鈴蘭寮の艦娘達   作:雨守学

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――区に大きなホームセンターが出来たと聞き、早速寄ってみた。

かなり品ぞろえが良く、見たこともないものばかりであった。

 

「こりゃ、山城も連れてきた方がいいかもな」

 

最近は恋やら何やらであまり一人の時間は取れなかったから、いい気分転換にはなった。

向き合わなきゃいけない事はたくさんあるが、たまにはこうして頭をリセットするのも大切だしな。

 

 

 

ホームセンターを出て、少しばかり周辺を散策してみた。

――区と言えば、閑静な住宅街のイメージしかないが……。

 

「本当に何もねぇな……」

 

しばらく歩いていると、大きな高い台のある公園へと出た。

 

「ここで休んだら、もう帰るか……」

 

近くの自販機でコーヒーを買い、公園へと入った。

 

 

 

「ほう……」

 

高台にはベンチがあり、公園内を一望できた。

 

「悪くねぇな……」

 

ベンチに座り、コーヒーを啜る。

空は晴れてはいるが、時折、雲が太陽を隠していた。

 

「…………」

 

風の音。

どこかから聞こえるクラクション。

それに混じって電車の走る音が聞こえる。

それらの音は、確かに存在しているのにも関わらず、俺は静寂の中にいる錯覚を起こした。

 

「いけねぇな……」

 

いつか、管理人としての役目を終える時が来る。

全ての艦娘が社会に出て、立派に自立した時だ。

その時俺は一人で、恋愛なんてもう――。

そうなる覚悟は出来ていたはずなのに、恋を知って、こんな静寂の中でどうにかなってしまいそうになっている。

 

「……帰ろう」

 

そう言って立ち上がった時だった

 

「待ちなさーい!」

 

聞き覚えのある、活気のある声。

 

「そんなに走ったらころんじゃうのです!」

 

独特の語尾。

 

「大丈――わわっ! あう!」

 

あの鈍感さ。

 

「大丈夫かい?」

 

銀髪の少女……。

 

「あいつらは……」

 

その時、遠くで学校のチャイムが響いた。

 

 

 

「あはははは!」

 

かつての教え子たちは、元気に公園内を駆け巡っていた。

すっかり冷え切った缶コーヒーが、時の流れを連想させる。

 

「大きくなりやがって……」

 

零れそうになる涙を抑え、俺はもう一度4人を見た。

泣き虫な奴らばかりで、こんな子供が戦場に出るのかと、この国を守れるのかと、不安に思った事も多々あった。

あんな事件もあって、怖くなり、戦場に立てないんじゃなかろうかと。

だが、あいつらは乗り越え、やり遂げた。

国を守り、そして、今も元気よく駆けている。

 

「…………」

 

それにくらべて、俺はどうだ……?

ただ逃げ、恋に現を抜かそうとしている。

自分の事などどうでも良いと、捨て切ろうと決めたはずなのに、だ。

俺は、あいつらの将来を支える為にこうして管理人になったのだろうが。

何が恋だ。

何が恋人だ。

 

「俺は管理人だ……。恋など……するべきじゃねぇんだ……」

 

鹿島、陸奥……すまん……。

俺は……ヘタレと呼ばれても良い……。

ずっと……このまま独りで――。

――その時だった。

 

「響ちゃーん」

 

まるでエコーがかかったかのように、その声だけが俺の耳に響いた。

顔をあげ、声の方を見る。

そこには、二人の男女が立っていた。

元気よく駆けよる響。

それを抱きしめる男。

 

「――……」

 

鹿島の声が、頭の中で再生される。

 

『響ちゃんって覚えてますか――』

 

「二人とも、一緒だったの?」

 

「えぇ、帰り道で偶然会ったのよ」

 

「そうなんだ」

 

「皆と遊んでたのね。そろそろ帰りの放送が鳴るから、お家に帰りましょう。みんなも、ね」

 

「「「はーい」」」

 

