自称ライダーを名乗っていた修道服を倒した後、周辺の街や村を訪ねてみたものの、ワイバーンやら動く骨やらを始末して生きている人間を探しては情報を集めていた。
「とりあえず、リヨンってのは滅んだ街で現状では避難民たちの逃げ場として使われてるみたいだな」
リヨンへ向かうという者が多かったため理由を聞いたところこのような理由だった。
「そうね、マシュちゃん達、上手くやれてるといいけど」
「だな、まさかリヨンが滅んだ後だとはな。それで、その大きな剣を持った騎士?ワイバーンやらを蹴散らしてた英雄がいるからリヨンに行けば助かるねぇ。武蔵はどう思う?いると思うか?」
「えぇ、いたのは確かのようね、そうじゃなくては、あの人たちが死の危険を侵してまで、リヨンに向かわないでしょ?ただ、今はどうかはわからない」
「そうか。となるとまずは」
「そうね」
「ワイバーンを始末しよう」
「お団子を食べましょう」
武蔵とは同じ言葉を発するつもりでいたのだが、何と別の、それも全く関係のないことを発したように聞こえた。
そのため俺は己の耳を疑った。
「は?」
「なに?」
「おい武蔵さん、今何て言った?」
「だからお腹が空いたからお団子食べましょう?」
俺の耳は正常に機能していたようだ。
「まずな。金がない。あとそんなもんここに売ってない。無理だ」
急に何を言い出すのだ。
日本ではないのに団子なんて売ってるわけがあるか。
「タツキの刀売りましょうよ!みたところ私の受け継いでいないみたいじゃない?」
俺の刀と武蔵の刀は、色以外は似ているため、以前武蔵に盗んで色を変えたのでは?と疑われたことがあった。
「ああ?却下だ!却下!これはと特注品だ!俺専用に作られた物だ」
「へー、そうなんだ、だからあんな大切そうにしてたの。それでその刀の名前は?」
「この紅色の鞘の刀が【
「タツキの刀を打った人も相当な人ね、病んでるわ」
「病んでるよ。あれは中二だとは思ってる。だが理想が高すぎて、極まってしまったらしい。でもあいつがつけたんだから、この刀の名前はこの名前なんだ。まあ呼ばないけど」
武蔵がへぇと言って俺の刀をジロジロ見て来たのでいちよう
「あげねーぞ?」
と言っておいた。
「いらないわよ」
あ、そうですか。
業物なのになぁ。
「キャアアアアアアアアア」
「悲鳴!」
「行くわよ!タツキ」
悲鳴のした方へ走って行くと、ワイバーンが一人の男を嚙り、その男の身体が半分に嚙り切られていた。
そしてその前で、腰を抜かせている女が悲鳴をあげた張本人だろう。
「ワイバーン多すぎだろ」
「早く終わらせましょう」
「おう」
ワイバーンと正面から対面していた、タツキが建物の影に隠れるようにして接近し、武蔵はいっきにワイバーンとの距離をつめてワイバーンの翼を切断した。
「ギャォアアアアアアア」
ワイバーンが悲鳴をあげホバリングして空へ逃げようとしたところへタツキが閃光弾を合わせホバリングを狂わせ地に落ちたワイバーンを武蔵が両断した。
「武蔵おつかれ」
「ええ、それより」
「あ、あ、あ、あ、あ、あああああああああああああああああああああああああ!主人が。主人が。主人が。主人が。」
先ほどの女性が気が狂ったかのように叫び始めた。
「おい!落ち着け!おい!主人が死んだからといってお前の人生が終わるわけではない!なんとかして生きようとするんだ!この世界ではそうやっていかないとお前まで」
「私はもういいのよ。貴方達も気づいてるでしょう!この街は、いえ、この国はもう終わりよ。国を守る兵たちは賊に堕ち、ワイバーンやゾンビまで好き放題、挙げ句の果てに魔女よ!こんな世界でまともに生きるなんて無理よねえ?そう思うでしょおおおおォオオオオオオオオオォオオオオオオオオオォオオオオオオオオオォオオオオオオオオオォオオオオオオオオオ」
そう叫び、その女は気を失った。
タツキと武蔵はその女があまり外敵から目につかないように建物の影に寝かせてその街を去った。
生きることを諦めるなんて、馬鹿だと俺は思う。
俺は生きることに関してはトコトンまでやって生き抜くつもりだ。
「狂ってるのは国であり、その中で生きている者も狂ってるか。言ってることは正しいかもしれないが、俺は違うと思う。それなのに反発しないなんて」
「無理なのよ。国が変わると役目が終わるの。それを踏み外すことはできないのよ。やろうとしても大きな力に拒まれるから」
「え?」
「私の歴史よ。宮本武蔵の生き様の果てはそんな感じなのよ。だから、この世界では私たちはその力に拒まれないで立ち回れる。やるわよ。絶対に」
そう言った武蔵の目からは恐ろしくも勇ましい覇気が感じられた。
宮本武蔵は武士の時代の最期の武士の一人だったか、なるほどな。
力ではどうにもできなくなる。江戸幕府が立ち上がってからはそうなる一方だっただろう。
あ、だから芸術の道に進んだのかな?
