復讐ゲーム(休載中)   作:柊 伽鉈(ひいらぎ かなた)

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まだ平和だった頃の話1

キーンコーンカーンコーン

 

「今日はここまで。板書写した人から終わりな」

そういって、若い教師が教室を出ていく。

10月最初の月曜日。金曜日までは、まだ長いみたいだ。

 

 

←∀》…『?※∑>:』・←∀》…『?※∑>:』・←∀》…『?※∑>:』・

 

 

HR(ホームルーム)が終わり、生徒達は3手に別れた。

部活に向かう者、帰宅する者、しばらく友達と話してから帰宅する者。

僕は鞄を引っ掴み、一人で教室を出た。

 

向かうは屋上。

 

階段を上がり、錆び付いたドアを開けた。

屋上からの眺めは良いほうだ。マンションやビルなどがなく、夕方は地平線に沈む夕日が見える。

 

――見る余裕があれば、だが。

 

突然、背中に衝撃が走る。状況を把握する前に地面を転がった。

「ぐっ……」

痛みを堪えて顔を上げると、数人の体格の良い男子生徒が立っていた。

「よー、篠井。久しぶ……りィ!」

「うっ!」

手前にいた男子生徒に腹を蹴られ、また地面を転がる。

ゲラゲラという汚い笑い声が耳に入る。

早くもぼんやりとしてきた視界に写った、一人の女子生徒。

茶色の長髪(セミロング)を胸元に垂らし、整った顔には歪んだ笑みが浮かんでいる。

「蒼伊くぅーん、ひっさしぶりぃ。元気だったぁ?」

 

――河野(かわの)(もみじ)

 

河野財閥の一人娘。クラス、いや、学校内でも知らない人はいないであろう苛めっ子。

河野財閥は、WWⅡ(第二次世界大戦)後のGHQ(連合国軍総司令部)による財閥解体時に唯一残った財閥。

警察庁や自衛隊などの軍事関連から、銀行や生命保険などの民間にまで精通する巨大組織(、、)だ。

 

朧気な意識でそんなことを考えていると、肩を蹴られて仰向けにされる。

「っぐ」

体が、動かない。

そこに、河野がちょこんとしゃがんで顔を覗き込んできた。

 

「ねぇ、蒼伊君、覚えてる?」

 

始まった、

 

「去年、蒼伊君が私にしたこと」

 

やめろ、

 

「辛かったよ、蒼伊君に裏切られて」

 

やめてくれ、

 

「私は何か悪いことしたかな?」

 

頭がおかしくなる、

 

「私の、何がいけなかったのかな?」

 

ああ、もうだめだ。

 

「ねぇ、蒼伊く――」

 

 

「僕はっ!! 何もしてなっいぐぁっ!?」

 

 

叫んだ途端、腹に膝蹴りを食らった。

「げほっ、げほっ……っはぁ、はぁ」

痛い。痛い、痛い痛い痛い痛い――!!

「口答えしちゃだめだよ、蒼伊君」

痛みを堪えているところにかけられる声。

僕は河野を睨んだ。睨んでしまった。

殺気。

 

「……だめだって、蒼伊君……ずっと我慢してたのに、そんな顔されたら……ゾクゾクしちゃうって……我慢できなくなっちゃうからさぁ……」

 

頬を紅く染めた河野に、畏怖を感じた瞬間、

 

 

 

 

 

 

僕の意識は、途絶えた。

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