これで本物にダークドライブとかが出たらなんかもう笑うしかない心境です。
まだ仮題なので様子見の段階ですが、マジでかぶるようなら改題も思案中です。
「出し惜しみゼロだ! 一気に突き抜けるッ!」
〈COSMIC ON!〉
時が流れても、遠く別々の場所にいたとしても、決して緩まぬ絆の力が、その白いライダーの力を銀河の輝きとともに明るい青へと変色させる。
フォーゼコズミックステイツが、二十年ぶりに復活した瞬間だった。
白煙を噴射しながらその推進力でもって敵陣真っ只中へと踊り込む。
ロケット型巨大モジュールバリズンソードで大味に敵を叩きながら、
「仮面ライダーフォーゼ! 久々のタイマン張らしてもらうぜ!」
如月弦太郎は、高らかに名乗りをあげた。
ロケットを持つのとは逆の手に握りしめた赤褐色のモジュールをベルトに装填し、返すその手で、胸の39番のボタンをタッチする。
〈GIANTFOOT ON〉
〈STAMPER ON〉
合成音声が、二つのスイッチの名を呼ぶ。
精製された巨大な足型のエネルギーが、頭上に展開されるや、フォーゼの動きに合わせ、重装歩兵隊のごとく前進していたオリオンゾディアーツの群体を踏み潰す。
だが、それだけでは終わらない。
突如空いた欠落を埋めるべく、ダスダードが殺到した。だが、彼らの足下には、先の踏みつけが刻んだ、フォーゼのシンボルマークが明滅をくり返していた。
次の瞬間、地形が一変するほどの大爆破が彼らを吹き飛ばした。
手足をばたつかせて宙を踊る宇宙忍者たちを、青い光球がさらにピンボールのように弾き飛ばした。
地上に降り立った球から、殻を破るようにメテオが現れた。
「この数相手でも『タイマン』か。今さらだが、どういう定義なんだか」
フォーゼと背中合わせになり、怪鳥の構えを取りながら呆れ混じりの冗談をぼやく。
「カンタンなことじゃねぇか」
背越しにそれを聞いた弦太郎はカラリと明るい調子で言った。
「百対一だろうと千対一だろうと、向き合うのは一人一人だ! んで、ガチンコでぶつかりゃあお互いに通じ合うモンがあるはずだッ!」
矛盾に満ちすぎて、指摘するのもバカらしい強引な論法。だがそれこそが如月弦太郎だと、彼を知る者にとっては納得のいく答え。
その弦太郎は、自身の手の中にコックのついた赤いスイッチを呼び出した。それに合わせ、メテオこと朔田流星もまた、自身の名を冠するスイッチをドライバーから抜き、背を預ける戦友へ託した。
〈FIRE ON READY?〉
〈METEOR ON!〉
火熱を帯びて勢いを増したメテオの拳が、並み居る敵を打ち砕く。
「ワーチャチャチャ! ウォーリャア!」
そんな彼の気勢を声真似しながら、フォーゼはバリズンソードを連続して突き出した。そこから発射されたコズミックエナジーは、青く発光しながら宇宙忍者たちと、それらを先導するカメレオンゾディアーツを吹き飛ばした。
「……まぁ、こいつらを統率しているのはギルガメッシュただひとりの意思だ。なんにせよ、ある意味タイマンか」
敵を火拳で捌きながら苦笑まじりの声でこぼした流星に、弦太郎は「いや」と強く引き締めた声を返した。
「向き合わなきゃなんねぇヤツは、もうひとり、いる!」
弦太郎は身を翻し、振り上げたモジュールを振り下ろした。
背後から奇襲を仕掛けてきたギルガメッシュの拳と打ち合う形となり、そのまま鍔迫り合いへと移行する。
〈CANCER ON!〉
バリズンソードと組み合うその手が、見覚えのあるハサミへと形状を変える。
その切れ味は、自分が身をもって知っていた。
だが、かつてよりさらに強化されたであろう切断力でも、自分たちの『友情』の象徴は決して断てない。
対しているのは、無数に増殖したギルガメッシュの中で、唯一コズミックエナジー由来のライダーである。
