FGO 宮本武蔵と二天一流inカルデア   作:詩七喜

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3話 二天一流の後継者と開祖3

【 稀代の天才と呼ばれた者がいた 】

 

佐藤立樹

 

彼は高校の1年まで敗北を知らなかった。

その無敗記録は彼自身あまり気にしていなかった。

何故?

それは彼自身が勝つことが当たり前だと思っていたから、敗北は死だと思っていたからに他ならない。

だが。彼の無敗記録は高校1年の春訪れた。

 

「 一本 」

審判のその一言が会場に響いた。剣道春大会、準々決勝。

その時立樹の心を支配したのは( これは何だ? )ただそれだけだった。それまで敗北を知らなかった彼には、敗北とは何なのか考えたこともなかった。

ただ、それが敗北だとわかったのは、家に帰り立樹が思考するということを再び始めた時だった。

 

その時彼の心は揺れ動いた。どうすればいい!俺は何をしたらいいんだと彼は壊れ始めていた。

二刀使っていなかったというのは、言い訳にすぎない。

「お前を負かした者に会って来い。それもまた強さになる」

父にそう言われ、俺は準々決勝で戦った相手を探した。

彼を負かしたのは近藤春馬(こんどうはるま)という人間だった。

立樹は相手の情報を部活の顧問から聞き、直ぐにその人が在籍する高校へ足を運び、再戦を申し込もうとした。

 

しかし、彼はそこにいなかった。

そして、立樹が知ったのは、彼が3年で先の大会が最後だったということ。

 

そして。

 

彼は......彼女は男装をして、全ての者を騙し高校3年間大会へ出ていたことだった。

それは一部の人しか知らなかったらしい。

この事を教えてくれたのは、その学校のコーチをしていた人だった。

 

彼女はより強い相手を求めていたらしい。

そして、稀代の天才を負かした後はもう部活へ参加すらしなくなったそうだ。その女が今どこにいるのか知っているものはいなかった。

 

その時、立樹はこう思った。

『 強くなってやる。勝ち逃げは許さない。待っていろ。 名城 静 』

その後からだろうか、一刀流の技の練度が飛躍したのは。

 

ーーーーー

 

何年も前の夢だな。

今更思い出すようなことでもないだろうに。

「うっ......うーん?」

「目が覚めた?」

何がどうなって?

「タツキ、目が覚めたのね、よかったわ」

気がつくと俺は見知らぬ男の背中にいた。

服装は俺と同じカルデアの制服であることから同じくこちらへ来ていたマスターの一人と想定できる。

 

「俺寝ていたか?」

そもそも何で俺は意識を飛ばしてたんだ?

「違うわよ。タツキの身体が限界を感じたんでしょうね、話してる途中でいきなり意識無くしたのよ。死んだかと思うじゃない」

隣を歩く武蔵に謝罪をしてから、俺を背負ってくれている彼について聞いた。

「そうか、悪いな。それで俺を背負ってくれている君は?」

「俺は藤丸立香よろしく」

「宮本タツキ。よろしく。」

もう一人知らない子がいる。誰だろう。

と、その子を見ていると、目があった。

「私はマシュ・キリエライトです。よろしくお願いします」

黒い鎧姿に大きな盾を持った桃色の髪で片目を隠している女の子。

よろしくと言って、挨拶を交わす。

「私は宮本武蔵よ、よろしくね〜」

「全く。何でこう。はぁ。」

この声は。

「あ、所長......。」

所長だった。ものすごく口が悪いという印象しかない。

高飛車なお嬢様といった印象を受けている。

「あ、じゃないわよ!あ、じゃ、何であんたの隣にサーヴァントがいるの!その子に聞いても理解を得ないわ」

武蔵の事か。なんか勝手に部屋にいたとしか言えないしな。

「いや。そんなの俺に聞かれてもねぇ」

武蔵に質問を流した。

「えぇ、私もさっぱりよ」

武蔵はそれを綺麗に受け流した。

「はあ。なんなのよ!もう!」

所長は所長で心労が溜まっていそうだ。

 

「俺はキャスターのサーヴァントだ」

「え?」

サーヴァントって言った?この青い髪の杖を持った男。

「そこの坊主と仮契約を結んだんでな」

坊主とは藤丸の事か。

「へ、へぇ」

理解できん。仮契約?なんだそれ......。

キャスター?コロコロ転がる?あれもキャスター。

この場合は確か講義の時に......あー術者か!

