目が覚めたら巨人のいる世界   作:フリードg

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12話

 

 

 

 

 とりあえず、色々あった。

 ほんと、色々あったとしみじみ言える。

 

 そして、何より今アキラは非常に疲れてます。凄く疲れてます。

 

 ハンジとリヴァイに指令? を言われてから、まだ1ヵ月程度しか経ってない。だが アキラは壁外調査以上に疲れているのだ。

 

………壁外で1年暮らしたあの時以上に疲れてしまっているかもしれなかったりする。

 

 そして その原因が―――。

 

 

 

「すいませんっ! アキラさんっ! これ、どースかね!?」

「オレも! オレも教えてください! アキラさんっ!!」

「オレの型は!? 攻撃の角度とかどうでしょうか!? 巨人にも通じますか? んー でも」

 

 

 

 これ(・・)である。

 

 

 今アキラの周りには絶賛 人集りができてて、ほんと大変で揉みくちゃ状態である。

 

 途切れる事の無い列を成していて、何かの宗教? とも思えてしまうくらい。見方を変えれば自分の事を崇めてる様にも思えてしまうのだ。

 

 あまりにも回りに人がいるから 何だか空気も薄くなってきたと感じてしまうアキラは。

 

「だぁぁ! 毎度毎度群がんなお前ら離れろ!! そもそも、今日の修練は終わったんか!? 時間はまだたっぷりあるんだぞ! それにオレに教えを乞いたきゃ、あのハゲ教官に『怒鳴る前に 頭の髪ぃ生やして出直して来いや!』くらい言ってからオレんトコに来い!」

 

 凄むと蜘蛛の子を散らした様にいったんは下がるんだが さっさと群がってくる。

 餌見つけたピラニアか何かかこいつら? と思ってしまっても無理はない。 

 案の定 飽きもせず直ぐにまた群がってきた。

 

「いやいや! そんな事言えるのアキラさんくらいっス! あの教官の拳骨マジ痛いんすから! でも流石は人類最強ですね~っ!」

「オレ、もう1人の最強、リヴァイ兵長との話を聞かせてもらいたいです!」

「アキラさんは歳はどれくらいなんですか!? 凄く若く見えますが??」

 

 次々とやってくるリクエスト。自分の事を敬ってるのか それとも馬鹿にしてるのか、……紙一重だ。

(それに 後半部分は 非常にむかっ腹がたったアキラだったが、なんとなく無邪気な顔だったから とりあえず見逃した。と言うより疲れるからやめた、と言うのが正しい)

 

 

 今の状況は 後悔後に立たずと言えばそうだが

 

『もうちょっと厳格な人格を形成してから やればよかった』

 

 と今更ながら思ってしまっていた。

 

 

 イルゼの時同様にアキラは最初は接したのだ。厳しい訓練になるから 最初は肩の力を抜かせて励む事を目的とした親交をしていたのだが……、いつの間にかこうなってしまっているのだ。

 

 

「もー良いから次は馬術だ。さっさとやれ。そんでもってそれ終わったら 基礎体力アップ訓練の耐久マラソン24時間だ。ほら 死ぬ気でやれ。いや 寧ろ1回死んでみろ。そしたら 強くなるぞ(証拠はオレ)」

「ひでーー!」

「うわっ、巨人より最悪だ!! 鬼教官だ!!」

 

 

 もう判っているとは思うが 一応説明をしておこう。

 

 今 アキラがいるのは訓練兵の強化合宿に使われてる施設。そこの臨時講師を請け負っている。……と言うより押し付けられたらしい。

 

 

 それは さかのぼる事1ヵ月前。

 

 

『じんじいどう……って、人事異動の事か? ……あーオレ、調査兵団クビか。成る程。自分勝手に動きすぎてだな。判らなくもないが それにしても 持ち上げといて 思いっきり突き落とすとは また 斬新なやり方だな今まで無かった。……性格の悪さがよーく伺えるな? リヴァイ。……元から凶悪な面だが』

『童顔に比べりゃ まだ全然オレはマシだってもんだがな』

『うっせ! 根暗顔!』

 

 子供の様な口喧嘩が勃発したアキラとリヴァイ。

 それを早々に止めようと入るのはハンジだ。

 