何故、このタイプのみコピー体が存在しないのか。
その理由が彼の使うモジュールにあることを、フォーゼは知っている。
「うおりゃあッ!!」
挟みきれずに硬直した隙を見計らい、フォーゼはバリズンソードで押しに押しに押しに押した。
同じタイプでありながら、一切の理屈を捨てたフォーゼのがむしゃらな攻めは、勢いにおいてはギルガメッシュのそれを上回った。
無理矢理に作った胴と腕の隙間に、ロケットを叩きつける。
「……っ!」
ギルガメッシュはスイッチ入れ替えるべく距離を作る。だが、弦太郎の狙いはそこにあった。いや、ひたすらな攻めは本心かつ無心によるものだったが、隙を見出した瞬間、本来の狙いを瞬間的に思い出した。そうなれば、彼の動きはさらにまっしぐらなものとなる。
ピンクのスイッチをソケットに挿入する。
〈MAGICHAND ON!〉
合唱するように音が鳴り響く。ロケットの先端を、手の形をしたエナジーが包み込む。その指先が伸びるや、敵のドライバーからスイッチを奪い取った。
メインコンソールを喪ったギルガメッシュのベルトが動作不良を起こし、動きが止まる。
「これでもう何の加減もいらねぇ! 全力でブッチ切るぜっ!」
背中から青い粒子を放出させながら、フォーゼは腰を落として構えた。そして大地を蹴って、バリズンソードを敵へと突き込む。ふたりのライダーが向かう虚空に、ワープホールが開き、その先には銀河が拡がっていた。そこに自身もろとも、ギルガメッシュを押し込み、宇宙空間へと転移した。
今なお超然と生命の輝きを放つ地球。それを背に、フォーゼはバリズンソードのレバーを引いた。白煙とともに、ロケット内部に格納されていた刃が露わとなった。
「抜いて、挿す!」
ソードの後尾に収まっていたスイッチを入れ替える。
〈LIMIT BREAK〉
あたかも星月が目の前に現れたかのような光輝とともに、青い刀身はその威を高めていく。
「ライダー超銀河フィニーッシュ!!」
それが最高潮に達した瞬間、フォーゼは円弧を描いて刀身を横一文字に振り抜いた。
かつての、遠く銀河の果ての来訪者は、その斬光に飲まれ、昴となって消えた。
「よっと」
フォーゼは、ギルガメッシュを倒す直前に彼から奪取したスイッチを押した。ラストワンを迎えたゾディアーツスイッチのように、そも役割を終えた青いスイッチは、その外装を霧散させて中身を解放した。
こぼれ落ちるかのように現れたのは、宇宙にたゆたう、ちいさな流動体。黄金の果実探求のための並行世界や外宇宙の観測の折、彼らに見出されて捕らわれ、動力源の一部とされていたもの。
いわゆる生命の種ともいうべき存在、それが今弦太郎の前に在る、SOLUだった。
そして弦太郎は、今まで二種類のSOLUに出会っている。
自分の想いを受けて知性を得た『彼女』と、人間の悪感情を吸い上げて獣と化した『彼』。
そして今、弦太郎が相対しているのは、『彼』のほうだった。『彼女』からその消失を報され、ずっと探索していた。
一度は形を失ったSOLUが、フォーゼの眼前に寄りあつまる。かつて学習した言語と容貌をふたたびトレースしはじめる。ある女性にまつわる、ツバサという少年の顔だけを空間に浮かび上がらせ、弦太郎へと硬い声で問いかけた。
「何故、助けた?」
と。
彼らはかつて敵として相対した。彼は、弦太郎に近しい相手も、悲劇へと巻き込もうとした。憎みこそすれ、救う意義などないはずだった。
だがそんなことは、問題にならない。すでに過ぎ去った、些細なことだった。少なくとも、如月弦太郎にとっては。
マスクに奥ではにかみながら、弦太郎は迷い一つなく答え、手を差し伸ばした。
「あの時誓ったんだ。次会った時は絶対ぇダチになるって」