そう言うと、彼女は響の手をとった。

男も同じように。

いつの間にか沈みかけていた太陽が、三人の影を伸ばしている。

それは紛れもない、家族の影法師であった。

 

「今日、こんな事があったんだ――」

 

「へぇ、じゃあ――なんだ――」

 

「うん――……」

 

三人の姿は、もう公園に無い。

会話だけは、徐々に徐々に小さくはなっていったが、聞こえていた。

その声が聞こえなくなった頃、遠くに建つマンションの背中に太陽が隠れ、公園内は暗くなった。

水銀灯がゆっくりと灯ってゆく。

 

「そうか……」

 

やっとの事で絞り出した言葉がそれだった。

夕焼け小焼けの放送のお陰で、俺の嗚咽はこの世の誰にも聞こえることは無かった。

 

 

 

寮に帰り、部屋で仕事をしていると、大和が訪ねてきた。

 

「提督、お夕食は……外で済ませて来たんですか?」

 

時計を見ると、夕食の時間はとっくに過ぎていた。

そう言えば、腹も減っている。

 

「いや……まだだ……」

 

「お仕事が忙しいのは分かりますが、体に悪いですよ?」

 

「ああ……」

 

俺の反応を見て、大和は少し言葉を溜めた。

 

「――あまりもので良ければ、お出しできます。食堂で待ってますね」

 

そう言うと、大和は部屋を去っていった。

 

 

 

食堂には大和しか居なく、大きなテーブルに夕食が置かれていた。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう。いただきます」

 

黙々と食べる俺を、大和は静かに、食べ終わるまで見守っていた。

 

「ごちそうさま」

 

俺が茶を啜るのと同じタイミングで、大和は口を開いた。

 

「なにか……あったのですか……?」

 

俺が黙っていると、大和は続けた。

 

「なんだかお元気が無いようでしたので……。お夕食を忘れるなんて事もあまり無かったですし……」

 

「…………」

 

「あ……言いたくないならいいのですけれど……。心配だったので……」

 

長い沈黙が続く。

心配そうに見つめるその瞳を見て、俺は白状したかのように言葉を零した。

 

「今日……鳳翔を見たんだ……」

 

「え……?」

 

それからは、ぽろぽろと言葉が続いた。

今日あった事全て、大和に話した。

 

「そう……だったのですか……」

 

「諦めた女を前にして……涙が止まらなかった……。何の涙かは……分からねぇけど……」

 

「…………」

 

「だが……三人の影法師をみて……なんて美しいんだと思った……。鳳翔という存在以上に、その三人の姿に……俺は見とれていたんだ……」

 

失恋という文字はあった。

だが、それとはまた違う、悲しい感情以上の何かが俺の中に存在していた。

「感動」に近いかもしれない。

 

「提督……」

 

「――ふぅ。話したらなんだかスッキリしたぜ。多分俺は、鳳翔を諦めきれてなかったんだと思う。だが、それもこれっきりだ」

 

自然と笑みが零れる。

それを見て、大和も安心したのか、肩をおろした。

 

「なら良かったです」

 

「変な心配させてすまねぇな」

 

「いえ、良かったらお菓子でもどうです? 疲れた体には甘い物もいいですよ」

 

別に菓子などいらない。

だが――。

 

「ああ、頼む」

 

「では、ご用意しますね」

 

俺はもう少しだけ、大和と話していたいと思った。

というのも、俺が今まで大和の影に見た鳳翔の姿が、一度も見えなかったのだ。

それは俺にとってあまりにも新鮮で、不思議な事だった。

 

 

 

「それから長門さんが――」

 

「ほう」

 

食堂での会話は途切れることが無かった。

俺は会話の内容以上に、大和に感じている新鮮さを楽しんでいた。

 

「うふふ」

 

「今の、笑い所あったか?」

 

「あ、ごめんなさい。なんだか今日の提督、少しだけ変だなって思いまして」

 

「変?」

 