『リヴァイは人事異動って言うけど、そんな大袈裟なもんじゃないよ。……どっちかって言うと強制的な休養って事。 後は これからの若い世代の育成にもアキラの力を貸してほしいって事さ。気分転換になって良いと思うよ?』

『若い世代って、……ハンジだって人の顔の事色々言ってたくせに、そこに行きつくのか? オレだって十分若い世代だぞ。まだ20だ』

『…………………………………』

 

 妙な間が生まれたが 長くは続かない。

 

『コラァ! 『全然見えねぇよ』って言う顔止めろリヴァイ!』

『ふふっ……』

 

 3人のやり取りを見て、思わず笑ってしまったのはぺトラだ。

 ついさっきまで怒っていたんだが すっかりと霧散した。ハンジとリヴァイの言っている事は、まだ聞いてなかった事であり戦場から離れるのであれば 間違いなくアキラの休養にはなるだろう。

 それは歓迎すべき点だから、怒りも収まった様だ。

 

『良いじゃない。ずっと 凶悪な巨人とばっかり付き合ってたんだから、たまには人間と付き合うのも』

『……オレは、凶悪な調査兵団(おまえら)ともつるんでたぞ。巨人だけじゃない。……妙な事言い出す点をいれたら、ある意味巨人(奴ら)より性質が悪いぞ……』

『あら? とって喰いやしないんだから優しいもんでしょ? 優しく介抱もしてあげれるけど?』

『……介抱ねぇ……。オレ 最近、ぺトラとイルゼの笑い顔、怖くなってきたんだが気のせいか?』

 

 気のせい気のせい、と頷くハンジと 興味無さそうに視線を外すリヴァイ。ぺトラはやっぱり笑っている。

 

『あ、アキラ自身の監視役としてぺトラとかイルゼも合間に派遣するからサボったら駄目だよ?』

『……はぁ』

『ビシビシ行くから 覚悟しといてね。性根叩きなおすから』

『何でオレを鍛えるみたいな感じになってんだ。違うだろ、絶対』

 

 

 

 

 

 と言う事があって 今現在に至る。

 

 

 

 

 ここ1ヵ月くらいは色んな意味で疲れているのだが、訓練兵たちを見ると感じる所もある。あの未曾有の事件からまだ数ヵ月。そして 口減らしをさせられて何十万人もの人間が巨人の餌食になった形ばかり、名ばかりの奪還作戦。

 

 それだけの事件があったというのに、この訓練兵達は腐る事なく日々を生き抜いてきている。生きる術を学び 巨人たちに喰われる事を頭に思い浮かべながらも、地獄の特訓についてきているのだ。

 

 人の強さと言うものが、よく判るというモノだった。……アキラ自身も自分自身が異常な力を持ってる為 『人非ざる者』として認識している為か 強くそう思えてしまったりする。訓練兵達の尻をひっぱたいた後は、漸く次の訓練に向かった訓練兵達を静かに、じっと見守っていた。

 

「大変だったけど ……沢山の人が命を失ってしまったけど、それでも生きる希望を、壁の中にも未来を感じる事が出来てるから、皆前向きになれてるんだと思うよ」

「……そうなのか? 普通 心が折れると思うんだがなぁ。オレだって折れ掛けてたし。あんなお調子者らでも……、強ぇんだな」

 

 隣にきてそう言うのはイルゼ。そして 初めて人を喰われる所を見た時の事、壁の上で黄昏ていたを思い浮かべるアキラだったが。

 

「って、それより いつの間に来たんだよ。何時代わったんだ?? ……でも マジで交代交代してるんだなお前ら。ってか、こんな事してて 調査兵団(本業)の方は良いのか?」

 

 いつの間にか来ているイルゼを見て ため息をするアキラ。神出鬼没な2人はまるで忍者……? いや 女だから くのいち?