「それでそこの坊主。さっきのランサーとの戦い見てたけどなんだありゃ?アホか?」

今度の坊主は俺っぽいな。

「は?何がだ?」

「てめぇ、マスターのくせにサーヴァントの戦いに手を出して死にかける。マヌケとしか言いようがねぇ」

その通りだわな。

「マヌケでもいいよ、勝てば官軍さ」

「それはそれでもいい、だがお前が戦うよりそこのセイバーの嬢ちゃんが戦うことが最善だった」

「そうだな、まあ。やりたいからやったってだけだ。悪いなその辺は多分こっちの常識と違う」

 

「それよりタツキ?そろそろ歩ける?疲れるんだけど」

先ほどからずっと背負って歩いてくれてたのだから悪いことをした。

「悪いな、歩ける」

タツキにおろしてもらい、自らの姿を見て衝撃を受けた。

上半身何も衣類をまとっていなかった。

「なんでえええぇええええええええ!?」

「武蔵!ねぇ!武蔵!俺の服は!服!上半身裸なんだけど!ま・さ・か!?武蔵酷いわ!僕はまだドウテ」

武蔵に飛びつき理由を聞き出そうとした(冗談まじりで)

「な!?なによ!?いきなりどうしたの!?」

武蔵は困惑していた。そりゃそうだろう。今さっき会ったばかりの上半身裸の男に抱きつかれたらドン引きものだ。

「服は!服!」

「タツキ、あなたさっきの戦いの時に自らの爆破で炸裂させたじゃない。」

爆破?

「あー。ああああ!そうか、よかったー。いやーよかった。てっきり脱がされたのかと思ってしまったよ」

「脱がされると都合が悪いの?」

その話を聞いていた所長から質問が飛んできた。

あーこれ冗談で返したら殺されそうな感じだなー。

冗談を真面目に返されると返答に困るよね。

まあ真面目に答えたら済む話だけど。

 

「悪い。むしろ都合がすごく悪い。服の中ってのはさ武器の隠し場所。俺にとっては武器庫と同じ意味を指す、だから脱がされると、その時に何を持っているかとか全てバレる。」

「仲間を信じてないのか?」

藤丸からの質問。

そう。仲間にすらそれを見せたくないと発言し、この理由を話すとイコールの繋がりで、仲間を信じてないということになる。

「信じないことはない。だが今は信じないだけだ」

「そうか」

「ああ」

「俺は信じるよタツキ」

藤丸にそんなことを言われてしまった。俺は驚いて少し唖然としてしまった。

会って間も無い連中を信じるなんてできるか。まあ武蔵は一度刀を交えたし信じてるが他は違う。

 

「なぁ、坊主俺と来い」

キャスターが突然そんなことを言い出した。

「は?嫌だよ!俺よくわからんけどお前苦手だし」

「ツレねぇなぁ、いいじゃねぇか、それに戦い方も少し教えてやるぜ?お前からしたらそれだけでも来る価値はあると思うが?」

キャスターはニヤリと笑う。

「なんて奴だ。卑怯だぞ。俺を戦略でつる気か?」

「タツキ?そんなのにつられないわよね?」

所長の目が怖い。

「タツキ?君はそういうのにつられるのかい?」

「タツキ。学んでくるのもいいと思うわ」

藤丸と武蔵のジト目。嫌だな。

「ま、まあ?行ってやらないことはないが......」

餌につられましたとさ。

「決まりだな、ちょっとこいつ借りてくぜ?」

 

ジー

ジトー

ふふ

皆さんそんな目で見ないで!

