目が覚めたら巨人のいる世界   作:フリードg

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久しぶりに見てみたら お気に入り3000超えてて吃驚しました( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚) 


ありがとうございます。でも 更新が不定期&全然進んでなくてゴメンナサイm(__)m

頑張ります('ω')



49話

 

「いやさ、まさに『ぬわーーーっ!』な感じだったわ。高さにして約50mだっけかな。壁の天辺からまさかの唐突な紐無しバンジー……。あー、うん。あの時イルゼに悪い事したかな? って今更ながら思ったよ。アレもいきなりだったし。……流石にオレでも肝冷えるって判った瞬間だったわ」

「あーーっはっはっは! それはそれは災難だったねぇ。今回()アキラが悪かった! って済ませたら良かったのにねぇ~、って言いたいんだけど、あの時はリヴァイもいたから、ぺトラにとってもそう言う訳にもいかない~、だよねー」

「って、なんでそーなんだよ! リヴァイがいるからだけでなんでだ! このクソメガネ!」

「……おいコラ。遊んでねぇでさっさと話を元に戻せ。馬鹿ども」

 

 兵団宿舎にて 尋問? ならぬ報告会を行っていた。それは勿論壁の外での出来事についてだ。色々端折ったりはしておらず、ちゃんと事の顛末まで説明している。今回はアキラだけでなくリヴァイも一緒だったから説明がある意味し易いと言えるだろう。

 説明するのも大変だが理解してもらう事も今まで結構大変だったから。

 

「あのデカいヤツ。結論から言えば逃げられた。あの熱い蒸気。熱さもそうだがその発生量も厄介だ。女型に巨人どもが群がって出来た時の比じゃねぇよ。それに好戦的かと思いきやケツまくって逃げた所を見ると、随分と臆病らしいな」

「……そりゃ、キミたちに追いかけられた日にはね。下手したら人類の仇だっていうのに同情しか湧かないよ」

「いやいやハンジ分隊長さん? お前さんは巨人LOVEなんだし、常にそっち側だろ。何今更まともな感性で話してんだよ」

「あはははは。私だって時と場合によるさ」

 

 超大型の巨人、その中身に逃げられたのは正直痛手ではあるが、収穫0と言う訳でもなかった。

 

「それで、()ってみた感想はどうだった? 2人とも」

 

 ハンジは両手を組なおし、視線がやや鋭くなった。

 普段のふざけた様子は息を潜め、ここからが本番だと言わんばかりだった。真面目な時は真面目である事は2人とも勿論知っている。

 

 

「《鈍い》《デカい》《熱い》 これに尽きる。嫌な三拍子だなこりゃ」

 

 

 真面目な雰囲気をハンジは作ったのに、少しも考えず、読まずノンストップで答えるアキラ。流石のハンジもこの返答は考えてなかった様だ。

 

「……いやさ、もーちょっと具体的にしてくれると助かるんだけど」

 

 ずるっ、とコケそうになるハンジ。それを見たアキラは少々溜飲下がる思いなのか、軽く笑みを見せた後更に続けた。

 

「森ン中や、町ン中、……まぁアレだ。燃えやすいもんがあるトコじゃあんまヤりたくねぇのが素直な感想。アイツのは高温過ぎて燃えるもんだったら 自然発火するレベルだった。あー、後アイツと直接的な力比べはしてねぇから、力具合は何とも言えねぇな。……ん、でも図体と腕力。と言うか図体と膂力は比例すると思うし、エレンくらいの体格の巨人、つまり15m級の巨人がアイツに向かっていったとしたら、文字通り、吹っ飛ばされるんじゃないか? まともに正面からぶつかればだが。15mに50m。単純に3倍以上の体格差あるし」

「あぁ。ハンジ。お前も見たと思うが、立体機動装置を使って接近戦をするオレ達調査兵団とアイツは相性最悪だと言える。……コイツがいなかったらヤバかったかもな」

「そりゃ()りようだろ? あの蒸気、ずっと出せるとは思えんし」

 

 珍しいやり取り、と思えるが それだけ真剣であると言う事だろう。

 現時点で 壁の門を破壊出来る巨人は、あの超大型と鎧の巨人の2体。その内の1体の話なのだから。

 

「ふぅん。……つまり、話を纏めると、―――決してヤれない相手じゃない、って結論で良いんだよね? アキラ。それにリヴァイも」

「正面からくりゃ幾らでもヤれる。あの蒸気の対策っつーか、対応は出来るし、試した。……でもなぁ、ああも逃げの手を取られたら正直キツイし面倒だ」

 

 ごろっ、と椅子の背にだらしなく体重を預けたアキラ。面倒な部分があるのは それだけではないから。

 

「最も厄介なのはアレだ。アレが巨人に変身? する時の衝撃。デッカイ爆弾みたいなもんか。アレを町の中でヤられるのも勘弁して貰いたいね。アイツが出てきた時の空気の震えに衝撃音、その後の火災の範囲と規模。まぁ 推定、体感だが 蒸気発してた時の4~5倍以上の高温に加えて爆弾みたいな破壊力。傍にいたら 燃えるだけじゃ済まん。一瞬で消し炭だ。……だから ()がアイツなのか判らん状況で、迂闊な事できねぇ。―――ストレス溜まるわ」

