FGO 宮本武蔵と二天一流inカルデア   作:詩七喜

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32話 ローマ帝国と二天一流16

『タツキ君起きて!タツキ君!』

 

うう。

 

誰かが俺を起こしてくれている。

寝ていたのか。

 

俺は瞼を開け、顔を覗き込んでいた人物と目が合う。

モニター越しに。

 

「ロマン」

『大変だったみたいだけど、大丈夫?』

「ああ。まあでもガリアは守りきったから防衛線は俺達の勝ちだ」

『疲れているところ悪いけど、最後の戦いに向かってもらいたい。連合帝国首都を落とす』

「という事は、藤丸達も上手くいったようだな」

『そうだね』

 

俺はその一言を聞いて、重い体を起こす。

キャンプの中に脱ぎ散らかしてある、制服を着て、ズボンを履いて、刀を帯刀する。

 

「準備完了だ」

『疲れは取れかい?あまり休めてなさそうだけど』

「そんな事はない。サーヴァントは休憩がいらないからってここのところずっと武蔵が見張りで俺が休憩だったからな。ある程度は動ける」

 

そういえば、最後の聖召石が砕けたんだよな。

平兵衛を憑依した時に使ったって事だろう。

ダヴィンチちゃんにまた貰っておこう。

いつまた憑依されるかわからないからな。

 

「行くよタツキ。覚悟はできてる?」

 

キャンプの中に武蔵が顔を出した。

 

「俺にそれを聞くか?勿論だ」

「その様ね。じゃ行くか!」

「おう!」

 

 

俺と武蔵はガリアを出た。

 

 

『既に向こうの偵察は終えている』

 

現在は走りながらロマンから情報を得ていた。

 

「は?敵の拠点がわかったのか?」

『ああ。思わぬ収穫だった。だから今から言う場所に向かってほしい。既に戦いは始まっている』

「は?早くそれを言えよ!武蔵スピードあげるぞ!戦況は?」

「わかったわ」

「え?」

 

武蔵は俺を軽々と肩に抱えた。

 

「サーヴァントの私に任せなさい!」

「うえ!?ちょ!」

 

武蔵は俺を担ぐと、全速力で走り出した。

 

『ええと、有利かな。破竹の勢いで連合首都へ進撃しているよ』

 

 

「タツキ!なんか来た!」

「うん?......うん?」

 

タツキは武蔵に降ろされその光景を見て絶句した。

 

「これはアレだな。来たと言うより」

 

「待ち伏せ...ね」

「ああ。まんまと合流前を狙われたな」

『タツキ君達の前にいる生命体反応は150だ。大丈夫かい?』

「タツキ」

「ああ。わかってるその1人だけ俺が受け持つ。他の雑魚は武蔵に任せる」

「了解」

 

武蔵はそういうと一瞬で、敵の軍隊に攻撃を仕掛けた。

武蔵は一騎当千。早々と敵を倒していった。

 

「さて、こちらも始めようか。槍使いのサーヴァント」

 

巨大な槍を持った、鎧姿の女性。

紫水晶の目、美しい青白い髪の人だ。穏やかに微笑むと一瞬で

 

「はっや!」

 

距離を詰め、巨大な槍がタツキを突き刺さんと、放たれた。

 

「困ります...そんなに、私を見つめないで」

 

巨大な槍を軽々と振り回し、その度にタツキは全力防御を余儀なくされた。

 

ほんっと、サーヴァントってのは規格外だ。こんな威力の出るような槍を、片手で軽々と振り回してくるのだから。

 

槍使いって事はランサーだろうな。

ランサーは淡々と槍を振るい続ける。

なんと掛け声も無く、ただ淡々と。

 

「死んでください」

 

たまに口を開くと、物騒な事を言う。

 

だけどこいつ、本気じゃないな。

 

ま、ならこっちは本気で行こうかな。

 

 

 

タツキは刀を構えて、ランサーめがけて斬りかかる。

ランサーはソレを虫でも払うかのように、槍で振り払った。

 

「え?」

 

ーーー槍は空を割いたーーー

 

 

 

(初白雪。貰った!)

 

タツキの刀がランサーを捉えようとした瞬間だった。

 

青い炎が弾けた。

 

「は?」

 

ランサーの身体から青い炎が上がり、不意をついたタツキに向かい襲いかかった。

 

タツキは咄嗟に身を投げ、地面に転がりソレを避け、そのまま数度回転し、ランサーを見ると、メラメラと青い炎を槍が纏っていた。

 

「あー。これはアレだ。作戦変更だな。むさ....おっと。セイバーそっちはどうだ?」

「マスターらしい人はいない」

 

俺は敵の部隊と戦っている武蔵に声をかけて、その答えを聞いて納得する。

 

「マスターは安全圏にいるのかよ。ま、なら好都合だな」

 

「余所見はいけません」

「お互い様だな」

 

敵のランサーの一撃をタツキは、身体を後方へ倒して避けた。

 

「お前の相手は人間じゃないだろーよ」

「え?」

 

ランサーの身体を切り裂く一撃。

タツキを囮にし完璧に不意を突いたその人物こそ、タツキのサーヴァント。

 

「くっセイバー」

「芯を外されたかー」

「ま、仕方ない。殺気に反応されてたからな」

 

ランサーは直ぐに俺たちと距離を取り、その直ぐ後に撤退した。

 

 

「タツキ。行くわよ」

「おう」

 