すると突然キャスターに肩を掴まれキェ?

消えた。

 

目が醒めると全く別の場所にいた。

「まあ、なんつーか、教えるとかよりもお前なら味わって覚えた方が早いだろ?」

「へ?」

「そらよ!」

挨拶がわりの爆破と共に、教育という名の一方的な攻撃が始まったのだった。

 

それから数分の模擬レクチャーを受けてわかったことは、彼の使うルーン魔術なる技は、ルーン文字と呼ばれる字を配置しその文字により多数の現象を発現させるというもの。

そしてそのルーン文字はところどころではあるが、アルファベットに対応しているらしい。

わかることはあまりないが幾つか覚えておいてもよいかもしれない。

「と、まあこんな感じだ。てめえが勝手に死に急ぐのは止めやしねぇ、だがな、目的があるならそれを優先しろとだけ伝えておいてやる」

「はい。師匠、ありがとうございました」

つーか魔術って本当にあるんだな。

神秘の秘匿がなんとやらって言ってたし、頑張って隠してきたんだろうな。

 

「師匠か、俺が。。。まあ悪くないな」

「え?」

「なんでもねぇよ、行くぞ」

「はい」

ルーン魔術か。

学んでみる価値は大いにある

「ていうか、どこへ行くんだ?」

「合流する、嬢ちゃん達にはこの世界のセイバーの居場所を教えてある、そこに合流するって言いたいが、俺たちの役目はアーチャーの始末だ」

「へ?アーチャーって、弓兵のことだよな、俺剣士だぞ?」

弓を持つ敵と戦うならある程度の奇襲をしたり、矢を避けて、その瞬間に接近するなど、色々あるが戦場次第ではそれが出来ないため、事前準備が必要だ。

「安心しろ、あいつは弓兵でも弓兵ではない」

「??意味わからん」

「まあ、会ってみりゃわかる、それでついてくるか?助けてやることはできねぇぞ?」

「ああ、そこは気にしなくて大丈夫ですよ師匠。ただ、上半身裸ってのは防御面で心許ないんだが、何かないか?」

そういうと、キャスターは自らが纏っていたフード付きの服を渡してくれた。

「ありがとう、助かる」

「気にすんな、行くぜ」

「了解」

 

「というかさ、俺にそんだけアドバイスしてくれてるけどさ、いいのか?俺の予想だけど盾の女の子、マシュ?だっけあのこの方がよっぽど」

先ほど見ただけだが、彼女はまだ未熟というより、何かが欠けているという違和感を感じる。

「いつから人のこと気にするほど余裕ができたんだ?まあ、あの嬢ちゃんには伝えるべきことは伝えた。俺だって事の順序はわきまえているつもりだ」

「なんだ、気づいてたのか、流石は師匠」

キャスターに連れられ、アーチャー退治へと向かった。

ーーー

 

 

「 ちょっ!? 師匠アーチャーのサーヴァントってのは、あの藤丸達の前にいるやつか?」

洞窟の洞穴を背に立つ藤丸達の前に、白髪の男がいた。

わかりやすく手には黒い弓を持っている。アーチェリー系か。弓道をイメージしてしまっていたな。だが不思議なことに矢がない。

彼がもう片方の手で持っているのは明らかに剣だ。

「ああ、あいつはセイバー絡みじゃないことでは動かねぇ」

「つーか俺的に、そのセイバーってのが気になるんだけどさ、セイバーって剣士だよな?」

 

「ああ、そうだ」

「俺そっちとやりたいんだか?」

「安心しろ坊主!あのアーチャーはセイバー顔負けの剣技を操りやがる」

「はあ?」

俺とキャスターは近くの森の中から様子を伺っていた。

なるほど、藤丸達はいわば囮って訳か。

「信奉者って呼び方が今のあいつにはお似合いだ」

「じゃ、嬢ちゃん達に死なれると困るんで、俺は行くぜ」

は?

