FGO 宮本武蔵と二天一流inカルデア   作:詩七喜

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30話 ローマ帝国と二天一流14

 

「いつまでああしているんだろうな?」

俺の見据える先にいるのは、敵の兵士である。先日の生き残りでやる気が無いような奴ではなく、隙あらば撃つというような殺気を突きつけてくる。

 

見張りの連中も気づいていたようだが、こちらから手を出して、戦いにでもなったら現状負傷者が多いこちらが不利だ。

そのため現状維持で凌ぐことになったのだが、日に日に潜伏する兵が増えてきており、何処から増えてきているのか不思議な程に、目の前の森の茂みに潜んでいるのだ。

 

「タツキ変わるわ。お疲れ様」

交代の時間になり、次の担当であった武蔵が来た。武蔵と少し話すため、俺はその場に武蔵を促して座らせた。

 

「倒しに行くか?ちょっと変だ。ありゃ人間には見えない。なんていうか感じ方が違う。殺気の質っていうのかな。なんていうか、肌には触れるが、人の放つ殺気とは少し違う気がする」

「同意よ。アレはもしかしたらサーヴァントの宝具の類かもしれない。タツキ油断は禁物。でも攻めるのは無し。トレネスも言っていたように、戦争になれば私達だけの問題では済まない」

「わかってる。意見だけ聞いておきたかった。戦争にならずに一方的に倒してしまうのはアリなのかナシなのか、な」

 

武蔵の顔を見てタツキは言った。その顔には闘志が湧いていた。

「ナシよ。一人ではね。行く時は言って。私も戦う」

「頼もしいね。んじゃ俺休憩するわ〜」

そう言い残して俺は、見張り番を代わった。

 

ーーーーーー

 

3時間後武蔵が見張りの交代をして、俺のテントに来た。

「やっと終わった〜お腹空いたし何か食べてくるわね。敵の様子だけどどんな感じだった?」

武蔵が見張りをしている間、俺は例の人ではない人型の連中の様子を探っていたのだ。

 

「いんや、動きはない。目的はこっちにないのかもしれないな。そもそも使用者らしき者の姿も無い。とりあえずはこの辺をウロウロしている奴らは倒せる」

「んじゃ、私が腹拵えをしたら、行きましょうか」

「あんまり食べすぎるなよ。動けなくなるぞ」

「サーヴァントだから関係ないって」

 

サーヴァントは飯を食う必要性も無いんじゃないのか?と思ったが、まあ人間生きていれば、何も食べなくてもいいと言われても食べたくなるものだろう。と思ったので言わないでおいた。

 

しかし敵に見られていると言うのは、何とも言い難い緊張感がある。

 

何故動かないのか、いつ攻めてくるのか、何かを待っているのか。いくつもの不確定要素が頭を支配し、常に緊張感を持っていなければならないのだから。

倒すのが早いに越した事はないな。

「すみません。少しいいですか?」

テントの外から声がしたので、外に出るとトレネスが立っていた。

 

「どうしたんだ?」

「少し気になることがあるのですが、見張りの時にお気付きになられたかもしれませんが、敵が複数潜んでいるようなんです。何人か斥候を送り込んだのですが、帰って来ず、隊を編成して戦おうにも、現状では打って出ることができないので、どうしたものかと」

 

現状ここに残る連中で戦える者は少ない。織田信長らしき英霊による射撃でやられてしまっているからだ。

 

即死しなかっただけマシと考えてはいたが、今攻められると、ここの守りの要は唯一の英霊である武蔵ということになる。

「俺と武蔵で後で見に行く予定なんだ」

 

「本当ですか?なら心強いですね。ですが、大丈夫でしょうか。私の考えなのですが、アレに引き寄せられて、ここの守りの要とも言える武蔵さんとタツキさんが出てしまえば、その隙をついて狙われる事もあると考えているのですが」

盲点だった。その可能性は大いにある。いやむしろそれが狙いで、複数の敵が攻める事なく、バレるように待機していると言われた方が納得がいく。

 

「トレネスその意見は無かった。どうしようかな。トレネスからしたら俺は守りの要と見えているかもしれないが、それはあくまで人と戦った時だけなんだ。武蔵級のやつと戦う場合は、様々な条件が整わないと勝てない。むしろ防戦一方になる」

