FGO 宮本武蔵と二天一流inカルデア   作:詩七喜

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12話 邪竜と聖女と二天一流9

「これが私の宝具、吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)さあ始めましょう」

 

フフとジャンヌオルタが笑みを浮かべ宝具を発動させた。

 

無数の漆黒の棘がタツキめがけて飛んできた。

連続して放たれる漆黒の棘は撃ち落としたところで無意味だと思わせるほどの数だった。

 

敗北か

タツキはその時自らを突き刺さんと降り注ぐ棘を見ながらそう思った

 

負けるのはいつぶりか。確かあの時も突然負けたんだっけ。

 

敗北は突然突きつけられることは稀だが、それはない訳ではない。現に今俺は負けを確信している

 

だから、今回も、あの時と同じで終わった後に喪失感に襲われるのか。

 

いや今回は違うか

 

敗北とは死だ。

 

漆黒の棘がタツキ目掛けて降りかかる中、タツキの思考回路は異常なまでに早く働き色々なことを考えられていた。

 

タツキが走馬灯というものを見るのは二度目

 

一度目は剣道での大会の時、敗北の決まる瞬間、俺の思考回路は今と同じように......

 

そしてこれが二度目

 

あの時と違うのはこの敗北は死という結果がついてくるのだ。

 

令呪は使った。

 

今、俺ができることはやった。

 

後は。

 

タツキは目を瞑った。

 

生きていられることを願いただ漆黒の棘が自らの身体に突き刺さるのを待った。

 

( あー長い。とても長く感じる。今目を開けたら、目の前にあの漆黒の棘があるのだろうか ハハハ。可笑しくて笑いたくなる。武蔵との二天の繋がりはここで断ち切られるのか )

 

 

【 それは 嫌だ 】

 

 

 

 

『 仕方ない。今回だけは未契約だが出てやるしかなさそうだ。未契約時に強制的に操作するのは負担がかかるのじゃが。仕方あるまい』

 

 

 

 

タツキは叫んでいた。

 

何故?

 

タツキの意思ではない何かが宮本タツキを支配している

 

タツキはいつの間にか目を開いていた。

タツキが見えているものは確かに俺の視界の筈だが何かが違う。俺が俺を見ているような、ゲームの中の操作キャラを操っているかのような、そんな感覚だった。

 

「 ああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアあああああガハバア」

 

タツキは咆哮の如き声を上げ、身体の動きを止めていた漆黒の棘を握り潰した。

 

自由になった身体で、すぐさま小太刀を抜刀し、目の前に迫り来る漆黒の棘を打ち払った。

 

「割に合わぬな、じゃが、まだ終わらぬわ!この程度、全て弾いて見せよう!」

 

タツキは小太刀を鞘に収め、腰に二本存在する太刀【 紅刃命要 】、【 名《秋》】を抜いた。

 

「ほお、中々の業物よ、少しの間だが、頼むぞ」

 

「貴方は誰?」

突然の豹変にジャンヌオルタも気づいたらしく訝しんでいた。

 

「儂か?儂はお主に現在殺されかけておる青年じゃが?」

タツキの身体を操る何者かがそれに冗談で返した

 

漆黒の棘の雨が降ってきている状況で冗談を言える程の余裕にジャンヌオルタは危機感を感じていた。

 

「ファヴニール!やりなさい!」

ジャンヌオルタは何かが起こる前に先ほどタツキが記したルールを無視し、ファヴニールに攻撃命令を下した。

 

ファヴニールは命令に従い、タツキ目掛けて攻撃を行う構えを見せたが、攻撃を実行することはできなかった。

 

「蜥蜴よ。それは約束が違うだろう?てめぇはこの戦いに参加しない約束の筈だが?」

 

計り知れぬ量の殺気

 

その殺気はジャンヌオルタにさえ届き得るのではと思わせるような底の見えぬ憎しみや殺意の塊だった。

 

ファヴニールはそれを浴び身体が固まってしまっていた。

 

「黒い娘よ、お主と戦うのも面白そうじゃが、すまぬな、今回はそうはいかぬようだ」

 

ジャンヌオルタやファヴニールに警戒へしながらタツキは全ての棘を弾き飛ばし終えた。

 

「さて、棘の雨は止んだとして、お主らからそう簡単に逃げることはできなそうじゃの」

 

「そうね、必ず殺します」

 

「ブォアアァアアア」

 

