そこはスルーで
月日が木をかいくぐり地面を照らす。
目の前には形容しがたい何か。
どくんと心臓らしきものが蠢いていはいるが。
人ではない、獣でもない。
「…化け物か」
スマホの形をした神器。
英雄なる運命をその手にを握る。
『使うのか?』
手札を整えておくのがってのわかるだろ?
『十分な手札だと思うがな』
臆病な、自分は多すぎる方がいいんだよ。
『…GrandOrder。start』
あ、そこは電子音なんですね。
『…card select class Berserker name Lancelot』
おい、今なんつった!
ランスロットって聞こえたぞおい!
★
「ああああああぁぁArrrrrrrrthur!」
黒い霧が命の体を覆う。数えきれない感情が心を埋めていく。
知らない人、剣、場所、匂い。
人を殺す記憶。化け物の首を飛ばす記憶。
恋の記憶、すべてが脳裏に流れる。
『命!落ち着け命!』
ドライグが呼びかけるが命の意識はない。
当たり前だ。狂戦士のクラスに落ちたとはいえ円卓最強の騎士。
その思いを願いを、望みを子供に移したことにより己に怒りを抱く。それが命を侵食するとは知らずに、己を傷つけ命を押し込む。
この場に曹操がいたならば即座に殺されていただろう。
今の命はただ目の前に在るものを壊すだけの者と成り下がっているのだから。
赤い光が漏れるバイザーから流れるはずのないしずくが流れ落ち手には失われたはずの聖剣が握られる。
無毀なる湖光。
「Arrrrrr、ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!」
ランスロットが体からはじき出される。
「が、がぁぁぁぁぁぁっっ!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
神経が焼ききれそうだ。
痛みのせいで地面を転げまわるが動くたびに関節が悲鳴を上げる。
『格の高い英霊を引いたことによって起きる筋肉痛だ。おそらく先ほどの奴に体も影響を受けたせいで成ろうとしたんだろう』
冷静なドライグ。
まじか。
やっぱりバサスロットはむりか。
そもそも、いきなりは無理である。
★四のサーヴァントはダメか。
この痛みだと★三も難しそうだ。
『ふむ、なら★一はどうだ?』
なるほど、まずは、か。
「やってみる」
『…card select class Assassin name 佐々木小次郎』
そこはやっぱり日本語なんだ。
ズシリとした重みが手に伝わる。
備前長船長光が手に握られる。
『ふ、女狐の次は童か。まあましであろうことを願うか』
まさかのstaynightからの記憶あるのか!
『なんと、某のことを知っているかなら見せてやろう』
体が勝手に動く。
分かる。
振り下ろした一つの斬撃が同時に三つに見える
『「秘剣、燕返し!」』
目の前の何かが終わる。
『あとは任せよう。そしてよくぞ見た。主なら吾マスターにふさわしいだろう』
…まじか
佐々木小次郎の、誉め言葉を聞きつつも体が痛む。
戦いのせいか多少は和らいだが、違和感がすごい。