「いつも大和との会話では、途中で何か物思いにふける事が多かったのに、今日は大和の顔をしっかりと見て、楽しそうにお話しされているので」

 

いつもはそんな感じだったのか。

確かに、いつもは鳳翔の影を見て、あいつの事を考えてしまっていたのかもしれないな。

 

「でも、今日の提督の方が大和は好きです。ちゃんと見ていてくれているようで……うふふ」

 

ちゃんと見る……か。

もしかしたら、大和を大和としてだけ見るのは、これが初めてなのかもしれない。

感じていた新鮮さは、それか……。

 

「お茶、おかわりいかがですか? お菓子もまだ残って――」

 

その時、時計が消灯時間を知らせた。

 

「あ……」

 

「時間か。お茶のおかわりは明日以降頂くとしよう」

 

そう言って席を立つと、大和は座ったまま動かなかった。

 

「どうした?」

 

「もう少しだけ……お話ししませんか……?」

 

「え?」

 

「消灯時間だから部屋に帰らないといけない訳じゃないでしょうし……もう少しだけでいいので……」

 

大和は湯呑を手の中で転がした。

 

「駄目……ですか?」

 

「別に構わないが……何か部屋に帰りたくない理由でもあるのか?」

 

「いえ。単純に、もう少しだけお話ししたいなと思っただけです。さっきも話しましたけど、なんだか今日の提督は変で……大和も少し変な感じなんです。言葉では難しいんですけど……こう……初めて提督と会話したかのような感覚というか……新鮮な感じというか……そう言うのがあって……とにかく、不思議な感覚なんです」

 

大和も同じように感じていたのか……。

 

「あ……お仕事もありますよね……」

 

しゅんとする大和。

俺はそのまま席に座った。

 

「提督……」

 

「もう少しだけなら……。俺も、もうちょっと話したいと思っていたし……」

 

そう言ってやると、大和は俺の湯呑を抱えて立ち上がった。

 

「――お茶、いれますね!」

 

「ああ、頼む」

 

それから、互いに眠くなるまで話し込んだ。

どんな話をしたのかはあまり覚えていない。

ただ、楽しかったのは確かであった。

 

 

 

翌日。

朝から食堂の方で、何やら騒ぎが起こっていた。

 

「なんだよこんな朝から……」

 

向かってみると、寮の艦娘達が大集合していた。

 

「何ごとだ?」

 

「あ、提督!」

 

周囲がざわつく。

皆の視線が俺に集まっていた。

 

「な、なんだよ……?」

 

「提督……本当なんですか……?」

 

山城が恐る恐る尋ねた。

 

「あ?」

 

「陸奥さんと鹿島さんに告白されたって……」

 

は?

陸奥と鹿島の方を見ると、二人とも恥ずかしそうに輪の中で小さくなっていた。

 

「お前ら……」

 

「ご、ごめんなさい提督さん……。その……私が提督さんに告白したって噂が流れてて……質問責めにあって……その……」

 

「私は黙ってるつもりだったのよ? でも、鹿島さんが言うものだから……対抗したくて……」

 

それでこんなに集まってんのか……。

 

「くだらん! そんな事でお前ら朝から騒いでたのか!?」

 

「だって気になるじゃん! 実際どうなの!?」

 

「事実だ。これで十分だろ。分かったら解散! ほら! 帰れ! 散れ!」

 

艦娘達はぞろぞろと部屋へ帰っていったが、やはりいつものメンバーだけは残っていた。

 

「陸奥は提督の事が好きだったのか……。そうとは知らず、色んな所へ連れ出してしまってすまない……」

 

「そ、そんな事ないわよ。私だって、長門と出掛けるのは楽しいし……」

 

「貴様……黙ってるとは人が悪いぞ!」

 

「そうだよ提督! 鹿島さんもなんで内緒にしてたの!?」

 

「な、内緒にするつもりは……。言う必要もないかなって……」

 

「陸奥さんに鹿島さん……ああ……終わったわ……」

 