 

「んー? 大丈夫。アキラの監視も任務。つまり 本業だから。ぺトラとは……うん。こっちも半分こしあって ………うん、満足してる……(………多分)」

「はぁ 随分とまぁ楽しんでる様で何よりだな。良い任務で何より。……こっちは色々と疲れるっつーのに」

 

 アキラはため息ばかり吐いている様子。

 そんな姿を見て イルゼは 訓練兵達が見ている希望を、未来を思い描いていた。

 

 絶望しない訳はない。何十万人もの人間が巨人の餌食になったんだから。

 

 だけど、それでも未来を、希望を見る事が出来るのは 人類の自由の翼 調査兵団の存在。人類最強と名高いリヴァイ兵長や優秀なエルヴィン団長 そして――人類の希望の星 超新星(アキラ)の存在。

 

 士気が低下している人類を鼓舞をする目的もあって、エルヴィン団長や司令官が、根回しをして アキラの存在はそれとなく広まっていた。

 何より調査兵団のここ最近の近況と発展(それも色々と脚色満載らしいけど)、その生存率の高さ。元々調査兵団は英雄視をされた事もあったから あっという間に広まって、賑やかな状態になってしまっている。

 勿論、ミーハーだという訳ではなく 基礎体力が高いものが多く、訓練のメリハリはしっかりと付けている。怪我人も多く続出する訓練でこんなに笑い声が出ているのは アキラの存在があってしかりだ。

 

「(リヴァイ兵長と同等に英雄視されてるし、団長の『懐刀』とか、『最強の双璧』とか 色々と言われてるから、アキラの事もリヴァイ兵長みたいに完璧、完全無欠な英雄をイメージしてたって思うんだけど……、蓋を開けてみたら、『アキラ』だから仕方ないかなー)」

 

 と、イルゼがうんうん頷いていて 1人で納得していた。

 自分自身が体験して 体感してきたから尚更だ。

 

「さ、私達も見に行かないと。監督不行き届きだよ?」

「……それ オレだけに適用されそうだな。イルゼはオレを見てりゃいい訳だし?」

「そっ、そのとーり! ほーら、早くいくわよ!」

 

 ひょいっ 腕を取るイルゼ。

 ひょんな事から結構な急接近をしているイルゼ。……色々と蔑ろ? にされていた様な気がしているのでしょうか? (苦笑)

 

 それはとりあえず置いといて。

 

「わとと、わーったわーった、そんな強く引っ張るな。……って、 馬に乗って追いかけるんだろ? くっついてちゃ乗れないぞ」

「んー? じゃ アキラが私 背負って走ったら? らくしょーでしょ? 寧ろ馬より早いでしょ?」

「はぁ? なんで んな事せにゃならん? 使うなって言われてんのに?」

「んー ほら、あの壁の上の時みたいにー。ずいぶんとアクロバティックな事させてくれたじゃん」

 

 50mもある壁の上からのダイビング。

 それも立体機動装置使わずのダイビング。

 

 そんなの一生に一度の体験だと言っていいだろう。忘れられる訳ない。

 

 そう、恐怖から 思いっきりアキラに抱き着いて、飛び降りた下でも暫く地に足がつかなくて結構な時間抱き着いてた事。……パンチを何発か入れたけど それは置いといて。

 ……イルゼにとって 色んな意味で忘れられない体験だった。

 

 

「あ、走るんなら抱え方をしっかりして欲しいかなー? ……なーんて」

「へぇ~、どんな抱え方してほしいのかな?」

「えー、勿論お姫さ………ま……?」

 

 とんとん、イルゼの肩を叩いていて後ろに立っていたのは。

 

「なななな! なんでぺトラがいるの!?」

「『なななな!』 じゃないでしょ! なーにが『オルオが呼んでる』よ! 嘘ばっかり言って、人の任務とってるんじゃないわよ!」

「何言ってるの! 今は私が監視任務時間なのー! 前に代わって貰った分を返してもらってるだけ!」

「なーにが! 代わって貰った、よ! 調査報告書をまとめるの遅れた自分の責任じゃない!」

 

 いつの間にか始まった。

 戦争勃発だ。

 

「……これ、付き合ってたら長いし、巻き込まれて疲れる。……どっちもどっちで 疲れるんなら とっとと 前の連中のトコに行くか。オレ一応講師だし……」

 

 乙女の戦争を横目に さっさと馬に乗って駆け出してくアキラ。

 

 

 その後は勿論 イルゼとぺトラは アキラを見失ってしまって、アキラも訓練兵達を見失ってた時間が長くて、色々と不行き届き と言う訳でハゲ教官にしごかれてしまったのは言うまでもない事だった。

 




巨人のいる残酷な世界。
外に出れば沢山喰われる酷い世界。

なのに、何だか空気が……(遠い目)

悔いは無いですが。
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