹刀を構えた。