「ちょ!?おい!」

キャスターはその場所から消えると、次の瞬間には藤丸達の前に姿を現した。

「キャスター?」

突然現れたキャスターに所長達は驚いているようだった。

「おう、相変わらず聖剣使いを守ってんのかてめーわ!」

「信奉者になったつもりはないがね、つまらん来客を追い返すぐらいの仕事はするさ」

突然現れたキャスターに驚くこともなく、アーチャーは言葉を交わした

 

アーチャーの言葉の中にあった、信奉者という言葉は先ほど俺と話していた時のキャスターの台詞。つまり俺の場所もバレてるじゃん。

「要は門番じゃねーか、何からセイバーを守ってるか知らねーが、ここらで決着つけよーや」

そう言いキャスターが構えた。

「悪いがそこまで暇ではない!」

先ほどまで片手に持っていた剣を矢のごとく弓に番え、そしてそれを放った。

その矢は藤丸達を、いや、正確にはマシュを狙った攻撃だった。

一同は驚き固まっていた。

やべぇとタツキが思い動き出すより早く、キャスターが魔術により、その矢を焼き払った。

「流石だ師匠」

タツキはそう呟き、森の奥に気配を消した。

ま、多分一度バレてるからほぼ見つかると思うけど、少しでも誤魔化せたらそれでいい。

 

「寂しいこと言いっこなしだぜ、アーチャー、それとも」

「俺の相手は自信がねぇってか!」

キャスターの魔術による火球がアーチャーめがけて数発飛ばされた。

アーチャーは矢を構えてはいたが番えることができず、それをジャンプをして避けた。

「今の内に行け!セイバーはあの中だ!」

キャスターが藤丸達を洞窟の中へ進むように促しているのが聞こえている。

( はあ。俺そこにいないんだよなぁ。俺もセイバーと戦いたかった )

 

足音が複数遠ざかっていく。藤丸達が洞窟へ入っていったようだ。

アーチャーはそれを追おうとするが、キャスターがそれを魔術により足止めをしていた。

「 俺もやるか 」

アーチャーはどこにいるかなって、は!?

 

飛んでますね。あれ。

なんでてすかねー。不意打ちできるいい感じに場所取りしたんだけどねぇ。空を飛ばれたら手が出せねぇって。

森の中からアーチャーの行方を伺いながら、キャスターの攻撃の邪魔にならないように、立ち回るのすごくめんどいんだけど!師匠!

アーチャーが着地したのは神社?みたいな建物のを屋根の上だ。

俺がいる位置から少しだけ離れているが、アーチャーはキャスターに集中している。

少しだけ、無理するか。

 

「 抜刀……」

 

タツキは脇差を2本抜いた。

二本の小太刀は手によく馴染む。日本の刀は俺が師匠に連れていかれる前に武蔵から貸してもらっていた。

俺が先程まで使っていた刀は鞄の中に入っていた刀用のベルトで腰に巻きつけ帯刀している。

流石は親父だ。必要なものは入れてくれている。

武蔵は必要ないと言っていたが、大丈夫だろうかと少しは不安になるが、施行により自分の動きが悪くなるのは最悪だと、割り切ることにした。

 

二刀流( 小太刀ver )

日本刀の長さだと俺には操れないのはわかってる。

『 二天一流−師走其の一初白雪 』

俺の二天一流の一つ師走其の一は初雪をイメージした技。

嫌なもの、嬉しいもの、懐かしいもの、何処か切ないもの。

消えてしまいそうな一瞬を生み出す太刀筋は、見切ることは不可能。

何故ならそれは。

「なっ!?」

「お、おい!」

屋根の上に飛び乗りすぐさま弓を構えていた、アーチャーの方向へ踏み込んだ。

「チッ!」

アーチャーの舌打ちが聞こえた。

狙いを即座に変え放たれた矢は、タツキに避ける間すら与えず、貫いた。

見破ることは不可能。何故ならそれは。

 