 

「人と戦えば守りの要になると言える辺り流石ですね。武蔵さんクラスの敵ですか、その可能性は少ないですが、その可能性を外すわけにはいきませんね」

 

「それを考えると、武蔵に行かせるよりも俺が行く方がいいな。俺一人倒れた所で問題はさほどないだろうが、ここが落とされるのは最悪の展開すぎる」

「ですが!それでは万が一の場合タツキさんが」

トレネスは声を荒げて俺の心配をしてくれた。

 

「気にするな。人にはその役割がある。特に戦場ではその役割が変わる事なんて良くあるし、戦場に出た以上はそこで死と隣り合わせなんだ」

「最近不吉な言葉を聞くんです。戦場の悪魔が出るそうでその悪魔はいくつもの部隊を鎮めているそうなんです。ですのでどうかお気をつけて」

戦場の悪魔って......俺か武蔵の事かな?すげえ噂されてるな。

 

そこへ食事を終えて帰ってきた武蔵が合流した。

武蔵は満腹満腹とお腹をさすりながら、笑顔で歩いている姿は、逆にこの拠点の食料危機を意味するのではないかと不安になる。

 

「何?食べ過ぎてはないわよ」

「そ、そうか?ならいいが」

「では、タツキさんが調査に向かうということでよろしいでしょうか?」

「ああ。武蔵もそれでいいか?」

武蔵は顎に手を当て少し考えた後、俺の耳元で呟いた。

 

「任せるわ。あと任せて」

何故小声で言う必要があるのかと疑問に思ったが、任せると言われたので、ガリア周辺を散策する事にした。

「任せる」

と小声で返しておいた。

 

ガリア近辺は荒野が広がっているだけで、所々に森はあるが、人が隠れる場所として候補に上がる場所は、先の見張りの時に敵が隠れていた塹壕の中だけだ。

後は森くらい。

荒野では奇襲を対策する必要はほぼ無い。何故なら見渡せるからだ。

 

ガリアを出て1時間程が経過した。周りは荒野でどこに向かうでもなくただ歩いているだけだ。

奇襲は何度か受けたが、先も言ったように奇襲になっていないので、斬り伏せておいた。

そんな時だった。

 

(やっと結界を抜けましたか。撤退を勧めるマスター)

突然、頭の中に声が響いた。弁助や輝夜とは違った印象を受ける声の持ち主だ。声質は落ち着いた男の声で、俺の事をマスターと言った。

「初めましての人か?俺をマスターと言ったか?」

独り言を話している様は見られたら、危ない奴扱いを受けるだろうが、俺は気にしない。

 

(初めましてですね。私の事は平兵衛(へいべえ)とお呼びください。私は貴方様に身体を借りている身故にマスターでございます)

平兵衛ね。了解だ。いつの間にか俺の頭の中で何人もの人格が現れている事は、不思議に感じるが、不快には感じない。

 

「それでどうして撤退なんだ?」

(はい。罠でございます。仕掛けた者は一人。内側から好機を狙い、好機と見るや一気に攻め落とすつもりでしょう)

「うん?理解を得ない。0から10までしっかり説明しろ」

(御意。まずは裏切り者の名前から。私の見解では裏切り者はトレネスです)

 

「なっ!」

(驚かれるのは無理ありません。彼は本当に上手く馴染んでおられる)

「いやいや変じゃ無いか?だったら味方の誰かが気づいて」

そう言うことか。だから負傷者が

(ええ、その通りです。負傷者の中で唯一動ける者の存在。そしてその者は下っ端だったと言えば、連中もそれを信じるしかありません。1000人いる味方の顔を全員覚えているなんてあり得ないでしょう。隊長クラスを敵が全員殺したのはその為だと思います)

 

そういえば隊長クラスの戦士は全員戦死していた。だから動ける者から隊を纏める者が選ばれた。

その時、唯一ほぼ怪我をしていなかったトレネスを。

「成る程な。トレネスについては把握した。

次の問いだ。何故攻め落とされる?陣地には武蔵がいる。ならば逆に俺を残して武蔵を送る方が得策だと考えるはずでは?」

 

