( は!?今 源頼光って言った!?)
( ナニィ!?おい!小僧!儂に変わらんか!)
(ウルセェジジイ!俺の体だから俺にやらせろ!)
(お主では役不足じゃ!)
( ああ?俺だって、戦って見たいんだよ!)
「おっと。危ない危ない」
頼光の一閃の太刀を、かろうじて避けた菊丸は、小太刀を二本抜いた。
瞬間、菊丸の目の前を再び一閃。
菊丸は抜刀した刀で受け止めた。
「あらら〜刀に悪いダメージが入っちゃったか」
菊丸は刀を見てあららと項垂れた。
「刀の心配ではなく、御自分の心配をなされたらどうですか?」
「俺の心配?何で?言っておくけど、君がどれだけ強くても俺は負けないよ」
勝つではなく、負けない......か。
「左様ですか」
続けて頼光は刀を打ち込むが、全て避け、いなしていた。
(凄いな)
不用意に近づかず、距離を取りながら避けれる時は避け、刀へのダメージを減らしている。そしていなせる時はいなす。
(器用じゃな。だが勝とうとしとらん。全神経守備へ回しとるように見える)
(だろうな。負けないとは言ったが勝つとは言ってないからな、あいつ)
(うん?......ほぉ!なるほどな!負けない、つまり勝つことはないが負けることもないということか!なるほど理解した)
(そーゆーこと。ただ何で今そんなことする必要あるのかってのがわからないんだよな)
(はて?そんなの簡単だろうに。お主と女武蔵に相手の動きを見せるためにだろう。勝てない相手とは戦わないのが儂らじゃからな。菊丸では勝てん。あやつはそれをよくわかっとる。お主と女武蔵に託すということだろう)
へぇ。面白いじゃないか。
「君さ、戦う気ある?さっきから一辺倒だけど、マスターを守ってたりする?大丈夫だよ。その子に攻撃したりしないから」
源頼光の攻撃は常にマスターの前を開けないように戦っていたため、一辺倒になりがちだった。
そして存分に戦いたい菊丸はそう指摘したのだが
「信用に足りませんね。貴方は約束を平気で破りそうですので」
「あっそ。じゃあそのままやれば」
へ?
( おぃいい!俺の刀投げてんじゃねぇ!)
約束とは何だったのか、見事に敵のマスターめがけ菊丸は小太刀を投げた。
「なっ!やはりですか!」
ガンッという鈍い音と共に投げられた刀は頼光の刀により叩き落とされていた。
「そう来るよね」
菊丸はマスターを守るために刀を振り抜いていた頼光の左手の
「うーん、やっぱり腕は無理か」
籠手止まりで肉を切れなかった事を少し悔やみながら頼光と距離を取った。
「卑怯ですね」
頼光は一層険しい表情で菊丸を睨みつけるが、やはりマスターの前に立ち、守りを重点に置いて戦っているようだ。
「悪い?君強いから普通にやったら勝てないでしょ?だからなんだけど。まあ卑怯って言えば卑怯か」
「許しません。死んでください」
「え?」
(は?)
(なんだと!?魔力放出による加速か!)
俺と菊丸と弁助のジジイが同時に声を出していた。
頼光の足元紫色の雷光が弾けたかと思った瞬間、頼光はその場所にはいなかった。
頼光は一瞬にして菊丸の横にいた。
いや、正確に言うなら菊丸は斬られた。
そうなるはずだった。
が武蔵がその攻撃を見えていたかのように、ギリギリのところで刀で受け止めていた。
「あら?貴方は」
頼光は攻撃が止められたため、マスターの前へと戻り、こちらの様子を伺った。
「危ないわね。さっさとタツキに体を返しなさい。貴方では勝てない」
「え、何が起こって......」
「さっさと帰れ!お前じゃ力不足って言っての!」
武蔵が叫んだ。
その表情はどのような感情かわからないが、穏やかではなかった。
「え、えと、わか、りました!」
(は?)
