FGO 宮本武蔵と二天一流inカルデア   作:詩七喜

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27話 ローマ帝国と二天一流11

 

「と、言う訳です。しばらくはお世話になると思います」

マシュがブーディカに現状の説明を終えた。

 

「へぇー、異教から。そっかぁ。そういうこともあるのかぁ」

 

「理解が早いんだな。流石はサーヴァントと言ったところかな?」

タツキの不用意な発言は、マシュに止められたが、ブーディカがそれをいいよと言って、やめさせた。

 

「気遣って貰わなくても。あたしは本当ならもう死んでるはずの人間」

あー。そういうことか。俺の発言をマシュが焦って止めようとした理由がわかった。

 

「不思議って顔してるわね。女王ブーディカがどうしてローマの将軍に、って」

その問いは俺には理解ができなかったが、マシュは理解していた、

「はい。私の知る歴史では、あなたは」

 

「皇帝ネロとローマをあたしは絶対に許さない。そう、ケルトの神々にも誓いもした。そんなあたしが、現界した。まさか、自分が死んだ直後のこの時代に」

 

ブーディカは女王だったのか。そしてローマに滅ぼされたのかな?

そして許さないと決めた場所に直ぐに呼び戻されたと。サーヴァントととして。

 

あぁ。それは、なんというか。

 

「復讐を果たせるな」

 

「え?」

タツキの発言に、ブーディカは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 

「だってそうだろ?許さないと誓った場所に、サーヴァントという力を得て再び呼び戻されたんだ。復讐をしようとするのが普通じゃないか?」

 

「復讐をね。そうも思ったんだけど。連合に食い荒らされる此処(ローマ)を見てたら......体が勝手に動いちゃって。ネロ公のためじゃない。其処に生きる人々のためにね」

 

ブーディカの発言は俺には想像もつかないものだった。

 

「優しんだな。己が神に誓うほど許せない其れを、貴女は助けようとしている。その結果として、本意ではなくとも貴女は......ネロ帝を助けることになる」

 

「まあ。そう、なんだよね。あはは。辛いね。まーでも。もしかしたら、だけど。復讐のために殺し尽くしたはずのロンディニウムの連中に、すまないと思っていたのか」

 

「ブーディカさん。貴女は俺の直感だがよ。復讐には心の部分が向いてないと思うぞ。力の部分は復讐を果たすためにあるとしても、其処に貴女の心が付いて行って無いんじゃないか?」

復讐した相手に罪悪感を覚えるなんて、それは最早、復讐を果たしたとは言えないだろう。

達成感を得てこその復讐だ。

 

「守るために戦う性格なんだとあたしも思う。それがいちばん向いてるっぽいのよね」

 

「自分でわかってるのか。すまない。余計なことを言ったな」

 

「いいえ。真実に近いですからね。だから、ネロ公があたしのことを【生きた好敵手】と勘違いしてるうちは、悪いんだけど、あたしが死んだ事は黙っていてほしい」

 

「ネロ帝は強い女の子だって思っていたんだけどな。でも脆さもあるみたいだ。その案は俺も賛成だ」

「タツキ。俺もその意見は賛成です」

 

「ありがとう。なんかあいつ、前以上に危なかしいから。余計な気遣いとかさせたら、何するかわからないし」

 

(ブーディカ。貴女はやはり、優しいよ。復讐なんて、貴女には向いていない)

タツキはそう心の中で思っていた。

 

貴女は英雄だ。

 

悪を倒し、人々を救う。

 

 

タツキの顔に笑みが溢れていた。

 

「えと?タツキさん?お話が難しかったでしょうか?途中までは、お話に参加されていたので、理解されていると思っていたのですが」

マシュに気を遣われてしまった。

今回の話は俺にも理解できた。

 

「理解できてるよ。ただ、ブーディカさんがカッコいいなと思っただけだから」

 

「ん!?た、ただの気まぐれなんだけどね」

 

「気まぐれでも人を救えるなら、俺はカッコいいと思う」

 