俺自身が作ったフェイクだから。

 

フェイクは上手くなればなるほど、恐ろしさを増す。それは魔術のように事象が改変されたかとすら錯覚してしまうほどの、高度な詐欺技術。

タツキの初白雪はそれを型に取り入れ、一つ目のフェイクを踏んだ相手を本物のタツキが切るという、初見殺しの域にまで磨き上げた。

( 初白雪 )

弓兵が踏み込まれたら負けだろ。

しかし、二刀の刀の刃が止まった

「ふっ、なかなかやるな」

「は?」

二刀の刀を止めたのは、アーチャーが両手に持っている二本の短剣だった。

「チッ!弓兵のくせに短剣の二刀流ってか?」

蹴りをかましたが、アーチャーはそれを後方へ飛躍して避けた。

「おい!坊主!邪魔すんな!」

「邪魔はしねぇ!」

「君はキャスターのマスターか?」

「違うっつの。お前、アーチャーのくせに剣なんか使うのかよ!」

「悪いか?」

「いいや悪くない、キャスターの言った通りだ!楽しめそうじゃないか」

屋根を蹴り、アーチャーのいる場所まで駆け( 初白雪 )を使う。今度はフェイクに惑わされることなく、アーチャーは本物の俺を見ていた。

「二度は通じん」

(知ってる。だからやった。)

「二度はないのはお前だアーチャー」

『 一刀−星命 』

二刀を地に捨て、抜刀していなかった太刀を抜刀と同時に、上段から斬り下ろす。

居合の抜刀術だ。

「 ふっ、やるな」

刀と剣が交錯し、鈍い音を立て刀は止められた。

なっ!? 抜刀の速さは本来の斬りおろしとは格段に違うはずだ。

なのに何故、防御が間に合った。

二本の剣をクロスにし、上段で構えタツキの刀を止めたのだ。

「驚いているのかい?」

「は?驚く?俺が?そんなわけないってーの!」

刀を手放し、即座にしゃがみ込み足払いをした。

アーチャーはそれを避けるために飛躍。

 

危ない。

刀を止められた状態だったらやばかった。

一刀の技は溜めが必要だったりするし、あの場面を作るなら二刀は必須。

今の局面でアーチャーが避けようとしなければ負けていた。何故なら刀を捨て、しゃがみ込みんだんだ。結果的に避けてくれて助かったそれど、空中は俺の間合いではない、任せたぜ、師匠。

落とした刀を納刀し、先に落とした二本を構えた。

 

「仕方ねぇ、そらよ!大仕掛けだ!」

キャスターが魔法陣を展開させた。そして、飛躍するアーチャーを空に描かれたルーンにより、撃ち落とした。

流石だ師匠。

抵抗できず落下しているアーチャーめがけて、タツキは二刀を構えた。

『 二天一流−神無月其の二 神通刃(じんつうじん)

神の通り道そのものを描く二刀、空中落下するアーチャーの片腕を弾き飛ばした。

「グッ!」

アーチャーをそのまま地へ叩き落とした。

「師匠、多分もう無理、後は任せる」

「おう」

着地と同時にキャスターの後方へ走りその場を去った。今のあいつには俺の力は通じない。

それは二度、技をぶつけてわかった。最後の神通刃も本当は首を落とそうとした。だがやつは弱点への攻撃をさせなかった。

そういうのはなんとなくだがわかった。首へ行ったらカウンターがあったはずだ。

 

 

だから。俺は撤退する。

 

 

後は任せたぞ。師匠

それと師匠の着地のサポート完璧だった。振動なく無事走ることができる。

「空中にルーン文字を固定したのか......」

「ああ。」

「それにしても師匠と呼んでいたがまさか弟子を取ったのかい?」

「成り行きだ」

そこからはアーチャーとキャスターの接近戦が始まった。

アーチャーは片腕を失いながらもキャスターとまともに打ち合っている。

それより驚いたのはあのキャスター、術者のくせに戦闘能力が並の術者を遥かに超えていると思う。

だがこの違和感はなんだ?