「なっ!?」
唐突の帰還に上ずった声が出た。
「おかえり。立ちなさい。お相手さんは待ってくれないわよ」
意識が戻ってる。菊丸が返したのか。
「ただいま。はぁ。全く。やっと帰ってきたって感じだけど、まさかこんな状況で返還されるとはな」
「無駄口はいい。それで準備はできてるのよね?」
「無理だ。あのアホが俺の刀投げやがったから、俺の小太刀二刀系の技が使えない」
「だから戦えないって?」
武蔵に睨まれたからでは無いが、この状況で冗談は流石にまずかったな。
「ふぅ。よし」
深呼吸をし、前進
刀を抜き、走って来るタツキを見た頼光も刀を構えた。
「無謀ですね」
頼光がそう呟いた瞬間
閃光が走った。
「なっ!?」
俺はそもそも小細工の方が得意なんでな。
閃光弾を破裂させ頼光の視野を奪い、一気に接近して、先ほど菊丸が砕いた籠手側の腕に刀を振り抜いた。
「甘い!」
しかし頼光は感覚だけでしっかりと俺の位置を捉えて斬り返してきた。
うーん、感覚でやられたら初白雪使ってたのに意味ないんだよな。
返し刀を紙一重で避け、左足蹴りを頼光の左足の
「ふぅ。危ない危ない」
一連の戦闘が終わり、ふぅと一息をつき武蔵の方を見た。
「武蔵完璧」
「当たり前よ」
「なんです?」
そう言って武蔵の方向を見た、頼光は絶句した。
「ます......たぁ」
頼光のマスターの首に刀を当て、動けば殺すと言わんばかりに武蔵が頼光を見ていた。
「主君取りは一番警戒すべきことだったわね。源頼光」
「卑怯者ッ、マスターを解放してください」
「ダメよ。目的を言いなさい。同じカルデアのマスターよね。私達を狙う目的は何?」
「そうですね。ですがこれでは取引にはならないですよ。しっかりと注意深く警戒していないとダメですよ。マスターは特に」
「え?タツキ!」
武蔵がこちらを向いて顔を歪め叫んだ。
刺突。心の臓を貫くように放たれた一突きは空を突いた。
タツキが何故か気づいていたかのように体を反らしたために。
「まさか、同じ顔の奴から攻撃されるとはな宝具か何かか?ま。関係は無いが」
槍を持った源頼光がそこにいた。
槍を避けられ隙だらけの頼光の身体をタツキは容赦なく斬り落とした。斬るとそれは消滅した。
しかし
「先輩ッ!」
な!?
斧を持った、源頼光が藤丸の隣に立っていた。
「流石に武士の様なマスターさんには避けられましたか。ですが、あの方は人質として交換材料になるのでは無いですか?」
「そうね。わかったわ解放しなさい。こちらも解放するから」
「信じれると思いますか?そちらからしてください」
「ダメよ。同タイミングでの解放が条件」
「仕方ありません。五つ数えます。それで解放ということで」
「わかったわ」
「5、4、3、2、1」
本当に同タイミングで武蔵は藤野を頼光は藤丸を解放した。
( 武蔵、もう一人いる。弓兵だろうな。刀と槍と斧と弓。油断するな)
( 了解 )
マスターとサーヴァントはこうやって意識で会話できるって便利だよなと改めて思いながら、タツキはマシュにアイコンタクトでウインクをした。
マシュはきょとんとした顔をしたが直ぐに自分の方へと歩いて来る藤丸を見て、弓兵が潜んでいると予測する場所と藤丸の間に上手く入った。
「まあ」
頼光はそれを見てそう呟いた。
武蔵は頼光へと警戒を払いながら、その弓兵の場所へ注意を払う。
頼光はマスターへ危害が加えられない様に、武蔵へそして俺へ警戒を払っている様だ。
「グサ」
は?脇の下を刀が通過した。
気づかなかった?
あり得るか?こんなに接近されて刀まで通されるまで気がつかないなんて
いやそれよりもこの状況を打開しなくてはならない。
俺が人質になったらそれこそ形勢逆転だ。
だが、最早どうすることもできない。
「久しぶりかな?タツキ君と武蔵」
「名代静。やはりあんたも絡んでるか」
「そーだよー。そこのマスターちゃん。と頼光さんの仲間だよー。ま、今は戦う気が無いからそんなに警戒しなくてもいいよ」
それは事実らしい。殺気が感じられない。
「でも危なかったね。私が殺す気があったら君死んでたよ」
それはない。人が人を殺す時に殺気を完璧に消すなんてのはそうできるものでは無いだろう。
今回はその殺気が無かったから反応できなかっただけだ。
「殺すよ?」
「急だな」
「嘘嘘」
寒気がする程の殺気が身体を襲ったが直ぐに止んだ。
「ま、今回はそんな気は無いんだけど。ほら帰るよ。カリギュラも撤退させたし、あんたら遊びすぎ。ほら早く」
「まあ、名代さん。わかりました」
そういうと頼光は霊体化し消えた。
「静ちゃん。ありがと。ごめんしくじっちゃった、テヘッ」
「あんたねぇ!テヘッ!じゃない!」
そういうと二人はそのまま歩いて行った。
「ダメね。すっごい警戒されてる。静は呆れる程に呑気ね。それと、タツキは、後ろに気をつけなさい!1回目は見事だと褒めるわ!でもね!2回目もあると何故警戒しないの?未熟者!」
武蔵の怒りの矛先は俺へと向いた。
「その通りです。面目無い」
「まあいいわ。とりあえず無事切り抜けたし、藤丸も無事みたいだから、とりあえずはみんな生きてるってことで及第点といったところね」
