目が覚めたら巨人のいる世界   作:フリードg

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文字数長い割には全然進んでません……m(__)m


50話

 

 

 

『絶対に許さん』

 

 

 

 そう一言いっただけだった。

 アニにとっては それだけの返答で充分過ぎた事だろう。

 

 強く思う事が出来たから。改めて思う事が出来たから。

 

 

 

――やはり この人は、私を終わらせてくれる存在だ。

 

 

 

 そう思えたから。

 

 

 アニはこの残酷な世界で生きてきた。

 

 息をすれば内から肺を焼かれる様、目を開けばまるで砂を捻じり込まれる様。何もせずとも常に苦痛を伴うそれはまさに生き地獄。

 

 全てを否定したい気持ちで、この世界を生きてきた。

 

 そして長く生きれば生きる程、身体を蝕まれる気がしていた。

 戻るべき故郷はある。――だが、帰る事は出来ない。

 

 

 そんな中で、壁の中の生活で 夢中になれる男に出会えた。

 全てを受け止めてくれる男に出会えた。

 

 

 

――私は この人に私を裁いてもらいたい。……全てを終わらせてもらいたい。

 

 

 

 それだけがアニの思いだった。

 

 切っ掛け、元々思っていた事だが 真に想うようになったのは、アキラが別の世界(・・・・)から来た、と告白されたその時からかもしれない。

 

 あれだけの事をしたと言うのに、仲間を殺したというのに、咎めなかったと言って良い。 牢に入れられたとは言え 食事もあり灯りもあり、縛された訳でもないのだ。

 

 そして初めて今――味わった事の無い巨大な、強大な殺気に身を晒された。感じただけで死を意識する程のナニカを見た。

 

 

 これから、終わるのだろう。と アニは確信して 目を瞑ったその時だった。

 

 

「――だがな、アニ」

 

 声がまた聞こえた。許さないと言った後 長く長く感じた沈黙の後に発せられた言葉。アニは反射的に眼を開いた。

 そして、漸く アキラの表情が見えた気がする。アキラの表情を覆っていた黒い霧(ナニカ)が、まるで晴れた様だった。

 見えた表情は普通なもの。いつも通りの彼。……その中で やや真剣さを含んだ表情だった。

 

「オレは、お前を否定(・・)したりしねぇぞ」

「………っ!?」

 

 心の内を、願望を覗かれた気がアニにはした。否定しない。存在を否定しないという事だと判った。つまり、殺したりしないと言っている様に聞こえた。

 

「……お前は、お前の存在はあいつらの戦果そのものだ。あいつらは命賭けて戦い、そして、死んでいった。オレの時もそうだ。どいつもこいつも 幾ら要らねぇって口で言っても心臓捧げるっつって闘うんだ。それでオレに託すって言って死んでいった。その結果が女型の巨人の確保で、お前がここにいる。幾らオレが許さんって言った所で、あいつらの戦果そのものを否定するも同然な真似、オレは絶対しねぇ。……あいつらの戦いを、存在のそのものを否定するようなもんだろ、それ」

「……でもッ」

「わりぃけど、お前にとっちゃ生き地獄かもしれねぇが、当分はそれ味わってて貰うぜ。……簡単に逝かせるかよ。楽にさせねぇよ」

 

 此処でアキラは ふっと力を抜いた。何処か笑った様にも見えた。

 許さないという気持ち。だが、それでも理屈じゃないモヤモヤした気持ち、殺したくないという気持ち。怒りが支配する心。赦す心。様々な感情が渦巻いているのがアニも判る。

 

 彼の唯一無二の弱点と思っていたのが情であるとアニは思っていた。

 何故なら誰よりも何よりも強い男は、誰よりも何よりも優しいから。一度でも情が向けば、それはまるで呪いの様に解ける事の無い鎖になると。

 

 だが、それも完璧ではないだろう。仲間を守る為であれば意図も容易く解ける。

 

 仮にどうにか外へ出て 急襲する。アキラを狙うのではなく調査兵団の皆や町の住人を襲おうとしたら、アキラは恐らく躊躇う事なくアニを止める(殺す)だろう。

 

 そう、アニが望む通りに。

 

 でも それは出来ない。……する事を身体そのものが、否 心が拒否するから。

 巨人に成る為の条件には強い意思の力が必要。つまりは今のアニには不可能だった。

 

「それによぉ、アニ。オレは。いや オレ達はになるんだろうな。お前らの事知らなさすぎる(・・・・・・・・・)。お前の事も、巨人の事も。……ここの()の事も。お前がただの快楽殺人者。巨人になって暴れ回る。人食いっつう性質の悪い災害程度だったらもっと楽だったんだけどな。……だが、物事ってヤツはそんな単純じゃねぇだろ」

