美遊side
気づいたらわたしは逆月 美遊《さかつき みゆ》になっていて、幼いころからずっと結界にはられた屋敷ですごしている。
なんかそれはそれでつまらないな~と思ってもいたよ、いつもくるのは母のみだしね。
さすがに厳重にしているだけはあるよね~。
神稚児伝承の生き残りで、末裔、それがわたしなんだとか。
まあ、伝承とかでよくあるよね何歳までは神の子って。
それって、本当にあるんだね?
そういえば、ヘモグロビンが薄い白い髪に赤い瞳の人をアルビノってよく言うわれるけど。
どこかでは神の子って言われていたりもしたっけ。
そう考えるとどちらが神稚児なんだろうね?
「うわわ! けっかいがゆれたけど・・・なにが・・・・う」
家がゆれたことでわたしの中にいろんな人の思念がまじっていた。
これは助けをこうそんな感じの声だと瞬時に理解した。
なら、叶えなきゃって無意識にそう考えていた記憶ももちろんある。
《助けてくれ、死にたくないっ》
《誰か》
《誰か》
《あの炎を消してくれ》
その声の通りに火災をすべてけしてあげた。
くすぶったものもあったけど、消えたことは消えたと思う。
かなえた後は頭痛もなくなり、ふう、と息をつく。
ふと、屋根を見ると火災で半壊したことがこれをみればすぐにわかることだ。
「なるほど、これはあるいみじゆうなわけか」
ぽつりとわたしは呟いていた。
周囲には誰もいないし、寂しいのでここから出てみようと思う。
そこかしこは焼け野原とそうでない部分がある。
願いをかなえたことでおきた現象だと思っていいかもしれない。
おそらく大きな火事が起きたのだろう。
外はある部分のみ廃墟になっている。
それをぼんやりとわたしは眺める。
はだしのままぺたぺたと歩いていくわたし。
夜があけたころ、火の勢いはよわくなっていた。
たぶん、高かった壁のような炎はわたしの叶える機能で消えたのだろう。
その中で原形をとどめている人はたくさんいた。
必死にガレキを掘り出す人や誰かをもとめてさまよい歩く人など。
そんな中でぼんやりと歩く自分が不思議な気分だった。
いつまでもここにいたらいけないからあてもなく歩き出した。
空を見上げると暗い雲が空をおおって、じきに雨が降るのだと教えてくれた。
雨が降ればきっと消火されるだろう。
目に涙をためて、生きている人間を見つけ出せたと、心の底から喜んでいる男の姿。
――——それがあまりにも嬉しそうだったから。
まるで救われたのはわたしではなく、男の方ではないかと思ったほど。
これがこの男の人との出会いだった。