流石、巨大蜥蜴といったところかの、もう馴染みやがったか。

 

確かこいつはいつもポケットに

 

これじゃな。

 

「では、やらせて貰うとするかの」

タツキは刀を鞘に収め腰を少し落とし抜刀の構えを取った。

 

「二天一流・秘伝!」

 

その一言でジャンヌオルタは一瞬だが騙された。すぐにその言葉に意味はないと気づいたのだがその一瞬が大きかった。

 

その一瞬をついたタツキは閃光玉を破裂させた

 

あたり一面を覆った光はすぐに収まり、そして光が消えた後に視界を奪ったのは煙だった。

 

「なっ!?」

 

「グバア」

 

逃げ出したタツキの身体から血が溢れているのをタツキは見ていた。

 

何の痛みも感じないし、それに今の行いは俺の意思ではなかった。

 

タツキはただそれを見ていただけだったのだ。

 

「儂の中の......タツキじゃったか。今回は助太刀したが、二度目はない、二度目を要求するなら契約を成せ。安全な場所までは逃げてやるから安心せい」

 

( あんたは誰だ?)

 

「儂か?儂は......そうじゃな、こう名乗ろうか、儂は弁助というもの」

 

(弁助?何故あんたは俺を助け......)

 

何だこれ視界が白くなって

 

「潮時じゃな、全く、ヘマするならあの時の用に死ぬことはない程度でやれよ、死んだら元も子もない、さらば」

 

タツキは森の中で突然力を失ったかのように倒れた。

 

そしてタツキは騎士団に拾われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『タツキ君!大丈夫かい!?タツキ君!何があったんだ!?』

 

 

なんだこれ。

 

 

ロマン?俺は

 

 

「お、お目覚めですね」

目を開けるとそこは森の中だった。

 

「すみませんね、至急救護に当たらせたために、街に戻ってから手当をさせてもよかったのですが」

 

俺が寝ている隣で話しかけてきているのは銀色の鎧を身に纏った、顔色のあまり良くないと言っては失礼だろうが、そんな印象を受けさせる男だった。

 

「ああ、失礼私はジル・ド・レェと申します、現在はフランス軍にて指揮を取らせてもらっています」

 

「俺は、宮本タツキです、よろしく、助けてもらったことには感謝する。だが俺はすぐに行かないと」

 

「ああ、知っています。偵察兵からの情報によりますに、貴方は異国からの者だとか。ですが、そのような状態で、行かせるわけには行きません」

 

大丈夫だって言いたいが両腕が痛む。

 

「ならば、どうしろって?ここで寝てろってか?」

 

「武器は取れますかな?」

 

 

ジルドレェの質問を疑問に思ったが、寝ている状態から起き上がりジルドレェが指差す先にある刀をとった。

 

感触はある。

 

スッと刀を鞘から抜き、一振り、腕に痛みを感じるが触れなくはない。

 

「ああ、問題ない」

 

「そうですか、よかった、では貴方をこのフランス軍が援護しましょう」

 

「は?いやいや、そんなことしてもらう必要はないんだが!?」

 

突然のジルドレェの案に驚きを隠せず、驚き半分でジルドレェをとても疑うようになった。

 

何故なら人に優しすぎる。

 

「遠慮なさらず」

 

「遠慮......。俺だってあんたを信用しないわけではない。だが、嘘をつくというのなら、まだ分かる。だが、何もなしに俺を助けるというのはあまりに不自然だ」

 

「そうですか。では、現在フランス軍の兵達は著しく減ってきています。理由はタツキも分かっていると思いますが」

 

「竜の魔女。」

 

「ええ、それもありますが、ワイバーンや死者抜け殻から蘇ってくる屍達。我々だけでは、防衛するのがやっと。そこにタツキが加わればこちらから、打って出る事ができます」

 

「なるほどな。嘘半分、本音半分ってとこか。分かった。じゃ、俺がフランス軍に入ればいいんだな?」

 

「ッ!? そうなりますか。なるほど。貴方は面白い方だ」

 

「あんたに任せるさ、隊長に俺の行方はな。あんたがやりたいことをやってくれ、俺はあんたの部下だ。やりたいことがあるのだろ?」

 

「あ、ああ。そうですか。それでいいのですか......。感謝を」

 

そういうとジルドレェは部隊の仲間がいるところへ行った。

 

