報奨の前に流石に俺達の事が気になるようで、女から色々と質問された。
もちろん質問に答えたりするのはカルデアの頭脳?というかレイシフト先では最早任せきりだが、その辺は藤丸がとても上手いので、任せている。
「未来です」
「なんと。真実だとしたら難儀なことよ。心中察するぞ。しかし、階段から転げ落ちでもしたか?」
まあそうなるわな。
どこから来た?と聞かれ、未来からと答えたら頭がおかしいとしか思えない。
「「「ウォオオオオオオオオ」」」
怒号をあげ、先ほどのやつらの仲間が攻めて来た。
全く、飽きない連中だな
「武蔵行くぞ」
「はいよ!」
「藤丸こっちは任せろ」
敵兵の第二波とでもいうべきか、そりゃ火で威嚇しただけだから全員が怯むわけないよな。
「マシュはそこの女の人の身を御守りしてくれ」
「え!?は、はい!」
うーん。流石に強いといっても女の子に護衛なしではな......。
「余に盾などいらぬ!」
「いやいや。流石にいるでしょう」
「行くぞっ!」
と言って真っ先にドレスを纏った女の子が飛び出した。
全く!無茶な!
「そこの、なかなかな姿をした少女よ!余の盾役を命じよう!」
「わ、わかりました!」
結局盾役としてマシュを起用する訳ね。まあそれなら安心だな。
「ねえタツキ。アレ多分だけど、タツキに仕切られたのがお気に召さなかったんじゃない?」
......。
「ありえるな」
「すまぬ。剣が滑った」
ぬん!?
「ハァ!?滑るって何!?イヤイヤ怖い怖い!死ぬんだけど!?」
目の前を赤色の剣が貫いたんだけど!危ない死ぬ、敵は味方の中にってレベルじゃない!
「避けるでない。余からの報奨だぞ?」
それは報奨とは言いません。
「わかりましたよ。すみません。それで、俺はどうすればいいですか?」
「そうだな。とりあえず戦え」
「わかりましたよ」
ま。それならいつも通り
「武蔵。ほらコレ使いたいんだろ?いいぞ」
俺は武蔵にルーンブレイドの
「ありがとう!やってみるわ!」
武蔵はニヤリと笑うと刀を抜いた。
「普通に炎イメージして、ケンッて言えば反応して火が出るはず。ダヴィンチちゃん曰く初心者にも使いやすくなってるんだって」
「わかったわ!いっくよぉ!」
そう言って武蔵は上段に構えた裏斬を振った
「ケェエエエエエン」
ズゴォォオオオオ
ビームが出た。
辺り一帯を焦土と化す熱の光線だった。
「な!?なにこれ!タツキの時と違うじゃん」
武蔵の目がキラキラと輝きを放ちながらこちらを見て来た。
「俺に言われても知らん」
そう本当にそれはわからん。サーヴァントだからなのか?それとも火のイメージの問題なのだろうか。
「武蔵さん?これはそのやりすぎというか」
マシュがそのビームが通った跡を見てそう呟いたのも無理はない。
何故ならそこ一直線が焦土と化しているのだから。
そこに先程まで人が居たことなど無かったかのように無慈悲にその光は全てを焼き殺していた。
そしてそれを見た、連中は既に戦うという意思はおろか、逃げるということすら出来ずにいた。
数の利を一瞬にしてかき消す一撃だった。
「タツキこれ、すごいよ。力が漲るっていうか多分さっきまでここに嵌ってた石みたいなヤツが関係あると思う。急に魔力が漲ったのよ」
「つーかあの威力に耐えられるこの刀もどうなってんだよ」
「あのタツキさんはこの光景を見て何とも思わないんですか?」
マシュからの質問だった。
質問の意図はどこにあるのか、この残酷なまでの光景のことか?