「そ?ありがと」

俺は毎回毎回レイシフトする度に思うことがある。英雄といわれる人物は、やはり、魅力的な人ばかりだ。

 

 

「ブーディカさん達が味方なのは心強いです。オルレアンの時と同じで、複数のサーヴァントが現界している。けれど、全てが敵ではない。意思を以て、こうして時代の修正の側に立つ人もいる」

マシュの言葉に答えたのは、スパルタクス。例の大男だ。

 

「はははははは!見るがいい、この肉体こそが叛逆の証。圧制者達は知るだろう。与えた傷こそが力なのだと」

やはり理解ができないが、つまり、与えられた傷を糧にして、叛逆を成すということか?

 

「ほら、スパルタクスも照れるってさ」

ブーディカの発言に一同は驚愕した。

 

「今のどこに照れる要素あった?物騒な要素はあったが」

 

「うん?俺は理解できてるよ」

うんぬ!?

藤丸さんマジスカ。

 

「それじゃ、そろそろ始めよっか」

「え?何をですか?」

突然そんなことを言い出した、ブーディカにマシュは驚いた顔をした。

俺も何が始まろうとしているのかわからないし、武蔵も藤丸も知らないようだ。

 

「あなたたちの腕を疑う訳じゃないけど」

「疑ってるだろ?」

「ははは、タツキ君だっけ。ハッキリ言うね。まあそう。疑ってるかな?」

「だろ?理由を教えてくれ」

 

「ガリアは今、大半が連合の支配下だ。あたしたちでも攻めきれない。ガリアの支配者ー【皇帝】のひとり、あいつは強い。精神(こころ)肉体(からだ)贅肉(むだ)一つない。ちょっと見た目と性能がかけ離れた英傑よ」

 

「つまり。それと俺たちが戦える力を持っているか、試すと言う訳だな?」

 

「そう。援軍程度に留めておくべきなのかもしれないしね。戦えるなら戦ってもらけど」

闘気というか、やる気満々って感じだな。ブーディカさん。

怖いほどの何かを感じ取れる。

 

『うえ!?理知的な女王かと思ったら、やっぱり剣で語る系の女傑なのかい!?』

 

「アホかロマン。試すってのは俺達が無駄死にしないかの判断をするってことだ。仲間が死ぬのは誰でも辛い。それをあくまで、試験だって言って、言葉にしないようにしてくれているのにだな」

タツキが小声でロマンに説教をした。

『ああぁ!もう!わかっよ!そうだね!』

「雑に流すなよ」

 

「あははは、わかってるじゃないか、それじゃ、やろうか」

 

『うん?わかってるじゃないかって言ったよ?タツキ君。案外僕の意見が当たっていたんじゃないか?』

 

「あれれ〜おかしいぞぉ?どうしたことだ。まさか本当に剣で語ろうとかそういうことだったのか?」

 

「それじゃ、いくよ。真名ブーディカ、クラスはライダー!あたしの戦車はすっっっごく硬いんだから!」

 

え?殺気?この人、マジでやる気だ。

 

そしてあの大男も戦闘態勢に入りやがった。

 

本気で試そうってのか?

 

「二天一流・継承者 佐藤立樹宮本玄三 !二天一流の申し子也!」

タツキは吠えた。

そしてタツキから殺気が迸り、ブーディカも少し驚いたようだった。

 

「マシュ・キリエライト行きます」

 

「そっちのサーヴァントちゃんは無しね〜貴方が強いのは知っているから」

そういってブーディカは武蔵を指差した。

 

「つまらないなー、ま、タツキ、マシュちゃん頑張って!」

武蔵さんや。貴女は私のサーヴァントなんですからもうちょっと、駆け引きしましょうよ。

 

「タツキ、マシュ。俺が指示できる範囲でサポートできる範囲ではするけど、二人の連携は必須だからな」

藤丸に言われて、理解した。ブーディカが武蔵を外した理由。あちらが二人で、こちらも二人という、2vs2の戦いなのだ。

個での強さでは、チームを組んで戦う相手には勝てないと普通はそう思う。だが違う。

下手なチームワークは個よりも弱くなる。

 