 

それにしても敵側のマスターは連携をしていないのだろう。

様子見の攻撃と見て間違いない。

あのランサーは全然本気を出していなかった。

武蔵に不意を突かれた瞬間、少しだけだが膨れ上がる何かを感じた。

 

 

『タツキ君!急いでくれ!王宮でレフライノールと戦闘にな、何だこれ!』

「は?ロマン?どーした?おい!応答してくれ!」

「タツキ、やばい気配がする。全力で行くわよ」

「ああ、任せた」

「えい」

「ま、そーですよね」

 

武蔵は軽々と俺をお姫様抱っこして、走り出した。

 

 

 

武蔵さん。恥ずかしいです。

 

 

 

 

 

 

王宮へ突入すると、その気配は嫌でも感知できた。

禍々しい気配が王宮内に漂っており、そしてその部屋に入ると、そこにいたのは。

 

 

「何だこの気持ち悪いやつ」

「レフじゃなかったの?」

 

俺と武蔵の目の前にいたのは、太く黒い触手のような体に、大きな赤い目を持った魔物だった。

 

「藤丸。これはどういうことだ?」

「タツキ、危険を承知で言うよ」

「何だ?」

「アレがレフだ」

は?あの気持ち悪い奴がレフだって?

人間やめてるじゃねーか。

 

「だから全力で戦って欲しい。今のままだとカルデアが後手に回りつつある。タツキ、名代の敵を頼みたい」

「名代?」

 

藤丸の先にいたのは、紺色の雅な陣羽織を着た名代だった。

名代はレフの攻撃を上手くかわしながら、ネロやマシュに攻撃を仕掛けているのだ。

 

レフにとって名代は味方じゃない。

巻き込んでも構わない存在。

名代は何故向こうについたのか。

 

何となくわかってきた。

 

悲劇?

 

そんなことじゃないだろうな。

何故名代がいて、アーチャーがいないのか。

 

答えは至って簡単だろう。

 

「そんなに笑顔で死闘をやってんじゃねーよ!」

 

抜刀と共に踏み込み、名代を真横から叩き斬る軌道で刀を抜く。

 

名代は容易く避け、手に持つ大太刀で切り返してきた。

 

二刀流じゃないんだな。

 

(初白雪)

「見えてるよ」

 

フェントには見向きもせず、俺を目で追い斬りかかって来る。

 

そこへ煙のような魔力の塊が俺と名代を巻き込む形で、襲いかかって来る。

 

「武蔵!」

タツキがそう叫ぶと、武蔵がタツキの元へ来る。

 

「宮本武蔵。マスターを助けてばかりで本気になれなあわね。そんな子の子守ばかりしッ」

 

血飛沫が上がった。

 

武蔵が名代の身体を下から上へ、抜刀術により斬り裂いた。

 

「致命傷には至らないか。上手く避けたわね」

「宮本武蔵、何故タツキ君を助けない?」

「タツキの目は助けろとは言っていなかったから」

 

 

 

ゴォオオオオ

 

 

俺と武蔵、名代を黒い煙は巻き込んだ。

 

「ま、耐えられるか」

「なわけないでしょ!」

 

寸前の所で武蔵に抱えられ、煙を避けた。

 

「流石〜」

「攻勢に出るわよ」

「もちろん」

 

 

武蔵に下ろされ、煙を避けながら走り、武蔵がレフ幾つもあるの目の一つを斬り、続いてタツキが切り裂いた。

 

マシュやネロ達も各々別の角度から、攻撃を行っていた。

 

 

幾度も繰り返される攻撃は、レフの身体をボロボロにしていた。

 

 

「もう少しだ!」

 

藤丸がそう言った時、レフの身体に変化が生じた。

 

その柱のような身体に目が増えたのだ。

 

その瞬間、明らかに先程までとは違う威圧感を感じた。

 

タツキは黙って後方へ下り、それを見た武蔵がマシュやネロに下がるように指示をした。

 

タツキは他者に危険を伝えるより先に、危険から逃げる事を選んだ。

 

いや、意思とは裏腹に勝手に選んでいたというべきかもしれない。

 

現にタツキは後方に下がった後に、前に出ようとしたが、出れないでいた。

 

ある一定の範囲に入ろうとすると、体が自分の物ではなくなったかのように動かなくなったのだ。

 

 

「藤丸!こっちに来い!」

「え?」

「いいから早く!」

「わ、わかった」

 

一番近くにいた藤丸にそう命令し、藤丸は急ぎ足でタツキの後ろに入った、その瞬間、複数の目が光った。

 

 

 

【焼却式】

 

 

 

 

先程までの煙とは違い、魔力の柱のような光が周囲を覆い尽くした。

 

 

タツキの目の前で、その柱は高々と天井を貫いており、藤丸が先程いた場所はその魔力の中だった。

 

「助かったよ。ありがとうタツキ」

 

その魔力の柱が消えると、レフの目は先程の数に戻っていた。

 

 

タツキはすぐに武蔵を視認し、無事である事を確認すると飛び出した。

 

一番早く飛び出しタツキに反応し、武蔵、ネロ、マシュも合わせて飛び出した。

 

4方からの同時攻撃。

 

 

「ハァ!」

「ヤァ!」

「セェイ!」

「ハッ!」

 

 

大技を使った後の隙を捉えた、4人の攻撃は的確にレフの身体を捉え、打ち倒した。

 

 

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