めんどくせぇ事になったな……。

こんな状況をまたニヤニヤしながら楽しんでいるのであろう大和の方を、俺は見た。

しかし、視線の合った大和は、弱弱しく微笑むだけだった。

 

 

 

やっとの事で解放され、俺は部屋へと戻った。

 

「ったく……」

 

あんなくだらねぇことで大騒ぎしやがって……。

どうして恋愛話になると、女ってのはこうも……。

 

「…………」

 

だが……あの時返事をしなかったのも……悪いことだよな……。

結局の所、俺はどうしたいのだろうか。

鳳翔への失恋を受け入れて、今の俺に必要なものは、本当に新しい恋なのだろうか……。

 

『今日、こんな事があったんだ――』

 

俺はあの影法師を思い出していた。

鳳翔の奴、お母さんしてたな。

そういや、誰かが言ったっけか。

「鳳翔は鈴蘭寮のお母さん」と。

あの頃は、皆が家族のようだったな……。

 

「――……」

 

ああ、そうか……。

恋という言葉に、何処か違和感があったのはそういうことか……。

確かに、管理人としての幸せも、男としての幸せも、どちらもソレにあるかもしれねぇ。

ソレが一番しっくりくる。

 

「なるほどな……」

 

もしかしたら、俺が本当に欲しかったものは――。

 

 

 

お昼前になると、鹿島と陸奥が二人で部屋を訪れた。

 

「提督さん、今朝はすみませんでした!」

 

「ごめんね提督」

 

「いや、もう済んだことだ。俺が返事をしなかったのも悪いしな……」

 

そう言ってやると、二人はほっとした表情を見せた。

同時に、鹿島と陸奥は顔を合わせ、頷いた。

 

「提督、今回の件で鈴蘭寮の艦娘達は、関係がギスギスするんじゃないかって心配していると思うの」

 

「まあ……そうだろうな……。俺も薄々ではあるが、そうなるかもしれないと不安になっていたところだ……」

 

「そうなったら困るのは提督さんですよね。提督さんはきっと、責任を感じて辞めるか、私たち二人を振っちゃうかもしれません」

 

「それだけは避けたいと思ってるの。だから、私たちはどちらが選ばれても恨みっこ無しで、むしろお互いに切磋琢磨していこうと誓う事にしたの。ね、鹿島さん」

 

「はい!」

 

「お前ら……」

 

なんて出来た奴らなんだ……。

本当、俺なんかには勿体無いくらいの――。

 

「皆にもそう説明しようと思うんです。その許可を貰いに、ここに来ました」

 

「どうかしら?」

 

「ああ、ありがたい。そうしてもらえると、本当に助かる」

 

それを聞いて、鹿島と陸奥は互いに微笑み合った。

 

「俺も、早く返事が出来るように努力する。今は、やっと何か掴めそうな気がするんだ。俺自身の事」

 

何がしたいのか、何が欲しいのか。

やっとその背中が見えてきた気がする。

もし、それをはっきりと掴めることが出来たのなら、その時、隣にはきっと――。

 

「あ、そうだ。あと、これも二人で決めたことなのだけれど……」

 

そう言うと、陸奥はカレンダーを出した。

そこには、日ごとに「鹿島」「陸奥」と書かれていた。

 

「……なんだこれは?」

 

「この鹿島って書かれているのは私の日で、こっちの陸奥って書いてあるのが陸奥さんの日です」

 

「待て待て。だから、何だ? その鹿島の日とか陸奥の日ってのは……」

 

「決まってるわ。鹿島の日は鹿島さんが提督を独占出来て、陸奥の日は私が提督を独占できるの」

 

「は?」

 

「穏便に済まそうと考えた結果なんです。いかがですか?」

 

「いかがですかって……。俺の自由はどこにあるんだよ?」

 

そう言うと、鹿島と陸奥は目を合わせ、一か月の内の一日だけを「自由」と書きなおした。

 