つまりチームを組んで練習していない俺たちは、必然的にタイマン勝負必須。

タイマン勝負に持ち込めば、チャンスはある。

 

「マシュ少し耳貸して」

「え?あ、はい」

俺はマシュに耳打ちでとある事を伝えた。

「本当にそうなるでしょうか」

「わからんけど、なった時は俺かマシュが死にかけてるだろうな」

「死?」

 

「作戦会議はもういい?」

ブーディカに問われ、大丈夫だと答えると武蔵が間に立った。

 

「始め!」

武蔵のコールにより、お互いが飛び出した。

 

「ブーディカさん、貴方が前に来るとはね」

俺はてっきりアタッカー役のスパルタクスが、前に来ると思っていたが、この人が前とは少し驚いた。

 

俺は横目でスパルタクスを見た。

いつ攻めて来るのか、そう思ったのだが、彼はただ、立ち尽くし、こちらを見て笑っていた。

 

どういうこと......

 

「だ!?」

よそ見をした隙に、ブーディカに腹を殴られたのだ。

 

「戦いの中でよそ見をするなんてダメだよ」

 

「御教授ありがとう。あの男は戦わないのか?」

 

「まだ、ね」

「あっそ」

 

「うっ!」

ブーディカの嘆声をあげた。

マシュがブーディカの脇腹を盾でぶん殴ったのだ。

「イッタァ」

あまり効いてはないか。

タツキはすぐに怯んだ、ブーディカの首めがけて、刀を振り抜いた。

 

その時だった。

 

「フハハハハハハハ!圧制者よ!我が愛を受け取り給え!」

 

突然動き出した、スパルタクスの武器、グラディウスにより、タツキの刀を弾き飛ばされた。

 

イテェな!おい!どんだけ馬鹿力なんだよ!

 

タツキは即、もう一本の刀を抜き、距離を取り、中断で構えた。

「大丈夫ですか?」

「ああ、平気だ。だが、どうやらここからが本気らしい。どういうわけかスパルタクスが動き出した」

「予測ですが、私達が、ブーディカさんを圧倒しかけたからではないかと思います」

「つまり、ブーディカはある程度手を抜き、俺達に圧倒され、スパルタクスを動かしたわけだな」

「その可能性は高いかと思います」

 

「じゃ、俺も本気を出す。ロマン聞いてるか。サーヴァントはどれだけ怪我をしても、退界しなければ、回復できるんだよな?」

 

『あ、ああ。藤丸君と契約して貰うつもりだから、大丈夫だ』

 

「おーけぇ。じゃ、二天の真髄見せますか。マシュサポート頼む」

「りょ、了解」

マシュは少しゾッとしていた。

タツキから溢れ出る殺気は、敵に向ける者のように感じた。

つまり、タツキさんは本気で殺すつもりで、やるのだと、理解できてしまった。

 

「ハァアアアアアアアアア」

タツキは雄叫びをを上げ、走り出した。

 

「圧制者よッ!!」

スパルタクスの一振りを容易くかわし、刀を振り抜いた。

 

ガン!

 

タツキとスパルタクスの間にブーディカが割って入り、タツキの刀を止めた。

「ウザいっすよ」

「そう?」

タツキがブーディカと距離を取り、すかさず、斬り込んだ。

 

「圧政!」

「止めます!」

ガン!とスパルタクスのグラディウスを受け止めたマシュとアイコンタクトを取り、直ぐに入れ替わり、マシュはブーディカを抑えに入り、俺はそのままスパルタクスの後方へ走った。

 

「マシュどういうことかな?」

「秘密です」

ブーディカはマシュから離れられなかった。マシュが上手にブーディカを押し込んでいたのだ。

 

タツキはその隙にスパルタクスとタイマンに入った。全力で走り二刀ですかさず、スパルタクスの脹脛の肉を斬り裂いた。

「オォオオオオ!剣豪の如き、少年よ!汝を護る其の力、そして!汝の持つ剣の才、それを扱う技術!まさに叛逆するに相応しいッ!」

 

「あーそうかよ。なら死ねよ」

タツキの刀は問答無用で、スパルタクスの巨体の下に身体を入れ、内太腿を斬り裂いた。

 

「アアアアアァ!いい!これはいい!さア、圧制者よ!汝を抱擁せん!」

スパルタクスはタツキを、その巨躯にて、掴もうとしたが、目の前からタツキは消えた。

 

(二天一流・師走其の一・初白雪!)

