IS<インフィニット・ストラトス>-Hard Line- 作:凛
9月。
「日本」という国では四季という4つの季節の内、秋というらしい。
秋、という季節には真っ赤な「紅葉」という植物が見物なのだそうだ。
そして今、俺の眼下は真っ赤に染まっている。
紅葉、というものでは決してないだろう。
黒い煙が立ち上ぼり、その煙がまるで雲のように頭上をおおい、それすらもうっすら赤くまるで血のようだ。
そう、紅葉ではない。
炎だ。一面が火の海なのだ。
しかし俺は恐怖を覚えなかった。
今思えばそれは───"懐かしい"という感情だろう。
そして、その中心には相対する光が二つ。
白と赤の光。
その二つの光と対峙する一つの黒。
よく見れば、黒は既に消えかけている。
(所詮、この程度、か……
決着はもうじきつく。
ここから離れなければ……)
戦闘から目を離して駆け出す。
その時。
爆音が鳴り響く。
爆音の方へと目を向けると───
先程の白が、すぐ近くまで迫っていた。
白い光───これは、そう、人類の進歩。現代科学の結晶。
(IS(インフィニット・ストラトス)───。
これは、俺の───)
俺の、なんだったんだろう?
そして俺は"白"に包まれた。
──同時刻、亡国企業アジト
「...シナリオとは、なんでしょうねぇ?」
白衣の学者と思しき人物が問いかける。
片手の中でチェスの駒をいくつか転がしながら外の月を見上げる。
その顔は中性的で、常に笑顔を貼り付けている顔は色白。
見ただけでは女性と勘違いされそうな、青年。
「ねぇ?」
彼はくるりと首だけを後ろに向ける。
そこには人の影はない。あるのは小さな丸テーブルと、その上にある音声通信機のみだ。
しばしの沈黙の後、返答が返ってくる。
どうでもいいような、気にもとめないような。
かたい男の声が。
「...さぁな。私はそんなことは興味などない。
それより、私もしばらく降りる。ここを少し頼む」
「おやおや...つれませんねぇ...。
急にどうしたんです?わざわざあなたが動くなんて」
「少し向こうを撹乱させる。
護衛はアーリアを連れていく。いいな」
「はいはい、どうぞご自由に。
ちゃんと任されましたよ」
「...ではな」
小さな音と共に通信が切れる。
再び駒を転がしながら彼は呟く。
「ちゃんと守りますよ。
まぁ、このアジトは、このアジトだけはあの『大天災』こと篠ノ之束にすら見つかっていない場所ですからねぇ♪」
彼は駒を放る。そのまま駒はゆっくり宙を漂ってゆく。
そう、ここは宇宙空間。
そしてここは亡国企業最大のアジト。
「まぁ、そうしたのは僕なんですけど♪」
巨大に見える月を背に、白衣を着た彼はとても無邪気に笑いながら漂う。
それは美しいと、自由だと、誰かは言うだろう──。