「ロマン聞いてたよな?てことで俺少しの間フランス軍の一員になっちまったんで、よろしくー」

 

『全く。急に通信が切れたと思ったら、フランス軍に所属って。それでタツキ君は無事なのかい?うちの技師がすごく心配していてね〜』

 

『心配?なんのことだい?遊び道具がなくなる心配はしたがね?』

 

「あーはいはい。知ってますよ〜じゃ、無事ってことで」

 

通話を終わらせタツキは太刀2本、小太刀2本を腰に収め軍の人たちのところへ向かった。

 

軽い自己紹介を済ませ、皆と共に食事をしたのち、兵の一人が見回りに行くということだったので、それについて行くことにした

 

「この森はお前らの根城って感じか?」

 

「いえ、違います、本来は城や街や砦などを拠点としているのですが、魔女が現れてからというもの、城は奪われ、街は襲われる始末、タツキさん達と同じように危険が少ない場所といえば森ということになるのですよ」

 

「なるほどな、それでお前はいつも偵察兵なのか?」

 

一瞬その兵は驚いた表情を見せたがすぐに戻った。

 

「ええ、私はいつもそんな感じですかね。弱いんですよ、僕。力はないし、剣の腕もない、銃を使っても敵に当たらないんです。そんな僕はこれしかなくて」

 

「何故フランス軍に?」

 

「憧れてたんです。ジャンヌダルクに。しかし、僕が入隊してすぐに彼女はいなくなったんです」

 

「というとお前は最近入ったのか?」

 

「ええ、偵察兵としての腕を買われたんです。そんなにすごかったのか?ジャンヌダルクってのは」

 

「ええ、すごいなんてもんじゃないですよ。彼女が戦場に現れてからというもの、フランス軍が覚醒するかのように強くなったんです。私の父は当時フランス軍でジャンヌダルクと共に戦っていたので、その話によればですが」

 

「当時?ってことはもう軍は退いたのか」

 

「いえ、敗死です。ジャンヌ亡き後のフランス軍は一気に弱くなりました。ジルさんはああやって指揮を高めていますが、あの人ほどジャンヌダルクのことを悔いた人はいないはずです。あの人から聞くジャンヌダルクの話はいつも希望が見え、そして次第に絶望に変わって行くような気がしてならない。そんな話方をされます」

 

「父はそんなジルさんが絶望に堕ちかけている時に彼を救ったとジルさんから聞きました。だからですかね。僕が入隊できたのは」

 

「いや、お前の実力だろう。人には向き不向きがあり、お前は偵察面では優秀なんだ、自信を持てよ」

 

「全く貴方ほどの実力者に言われると嫌味に感じるのを通り越しますね」

 

「そうか?ならよかったじゃないか」

 

「それよりですね、タツキさん。このまま森を進むと屍達と遭遇します、行きますか?」

 

「見えるのか?」

 

「いいえ、足音です。木々を踏む時になる音です」

 

「やっぱり、お前は優秀なんだよ。ぶっ潰してくるのもいいんだけどな。ちょっと隠れるか」

 

タツキと兵は近くの木の裏に隠れた。

 

「そういえばお前名前」

 

「僕ですか?僕はレコンです。」

 

「レコンか、わかったよ。よろしくなレコン」

 

「来ます」

 

レコンが言ったタイミングと同時に屍達はタツキ達の隠れる木の前を通り過ぎようとしていた。

 

「行くわ」

 

「はい」

 

タツキは木から音を最大限に消し、一気に屍達との距離を詰めると真横から屍を斬り倒した。

 

続く屍達が反応するより早く左手で小太刀を抜きもう一体の屍を斬り伏せた。

 

「すみません数を教えておくべきでした」

 

「気にするな、まあ2体だったから一瞬驚いたくらいだ」

 

「偵察は終わりですね、戻りましょうか」

 

「もう終わりなのか?」

 

「ええ、実際タツキさんがしっかりと戦えるみたいでしたので」

 

「?おいまさか。偵察って」

 

「はい!タツキさんの偵察です!」

 

ととても笑顔でレコンは答えた。

 

「ジルさんに報告した後、タツキさんは軍での戦いになります。軍では指揮官の命令に従ってください。軍での自由行動はッて!タツキさん」

 

タツキは太刀を鞘に収めたらすぐに来た道を戻り出していた。

 

 

「全く」

 

レコンはため息をつきタツキの元へ小走りで向かった

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