藤丸の元へ行き大丈夫か?と聞いたら大丈夫だと答えたので、マシュにもナイスガードと伝え、先ほど菊丸が放り投げた小太刀を拾いに行った。
「たくッ。雑に扱いやがって」
小太刀を拾い、砂を払い刀の状態を確認し、鞘に収めた。
刃に傷が......。
はぁ。テンション下がる。
「ねぇタツキ少し話したいからゆっくり歩いて」
「え?ああ。わかった何だ?」
真剣な顔をした武蔵から話しかけられたので少し怖かった。
「アレはタツキじゃないって事で当たってる?」
アレとは先ほど頼光と戦っていた俺の事だろうか。
「当たってる。たまに俺の中で話しかけてくる連中がいるんだけど、その中の一人なんだ」
「なるほどね。とりあえずはわかったわ。でもねタツキ。一言だけ言っておくわ。アレが戦うのであれば貴方自身の方が強いわよ」
「え?」
「未完成のタツキと未完成の誰かが貴方の体を使うのであれば決まって貴方の方が強いに決まってるじゃない」
「そう......なのか?」
「連中って言ってたから他の存在はわからないけど、さっきの子よりは強い。後ね最後に一つ」
「何?」
「私のマスターはタツキだけだから。他のは認めない」
そう言って武蔵はマシュ達の方へと足を進めた。
何というか。
本当に。
俺の事を分かってくれてるんだよな。
タツキじゃなければならないってのがタツキの中では本当に心強い言葉だった。
「タツキ少し話したい」
続いて藤丸だった。
「さっきはごめん。せっかく人質として取引ができそうだったのに」
「アレは俺達のミスだから気にしなくていい。それに藤丸は藤丸の役割があるだろ」
「それだよタツキ。俺の役割って言ってるけど、実際のところ俺はあまり役に立てていないんじゃないかな?」
「藤丸あまり、自分を卑下するなよ。役割ってのがあるんだよ。それに、俺には実際関係はなくともサーヴァントとの契約は全て藤丸に任せっきりだし、レイシフト先での人間関係も任せっきりだ。ほら、ただの戦闘員の俺より、藤丸の方が必要だろ?」
「そ、そうなるのかな」
「ああ、そうなるんだよ」
「おい。アレはなんだ?突然現れたり消えたりと、理解できぬ。それにしても伯父上のお顔をまた見ることになるとはな」
アレがこの子の伯父上様には見えないけどな。
『バーサーカークラスのサーヴァント祭りだったね。そしてあちら側にもマスターがいるのか』
「先程から見えぬ男がいるな。魔術師の類か?」
「ロマンさんのこと言われてますぜ?」
『そうだね、話が早くて助かる。そう!僕とその子達はカルデアという組織のー」
「すまん長い。俺はタツキカルデアの剣士、こっちは武蔵、これまた剣士、そんでこっちがマシュ、カルデアの守護神!それでそれで!こっちは我らがカルデアのボス!藤丸様であらせられる!」
胸を張って声をあげたのだが、場はシーンとなった。
......
「まぁよい。何はともあれ皆の者褒めてつかわす!余は必ずや帝国を再建してみせる。そう、神々・神祖・自身、そして民に誓った者!余こそ、ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスである!」
マシュも藤丸も、うんそんな気はしてたって顔してるんだけど。俺は歴史疎すぎて知らんかった。
つーかなんで俺の自己紹介にはあんなに冷たかったの?あれ?今冬だっけ?
というかおぉ〜って言ってる武蔵も名前言われても絶対知らねーだろ。
『タツキ君諦めなさい。多分そのノリは間違えていたんだよ。お互いに』
「だな。」
ロマンは味方です!
そして俺達は街へと案内された。
街の中は活気に溢れていた。
ネロは歩きながら街について色々説明してくれた。
ここがネロ帝の世界最高の都であること。
あとネロ帝は店に立ち寄っては商品を貰っていくというのに、店主は笑顔で「陛下とローマに栄光あれ!」と言うこと。
ちなみに俺と武蔵と藤丸は林檎を頂きました。すまん店主腹の減りには勝てんかった。
マシュは遠慮して食べなかったが美味しいから食べれば?と誘ったが気持ちだけと一点張りだった。
ネロ帝は俺達のことを理解できていないが正直者であると見てくれている。
というのが俺は逆にすごいと思う。未来から来たとか言ってる奴らを信じてくれてるのだからそれだけでありがたい。
「サーヴァントだの、マスターだのよくわからん」と呟いていたので引っかかることはあるみたいだが。そこは忘れようと言ってそれで終わらせた。寛大過ぎませんかね。俺だったら理解できるまで問い詰めるだろうな。
「それで余を助けるのが目的ーそう言っていたな?」
「はい、その認識で間違いありません」
「ならよい」
凄すぎません?結論だけ出して過程は無視ですって!奥さん!私はビックリですよ。
「タツキ〜一人で百面相してないで、逸れないようについて来なさい」
「武蔵は俺の母親か!言われなくても迷子には......?よく考えたら、なるかもな。ここどこか知らないし」
「ハァ。だからさっさと来る!」
うーん。腕を引かれて連れて行かれる子供の気持ちを人生で初めて体験しました。
俺の母親は、そんな自由を許してくれなかったのです。
(タツキ!来なさい!)