タツキは、身体を曲げていたスパルタクスの頸動脈を狙いすまし、一刀の元に斬り捨てた。

「見事」

スパルタクスは倒れる瞬間にそう、タツキを称えた。

 

「ふぅ。マシュ、そっちは無事か?」

 

「え、ええ。何とか!」

マシュとブーディカの二人の一騎打ちはどう見ても、泥沼化していた。

だがこれは2対2の戦いだ。

片方が倒れたからといって、加勢しないなんていう選択肢は無い。

 

タツキはマシュと戦うブーディカの元へ足を進めようとした、瞬間、タツキの足を掴む者がいた。

「圧制者よ!此処より叛逆の始まりだ!覚悟を決めろ!」

なっ!?こいつまだ戦えるのかよ!消滅ギリギリで生存するように斬り裂いたというのに、これは

 

「ぬぁあああああああああああああああ」

「フハハハハハハハハハ!愛!愛!愛!」

タツキを手で持ち上げ、振り回しながら、スパルタクスは笑っていた。

 

「タツキさん!」

「マシュ!よそ見は禁止」

「なっ!?」

ブーディカによりマシュが弾き飛ばされるのが視界に少しだけ映った。

 

ああ!くそ!俺が足を引っ張ってどうすんだよ!

 

「ぬああああああああああああああ」

いやいや、マシュの事考えてる暇は無かった。

やばいやばいやばい!何も考えられないぞこれ。酔う。死にそう。吐きそう。スパルタクスが足をしっかりと掴んでいるため、骨折しないのが唯一の救いだ。

 

だが、何とかしなければマジで殺される。

 

「マシュ、そろそろ、終わりにしない?タツキの方も多分限界だろうし」

ブーディカはタツキの現状を見て、マシュにそう切り出した。

 

「え?でもよかったのですか?実力試しだったのでは?」

マシュは肯定するでは無く、質問で返した。

 

「ええ、わかったわよ。タツキの方も一度スパルタクスを追い込んでいるし、タツキは殺すつもりでって言ってるけど、殺さないところで止めてるのがわかった。でもそれってスパルタクスからしたら逆効果なの」

 

「え?ではタツキさんは勝てない戦いだったという事ですか?」

 

「んー。まぁ。そうなっちゃうわね。ごめんね。まさかタツキがそこまでやるとは思ってなかったの」

ブーディカはスパルタクスの方へ行き、戦いを止めようとした瞬間だった。

 

ブーディカは気づいていなかった。

 

マシュは戦いをやめる事を一度も肯定していない事を。

 

タツキが辛うじて、一太刀スパルタクスの手首に入れたが、アレでは効かないとブーディカは思った。

 

その時

 

スパルタクスの身体を何かが襲った。

 

マシュだ。

 

ブーディカの横を素早く走り去り、マシュが全力で、スパルタクスを強襲する突進を決めていた。

 

「ぬぅ!」

 

スパルタクスはよろめいた拍子に、振り回す手が止まった。

 

(二天一流・卯月-其の三 八重桜)

 

タツキはその隙を見て、最大手の技で、スパルタクスの指を斬り落とした。

 

タツキはスパルタクスの手から解放されて、落下した。

 

タツキの落下はマシュが直ぐにサポートに入り、タイミングよくキャッチしていた。

「ナイス!」

「はい!」

 

(二天一流・卯月-其の二・遅咲き桜)

 

予め斬り込みを入れていた部位が、ある1箇所を起点として、繋がり、血の桜を咲かせる。

 

一刀のもとに仕留められれば使わない技だが、相手に気づかせないほど小さな、切れ込みを無数に入れる。特に相手が巨体の時や、精神を乱している時などは、隠しやすく、仕込みやすい。