「やることはやるだけなんだけどさ、全くもって理解できないよな。あの人はリビングデッドに身体を売ったのか。いや違うか。世界に身体を売ったって感じか」
「ま、チナ。さ、い」
「せっかく助けてやったのに。俺らが助けて俺らが始末しろってか。クソな世界だ」
先ほどの女性がリビングデッドの、集団を連れて俺たちの後ろから付いてきていた。
「あーもうッ!ムカつくわね。ねえタツキ。お願いがあるの。あいつら私に任せてくれない?」
「え?いいけどなんで?」
「いやちょっとね。ああいうことするやつ私、大嫌いなの」
武蔵はそう言い残し腰を落とした。瞬間消えた。光の速度の加速で移動しリビングデッドの首を刎ねあげた。それにリビングデッドは反応すらできなかった。魔法ではなく正真正銘の身体能力か。サーヴァントだからなのか、それとも本来のものか。
「貴方。命を無駄にするのはこの命を最後にしなさい、次があればその命を大切に」
スパンと女性リビングデッドの頭が飛んだ。
「鬱陶しいですね。嫌になる程の正義。私は恐怖を喰らう者。あなた方のような者からも例外なく頂く」
全く持って予期せぬ事態だ。何故こいつが。いや今は考えるなまずは。武蔵との連携を......って
「武蔵ッ!!!」
「悪いわね、ちょっと無理」
脇腹あたりを手で押さえながら地に蹲っていた。
血?何をやられたんだ?さっきの動きが身体に影響をもたらしたってか?やばい。
「ふぅ。ここは俺がやるしかないみたいだな」
「愚かな。貴様に何ができる人間」
「見てただろ?ヴラドってやつの時よ、あれをやったのが人間なんだぜ?」
「それはサーヴァントあっての結果。今は違う。未来は決まったようなもの」
「ああ、そうかよ。武蔵。後で理由は聞くからな」
「」
「返事なしか」
カーミラ?だっけか、やつとの距離はまだ地を蹴っても間合いには入らない。つまりこのままの間合いでは戦えない。
なら
「おい、お前さ、なんでこんなことしてんだ?意味ないだろ」
一歩ずつ前へ進む
慎重に
バレないように
「意味なんていらないわ、それが使命」
「使命ねー、変な趣味してるよお前」
「貴様の好きにできると思わないことね」
「はい?」
カーミラが杖を振った瞬間
弾丸のようなものが弾き出された。
魔術!?!?
咄嗟に右へ飛び回避し、後続の弾丸を予測してさらに飛び、建物の影へ飛び込んだ。
「武蔵置いてきちまった。あークソ!出るしかねーけど、仕方ない!」
まずは閃光弾を投げてっと
ボォンという音と共に閃光が弾けた
刀を抜き一気に建物の影から出た途端
ーーシュンーー
顔の横を光弾が通過した。
「あぶねー。てか閃光喰らって目が見えてんのか?」
「ええそうよ?効かないわ」
ハッタリ。嘘だ。
何故なら見えていたなら隙だらけで飛び出してきたやつを取りこぼすか?
場所がわかっていたから、感でそこに打ち込んだだけって感じだろ!
