学校を休んだ。
小次郎たちも私の気持ちを察してか朝から何もしゃべらない。
誰も家にいないことを理由に近くの公園に出てきた。
頭の中に会うのは初めて命を奪うという事を実感した感触。
一瞬で自分は命を殺した。
その事実が私の頭を重くする。
分かっていた、二次創作で堕天使やはぐれ悪魔を殺すのだってよくあった。
だけど、それは物語だから大丈夫だった。
自分が殺した堕天使はこれからアーシア・アルジェントを殺そうとした一員だ。
だから、自分が殺してもそれは物語的によかった。
「なわけねぇだろうがぁっ!」
誰もいない公園に自分の叫びが響く。
自分は覚悟もなく命を奪ったんだ。
それが悔しくて悲しくて、辛くて涙が止まらない。
物語?テンプレもの?やらなきゃこっちがやられた?
全部ただのいいわけだ。
殺したのは紛れもない事実。
自分は人殺しだ。
「…荒れているようだね」
聞きなれた声が耳に届く。
「…」
変事をしない。
「英雄の力を使って堕天使を殺したんだろう?何を悩む」
「黙れ」
力を押さえることなく私は曹操をにらみつけた。
「異形の者は人に殺される運命だなにをなやむんだい」
「異形だろうが命は命だ!あんな簡単に奪っていいものじゃない!」
赤いオーラが自分の体から漏れているのがわかる。
『命、乗せられるな悪魔に気づかれるぞ!』
ドライグが叫んでいるが耳に入ってこない。
心の中にたまっていたものを曹操に吐き出していく。
「命なんて簡単に奪っていいものじゃないんだよ!それが異形でも、天使でも悪魔でも奪っていいものなんかじゃない!堕天使を殺したから英雄?ふざけんな!自分はただの人殺しだ!」
言い切った。
そして胸の中にストンと落ちた。
英雄なんて、ただ命を奪っただけの人間じゃないか。
聞かれているだろうが関係ない。
もう、殺すことはうんざりだ。
「だが、君があの堕天使を殺していなければ犠牲になった人はいるんだ」
「それでもだ」
言い切る私に曹操はかわいそうなものを見るような目を向ける。
「…君は英雄の資格を持つには優しすぎるな」
優しくなんてない。
ただ殺しなんてしたくないだけだ。
子供のような単純な理由を心の中で吐く。
『主よ、人を切るのはなんであれ悪だ』
小次郎が言う。
もう、だまれよ。
『だがな、そこの槍使いが言ったように。それで助かるものもいる』
殺す必要はなかった。
さく。
音にすればそうだろうか?
曹操は私の左胸に槍を刺した。
「…奪うこともできない味方にもならない。悪いが君は俺の道の障害物だ。ここで消えてもらう」
白いシャツがじわりと血で色を変える。
皮肉にも自分はFateの主人公と同じような殺され方だった。
次ようやく我らが主人公が出ます。