「だが、気配を殺し接近するのには、建物や森は有効だ。初動を抑えるのは確かに厳しい。……それに来られて困る場所には来るもんだろ。その点はエルヴィンに伝えとけばある程度考えてくれるだろうよ。頭を使うのは本来はアイツの役目だ」

「だよなー。……頭使うのは身体動かす以上に疲れるし」

「そっか。ありがとね、2人とも。色々と対策を講じる必要性は大だね。エルヴィンやピクシス司令にはその辺りを強く言っておくよ」

 

 アキラは頭の後ろで手を組んで、その後目を閉じた。ササっとハンジは紙に纏めていく。それを一通りし終えた所で走らすペンを止め、視線を下にしたまま続けた。

 

「……それで、彼女(・・)は今後どうするんだい? なにか聞いてないかい? アキラ。今は地下牢に幽閉してるけど」

「…………」

「確かに、あそこが一番頑丈だし、一番地下深い。……あそこで巨人になったとしても、ある程度縛れるから、アキラだったら十分対処は出来ると思うけど。常に一緒にいるとは限らないし、看守つけても意味ないと言うか、近くに行き過ぎると危ないからね」

 

 目を閉じていたアキラだが、ぴくっ と瞼が一瞬だけ痙攣したかの様に動いた。彼女(・・)の話題を訊かれたからだ。

 

「あぁ。……アイツなら大丈夫だ」

「え? どういう事リヴァイ」

「簡単に言や コイツが大見得きって口説いた」

 

 リヴァイの言葉に目を丸くさせるハンジ。

 いつもなら、この辺りで口ケンカ? と言うか小競り合いの様なのが発生するんだが今日は大人しかった。と言うより聞いてなかったのかもしれない。

 

「それはそれは高威力だっただろうね。アキラに言われたら」

「はぁ……。まぁ リヴァイの言う通りだ。 アイツなら、アニ(・・)なら多分大丈夫。……だから情報操作の方頼む。いきなり憲兵の方で人1人いなくなったら、それなりに問題になるだろ? 如何に杜撰でもよ。……新人の中でいい眼してた奴もいたしな。優秀だったアニをどうにか調査兵団(うちら)に引き抜いて、それで応じた~程度でいいと思う。奇怪なヤツだな、とか思われるかもだが……アニなら大丈夫だろ。元々目立つ方じゃなかったし。サボる所はサボってた奴だ。バレない様にすんのも難しくないだろ」

 

 アキラはそう言うと席を立った。それを見たリヴァイは 何処に向かうのかは直ぐに判った様だ。

 

「一応、上の連中にはお前の我儘、とも伝えてあるそうだ。最後まで自分のケツは自分で拭けよ」

「わーってるよ。正直にいやぁ色んな感情まだ整理しきれてねぇけどよ。その辺は割り切ってるつもりだっての。それに我儘聞いてくれた礼はしーっかりするって ピクシスのおっさんにも伝えと言てくれよ。今度外で牛とか鳥とか食えそうなモンも取ってくるからよ。酒の肴になりそうなもんも、な」

 

 アキラはそう言うと出ていった。

 

 

 

 

 その後ろ姿を見送るハンジ。

 外に出ていったのを確認した後で、今度は軽くため息を吐いていた。

 

「やっぱり全然割り切れてないね。あれは」

「……だろうな。アイツが感情を完全に殺せる程器用じゃねぇ事くらい判りきってるだろ。……まぁ ひとりで突っ走らなかっただけ成長したとは思っているが」

「うん。まぁ、私も判ってるつもりだよ? 前は暴走する~なんてしょっちゅうだったし。なのに今はあんまり無いからさ。―――但し、巨人との戦闘時は除く……って感じだけどね」

 

 怒りの感情を盛大に向ける事の出来る巨人との戦いでは、怒りのままに巨人を吹き飛ばすから、辺りの巨人が一掃される事が多い。だからと言って手放しに喜べる状態ではない。怒りの感情に身を任す程の事が起きてしまったと言う事だから。

 

「それでも、よくやってくれたよ。リヴァイと一緒に帰ってきた時、街の皆の前に出る~なんてさ。街の皆に対する帰還報告(デブリーフィング)。……絶対にそんな気分じゃ無かったくせに。責任感も人一倍あるって言うのもホンっト、可愛い所だよ。街中が騒ぎ出して、そそくさ逃げちゃった所もさ」

「ハンジにんな事 言われたら、それだけでも一目散で逃げるな。……アイツだったら」

 

 リヴァイは、軽く含み笑いを見せた後に、入れたての紅茶をそっと口に運んだ。

 そんなリヴァイを見て、ハンジは思う。

 

 

 それは 何だかんだと口悪く言い合っても、子供の様なケンカをしたとしても、リヴァイが笑うのは、アキラ関係が圧倒的に多いと言う事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 調査兵団宿舎・地下牢。

 

 

 