「これでいいですよね?」

 

「よくねぇよ。却下だ!」

 

「えー? じゃあどうやって提督さんを? 競争はいけませんし……」

 

「そうよ。争いは駄目よ?」

 

少しでもこいつらに感心した俺が馬鹿だった……。

 

「提督さん?」

 

「提督?」

 

「帰れてめぇら!」

 

 

 

結局、カレンダーの件は却下し、何とか別の形を考えるという事でその場を治めた。

 

「じゃあ、また決まったら連絡するわね。行きましょう、鹿島さん」

 

「はい!」

 

二人仲良くしてくれるのはありがてぇけど、なんかもっと面倒な事になりそうだな……。

 

「終わりましたか?」

 

頃合いを見ていたのか、大和が部屋を訪れた。

 

「ああ。なんだ? 笑いにでも来たか?」

 

「そんなところです」

 

そう言うと、大和はコーヒーを置いた。

 

「ありがとう」

 

「どうなるかと思いましたが、鹿島さんも陸奥さんも仲良さそうで良かったです」

 

「良すぎて大変な事が起きそうだがな……」

 

「うふふ」

 

先ほどとは違い、大和は悪戯に笑った。

 

「恋か……。大和も頑張らないと!」

 

「追いかけたい人だっけ?」

 

「えぇ。けど、そればかりにこだわってちゃいけないのかもしれません。提督が鳳翔さんを諦めきれたように、大和もそうしないと……」

 

大和は窓の外に目をやった。

 

「だから、今度の合コン、やっぱり参加することにしたんです」

 

「そりゃまた急だな」

 

「このままだと駄目だなって……。追いかけてばかりだったけれど、追いかけられるのも悪くないのかもしれません……」

 

俯いたまま、大和はそう言った。

俺はそれが、本心ではないように見えた。

 

「……どうですか? 提督は追いかけられてばかりですけど、悪くないですか?」

 

「いや、お前の苦労がよく分かったよ。俺もどっちが良いかはまだはっきりとはわかっちゃいねぇけど、それが見つかった時には、誰かが隣にいるもんじゃねぇかなって思ってる」

 

「隣……」

 

「追いかけるのが目的じゃねぇ。そうだろ?」

 

大和は何かに気が付いたかのように、顔をあげた。

 

「……そうですよね。追いかける事ばかり考えてました……。本当は、隣にいる事が目的なんだ……」

 

アキレスと亀のような恋じゃいけない。

あの影法師を見て、そう思った。

 

「…………」

 

ふと大和の方へ目をやると、じっとこちらを見ていた。

 

「なんだ?」

 

「……いえ。ありがとうございます。何か掴めそうです」

 

「そうか。そりゃよかった。お互いに頑張ろうな」

 

「はい」

 

俺が差し出した手を、大和はしっかりと握った。

 

 

 

あれから数日。

ついに合コン当日を迎え、俺たちはその結果を寮で待っていた。

 

「山城、武蔵、長門、大和……誰が一番男を落とすと思う?」

 

「やっぱり大和さんかなー?」

 

「案外長門かもしれないわよ。彼女、クールに見えてポンコツだし、そういうギャップに魅かれる人もいるんじゃないかしら?」

 

「私は武蔵さんだと思います。今って、草食系男子って言葉もあるくらいだし、武蔵さんのような肉食系(?)はモテるかも」

 

そんな事でワイワイ盛り上がっていると、4人が帰ってきた。

 

「おう、お帰り。どうだった?」

 

表情は冴えない。

 

「駄目だったのか?」

 

「いえ、合コンは凄く盛り上がったんです。ただ……」

 

3人は山城を見た。

 

「山城、どうかしたのか?」

 

「提督……私……」

 

その表情は、今にも泣きそうであった。

嗚呼……お前だけ駄目だったんだな……。

 

「そう気を落とすな、山城。次があ――」

「男の人に告白されてしまったんです……!」

 

――続く。

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