異世界ミリオタ転生記   作:日本武尊

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第二章
第十九話 あのさぁ……密会するなら確かにココは適した場所かもしれないけどさぁ……正直言ってかなりキツイっす(主に空気と視線が)


 

 

 

 

 翌日。

 

 

 

 朝早くから俺は広場へと向かい、そこで待っていたユフィ達と合流して密会をするある場所へと移動した。

 

 

 

 

「……」

 

 俺は周囲の空気に戸惑い、視線に冷や汗を掻きながら腕を組む。

 

「その、ユフィ?」

 

「なんだ?」

 

「場所は、ここしかなかったのか?」

 

「ま、まぁ、他の騎士に見られず聞かれない場所と言えば、ここしかないんだ。だから、我慢してくれ」

 

 ユフィは苦笑いを浮かべながらそう言う。

 

「……」

 

 俺はため息を付く。

 

 まぁ、確かに極一部以外の騎士が自ら来るような場所じゃないよな。

 

 で、俺達が居るのはブレンの地下にあるとある酒場である。

 

 

 ……だが、その酒場は色んな意味で普通じゃなかった。

 

 

 

 

 なぜなら、俺達が座っているテーブルの周りには―――――

 

 

 

 

 

 

 化粧をしたり女物の服装を身に纏っているアッチ系の男性達や女性達の店員や客がいっぱい居る。そんな酒場である。

 

 

 

 

「でも、なんだってここなんだ?」

 

「そりゃ、ここ以外もそうですが、騎士は誰もがプライドが高いからですよ」

 

「と、言うと?」

 

「プライドの高い騎士ならこんなふざけた店死んでも来やしないですよ」

 

「……納得」

 

 俺の疑問にリーンベルが答え、その理由に納得する。そりゃ自らの意思で来るやつなんか居ないよな。俺もそうだ。

 それこそアッチ系の思考の騎士じゃない限りな。

 

「私達は普段からこの店はこうした密会に利用している。聞かれる心配がないからな」

 

「騎士団の中にアッチ系のやつが居たら聞かれるんじゃないか?」

 

「少なくとも駐屯地にはそんな人は居なかったですね」

 

「そうか」

 

 

 

「あら~、いらっしゃい、ユフィちゃん」

 

 と、俺達が居るテーブルにバッチリと化粧をした赤いドレス姿の男性がやってきた。

 

(うわぁ……)

 

 失礼だが、かなり衝撃的な姿にドン引きだった。

 

 結構筋肉ムキムキな体格なのに女性物で胸元が大きく開いたやつだから大胸筋や胸毛が。正直これは結構キツイ……。

 

「おはようございます、ロンさん」

 

「おはよう♪ あらぁ? 今日はかわいい子を連れて来ているじゃなぁい」

 

「は、はぁ……」

 

 ロンと言う男性にギラーンと言わんばかりに見られて一瞬背筋に冷たい感覚が走り、冷や汗が出る。

 

「駄目ですよ、ロンさん。この人は大事な仕事仲間で、これから仕事内容を話し合いをするんですから」

 

「あらそうだったの。ごめんなさいね」

 

「オホホホ」と笑いながら謝罪する。

 

「それで、注文はいつものでいいかしら?」

 

「はい。キョウスケ殿もよろしいですか?」

 

「あ、あぁ。彼女達と同じ物でいいです」

 

「分かったわ。ちょぉっと待っていてね♪」

 

 そう言ってロンさんは店の奥へと向かっていった。

 

「……凄い人だな(色んな意味で)」

 

「まぁ、ロンさんはあんな感じですが、この店のオーナーですし、何より昔は結構名の売れた傭兵だったらしいですよ」

 

「それがなぜあぁなったし」

 

 俺は思わず声に出してツッコんでしまう。

 

「と言うか、本当にここで話しても大丈夫なのか?」

 

「大丈夫ですよ。ここでは秘密の話は他言無用と言う暗黙の了解があるんですよ」

 

「それに、ロンさんはとても口が固いので、聞き出そうとしても無理ですよ。それこそ口説かない限りは」

 

「うん。無理だな」

 

 俺は思わず即答してしまう。

 

 

 

 その後ロンさんが料理を人数分運んで来て、朝食を取りながら作戦会議を行う。

 

「まずフィリアの周辺状況だが、どうなっているんだ?」

 

 ハムとレタスをパンで挟んだサンドイッチを食べながら俺はユフィにフィリアの周辺の現状を聞く。

 

「フィリアは彼女の願いもあって現在駐屯地の宿舎にて寝泊りをしている。だが、それも今日までだ」

 

「明日にはここから出ると?」

 

「あぁ。明日の朝早くからブレンの西門から出て屋敷へと出発する」

 

「そうか」

 

 そうなると色々と準備している暇は無いか。

 

「それと、フィリアの周囲は常に監視が付いている。どこに行こうとも監視兼の護衛が付く」

 

「……」

 

「もちろん、就寝中も常に護衛が部屋の前に二人一組で3時間ごとに他3組と順番に交代している」

 

「……」

 

 俺は腕を組み直して静かに唸る。

 

「今から駐屯地から連れ出す、のは無理だよな」

 

「恐らくは。仮に駐屯地から連れ出せてその後護衛を退け、彼女を確保出来たとしても、すぐに警戒態勢が敷かれて町の門はすぐに閉じられ、脱出は不可能になる」

 

「となると連れ出す案はボツか」

 

 手にしている食いかけのサンドイッチの残りを口に放り込む。

 

