メサイアでの激闘から2年が経っていた。戦火に巻き込まれたプラントと地球では、それぞれが平穏な日々を過ごしていた。プラントでは、あるシンがトレーニング室で入念にトレーニングを続けていた。
シン「111、112、113・・・」
シンは、腕立て伏せを体中に汗が滲むほどにやっていた。その目は、まさに軍人さながらといったところか。すると、そこに血相を変えてルナことルナマリア・ホークが飛び込んできた。
バン!
ルナ「ちょっとシン。こんなところにいたのね」
シン「な、なんだよルナ。そんな怖い顔で」
ルナ「あんた、この書類は何なの?」
シン「あっ、そ、それは・・・その・・・」
ルナ「あ、じゃないわよ。どうするのよ今日の会議で隊長が使うのに」
シン「わ、悪い訓練のことで頭がいっぱいでつい・・・」
ルナ「忘れてたってことね」
シン「悪い」
ルナ「はー、もうしょうがないなあ」
二人は、このことを怒られる覚悟で隊長のいる部屋に向かった。
コンコン
ルナ「ルナマリアです。キラ隊長よろしいでしょうか?」
キラ「どうぞ」
そう、シンたちの上司はかつて袂を分かちあった英雄であり、フリーダムのパイロットであるキラ・ヤマトだ。今は准将に昇進していた。
ルナ「失礼します」
シン「失礼します」
キラ「おや、二人が一緒ってことは、シンがまた何かをやらかしたのかな?」
ルナ「はい、今日の会議で隊長が使う資料が出来てませんでした。・・・本当にすいません」
シン「すいませんでした」
キラ「あらら、こりゃあまたイザークたちにどやされるな」
ルナ「すいません。私が責任を持って終わらせますので」
キラ「いや、君たちには別な仕事を頼みたいんだ」
ルナ「別な仕事ですか?」
キラ「うん、二人にはオーブに行ってきてもらいたい」
シン「オ、オーブですか?」
キラ「ははは、相変わらずシンは、オーブが嫌いみたいだね」
シン「いや、嫌いってわけじゃ・・・」
ルナ「オーブには、アスランがいるからねー」
シン「お、俺は別にアスランがどうって訳じゃ・・・」
ルナ「あら、その割にはアスランとは、相変わらず口を利かないようだけど」
シン「あいつとは、考えが合わないんだ」
ルナマリアは、面白げにシン茶化す。でも、二人のやり取りは仲がいいからこそである。二人が本格的に付き合いだしてもう二年も経つ。
キラ「まあまあ、アスランのことはその辺にしてさ。実は、オーブにある新型のモビルスーツの試験を君たちに手伝ってほしいそうだ」
シン「新型のモビルスーツ!」
キラ「うん。それとそのモビルスーツのパイロットとしばらく任務についてもらいたいんだ」
ルナ「任務ですか?」
キラ「詳しいことは、現地についてから説明するよ。僕も会議が終わり次第オーブに向かうから」
ルナ「分かりました」
ルナマリアは、すぐに了承したが、シンの方はどうにも不満気だ。
キラ「戦艦には、ディアッカも同行するから二人はディアッカの指示に従って」
二人は、早速戦艦に乗ってオーブに向かった。
シン「たく、なんでまたオーブになんか・・・」
ディアッカ「おいおい、書類作成忘れた奴が文句言える立場かよ。お前、戻ったら隊長に感謝しろよ。あのままプラントにいたらイザークに袋叩きにされてたぞ」
シン「げ、マジっすか!」
ルナ「当たり前でしょバカ」
何やかんやとシンをからかう間に一行は、オーブに到着した。オーブでは、ルナマリアの妹・メイリンがアスランと共に待っていた。
メイリン「お姉ちゃん久しぶり」
ルナ「久しぶり、半年ぶりぐらいかな?」
メイリン「それぐらいかな」
相変わらずこの姉妹は仲がいい。そんな楽しそうな姉妹の姿をかつての自分と重ねていた。シンにもかつて兄妹がいた。家族を含め関係は良好だった。しかし、4年前のオーブでの戦争でシンは親兄弟を失ってしまった。その悲しみはいまだ癒えてはいない。
アスラン「シン」
シン「なんすか、アスランさん」
ディアッカ「やれやれ頭からこれかよ」
アスラン「現場に行く前に一緒にあそこに寄って行こう」
シン「えっ?」
アスラン「帰ってきた日くらい家族に顔を見せないとな」
シン「アスラン・・・」
ディアッカ「おいおいいいのかよ。訓練後回しで」
アスラン「ああ。どうせ実戦はキラたちが来てからだしな。ディアッカも時間があるなら情報局にいるミリアリアに顔出して来るといい」
ディアッカ「お前のそういうとこ、俺苦手だわ」
アスラン「ほざけ」
シンとルナマリアをアスランに預け、ディアッカと隊員たちは目的地に向かい。アスランたちは、シンの家族の慰霊碑のある場所に向かった。シンは、慰霊碑に手を合わせる。そしてルナマリアが綺麗な花の束を慰霊碑に添える。
アスラン「もう4年が経つんだな」
シン「はい」
アスラン「まだオーブが許せないのか?」
シン「許すとか許さないとかじゃないんです。ただ、まだ・・・・」
シンは、言葉を詰まらせた。そんなシンにルナマリアは、優しくシンの肩に手を添える。