 

「マシュ頼む!」

「はい!行きます!トヤァアアアア」

マシュはブーディカめがけて、タツキを放り投げた。

 

「なっ!?」

ブーディカは驚いて、盾を構えたが、タツキの着地地点はブーディカの少し前だった。

 

「え?はっ!?しまっ」

た、とブーディカが言うよりも前にタツキの刀がブーディカの首を触っていた。

激突なんて無謀なことはしませんよ。

 

「満開の桜、咲かせましょうか?」

タツキは微笑みながらそう問うと、ブーディカは遠慮しておくわと答え手を挙げた。

 

「マシュずるいなぁ。どうせタツキの作戦でしょうけど」

ブーディカは剣を鞘に収めると、こちらの作戦について話し始めた。

 

「まあ、俺の作戦だけど、その通りに動いた、ブーディカのおかげでもあるかな」

 

(マシュ、もしブーディカとマシュが1対1で戦うことになって、ブーディカからこの辺で終わりにしましょうと言われて、その時こちらが劣勢だっだら)

 

(肯定をせず、質問で返して、話を有耶無耶にしてほしい)

 

「ぇ。どうしてですか」

 

(つまり、敵の隙を突く。ブーディカはこちらの実力を確かめいと言っていた。なら本気で勝ちに行く。汚い手と言われようがな)

 

「わかりました」

 

(嫌なら他の作戦を持ち出すが、良いのか?)

 

「いえ、甘い事は言っていられないのも事実ですので」

 

「んじゃ最後に一つ。その時は助けてくれよな」

 

「はい?わ、わかりました」

マシュはその助けてくれの意味がわからなかった。だが、その状況になってはっきりとわかった。

 

この戦いの流れは、彼が読みきっていたのだ。

 

「悔しいな、まさか肯定されていなかったことに気づかないとは。それにタツキの作戦通りっていうのも腹立つ」

 

「ま、本気でやりあったら負けてたかもだけど。お互い全力じゃないから、こんな下手な作戦が成功するんだけど」

 

「そうだ。早く藤丸と契約して、身体の傷回復させてもらってくれよ。死なれたら俺後悔してしまうからな」

 

「あたしは平気だけど、スパルタクスはそうしてもらわないとね。何処かの剣士君が死ぬギリギリまで追い詰めたからね」

 

「いんや、俺的にはブーディカ先がいいかな。俺以外の誰か、もしくは何かの拍子にって事もあるし」

 

「え?」

 

「身体の節々を見てくれないか?」

タツキがそういうと、ブーディカは己の体を見て、驚愕していた。

 

「切り傷......まさか」

 

「そう。満開の血の桜咲かせましょう」

ブーディカは冗談と思いつつも少し思いつめた表情になったので、タツキはしまったと後悔した。

 

和ませようとしたんだが。

 

「ただのイタズラ。すまん冗談だ」

ゴファ!!

ブーディカにより盛大に腹を殴られた。

 

「いや、だって。俺、ブーディカと勝負ついてなかったから、なんか俺の方が勝ってるみたいな雰囲気出したかったみたいな?」

 

イッタァあああああああ

 

ブーディカに頰を抓られた。

 

「驚かせないでよ。まったく。でも認めてるけど、戦った後にすぐに冗談が言えるなんてね」

「いやぁそこ認められてもねぇ」

『お互い、ちょっと本気でやりすぎかな。お互い節度は必要だよ』

ロマンがため息混じりに通信をしてきた。

 

「いやあ、正直ここまでやるとは嬉しい誤算ね。あんたたちの腕は見せて貰った。ありがとね。旅の疲れも残ってたろうに」

 

「そう思うなら、手加減して欲しいものだ。本気で殺しに来るとは思ってなかったぞ」

 