何故アーチャーは片腕を失い、ほぼ勝ち目のない戦いをする…?

 

何故?

 

見ていて明らかに防戦一方ではないか

「勝負あったな、鈍ったんじゃねーか?てめぇ」

キャスターがアーチャーを追い詰めているのは変わりない。だが?何か胸騒ぎが......

「まったくだ。ここにきて他人の心配とはな」

は?

片腕が?やべぇ!

先ほどきりとばした片腕から剣が勢いよくキャスターめがけ放たれた

「おい!!!キャスターアアアアアアァ!!」

一瞬だった。キャスターがその剣に気づきはしたものの反応が遅れ、アーチャーがキャスターの後ろをとった。

そしてキャスターの喉元に剣が押し付けられている。

( 助けに行かないと )

そう思いタツキが一歩足を進めた時だった。

タツキを死の嵐が襲った。動くと死ぬ。

 

ここから一歩でも動くことを許さないその殺気は、アーチャーから放たれているものだと気づいた時には、タツキはその場に座り込んでいた。

「武器の性能で負けてるなら知恵で補うのが人間じゃねーの?」

キャスターが何かを弾きそれが輝きを放ち弾けた。

アーチャーの剣が喉元から外れた瞬間にキャスターは離脱を試みた。

しかし。

アーチャーの剣がキャスターの背を突き刺した。

「 し、しょう?」

そしてアーチャーが勝利を確信し笑みを浮かべた。

 

しかしその瞬間、それは起こった。

 

アーチャーの剣がキャスターの体から抜けなかった。

そしてそれどころか、キャスターの体は黒くく染まり、まるで孵化のように、外殻のように、先ほどの体が割れた。そして上半身裸のキャスターが現れた。

「森の賢者を舐めんじゃねぇ!」

「悪いねこっちは全部が新ネタでよ」

キャスターが杖を振ると地面から現れた巨大な手がアーチャーを掴み地へ叩きつけた。

 

 

キャスターの勝ちだ。

 

 

「おい、いつまで隠れてんだ、行くぞ坊主」

そう言われるまで俺は森の中の茂みの中に身を潜め息を殺していた。

あれほどまでに強烈な殺気を浴びたのは初めてだ。

やばかった。意識が外れていたら確実に戦闘に加わっていた。

それほどまでに滾る戦いだった。

「あ、ああ。なんとまあ。魔術ってのは恐ろしいな」

「なんか言ったか?」

「いや何でもねぇよ、流石だ師匠ってな」

「そうかよ」

キャスターの移動能力により、直ぐに藤丸達の元へ向かった。

 

『 見ていてください マスター 』

それは壁だった。

俺たちが戻り最初に目にしたのは、黒色のビーム?を放つ騎士とそれを受け止めるマシュと藤丸だった。

そして、マシュがビームを弾き返した。

マシュの体にはかなりの負担がかかっているように思える。その証拠にマシュが出現させた壁が消えかけている。

 

『 エクスカリバー......』

追撃?まずい、藤丸達が

「坊主、お前さん。さっきはよく戦った」

「え?」

そういうとキャスターはその場から姿を消した。

「 我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社。倒壊するはウィッカー・マン! 」

先ほどの巨大な手の本体か、 巨大な傀儡が出現しセイバーを取り込み炎に身を包んだ。

とても巨大な傀儡が消えると、セイバーが何やら藤丸達に話しかけているように見えた。

 

そしてセイバーは消えていった。

そして、キャスターも消えた。

「次は一つ手合わせをしたいものだ」

キャスターはそう言い残した。

誰に言ったのか、それをわかったものはただ一人だった。

「ああ。やろう、アイルランドの光の神子。クー・フーリン」

タツキはそう答えを返し鯉口で音羽鳴らした。

 

 

