仮面ライダー NEXTジェネレーションズ   作:大島海峡

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第二話:Gは止まらない/黄金狂時代(8)

 爆発がある程度おさまり、ようやくダークドライブのモニターも正常に機能しはじめた。

 だが立っているのは自分ひとりで、足下にはロイミュードのボディらしきメカと腕のガジェットの残骸が転がるばかりだった。

 周囲の惨状は……あえて語るまでもない。

 

 息をついてシフトブレスに手をかけた彼だったが、かすかに物音が聞こえてきた。

 身構えて音源を探るエイジの目の前を、ガレキの山からちいさな、見覚えのあるものが通りすぎていった。

 

「ギルガメッシュの、眼魂……!」

 

 金色の眼球はややおぼつかない様子で空中をただよい、対向の校舎へと飛来していった。

 そして、その屋上に立つ人影の手へと自ら入り込んでいった。

 

 絹糸のような質を持つ金色の髪、常人ばなれした白皙の美貌。

 ……つい今しがた、撃破したはずの男が、そこには立っていた。

 

 冷たく光る碧眼でその眼魂を見下ろすと、

 

「ふざけ過ぎだぞ、009(ゼロゼロナイン)

 

 と、雷鳴のようによく通る声で眼魂を叱りつけた。

 唖然とするエイジだったが、それでも、この異常な事態に対してある程度の憶測はついた。

 

「……僕が倒したのは、偽物だったのか」

 

 ちいさなつぶやきだったのだが、耳ざとく美少年は

 ゾクリとするような妖しげな笑みを浮かべ「いや?」と首を振った。

 

「それは少し、違うな」

 

 言葉の意味がつかめずいぶかしむエイジを、さらに混乱に叩き落す事態が、目の前で起こった。

 建物の中やモニュメント、植樹の影から、さらに七人、姿を見せた。

 

 まったく同じ顔と背丈を持つ、七人のギルガメッシュが。

 ただし、黒いコートに張り付いたベルトは、自分が追いかけていたギルガメッシュにはなかったものだ。

 

 「W」という文字にも似た、赤いもの。

 三つの黒いメダルが挿入された、斜め掛けのもの。

 二つのスイッチが入った、折れた翼のようなもの。

 凶悪げな黒獅子の顔面が門のような装飾にはめ込まれたもの。

 茶褐色の果実の形を成した錠前を据えた、チューブにつながれたもの。

 旧世代のゲームのコンソールのような、極彩色のもの。

 ……そして、自分と同じドライブドライバー。

 

 彼らの中心に立つ最初の一人は、誇るかのように大きく両腕を広げた。

 自分が見たものよりも一回り巨大にして豪奢な、黄金の眼魂……あえて呼称するなら眼魂ドライバーともいうべきベルトを巻き付けていた。

 

「我らギルガメッシュ」

「俺たちは同じ人格」

「そして同じ記憶を共有するもの」

「しかし本気でなかったとは言え009を倒すとは、ちと見くびっていたな」

「ネクストドライブシステムか、興味深い」

「俺の計画に、使えるかもしれない」

 

 口々に、しかしまったく同じ声と語調で彼らは言った。

 もはや開いた口がふさがらないエイジの頭上を、巨大な何かが旋回していた。

 

 翼の生えた、巨大な黒獅子。

 いくつもの動物の顔を身体中のそこかしこに張りつけたそれは、大きく羽を打ちながら咆哮し、彼らのいる校舎へと舞い降りた。

 

 黒コートをその暴風のなかではためかせながら、八人のギルガメッシュたちはその怪獣の背に飛び乗った。

 その刹那、そのうちのひとりが振り返って、にやりと不敵に笑った。

 

「またな」

 

 声にせず、口の形だけでそう告げると、彼らを乗せた獣は上空を旋回しながら飛翔していく。

 そして、その余波でエイジが吹き飛ばされ、体勢を立て直した時にはもう、彼らのいた痕跡はなにもなくなっていた。足下のクズ鉄さえも。

 

「おい、たしかこっちに行ったぞ!?」

 

 警官か、野次馬か。

 数人の足音と怒鳴り声が聞こえてきた瞬間、ダークドライブの中でエイジは我に返った。

 

 呆気にとられている場合ではない。今はこの場所を離脱しなければいけない。

 エイジは根元からねじ曲がった手すりに手をかけ、五階建ての校舎から飛び降りた。

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