 この地下牢はエレンが投獄されていた地点よりも遥か深くに作られた特別製の代物。

 その必要性を考えて指示を出したのがエルヴィンだ。少々急ごしらえな所はあるが、強度も十分。何より地上から遥かに深い位置にある為、大地そのものが堅牢な壁となっている。

 寝る間も惜しみ建設チームが昼夜問わず交代制で作り上げた場所。エレンの巨人化能力を用いた実験で、エレンの様に巨人になれる人間がいた場合、やはり地下に追い込むのが最も効果的だと結論が出た。

 身体が10倍程にまで膨張する為、例え巨人になったとしても、狭い地下であればそのまま身動きさえ取れず、拘束する事が出来るからだ。……傍で巨人化されてしまえば圧死してしまう危険性もある。

 

 そんな場所に二つの影があった。

 

 

「ここに来れるのは今んトコ オレだけ、ってか。エルヴィンも嫌な決まりを作ってくれたよなぁ? 此処の殺風景な所も気が滅入るってもんじゃないか? アニ。鎖が無いだけエレンの時よりはマシだと思うけど」

「……そろそろ来る頃だとは思ってましたよ」

 

 片方は勿論 アニ。

 今回の襲撃の犯人。女型の巨人の正体。

 

 《女型の巨人=アニ》である事実は伏せられており、限られた者しか伝えられていない。

 それは勿論、同期である104期生たちにもだ。勘付いた者はいる様だが正確な情報は出回っていないのが現状だ。

 

 そして、この場所の存在さえも知らない。

 

「でも、やーっぱ意外だな」

「……?」

「何が? って顔、アニでもすんだな。……ってか マジでわかんない? オレが何で意外っていったのか」

「私には相手の心を読む様な能力は持ち合わせていませんので」

 

 アニとのたった数度のやり取り。街に帰還した時から時折アニに感じていた事がある。

『この人だれ?』と。比較的何度も。

 

 アニは、いつも不愛想な印象が色濃い。同期達にも自分から率先して喋ってる姿は極めて少なく、エレンやライナー、ミカサ達の組手を見た時は 珍しいものを見た、と少しばかり驚いた程だった。それに、壁外遠征でもそうだ。何度かアキラはアニに話しかけてはいたが、僅かな反応が返ってきただけで、まともに会話していない。会話が成立していない。

 

 なのに今はどうだろう。話しかければ返ってくる。表情こそは変わらないが、それでも今までに比べたら天地の差。

 

「よく話す様になったなぁ、と思ったダケ。これ以上無いだろ?」

「……別に、普通じゃないですか?」

「まぁ、受け答え~じゃ普通っちゃ普通だけど。オレの周りはもっと騒がしいの多いし。んでも、以前までとキャラ違い過ぎるだろ? 格闘技見せてる時以外感情見せてなかったし、なーに考えてんのか判んなかったし。――ま、オレとしてはそっちの方が良いと思うがな」

 

 アキラがにっ、と笑って見せると アニは頭を軽く下げため息を吐いた。そして視線を下にしたままポツリと呟く。

 

「……の方が判らない」

「あん? なんだって?」

 

 アキラの表情を見ないままで、アニは声量を少しだけあげて再度言った。

 

「私は、貴方の方が判らない、と言った。……全然、判らない」

「……? オレが判らんって? でもま、それこそ普通じゃねーか。 結構長いとは言え、あくまで教官と生徒、って感じだったろうし。ツッコんだ話なんざしてねぇし」

 

 当然、と言いながらうんうん、頷くアキラを見て 更に言う。言い続ける。

 

「私は女型の巨人だ」

「あぁ、そうだな。後付けって言われるかもだが、最初見た時から何となく似てる気はしてたよ。髪型とか」

「……私は貴方を攻撃した。襲った」

「あん? あー、そうだな。んでも、攻撃ぜーんぜん効いてねぇぞ?」

「……私は」

 

 アニは少し俯かせる。

 今までの告白に対して、アキラは何でもない、と言わんばかりの反応だった。……だが、此処から先に言う言葉は、アキラの事を少しでも知っていれば、どんな反応を見せるか 判りきっている事だ。

 だけど、アニは言わずにはいられなかった。

 

 

「私は――アンタの仲間を沢山ころし―――」

 

 

 最後まで言う事は出来なかった。最後の一文字『ころした』の『た』を言い切る寸前で、周囲の空気が一気に張り詰めたからだ。ピシっ! と壁に亀裂でも走ったのか? と思える様なひび割れる甲高い音の様なのが聞こえた気がした。

 それと同時に心臓の脈打つ音も聞こえてくる。高鳴るのは自分自身なのか、或いは目の前のアキラのものなのか判らない。

 

 その体感は時間にしてほんの一瞬の刹那の時間だった。最後まで言い切れなかったアニは視線を元に戻す。先程まで 表情がハッキリと見えていた筈の男の顔が見えなかった。どす黒いナニカに覆われている様だった。

 そのナニカの中から、声だけが聞こえてくる。

 

 

 

 

『それだけは絶対に許さん』

 

 

 

 

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