ボコ!
ヌハ!
パチーン!
ギャッファ!
スパン!
え?スパン!?
まあ擬音を使っての説明じゃないと結構やばい内容なのでそんな感じです。
ははは。アレ、よく考えてみたら虐待だよね?
生まれてからそれだったから常識がそれだと思っていたけど、常識ってのは今の俺の状況的なやつだよね。
『世界の中心にして、世界そのもの。世界に君臨せし最大の帝国にして都の名でもあるローマ。この時代、首都が脅かされるはずはない。やはり聖杯の影響で事象に狂いが生じているんだろう。恐らく、このでの特異点とはすなわち、史上類を見ない大帝国たる古代ローマ帝国の存在なんだ。後世の人類史に多大な影響を与えた帝国、その崩壊を防ぐことが、恐らく、特異点の修正となる。』
ロマンが説明してくれたがネロ帝は
「す、すまぬ。よくわからぬ。もちっと余に分かる範囲で話すがよい。」
「そうだよくわからぬ。餅と世に分かる範囲で話すんだ」
『ネロ帝がわからないのは仕方ないが、タツキ君は流石にそろそろ勉強して欲しいんだが?それとネロ帝が言ったのはもーちょっとつまりもちっとだ。後、世は世界ではなく一人称だ。餅と世にではないからな?そこ変にボケてもツッコミはしないからね』
「武蔵〜ロマンが冷たい!あれ?今日は皆んな俺に冷たい?」
「タツキ安心しなさい!私もわからない!」
「だな!俺達は剣士だ!考えることは戦うことだけさ!」
「そうだそうだ!」
『君達......ハァ。』
「だからアレだろ?聖杯取ってこいって話だろ?」
『まぁそうなんだけど」
「ネロ帝!俺達は聖杯って呼ばれてる願望器、なんでも願いをかなえたり事柄を狂わせたりもうめちゃくちゃな器の回収が目的なんだ」
「めちゃくちゃな器?」
「あ、ええと!お二人は両極端過ぎます!
聖杯とは特別な力をもった魔術の品です。それはあるだけで多くの事柄を狂わせます。現在ローマを蝕んでいるのはこの聖杯である可能性が高いのです。」
マシュがわかりやすく丁寧に説明してくれた。
さすがはマシュだ。頼りになる!
「なるほど。聖なる杯が、世のローマをか」
「意味わからんだろうけど、事実なんだ」
まあ理解はできないのは無理はない。俺もその原理を理解できてないから。
「いや、不思議と違和感はない。特にその聖なる杯という言葉は、妙に、気にかかる......というか。。。いや!なんでもない!世の杞憂であろう。いつかそんな悪夢を見た気がしただけだ。よしではこれより、我が館に案内しよう!」
え!?皇帝の館?豪華そうだな。
「オイ!テメェ!何しやがる!」
!?
突然市場の方から声が上がった。
「余のローマで、余の民に対して何たる!敵の工作か?何であれ許されぬ!参るぞ!」
そう言ってネロ帝は駆け出した。俺たちも後を追い敵を制圧した。
サーヴァントは居らずか。
兵のみだったので問題なく制圧することができた。
そしてネロ帝の館へと案内された。
『武蔵ちゃん。タツキ君は任せたよ。彼、今完全に集中切れているみたいだから』
ロマンは他者へ聞こえないようにして武蔵へと連絡を取った。
「わかってる。それにタツキは戦う時はふざけないから心配しなくてもいいわよ。それとひとつ調べて欲しい事がある。タツキについて。あの時別の誰かがタツキと入れ替わっていたらしい。その点詳しく調べられない?」
『わかった。調べているよ。そこは僕も気になっているところだからね』
「任せたわよ」
そういって武蔵は残りの林檎を口へ放り込んだ。
バレンタインイベントにて金フォウ君が2000、2000の武蔵ちゃんが誕生しました!
次は誰に金フォウ君を捧げるか検討中です。