(そこに関しては彼の判断ミスと言わざるを得ません。彼は気づいていますよ、マスターが戦場の悪魔であること。ですが、それをあえて口にして、マスターに自信を持たせた。女武蔵殿を彼は下に見たのです。マスターや女武蔵殿の戦いをほとんど見ていない彼からしたら、男か女で選んだのでしょう。サーヴァントなど知るはずもありませんから)

 

「じゃ別に撤退する必要はないんじゃないか?」

 

(違いますよタツキさん。結局はどちらでも良かったんです。ある程度の強さの二人から弱い方を選んだというだけ。つまりは敵の隊長が攻めてくるはずです。そしてそれはマスターの考え通り、先の人ではない人型の何かを作り出していたサーヴァントでしょう。サーヴァント対サーヴァントの戦いの中、女武蔵殿は拠点を、怪我人を守れるでしょうか。敵のサーヴァントによって作られる人型兵器から)

 

「なっ」

(ガリアさえ落としてしまえばいいのです。別に女武蔵を、マスターを倒す必要などありません。それに向こう側にはアーチャーも参加しようとすればできる場所にいるはずです。ネロ帝達は帰還された。今ガリアを落とされると正真正銘の詰みです)

はめられたか!ヤバイな。急ぎ戻る、だが1時間程度は歩いたから走っても40分はかかるだろうな、間に合うか。

というかそんなに走ったら、ロクに戦えん。

 

(マスターは召喚はできないのですか?私を召喚してくだされば、ライダーのクラスを持つ私の騎乗性を活かせば、すぐに着きますよ?)

「召喚?何だそれ?武蔵のようなやつか。武蔵は何か突然出てきたんで知らない。それにほとんどは藤丸がやってるしな」

 

(いいえ違います。私共に、そのような力は無い。私どもは本来名も無き戦士です。名は残さずとも、数名、数十名、数百名の人の記憶に残る英雄が私達です。私達は相性が合う依代が無いと現界できません)

「つまりは依代ってのは俺の体で、召喚ってのは弁助や菊丸がやっていたあの憑依みたいなやつか?」

 

(違います。アレは外法。論外です。マスターの意思すら乗っ取るなどあり得ません。私が言っているのはマスターの身体に私を呼び出して、マスターがマスターの意思を持ったまま、私の力とマスターの力を合わせて使うと言うことです)

「はい?そんなことが出来るのか?なら早くやって欲しいんだが」

 

(いえ、それには特別なアイテムが必要になるのですが、名代殿が使っておられたあのカードです)

「カード?そんなの使っていたか?」

 

(ああ、成る程。見えていなかったのですね。名代殿をマスターが倒す瞬間に、名代殿はカードを使ってそれを交わしました。その証拠に最後は服装がカルデアの服から変わっていましたよね)

確かに突然服装が変わったから驚いていたがそんなカラクリがあったのか。

 

「つまりは俺には無理か。なら俺の身体乗っ取れよ。いいぜ、仕方なしだ」

(外法だと言いましたが)

「それしか無い、さっさとやれ」

 

(私が返さないと決めれば、それは第一人格の意思になり、貴方は第二人格のままになりますよ?この法を許可するとはそういう事ですから)

「やれよ。話して見てわかったから、お前はしないだろ平兵衛」

(はぁ。わかりましたよ。この戦、勝ちましたら共に夢について話しましょう)

え?

瞬間意識が身体から抜けた。

俺の意識は暗闇に落ち、俺という身体を俯瞰で見る形となった。

弁助の時や菊丸の時と同じだ。

 

しかし今回違っていたのは俺の近くに馬も出現ていたのだ。

「私の愛馬です。マスターは魔力をうまく使えないようですので、使わせていただきます。では見ていてください!そして無事に救い、勝利の酒を飲みましょう!」

ぬん?

 

(何か嫌な予感がするのだが、もしかして平兵衛って俺の頭の中でいつも変なフラグ立てていたあの男か?)

 

(左様じゃ!ぬははははははは!平兵衛に身体を渡すとはのぉ〜余程死にたいと見える)

声の主は弁助だ。爺さんの姿をしており、とても強そうには見えないがこれがまた強いのだ。

 

(死にたい?あいつそんなに弱いのか?)