いや。それしかないか。
現に藤丸は目を丸くし手が震えている。
「思う事はない。何故かはわからないけど、俺は不思議と何とも思わなかった」
「そう、ですか」
そう言ってマシュは藤丸を見た。
『 近くにサーヴァント反応だ!先程の一撃で気づかれたのか!?警戒してくれ!』
「気づいています!」
マシュがそれに答え、マシュと武蔵が警戒態勢を取った。
仕方ないか。
「藤丸しっかりしろよ。お前が潰れちゃ困るからな」
「え。あ。ああ。悪い。少し驚いただけだ」
藤丸が無理に笑顔を作ったのがわかった。
「いやそれが正しい反応だ。俺が異常なんだと思う。だが今は切り替えてくれ。司令塔は藤丸しかいない」
「ああ。そうだな!」
良し。準備OK。さあ敵さんの姿はと。
おっさんか。
黄金の鎧に赤いマントのおっさんだった。
いつも思うけどさ。サーヴァントって言われてもこいつが誰なのかすらわからないんだよな......
「叔父上!?いや、今は敢えてこう呼ぼう。カリギュラ!」
ドレスの女の子が真っ先にその名を呼んだ。
どこかで聞いたような聞かなかったような。うーん?歴史疎すぎてテンション上がらないんだけど。というか伯父上?
ダヴィンチちゃん辺りなら喜びそうなワードではある。
『今何と言った!?カリギュラと言ったのか?』
ロマンさんもテンション上がってる?いやこれは違和感といった感じの声のトーンだな。
「はい。そう聞こえました。この時代に生きる人間がサーヴァントと血縁?」
マシュの返答で何となくわかった。
この子とカリギュラは家族なのか。
家族喧嘩的なこと?
「で、ロマン結論は?倒してもいいのか?」
『その子の言葉からしても敵対しているようだ、それにサーヴァントだ。手加減は無用だよ』
「よし!やるか」
裏斬を腰の鞘へ納め、もう一本の刀、秋を抜いた。
「全てを捧げよ!」
カリギュラが唐突に声を荒げた。
何だ?急に。
とりあえず、これでもくらえ。
無形からの踏み込み。
カリギュラが自分の間合いに入るまで構える事は無く、間合いに入った瞬間に構える事なく斬りつける。
二天一流-水無月其の一 水無しの夕立
突然の雷の如き斬撃
型が無く、一切の無駄な動きをせずただ斬るだけの技。だがただ普通の斬撃と違うのは
「グアァアアア!」
は?刀が筋肉で止められただと?
いや違う。こいつ今右腕の肉を断ち切る斬撃に反応して腕を少し引き、アームガードがある部分にわざと当てさせたのか?
これはまずいな。
ガハッ
カリギュラの左膝蹴りがタツキの脇腹に直撃した。
そのダメージに耐えられず、刀を落とし、膝を地についたタツキの顔面をカリギュラはその足で蹴り飛ばそうとした。
やはり思考はそこまであるわけではないようだ。
敵をただ倒すだけ。バーサーカーとみた。
武士は正座した状態からの技を持つという。
それは不意の攻撃に対応するためのものとして。
むしろ正座のその座り方の元を辿れば、武士の室内での暗殺などを防ぐためだとされる。
このように膝を地につき、納刀された刀が腰にある状態は武士にとっては好都合なのである。
二天一流-霜月其の二 地神送迎
小太刀での抜刀下段切り
霜月は神を送り届ける月だという。それ地の神を天界へ送るのもまた神送りだろう。
神を送り届けるのに障害は不要だ。
カリギュラの足を刀で殴りつけた。
斬れないなら力を利用して倒す。
斬るでは無く、押す。やったことはあまりないがやろうと思えばできるのだ。
カリギュラは蹴りを行なっていた足をその力を返して押されたため地に尻をつき倒れた。
「武蔵頼む。厳しいわ」
「はいはい。世話のやける弟子ね」
尻をついたカリギュラに斬りかかる武蔵の二本の刀をカリギュラはギリギリのところで頭を引き避け立ち上がり武蔵へ拳で牽制するも武蔵はその突き出した拳を避け腕を斬り裂いた。
「頑丈ね。腕を斬り落とせ無かった」
「アアアアア......あり得んッ!」
カリギュラが頭を抱えてこちらを睨むが、武蔵は気にすることなく足進めた。
カリギュラはただ呆然と近づいてくる武蔵を睨むだけだった。
そして武蔵が最後の一太刀を浴びせんと刀を振り込んだ。
その首を刀が飛ばすと思っていたがなんとカリギュラはその手で刀を受け止めた。
もちろん綺麗に止められてはおらず手のひらからは血が流れているがカリギュラはそれに眼もくれず、武蔵めがけ蹴りを行なった。
ガンッ!