シン「ルナ」
ルナ「分かるよ。私だって、戦いでメイリンを失ったら同じ気持ちだもの」
?「ですが、悲しみをしっているからこそ。人の命の尊さを理解できるのではないでしょうか?」
どこかで聞き慣れた声が4人の後ろから聞こえてくる。そう、今やプラント最高評議会・議長である戦火の歌姫ことラクス・クラインがキラと共にやってきた。
シン「隊長、会議で遅れるはずじゃ」
ラクス「会議の方は、早めに切り上げてきました。内容のほとんどは事後報告のものばかりなので」
アスラン「まったく、君が議長というのは未だに信じられないよラクス」
ラクス「私自身は、何も変わってないですわ」
キラ「アスラン久しぶりだね」
アスラン「年初め以来だな」
ラクスは、自ら持ってきた花を慰霊碑に添える。そして、ゆっくり目を閉じ祈りを捧げた。
ラクス「シン。やはり、あなたをここに連れて来たのは正解だったかもしれません」
シン「えっ、それは、どういう意味ですか?」
ラクス「言葉通りです。アスラン、カガリさんがお待ちなのではないですか?」
アスラン「ああ、多分国防本部にいるはずだ」
キラ「なら、そろそろ行こうか」
アスラン「ああ」
シン(父さん、母さん、マユ、また来るから」
国防本部の研究所では、、カガリがシモンズと例のモビルスーツの調整を行っていた。
シモンズ「これで、誤差は修正出来たと思うわ」
カガリ「ありがとう」
アスラン「カガリ」
カガリ「アスラン、キラにラクス、みんなよく来てくれたな」
ラクス「当たり前ですわ。こちらから依頼したことですから」
かつての戦友同士、相変わらず仲がいい。軍にいたのは、変わらないのにやはりキラとアスランとラクス、この3人には、まだまだかなわないとシンは実感していた。怨みや復讐に取りつかれて戦っていた。自分に比べて彼らは人々の想いを背負っているながみるみる感じる。
ラクス「それでは、始めましょう。シンとルナマリアは、自分のモビルスーツに」
シン&ルナ「はい」
二人が、インパルスとデスティニーに搭乗した。すると、新型のモビルスーツが姿を現した。雰囲気はフリーダムやジャスティスに酷似している。すると、スピーカー越しにカガリから指示が飛ぶ。
カガリ「シン聞こえるか?」
シン「はいバッチり」
カガリ「今から、その機体ストライク・テンペストとの戦闘訓練を行ってもらう。銃とソードは、その練習用のを使用してくれ。どちらかのゲージが50%を切った時点で終了だからな」
シン「了解」
まず、シンが剣技で先手を打つ。しかし、相手は簡単に交わした。やはり、スピードもフリーダム並みだ。
シン「早い」
相手は、動きに全く無駄がない。ソードも銃も自由自在に操る。あのシンが押されている。しかし、この時点でジャスティスやフリーダムと変わる部分があまり感じられない。
カガリ「なあ、ラクス」
ラクス「何でしょう?」
カガリ「言われた通りに作ってみたけど本当にこれが平和の砦になるのかい?」
ラクス「勿論、使わないに越したことはないです。ただ、あのパイロットの意志はキラやアスランと同じものを感じましたので」
シン「くそー、なんだこいつ。強えーぞ。ならこれならどうだ」
シンは、SEEDを開放し一撃必殺のブレイド技を繰り出す。しかし、その瞬間にテンペストが銃口を複数取り付けた装備をつけだした。そして、レーザーとバルカンが一斉照射された。
シン「何」
体力ゲージシミュレータが50%を切り、戦闘は強制終了した。
カガリ「あの後ろのパーツはキャノンを装備できるのか?」
キラ「あれだと、複数の敵を一気に殲滅できる上に狙いも大雑把でいいね」
ルナマリア「すごい」
シンとテンペストのパイロットが降下する。キラがテンペストのパイロットに歩み寄る。
キラ「お疲れさま。どうだったかな?」
?「まあ、使いやすくて良かったですよ。ただ、相手の攻撃が単調っていうのはありますけど」
シン「な、何(怒)」
キラ「そういうなよ。ジェイにとってもの部下になる子なんだし」
ジェイ「まあ、キラ隊長の頼みなら。初めまして皆さんジェイド・ワース・クロードです。みんなからはジェイと呼ばれています」
ラクス「こちらこそ。ラクス・クラインです」
キラ「そうか。ラクスもジェイに会うのは初めてだったね」
シン「キラ隊長、あいつ何者ですか?」
キラ「彼は、プラントでは大佐を務める人だよ」
ルナ「つまりは、隊長の階級の一つ下!」
ラクス「ジェイさん、あなたにテンペストをお任せしても構いませんか?」
ジェイ「俺で良ければ喜んで」
するとジェイのもとにシンが歩み寄る。そして、じっと彼を見つめた。
シン「お前は、ナチュラルなのか?」
ジェイ「まあ、そんなところだ。お前もか?」
シン「ああ」
ジェイ「今のままだとお前は負けるぞ」
シン「何(怒)」
ガンダムSEEDのオリジナル作品は、連載ですがしばらく試験機関に入るので速度を落とします。