ならばその茶番のってやるさ。
「ありえねぇだろ!閃光だぞ!何でだよ!クソ!」
「愚かな、さあ終わりよ」
「嫌だ!いや!嫌だああああああ」
タツキは後ろ向きに逃走をはかった。
「無様ね、絶望を歌いながら惨めに死ぬのよ」
カーミラがそう言いながら、一歩踏み出した瞬間
ピカッと周囲が光った。
その瞬間にカーミラは気づいた、あの男が後ろを向いて走った理由、それは
( 光から目を守るため!)
(はめられた)
「ガァ!」
閃光を喰らいカーミラの喉から裂けるような声がした。
カーミラは自身の声だけが自身の耳に入ってくるだけで他の音が聞こえない。
この男わかっている。声を出した瞬間に気づかれることをだからこそ、無音で斬撃を繰り返している。
そして足音が聞こえないですって。
殺気すら感じられない。
この男何者!?
ですが
あと少しで目が慣れ......な?
「煙?いや、まさか!?」
二重の目眩し
「しまっ!ガハッグッ」
腹に衝撃が走った。
カーミラが気づいた時タツキは、二本の小太刀を抜きカーミラの硬い鎧をぶち壊し、すぐにその場を離れまた別の場所を壊す。そうして穴が空いたら次はその穴に斬撃を飛ばす。
攻撃された直後にカウンターを決めたはずなのだが、感触はなかった。
(初白雪)
目くらまし+フェイント技+殺し技
完璧なまでに俺の舞台へようこそ。カーミラ。
舞台はクライマックスだ。
無音のまま斬りつけられることへの苛立ちと見えているのにそこにいない苛立ちがカーミラの思考を鈍らせる。
カーンと音がなり、カーミラの持つ大きな杖が地に落ちる音がした。
タツキが腕を斬り飛ばしたのだ。
「グッ!ハアハア、チィ!」
カーミラが突然走り出したのを見て、タツキは追うのを少しためらったがトドメをするためカーミラを追った。
「逃げるんじゃねぇ!」
カーミラが逃げ込んだ民家の扉を蹴り破り中を見ると女性の身体を手に持ちその口には大量の血が付いていた。そしてカーミラの身体の斬撃の傷のほとんどが消えていた。
「おい、まさかお前。」
捕食だと?
「しつこいわね。しつこくされるのは嫌いなの」
(やばい!)
咄 何かを感じ、後方へ飛び続け様に後方へ後退した。すると空間から棺のようなものが現れ先ほどタツキがいた場所を襲った。
何かわからないがやばいとだけ感じた。
「おいお前、何してんだよ。」
「これかしら、吸血よ?貴方カーミラという名前を知らないのかしら?」
「知らねーってか、聞いたこともないんだが」
「そ、それなら貴方に負けることはないわね、これの意味がわからないなんて」
「まあ、そんなことはどうでもいいんだけどよ、一般人巻き込むとかお前何考えてんだよ」
「悪いのかしら?この、女達はこう言っていたわ、殺してくださいとね」
「許さねぇ、それでもその人達はしっかり生きてたんだそれを、簡単に......
これだけは言っておくぞ!! 」
瞬間
カーミラの首が飛んだ。
「な、んで、」
「 最後の方の台詞さテキトーなんだ、要はこれだけは言っておくって言ったら大体のやつは皆それを聞こうとするだろ?そうしたらその瞬間は集中がこっちに映る、身体への防御など、全てをその一瞬はしなくなる。俺はそれを斬る。俺は全てとは言わないがそうやって考えて戦いを構築しないと勝てないと理解しているから。ってもう消えてんじゃん」
タツキの目の前には光の粒子が細かく浮いていた。
家の中なんて一振りの間合いで居合を外す事は無い。
居合なんてタツキはあまりやらないが必要と思えばできるのがタツキという人間である。
カーミラを倒せたのはよかったが、問題は武蔵だ。あいつ何があったんだよ。
「タツキ。ごめん遅くなった、敵は?」
タツキの記憶が夢であったかのように今まで通りの武蔵が俺の前に現れた。
「おい、大丈夫なのか?」
「全然平気よ?」
「嘘つけ!なら脇腹見せろ!」
「変態!タツキ何!?私の身体が見たいの?」
「ちげー!ああもう!」
「この特異点が無事終わったら説明してもらうから。絶対」
「ええ。ありがとう」
『タツキくん、そろそろ、藤丸くん達と合流しようか、あちらも色々進展があったようだ』
「了解」