休日の土曜日やることがなく暇だったので適当に街をブラブラしていた時、強引なナンパをしている二人組を見つけてしまった。
「ねえ、君可愛いね。俺たちと一緒にお茶しない?」
「あの、ごめんなさい」
「えー、何でよ。奢るしさ行こ行こ」
少年漫画とかラノベとかでよく見る典型的なダメなやつだ。まあ、俺には見て見ぬ振りって選択肢はないので助けるか。
「なあ、あんたら少し落ち着いてよくその子を見てみろ。少し怯えてるぞ」
俺は男の一人の肩に手を置き行った。
「なんだよ!」
「お前に関係ねえだろ!」
男たちは叫びながら俺の方に顔を向けた。すると、最初はこれでもかと睨んでいた二人は俺を見るなり顔を真っ青にした。
「櫻田家の長男!」
「なんで、こんなとこにいんだよ!」
「散歩だ。で、どうする?俺の能力は知ってるだろ。ぶっ飛ばされるかこのまま引くかどっちを選ぶ」
「…ちっ!行くぞ」
「ああ」
男二人は舌打ちをしながらその場から離れて行った。…てか、この子に謝れ。
「はあ。まっ、いっか」
俺は大きなため息をついた。
「あの、ありがとうございます。お兄さん」
お兄さん?俺は呼び方に違和感を感じて後ろの女の子の方を見て見ると茜のクラスメイトの鮎ヶ瀬花蓮ちゃんだった。
「花蓮ちゃんだったのか。大丈夫か?」
「あっ、はい。お兄さんのおかげで。あっ、何かお礼をさせてください」
「男として、先輩として、王族としてのプライドの三連コンボでそんなもん入りません。それより、またナンパされたらあれだし家まで送って行く」
「えっ、そこまでしてもらうわけには」
「いつも、花蓮ちゃんには茜が世話になってるんだ。これぐらい別に構わない」
「それなら、さっき助けてもらいましたし…」
「あんなの貸し借りで行ったらほんのちょっとだ。俺はまだまだ花蓮ちゃんに返さないといけない」
「でも、別にそこまでしてもらうわけには…」
「だから…あっ、そっか。男の俺と歩いてたら変な噂たつよな。今、葵か奏を呼ぶから待っててくれ。修も使ってすぐに連れてこさすから」
「そんなんじゃないです。別にお兄さんと噂になるのが嫌とかじゃなくて本当にお兄さんに迷惑かけるのはどうかと思いまして。というかお兄さんこそ私みたいなのと噂になったりしたら申し訳ないですし」
「気にするな、俺はただ暇で散歩してただけだし。話し相手ができたんだからこっちからお礼を言いたい」
「そうですか、じゃあお願いします」
「おう!」
こうして、俺は彼女を送って家に帰った。そして、週が明けた月曜日、家で茜経由でお礼ってことで花蓮ちゃんから手作りのクッキーをもらった。
「お礼はいらないって言ったんだがな」
「陽ちゃん、何したの?」
「ナンパされてたところを助けた」
「へー、ありがとう。私の友達を助けてくれて」
「どういたしまして。まあ、これもせっかく貰ったし食べるか」
俺は食器棚からお皿を取り出しクッキーをそれに盛り食べ始めた。すると、それをなぜか葵、奏、茜、岬の妹たちがずっと見ていた。
「なんだよお前ら」
「あー陽兄、またやっちゃった?」
「何のことだ?」
「岬、まだ推測なんだから変なこと言わない。お兄様、気にしなくていいわよ」
「…そうか」
(陽くん…)
(お兄様…)
(陽ちゃん…)
(陽兄…)
((((この人、あんだけ嫌がってたのにまた妹の友達にフラグ建てた))))