(いんや?強いさ。ありゃあ時代が違えば名を残せたじゃろうて。江戸の中期に生まれた為に戦は無く、山賊狩りや盗賊狩りを生業にしておったのじゃがの?その強さが凄まじく、盗賊も山賊も平兵衛のいる近くには出なくなったんじゃ)

めちゃくちゃ強えじゃねえか!

 

確かに戦国最後の世代の宮本武蔵以降の、二天一流は、本物の戦を経験している方が少ないのか。

(なら別に問題ないんじゃないのか?)

(いんや違うさ。彼奴の異常な所は別にあってな。悪魔に好かれとる)

 

......。

 

悪魔ねぇ。なんか最近その言葉なんども聞くな。悪魔のバーゲンセールじゃないか、

 

(真剣に聞かんか!彼奴がその言葉を使うと悪魔はその言葉を達成させんとあらゆる手段を用いてそれを止めようとする。帰って来たら結婚しようと違って出て行った彼が帰った時には家は山賊に襲われていた。帰ったら必ずお前に薬をやると言って家を出た彼が薬を買って家に帰った時には既に妹は亡くなっておった)

 

やはりあのフラグ建築士かよ。

(つーかそれ普通フラグってその人に作用するんじゃねえの?)

聞いた話は全て彼では無い、他者が被害を受けている。

 

(それはな。平兵衛が強すぎて盗賊と間違えて悪魔憑きの人も何人か悪魔ごと屠ったからじゃよ。彼からしたらちょっと強かった敵という認識なのじゃろうが、悪魔からしたら規格外。だが、イタヅラはしたい。どうしようと悩んだ末、他者に矛先を向けたのじゃ。だがそれもどういうわけか彼なフラグを立てた時にのみ現れる)

 

(ん?でもそれなら今回は被害者いないんじゃ無いか?だってあいつ自分の中の俺と話して......え?まさか?)

(そうじゃな。そのまさかじゃ平兵衛がフラグを立てたのはタツキじゃな。フハハ。ま、平兵衛が身体を返したら気をつけるのじゃよ?平兵衛が好きな悪魔にからかわれぬようにな)

(迷惑すぎる!)

 

 

ーーーーーー

 

 

「行け!我が愛馬!フラッグデビル」

タツキ(in平兵衛)が乗った黒馬は全速力で荒野を駆け抜けていた。

(フラッグデビル?旗の悪魔?おい平兵衛さん。知ってて名付けたんじゃないだろうな?)

「何がですか?タツキ殿!勝ち戦に勝利の旗は付き物、それに私は盗賊達から悪魔と呼ばれた故、そう名付けました」

(あ、はい。そうですか)

「フハハハハハハハハハハハ!盗賊、山賊は私の飯ダァ!私の銭の為に死んでくれたら助かるなァ」

(タツキ殿。彼はな。馬に乗ると悪魔に取り憑かれたように人格が豹変する。まさに馬の悪魔。と旗の主人じゃな!)

(笑えねぇ!!!馬の悪魔に乗り、旗を振るう主人ってまんまじゃねーか!)

 

疾風の如き速さで馬はガリアへとたどり着いた。

ガリアからは煙が上がっており、人々が戦う音が聞こえてきた。

「キタキタァ!私の飯ぃ」

そう言って、平兵衛の腰には見たこともない刀が出現した。

 

【宝具】〈 馬の悪魔と旗を振る主人 〉

 

え?宝具?

宝具って確か、サーヴァントの持つ切り札なんじゃ?

宝具が発動されると、俺の腰に出現した刀が形を変えて、長き持ち手とその先には二つの槍頭という姿に変わっていた。そしてその槍には旗が付いており、旗には恐ろしき角が生え、牙が伸びた、悪魔の顔が描かれていた。

 

彼の乗るフラッグデビルも形を変えており、馬の頭から青色に輝く大きなツノが出現し、体には青き炎を纏っていた。

 

「いきますよ」

疾風怒濤。馬が駆け抜ける度に、敵の兵達は倒されていく、倒された敵は消えていくので、敵のサーヴァントによる能力で確定だろう。

「弱い弱い!私の魂が満足しねぇ!」

「いえいえ、オロ君。暴れすぎですよ。敵を見てください。アレ人じゃないですよ。倒すと消えるなんて人ではありません」

「ンァ?何だこれ?魔術の類か?めんどくせぇなァ!魂が食えねぇじゃねえか!」

 