「次に考えられるのは今夜駐屯地に潜入してフィリアを密かに連れ出す方法だが」

 

「だが、さっきも言ったが、常に監視がいるのだぞ?」

 

「いや、監視を攻略さえすれば後はどうにでもなる」

 

「それは、どういった方法で?」

 

 俺の言葉にセフィラが問い掛ける。

 

「簡単なものなら、睡眠薬入りの飲み物、まぁ夜間だから眠気覚ましにいいコーヒー辺りがいいか。それを差し入れで飲ませればいい。もちろん交代要員にもな」

 

 だが当然当日は監視と交代要員以外にも人が居るだろうし、全員を眠らせる事は無理だが、時間は生まれる。その間に連れ出す事が出来れば――――

 

「確かに、その方法が確実、だろうが……」

 

「……たぶんキョウスケ様が思っている通りにはならないかと」

 

「ん? 何で?」

 

 ユフィとリーンベルは否定的に答える。

 

「たぶん私達が差し入れを出したところで、護衛の騎士は受け取ろうとしないだろうな」

 

「普通は受け取るんじゃないのか?」

 

「普段からコミュニケーションを取っているならそうでしょうが、私達はずっと避けていましたからね」

 

「そんなわたくし達が急に差し入れを出してくるとなると、向こうは警戒するでしょうね。それも現状が現状ですし、私達からの差し入れを受け取ろうとはしないでしょう」

 

「……」

 

 そうか。そこは盲点だった。

 

 今まで避けられてきた彼女達が突然優しく接してきたらそりゃ警戒するわな。しかもフィリアを慕っている彼女達であるから何かを企んでいると思われてしまってまず差し入れを受け入れようとはしないだろうな。

 

「となると、夜中に潜入してフィリアを連れ出す案もボツか」

 

 静かに唸りながら腕を組む。

 

「今から強行突入してフィリアを奪還……は論外だな」

 

「計画性が無さ過ぎる。いや、キョウスケ殿の武器があれば出来なくも無いだろうが……」

 

「関係の無い民間人が巻き込まれる可能性が高いから、か」

 

「あぁ」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

 どこぞの映画の如く車で駐屯地に強行突入して宿舎に突っ込み、フィリアを救い出す、と派手に言うわけには行かないか。まぁ絶対周りの人たちを巻き込むから無理か。

 え? 巻き込まれる騎士はどうなんだって? 彼らには目的達成の為の致し方が無い犠牲になってもらう。

 

 まぁ冗談はさて置き……。

 

 

(うーん。考えてきた案は殆ど使えない。となると、残された方法は)

 

 手にしているサンドイッチを皿に一旦置く。 

 

「ユフィ。ここから屋敷への道は分かるか?」

 

「はい。小さいですが、地図があります」

 

 ユフィは私服のポケットに入っている紙を取り出すとテーブルに広げる。

 

「ここがブレンで、西門からこの道を通って屋敷へと向かいます」

 

「屋敷への道はここだけか?」

 

「いや、まだ他にもいくつかあるのだが、最短で尚且つ安全なのはこの道だけだ」

 

 ユフィはブレンから屋敷への道順を指で指しながら説明する。

 

「なるほど。それで、屋敷までは時間はどのくらい掛かる?」

 

「朝早くから出発しても、到着は暗くなるぐらいまで掛かる」

 

「そうか」

 

 地図を見ながら俺は呟く。

 

(ルートが分かっているのなら、いけそうだな)

 

 だが、その前に一つ確認しないといけない事がある。

 

「ユフィ。一つ聞きたいんだが」

 

「何だ?」

 

「もしユフィなら、この道中のどこを警戒する?」

 

「ん? あ、あぁ。私なら、この森を警戒する。比較的安全とは言えど、ここは魔物の出没が多い。それに盗賊共が待ち伏せをするのに最適だからな」

 

「アレンも、同じように警戒するか?」

 

「やつの性格を考えれば、たぶん」

 

「そうか。一応聞きたいんだが、さっきの到着予定時間。あれは馬車の移動速度で計算しているのか?」

 

「あぁ。普通は警護の騎士が交代で馬車の傍を歩いて周囲を警戒するのだが、アレンの事だ。警戒すべき場所を警戒して、それ以外は最低限の警戒は馬車の操者に任せて全員馬車に乗せて屋敷に向かうはずだ」

 

「なるほど」

 

 つまり森以外は警戒が手薄か。

 

「しかし、なんでそんな事を?」

 

「いや、俺の考えた作戦を遂行するには一つ確認する事があったが、遂行に関して問題なかった」

 

「作戦ですか?」

 

「あぁ」

 

 俺は3人に考えた作戦を伝えた。

 

 

「……」

 

「何て大胆な」

 

 作戦を聞いて3人は驚きを隠せず、セフィラが声を漏らす。

 

「だが、相手の意表を突くと言う点ではこれが最適だ」

 

「……確かに、キョウスケ殿の武器であれば、むしろ開けた場所が最適か」

 

「そういうことだ」

 

「でも、大丈夫なんですか?」

 

「まぁそこまでは分からん。結果は神のみぞ知るってやつだ」

 

「……」

 

「だが、必ず成功させる」

 

「キョウスケ殿」

 

『……』

 

「その為にも、君達の協力が不可欠だ」

 

「分かっている。全力を持ってして、協力するつもりだ」

 

「わたくしもです」

 

「私もです!」

 

 3人は改めて協力の姿勢を見せた。

 

 

 その後作戦の内容を細かく確認と改善点を話し合い、可能な限り準備を進めた。

 

 

 

 

 

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