「ナ!?」
「武蔵さん、お守りします」
カリギュラの足へマシュが綺麗に盾を合わせ、攻撃を受け止めていた。
「ありがとう、マシュ」
武蔵はそう言って、刀をカリギュラの手から抜きその場から距離をとった。
「お願いします!」
マシュは盾でカリギュラを弾き、後ろから駆けつけていた女の子と交代した。
「任せろ!」
女の子はその赤き剣を振り抜いた。
カリギュラはその剣を先程とは違う手で受け止めた。
「!!我が、愛しき、妹の子よ!」
「美しい、な。美しい。奪いたい。貪りたい。引き裂きたい」
おいおい突然どうしたよ。
カリギュラの反応が変わった。
やはりこの子への感情が強いのか。
(おいマスター。お前の身体を借りるぞ)
は?
脳内への直接的な言葉、その言葉の後、俺の意識は別の世界へと落ちた。
以前、黒ジャンヌとファヴニールから逃げる際も起きた現象だったし、それ以外にもあった。
(また来たのか。久しいの若造)
おっさんか。確か弁助と名乗っていた。
(おっさん。またあの小僧か!俺の身体を玩具みたいに使うなっての)
(いやいや。此度の憑依はお主の為の憑依じゃよ?まあ見てみよ)
うーんやはりこの自分の姿を別の感覚で見るというのは違和感しかないな。
それにしても俺のためってどういうことだよ。
「お前!しゃがめぇ!」
突然タツキが藤丸の方を向いて叫んだので思わず藤丸は命令通り頭を低くした。
マシュや武蔵、女の子も突然叫んだものだから驚いてこちらを見た。
瞬間、先程まで頭があったところを日本刀が空を切った。
「え?避けられたの?惜しかったな」
朱色の髪の女の子だった。
その子の特徴としては
「カルデアの制服?君は一体?」
藤丸は今自分を殺そうとした相手に質問を投げかけたが、相手は聞く耳持たずその刀を振り回した。
「敵の大将を先に殺すというのは戦術的にはとても良いな。でもそれは詰まらない」
「え?」
女の子の振り回した刀をタツキが指で受け止めた。
指からは血は一切出ておらず完璧に捉えていた。
(これ俺の力の訳ないよね。刀を指で止めるって漫画でしか見たことねーよ)
(ははは。そりゃあの。あの子の力じゃからな)
(ただその器はお主のものじゃよ)
(うん?どういうことだ?)
(いずれ分かる。ははは)
「殺意はあるが意思のこもっていない刀に価値はない。洗脳の類か?これ程までに、殺意と意思がズレているなんてのは変だ。お前、何者だ?」
「私は藤野 律。以後お見知り置きを。それと洗脳云々は半分当たりかな。この刀は私のじゃないんだ。名代ちゃんの刀貸してもらったの!君が名代ちゃんの言っていたカルデアの剣士マスター?すごいねぇ刀を指で止めるなんて」
「あ?訳わからん。藤丸下がれ」
「分かったよ......」
藤丸はその場から離れようとして止まった。
「なんだ?」
「お前は誰だ?」
藤丸はただタツキの目を見てそう呟いた。
「流石だな。カルデアのマスター。名乗るとしようか。サーヴァント・バーサーカー、宮本菊丸。見参」
『 ええええ!?何何何!?どういうこと!?急にサーヴァント反応が増えたと思ったらタツキ君がサーヴァントになったの!?』
「これうるさいな。耳障りだ。壊してもいいか?」
タツキは耳に埋め込まれたインカムを指でカンカンと突いた。
『ああああああ!ダメダメ!分かった。とりあえずは黙る。先ずはそちらを優先してくれ』
「分かったよ。それに早くやらないと都合が悪いのは俺の方だからな」
(どういうことだ?)