馬が声を出して、平兵衛と話し始めた。

敵を倒す度に馬の青色の炎は小さくなっていくのがわかる。敵の人を殺した時には炎が強くなっていたので、あの炎は魂なのだろう。魂を燃やして戦っているのだと予測がつく。

 

それにフラッグデビルなのに、オロ君って言ったか?何だそれ?悪魔の名前か?変な二天一流使いがいたものだな。

 

まあでも、少しは理解できる。勝つためには何でもする二天一流において、勝つために悪魔と契約したということか。納得だ。

 

(タツキ殿。そこは納得なされるな。儂の考えた二天一流において何でもする事はわかるがアレはもはや別の生物になっとるじゃろ!)

(いやでも勝つためだしさ?仕方なくない?)

(その辺タツキ殿は、考え方が柔軟じゃな。儂には到底考えられぬな。老いた証拠じゃわい)

 

「アレ?タツキさん?如何されたんですか?」

タツキ(平兵衛)の前に立ちはだかったのはトレネスだった。

 

「君は確か、トレネス君だったかな?」

「え、ええ。帰還していただいて助かりました!緊急事態なんです!敵が攻めて来て、武蔵さんも相手の強者を押さえつけるので手が一杯で」

トレネスは必死に状況を説明していた。それを平兵衛はニヤニヤとしながら眺めていた。

 

「ど、どうされたのですかタツキさん。というか、そのような馬いつから、それにその武器は」

「いえ、お気遣いなく。では女武蔵殿を助けに行きましょうか」

そう言った瞬間トレネスの顔に一瞬だが、緊張感が垣間見えた。

 

「い、いえ!それよりもタツキさんには街の方に行ってもらいたいです。怪我人が何人も怪我をしたまま戦っているので」

「ふむ。そうですか。ではそうしましょうか」

そう言って平兵衛は馬を街の方へ走らせようと方向を変えた。

その一瞬のトレネスの心の緩み、顔に出た安堵を見逃さなかった。

 

「トレネスさん。最後に忠告です。その安堵が何から来たものかはわかりませんが、あまり私を怒らせないでくださいね」

「な、仲間達が助かるからですよ!」

「では何故、先程まで敵しかいなかったこの場所に貴方は居て、尚且つ無傷で生きているのでしょうね。私には不思議でなりませんよ」

(裏切り者ってさっきまで言ってなかった?)

「ははは。いやぁ〜実際会ってみるとその答えが正しいのかわからなくなるものですね」

そう言いながら平兵衛は、馬から飛びのいて何かを避けた。

 

見えたのは小さな針だった。

 

「やはり正しい選択でしたね。毒殺ですか。針に毒を塗っていたことから、身体を麻痺させた上で確実に殺すという可能性もありますね。ですが、殺気を漏らせば自然とわかります。残念でしたね」

トレネスは針を外し、その表情がみるみる絶望に彩られていく。

 

「裏切り者で確定したな。その魂喰いたいナァ」

ブラックデビルが声を発して走り出し、トレネスの心臓に食らいついた。

 

「ガッァ」

フラッグデビルは何かを引きちぎるように、牙を向けたが、トレネスからは血が流れていなかった。

 

さてはトレネスも敵によって作られた人間かと思ったが、そうではないとすぐにわかった。

「まあまあの味だナァ」

フラッグデビルはそう言って、己の青い炎をより強く燃やした。

 

魂を喰ったのだ。

 

「全くお下品ですよ。人を殺さず、魂だけ食べて、身体を残すというのは酷いです。しかし裏切り者には罰が必要ですので仕方ないでしょう」

そう言って、平兵衛はフラッグデビルに乗り、先程行ってくれと言われた逆方向へ馬を走らせた。

 

 





今回から本格的にタツキの中にいる二天一流の、継承者達が戦いに参戦していきます。
ネロ祭来るのか......来て欲しいですね!素材とQPと種火欲しいんです!
BBちゃん爆死しました......辛い。
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