「おい武蔵?」

隠れていた直ぐ近くに、ピンク色の何かがチョロチョロしていた。

「よかった!タツキよく戻ってきたわね!」

「当たり前だ」

「おい。武蔵。お前なんで手伝ってやらなかったんだ?」

「そんなの。これはあの子達の物語だからかな?」

そう武蔵は悲しげに真実をタツキに告げた。

そうこれは、タツキの物語ではないと武蔵は言う。

 

タツキはあくまでそこにいる仲間の一人。主役は藤丸、マシュだ。

 

だから

「気にするな、知ってるし、それに、俺は俺なりに楽しんでいくさ」

「そう」

そして、時を同じくして、裏切り者であることがわかったレフ・ライノールの手により、所長、オルガマリーが殉職した。

そこに響いていたのは所長の悲痛な悲鳴だった。ただ何も出来ず見ていることしかできなかった。

レフ・ライノールは......アレは。人ではない。

「マスター適性がないから見逃してやったのに、それとそこで隠れている、逃走者、何故ここにきて参加しようとする?なぜ人間というのはこうも.......。」

「改めて自己紹介をしよう」

その声はここまで聞こえるように発言されたものだった。

 

「私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様達人類を処理するために遣わされた、2016年担当者だ。聞いているな?ドクター・ロマン?ともに魔導を研究した学友として、最後の忠告をしてやろう」

「未来は消失したのではない。焼却されたのだ」

「カルデアスの磁場でカルデアは守られているだろうが外はこの冬木と同じ末路を迎えているだろう」

カルデアの外が焼却された?

 

家族が?

 

友人が?

 

全て?

 

「お前達は進化の行き止まりで衰退するのでも、異種族との交戦の末に滅びるのでもない。」

「自らの無意味さに!」

「自らの無能さ故に!」

「我らが王の寵愛を失ったが故に!」

「何の価値もない紙屑のように跡形もなく、」

 

「燃え尽きるのだァ!」

その笑みは愉悦そのものだった。

「この特異点もそろそろ限界か」

地震?のような現象がおこり、天井が崩壊し始めていた。

「聖杯を与えられながら、この時代を維持しようなどと余計な手間を取らせてくれた」

「では、さらばだ、ロマ二、マシュ、そして、48人目の適正者......あぁ、それと逃走者の剣士とそのサーヴァント」

そう言い残し、レフライノールは空間へ消えた。

『 タツキ君!直ぐに藤丸君達の元へ行って!レイシフトを始めるから!』

「はい!」

そして俺の意識は消えていった。

 

 

 

 

ここは?部屋?

あぁ。戻ってきたのか。

「疲れ......?あれ動かねえ」

体がいてぇ。筋肉痛ですかね。そんなの俺の体にはもう起きないと思ってたのにな。

「ああ、起きたのタツキ」

「やあ、武蔵、ずっとそこにいてくれたのか?」

ベッドの隣にある椅子に桃色の髪の女の子、宮本武蔵が座っていた。

夢じゃないんだな。

「ええ。一応は、タツキのサーヴァントだし?」

「はは。すまないな、頼りないマスターで」

「ほんとよ!頼りない!でも、よろしくね、タツキ」

「ああ。よろしく頼むよ」

再び、いやこの誓いはきっと、終わらない永遠の誓いだ。あの時のものとは違う。

 

俺と武蔵は無言で鞘を合わせた。

 

『ゴホン』

 

ビクッ!?!?

「なっ!?」

『えーと、いいかな?とりあえず管制室に来てくれ、話したいことがある。』

「わ、わかりました」

ロマンからの命令が出たので、筋肉痛の体を無理矢理起こし、部屋を出ようとした。

部屋を見ると先日、爆発により飛散した服が新しく作られていた。

それを着ると少しは動きやすく作り直されていた。

感覚でわかる多分これは一般剣士用に調整されたのだろう。

やるじゃないかカルデア

「それじゃ、行こうか武蔵」

「ええ」

 




序章はこれにて完結です
FGO早く新鯖追加して欲しいですね〜笑
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