「……お疲れ様ー」
残るは花陽さんだけになった部室内。
全員が思い思いに時間を過ごしている中、部室の扉が開いて花陽さんが入ってきた。全員がそれぞれに挨拶を交わしていく。
そしてお姉ちゃん達と同じく、花陽さんも入ってくると真っ先に色紙の変化に気づいて――ことりさんと優しく微笑みを交わしていたのだった。
「……さてと?」
花陽さんがいつものお誕生日席に座り、そう切り出すと――全員が思い思いの行動を止めて、真剣な表情で花陽さんの方へと向き直る。
私達1年生も、緊張の
いよいよ、今日の話し合いの議題が発表されるんだ。
そんな風に思っていると――
「まずは、穂乃果ちゃんより生徒会からのお話があります」
「……えっとね? とりあえず、新入生歓迎会の部活説明――に関しては、花陽ちゃんが出席することになっているんだけどね? 歓迎会の後でライブが出来れば? と思うんだけど……どうかな?」
花陽さんからお姉ちゃんへと話が振られていた。するとお姉ちゃんは全員に向かい、こんな提案をしたのだった。
新入生歓迎会の後のライブ――
それは去年、お姉ちゃん達がファーストライブを
去年の場合は
今年の生徒会は自分達が運営しているから、講堂の使用状況は把握出来ているんだよね。
今のところ、誰からも使用申請が出ていない――ううん、きっと全員が願望を抱いているからなんだと思う。お姉ちゃん達にライブをやってほしいって!
だから使用申請を出していないのかも知れない。まぁ、単純にその時間に講堂を
そんな状況だから自分達がライブが出来ると判断して、全員に提案をしたのだろう。
と言うより? この話って生徒会関係あるのかなぁ?
どっちかと言えばアイドル研究部の話のような――ま、まぁ、生徒会からの要望ってことなのかも知れないけどね?
「凛は、やりたいニャ!」
「……そうね? 新しく6人で活動するって決めたんだし、早いうちにライブをするべきなのかもね?」
「もちろん、私も
凛さんと真姫さんと花陽さんは、お姉ちゃんの提案に笑顔で賛同していた。
まぁ、海未さんとことりさんは
うん。話を聞いても何も驚いていなかったからね、海未さんが。
とりあえず、全員一致でお姉ちゃん達のライブは決まった訳だ。
久しぶりのお姉ちゃん達のライブ――たぶん私達は
そんなことを考えていた私の耳に――
「それで、雪穂達はどうかな?」
「……何が?」
突然、お姉ちゃんがそんなことを訊ねてきたのだった。
いや、話の流れ的に私達のライブって話なんだってわかるよ? 今、考えれば!
だけど、あの時は全然そんなことを考えている訳ないじゃん!
確かに? 去年のお姉ちゃん達は歓迎会の後にライブをやったよ?
でも、それは
だけど私と亜里沙と涼風――今年の新入部員には、そんな
まして、お姉ちゃん達がライブをするのだ。
想像するだけでも、講堂を埋め尽くす――色とりどりの
そんなステージに私達が一緒に上がるなんて、ねぇ?
まだまだ、そんな自信も
だから、まさか私達もライブをするなんて思っていなかったんだよ。隣に座る亜里沙と涼風も、私と同じような表情でお姉ちゃん達を見ていた。
きっと、私と同じで――ライブをするなんて思っていないのだと感じていたのだった。
「ライブに決まっているじゃん!」
まぁ、そうなんだけどね? お姉ちゃんが笑いながら答えていた。
私達3人は無言で顔を
でも、さっき書いたように自信も度胸もないから――同じような困惑の表情を突き合わせていたのだった。
そんな3人を見ながら――
「あのね? ……確かに、初めてのライブって緊張するだろうし……怖いかも知れないよね? でも……3人にも
「凛も、そう思うニャー!」
「……私も花陽の意見に賛成ね? 確かに怖いかも知れないけれど、終わった後には良い経験になるんだから。どの道いつかは通る道なら、早い方が良いでしょ?」
「凛も、そう思うニャー!」
「……。……貴方達のライブの成功を祈って、凛はライブ終了まで大好きな
「凛も、そう思……わないニャーーーーーー! ちょっと、真姫ちゃん何を言っているニャ!」
「――それはコッチの台詞よっ! なんで自分の意見を言わないのよっ!」
「えっ? ……い、いや、凛は……2人の意見に……賛同したから……」
「……ふーっ。まぁ、良いけど?」
花陽さんが優しく声をかけてくれていた。そんな花陽さんの意見に賛同する凛さん。
続けて、真姫さんも優しく声をかけてくれていた。そんな真姫さんの意見に賛同する凛さん?
そんな凛さんを横目に
真姫さんの意見に賛同しようとして、
ところが真姫さんは正論を投げかける。
正論を投げかけられた凛さんは、いとも簡単に
私達は花陽さん達を見つめながら微笑みを浮かべていた。そして、3人で顔を見合わせ、無言で笑顔を交わすと――
「「「……私達もライブがやりたいです!」」」
声を合わせて答えるのだった。
そんな私達を優しく見つめているお姉ちゃん達。そして――
「……あっ、でも……そのライブって、時間をずらせますか?」
「……えっ!?」
私はお姉ちゃん達にライブの時間をずらせるのかを聞いてみたのだった。
当然、お姉ちゃん達と、亜里沙と涼風は驚いて私の顔を見つめた。
「……ずらすって、具体的には?」
「私達のライブを歓迎会直後に……お姉ちゃん達のライブを私達のライブの30分後とかって無理ですか?」
私の
だから私は具体的に、私達のライブとお姉ちゃん達のライブの
まぁ、私達のライブと言っても1曲披露する程度で終わる――いや、それ以上は体力的に無理だしね?
それから30分後にライブを開始しても、お姉ちゃん達だって数曲のライブだろうし? 放課後とは言え、時間的に大丈夫だろうって考えていた。
「えっ! ――っでも、それじゃ――ぁっ!? …………」
「……それで……良いのですか?」
「はい! …………」
「「…………」」
「……お願いします!」
「……わかりました。それでは、決定ですね?」
「「「「「…………」」」」」
私の具体案を聞いたお姉ちゃんは、私の言ったことの
だけど言い切る前に海未さんの――瞳を固く閉じた難しい顔で
お姉ちゃんの言葉が止まったのを確認すると、海未さんは瞳を開いてジッとコッチを見ながら言葉の持つ意味の重さを感じさせる――そんな声色で私に訊ねるのだった。
そんな海未さんと同じような表情で私を見つめるお姉ちゃん達。
きっと海未さんも――ううん、たぶん全員が理解していたんだと思う。そう、私の言葉の心意を。
歓迎会直後のライブ――その時間は校庭で
そこで部活の活動内容などを知って興味を持てた、入りたいと思った部への入部届を後日提出する――部活を決める上での大事な時間なのだった。
いくら私でも、そんな時間にライブを開始しても人が集まらないことくらい知っている。
そして、お姉ちゃん達とのライブに間隔を空けること。
それはすなわち――
お姉ちゃん達
確かに、一緒にライブをすれば私達のことを
でもそれは私達を見に来たのではない。あくまでも、お姉ちゃん達を見に来た
もちろん応援はしてくれるだろう。キッカケにしてくれる人もいるかも知れない。
だけど私はそれで満足をしたくなかったのだった。