エイジは端末のナビゲーションシステムを通じて、ダークドライブの座標が停止したことを知った。
それは今、彼の目の前であり、大学キャンパス内の中庭で、『黄金仮面』はブレイドガンナーを交差した腕で受け止めていた。
その全身にノイズがはしり、一瞬鋼鉄の身体へと変貌した。
「やっぱりその身体……ッ!? いや、違う!?」
たしかにロイミュードのボディには違いないが、微妙にその色や風貌は異なっていた。
エリのついたマントを羽織った素体には、黄金のパーツが取り付けられている。
ステンドグラスや宝石のような頭の飾りも、そこから伸びた牛のような巨大な二本角も、あの日奪われたサイバロイドボディには存在していないものだ。
だが、その特徴を確認するよりも早く、『黄金仮面』は元の姿にもどって、ダークドライブを押し返して距離をとっていた。
「やっときたか。せっかく遊びに来てやったのに、いつまでお人形の相手をさせるつもりだ?」
そして、仮面をみずから取り外すと、美少年の姿をした怪盗は不敵に笑った。
「……ふざけるな。目的は郷原議員だろ」
「いや、そっちはもののついでさ。本命は、お前だ」
「僕?」
「このヘドが出るほどつまらん時代に並び立った、英雄同士だろう。せめてちゃんと顔見せぐらいはしてやろうと思ったのさ」
エイジはカバンをベンチに置いた。取り出したスペアのシフトブレスを手首に取り付けて、ダークドライブと並び立った。
「ニューヒーロー気取りか」
「ニューヒーロー?」
ギルガメッシュは笑いをさらに深めて歪め、肩をすくめて聞き返した。
虚空にかざした手のひらから、眼のガジェットが生み出される。それも、ダークゴーストの眼魂とは違う。金色の外装に、碧の瞳。まくりあげた袖から、金色のブレスレットがあらわになった。
「俺は、最古の英雄だ」
眼魂横のスイッチを押すとディスプレイが『GL』と変化する。
それをユニットへとセットする。
〈YES SIR!〉
腕のユニット起こして、横のボタンを押すと、
〈LOADING!〉
という音声とともに飛び出た金色のライオンをあしらったパーカーが、その奥の闇で閃く眼光とともに、エイジをにらんで飛翔する。
「変身」
どこか小馬鹿にしたような口調でつぶやくと、装置の上のボタンを押した。
〈TENGAN! GILGAMESH! MEGAURUOUD……KING OF URUK!〉
液体が眼魂の上に落ち、彼の全身を黒いスーツが包み込む。その上に金色のパーカーが覆いかぶさった。
「我が名はギルガメッシュ。それとも当代風にこう名乗ろうか。仮面ライダー……ギルガメッシュ!」
胸の刻印から生み出された大斧を手に、もうひとりの仮面ライダーは、最古の英雄譚に出てくるその名を高らかに宣言した。