「それはお互い様でしょ。タツキは首とか、脈とか、関節部とか、確実に仕留めに来るんだもん。でもその分読みやすかったかな」

「おお、突然のアドバイス。そっちの連携も流石だった。攻めと守りが一心同体っていうか」

「それに引けを取らない君達がすごいんだけどね。マシュ?あんたはある盾の英霊なんだね、すっごく気に入った。守るためだけの武器はいびつだって分かってるけど、奪うためのものよりよっぽどいい」

 

「っていうか、タツキの動きによく合わせたね」

 

「い、いえ。タツキさんの戦いはいつも参考にしている部分もあるので、それにタツキさんは私の実力以上のことは、させないように動かれてますし」

 

「謙虚だね。なら、もっと褒めようか!マシュはそんなにか細いのにたくましい!」

 

「!? た、たくましい、ですか?」

マシュの頰にほんのりと赤味が増した。

 

「ああ。盾を構えて踏ん張るところなんて、地面に根を下ろしてるみたいだった。ネロ公が火の激しさなら、マシュは大地の豊かさだね。あんたはどの英霊とも相性がいいと思うよ。現にそこの剣士君とバッチリ連携取れていたしね」

 

「......はい」

マシュは照れ臭そうに返事をした。

その様子を見て、ブーディカさんは満足そうに笑顔で答えた。

「いい返事。うん」

 

「うんうん」

 

「うん」

 

「うんうん」

 

何だこれ。ブーディカさんが突然マシュを見つめながらうんうん言い出した。

 

「よく見たら、何だそうか。そーいうことか!あんた、それならそうって言ってくれればいいのに!」

ブーディカさんの中で何か解決したそうです。

もう本当に英雄さん達は自由な人多いですよね。

 

「いろいろ複雑なコトになってるんだねぇ。こっちだって......あ、それによく見たらめんこいねぇ」

 

「ほら、こっちおいで〜ほらよしよし」

何だこれ。酔っ払いか?酔っ払いだな。

俺の母親も酔っ払ったらこんな絡み方してきたし、ブーディカさん酔っていたのか?

 

いや、まさか。

 

これが素のブーディカさん!?

 

「武蔵さんやぁ、和みますなぁ」

「そうですなぁタツキさん」

タツキと武蔵はその光景にほんわかと笑顔で見たていた。

 

「あっ!?な、なんでしょうかブーディカ、その、わっ!突然、どうして!」

わお。マシュがブーディカさんに......

「あたしには、あんたは妹みたいなもんだ。あんたたちは、かな。よしよし」

 

( 立樹君、お母さんにいっぱい甘えていいのよぉ?ほらおいで〜。どうして逃げるの〜。頭ナデナデしてあげるわぁ)

 

うぇえええ。ブーディカさんとマシュの絵面を見ていたら、やばい記憶の扉が開いてしまった。

 

「あ、あのっ、む、胸で......息が......」

マシュの顔にブーディカさんのたわわなお胸が......

「うん。あれは辛いな。本当に息ができないんだ」

「うえ!?タツキ、経験あるの!?」

しまった!つい口に出してしまった。

いや、ただ母親になんて恥ずかしくて言えない。

「いや妄想の話だ」

「それはそれで痛くない?」

武蔵に冷たい目で見られてしまった。

 

「いい子いい子」

なんか和むなあぁ。お母さんと娘みたいだ。

 

「今夜は私がたっぷり料理をご馳走しちゃう!お姉さんはねえ、ブリタニア料理がとっても得意なの。食べてくれるでしょ?」

 

「はい、是非」

藤丸は元気よく答えた。余程お腹が空いていたのだろう。

俺も実は腹が空いていたし、ご馳走になろうか。

 

「嫌がったって無理矢理食べさせてあげましょうとも!」

 

( お母さんの作った料理が食べられないっていうの!?......立樹君が遂に反抗期を迎えたのかしら!? お父さん!立樹君が遂に反抗期よ!ケーキ!ケーキを買いましょう!)

うぇえええ。何だこれ。ブーディカさんが母親に被るからか?記憶の中に封印しているものが顔を出してくるのですが!