(あぁ。菊丸は若さ故に無邪気な性格のまま剣鬼になった。
若さゆえに恐れを知らぬ。
故にあの子にとっての戦いは遊びだった。
そしてそれは他者からすれば一種の狂気に見えたじゃろう。
そしてあの子が十の歳で亡くなる時に既にあの子には常識的な理性がなかった。
殺すことだけを行う子供になっていたんじゃよ。
だからの。十分があの子が冷静に戦っていることのできる制限時間。その後は徐々に狂い始め、そして最後には生きるもの全てを殺す存在となる。
我々は皆、お主により存在を認められている者達だ。
そのぐらいの覚悟はある。
むしろ感謝しておる者が多い)
(感謝?何故)
(それもいずれじゃ。はははは)
(ハァ。左様ですか)
「菊丸君と言うのか。よろしく頼む。よくわからないことだらけだけど今は君を頼るよ」
「おう!任せろ!ま。でもとりあえずお前は邪魔だ」
菊丸はそう言い、藤丸の身体を担ぎ上げ後方へ投げた。
「そこの盾の子〜任せたよ」
「え?な!?マスター!」
宙を舞う藤丸が地に落下する前にマシュがギリギリ受け止めた。
「ナイスキャッチ!」
(「無茶苦茶な!」)
マシュの台詞と俺の台詞がリンクした。
いやまあ多分アレを見ていたら誰でもそう思う。
「それじゃあ、お姉さん。覚悟はいい?戦場は遊び場だけど、覚悟の無い人は来たらダメだよ」
菊丸は刀を抜かずボクサーのように構えた。
「何それ。ボクサー?刀使わないの?」
そう言って藤野は菊丸に斬りかかった。
菊丸はそれを避け、藤野の刀を握る手へ手刀を入れ、藤野が刀を落とすと、顔面へ裏拳を入れ、よろけたところに右足で押し飛ばした。
「いてて......女の子を殴ったりしたらダメなんだよ」
頭を抑えながら藤野は起き上がるやいなや
「そうなんだ」
菊丸は藤野が落とした刀を拾い「重い」と呟くと
それを投げつけた。
「危なっ!?」
ギリギリそれを避けた藤野だったがその瞬間に菊丸は接近、避けたがバランスがうまく取れていない状態の足元を足払いし、藤野を転かし、トドメとしてその手を刃物の様に尖らせ藤野の腹へ刺突
「危なっい!」
「令呪か。ずるいなーもう」
令呪による肉体強化。以前俺もやったがアレによる加護は絶大だった。
菊丸の刺突は強化された藤野の肉体を貫くことは出来なかった。
「頑丈なら叩きつけても問題ないよね」
菊丸は藤野の襟首を掴み、力技で持ち上げるとそのまま地面に叩きつけた。
「ガハッ」
藤野は叩きつけられ自然と呻き声が出た。
「肉体は強化されても衝撃波系のダメージは通ってるのかな?」
菊丸はジリジリといたぶる様にダメージの与え方を探しては試した。
その顔でその体でなんとも自由にやりやがってくれるな。
俺がそんな趣味があると思われたらどうするんだよ。
(おいジジイ!菊丸を撤退させろ!やりすぎだ!相手はただの人間だぞ!)
(やはりお主も平和の世で生きた人間か。
一つだけ言うぞ。
戦場に自らの足で踏み入ったなら、そこに善人も悪人も関係なく殺される。
故にそこにサーヴァントであれ、人間であれ関係のないこと。
菊丸はそれだけは理解できている。
お主にはそれができていないらしい。)
(は?ちが......)
違わないんだ。知っている。だから嘘でも言い返すことはできなかった
「さて次はどうやってダメージをあた......!?」
空を切った。
菊丸の目の前を刀が横一文字を描いていた。
「お待たせしました。マスター」
「剣士。いやその刀の形。同じ国の人......だよね」
日本刀を持った女性。
特徴は何よりも乳がでかい。
あのデカイ乳を強調するような紫色の服とも相まって、破廉恥だ。そして長く艶やかな黒髪。
「私のマスターを傷つけた事覚悟してくださいね。剣士君」
「俺は君を知らない。でも強いことはわかった。やろうか」
「俺は二天一流・門下
「なるほど、二天一流ですか。では失礼して、サーヴァント・バーサーカー、源頼光。いざ参る」
久しぶりに書きました。
待ってくださっていた方がいましたら遅れまして申し訳ありません。
年始の福袋情報なども出て、私は三騎士の方をやはり武蔵ちゃんの宝具を重ねたいので狙おうと思っています!
ちなみにですが、藤野 律ちゃんはFGOの女主人公の顔になります。