 

それはタツキにとって、母親としては恥ずかしいくらいな、実母との記憶だった。

 

 

 

 

「そうだ。藤丸、マシュ、武蔵。ロマンからも説明してもらうつもりだが、言わなければならないことがある」

食事を終えだ俺は、藤丸、マシュ、武蔵の3人を誘い、話をすることにし俺はそう切り出した。

 

「単刀直入に言うと敵側にマスターが、6人いる」

 

「なっ!?」

「本当ですか?」

マシュと藤丸が驚き武蔵はニヤリと笑っていた。

 

「ああ、事実だと思う。ロマンに調べてもらっているがBクラスから4名と一般枠から2名だ。名代と藤野は一般枠、それ以外にも4名いる。ただ奴らの狙いは俺なんだが、巻き込まれるかもしれない」

 

「待ってください。タツキさんを狙う理由は何ですか?」

マシュに問われた。

マシュの意見は俺にもわからないところが大きい。

 

「正直俺がピンポイントで狙われる理由はわからないが、俺を含めて7名になり、そこにサーヴァント7騎が加わって擬似的に聖杯戦争の様な形になっている」

 

「サーヴァントが7騎ですか!?え、えと。連れ去られた彼等はサーヴァントと契約しているのですか?」

 

「そうみたいだ。ちなみに俺はセイバーのマスターらしい。俺のサーヴァントが武蔵って事だ」

 

「レフ・ライノールは何を考えているんだ。タツキ、巻き込まれるなんて考えないでくれ。俺も手伝う。勝つつもりなんだろ?」

藤丸は手伝うと言って、俺を支えてくれた。

 

『待って待って!話が綺麗に進みすぎているけど、人理修復の邪魔をされるのは、藤野 律とバーサーカーに攻撃されたところから見て確かだ。つまり彼女達の中にレフの見方をする者もいる』

ロマンが通信を繋げ、話に加わった。

 

「厄介ですね。人質も平気で取る連中の様ですので、俺が結構足を引っ張るかもしれません」

藤丸は落ち込み気味にそう言った。

「安心してください!先輩は私が守ります。ですが、向こう側にはサーヴァントがいるということは、あの名代さんにもいるんですよね」

名代と対面したマシュも藤丸も分かっていた。

名代は平気で人を殺せるということを。

「名代静ね。人がガラリと変わっていたのよね。私の知っている静はあんな雰囲気ではなかった」

武蔵がそう言った事に俺は驚いていた。

武蔵は前から知っていた様なので、名代の狂気っぷりは知ってると思っていたが、まさか知らなかったとは。

 

いや、武蔵と離れた後に何かが起きたのか。

 

どちらにせよ俺には関係のない話だ。

 

「名代にもいる。俺はさっき本人からこの話を聞かされたんだ。その時に確かに名代の後方に何者かが構えていた。雰囲気的にそこから狙えるという感じだった」

 

「そうですか。強敵ですね。魔術士では無いとはいえ、あの人の刀捌きは脅威です」

 

『あの距離ってところでクラスの判断は付かないんだよね。バーサーカーと、セイバーは外すとしても、アーチャーなら狙撃はあり得るし、ランサーなら槍を投げたりできる。ライダーでもアサシンでもキャスターでも言えるからね。ただ一つだけ確定しているのは、役100メートルの距離を置いて攻撃ができるという事だ』

 

ロマンの考察は確かに恐ろしさを感じさせるものだ。

 

常に注意を払うのは難しいにしても、100メートルの距離を置いて攻撃されたら、俺や武蔵には厄介な敵になるのは確かだし、マシュにしても守るとこは出来ても、敵に対して、守りながら接近は危険だ。

 

『いずれにせよ、その話は直近ではあまり問題はないと見るしかない。サーヴァント反応に関して注意はしておくよ。まずは明日、頑張ってくれ』

ロマンが締めくくり、武蔵達は自分のキャンプへと戻っていった。

 

寝坊するわけにはいかないので、タツキは直ぐに床へ着いた。

 

 

 




帝都聖杯奇譚始まりましたね。
私は以蔵さんに聖杯を捧げてレベル90にしました。
スキルマに素材沢山使ったので、杭が無くなりました......
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