「………」

「まぁ、直ぐ教えろ、なんて言わねぇよ。アニの事は一応オレが一任されてんだしな。気長にいくさ」

 

 アキラはそう言うと手を上げて、背を向けた。

 

 アニは まだ何か言いたい事があったし、話したい事だってあったかもしれない。それでも、何も言えなかった。その背を見送る事しか出来なかったんだ。

 そんな時だ。

 

「あぁ、アニ。……今日はこれが最後だ。最後に一つだけ聞かせてくれ」

 

 

 アキラは立ち止まった。

 決して振り返る事なかったが。 

 

 

「……なん、でしょうか」

「アニ。さっきだ。オレがお前の事 許さんっつった時」

 

 そう言ったと同時だった。

 アニは、また(・・)見えた気がした。

 

 

 

 

『………オレを見た(・・)か?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□ 調査兵団宿舎 □□

 

 

 

 

 

 場面、そして 時間軸はかわり アキラ達が帰還して3日目の夜。

 

 直ぐに中央への招集は確かにかかってはいたのだが 延期になった為、比較的ゆっくりと準備する事が出来るようになった。

 

 その理由として リヴァイ兵長とアキラの帰還に加えて、巨人に対する秘密の根源に迫る情報と言うとてつもなくデカいカードを得たから。

 おかげで 調査兵団は失墜する事はなく、首の皮一枚で繋がるか? と内部で心配していた声もあったのだが、全くの杞憂となった。切れかかった首、と思われていたのが完全に接着してしまったとも言える。

 

 実を言うと、ただで済んだ訳ではなく、伝令を伝えに来た中央のお偉いさんの使いっぽい連中がやってきた事があった。

 

 ねちねちと責める様な言葉を頂き、更に調査兵団を処罰する云々。今までの成果、ウォール・マリア内での調査等も全く関係ないらしい。町民の支持も得ているのだが、それも関係ないとの事。

 

 いい加減腹が立ってきた自称気が短い男であるアキラはと言うと、妙に笑顔だった。

 

 話を訊いている間も笑顔だったアキラは、最後までその笑顔のまま、一軒家の1つに《無言笑顔パンチ》をした。

 

 それが延期の最大の原因……らしい。

 

 後々綿密に精査するとぼそっと言った様な気がした。

(因みに、ぶっ壊したのは元々取り壊し予定だったボロ家。入念に調査済みである)

 

 つい最近まで人が暮らしていた一軒家。それを どかんっ! と一発吹き飛ばして瓦礫の山にしてしまった光景を目の当たりにして、『と言う訳で、お前ら中央に連行な? きびきび歩けぃ!』と誰が口に出来ようものだろうか。

 

 勿論 その後調査兵団、何か気に喰わん! な態度だった男達は途端に 青ざめて動けなくなった。

 

 そんな中で 唯一1人だけ。一緒に来ていたピクシス司令だけは違い、堪えきれん、と言わんばかりに腹を抱えて笑いだし、その笑い声が響いた。 

 

 

 それは殆ど 王都の連中のみの修羅場だったという話。

 

 

 

 

 

「んで、なーんでオレ、床に正座させられてんの?」

「きっちり説明してもらうわよー って事だよ!」

「いやいや、まず正座させられる意味判らんって話だって。オレの方がその説明求めるわ」

 

 そして、調査兵団の会議室に利用している一室。

 

 何故かアキラは床に正座をさせられていた。

 色々日々忙しかった、という事もあって ヒヤリングの類は出来てなかったりするが、問答無用で正座させられるのが意味判らない、とアキラは首をひねりにひねって首を痛めていた。

 

「はぁ、正座は兎も角 アキラ壁外ん時に言ってたろ? お前さんの活動時間制限の件だ。活動時間。オレらは それを見越して、訓練を積んできた。いざって時にお前を回収できる様にする為の訓練もな。……別に信用されてないとか、もう信用出来ねぇとかは言うつもりはないが、やってきた事を一気に覆す様な発言されりゃ、戸惑うのも無理ないだろ? 幾ら色んな意味で 飽きさせないアキラだってもだ」

「あー……、そりゃ、そーだよなぁ……」

「忘れてた、って面してないか?」

「してねーよエルド。オレも話そう話そうとは思ってたんだぜ? これマジで嘘じゃねえ。……でもまぁ ちゃんと話してなかった所は悪かったって思ってる」

 

 先程までの雰囲気が変わる。。

 

「あんな場面でいきなり言われて混乱しなかっただけマシと言えるが、その辺考えて行動してもらいたいもんだぜ? アキラ」

「口調が似合わないって連発されたからって、今度は声色を似せようとしないでオルオ。心底気持ち悪いから。今はまじめな話してるの」

 

 オルオを一蹴してぺトラが前へと出た。

 

「話してアキラ。リヴァイ兵長たちも来た様だし」

 

 きぃ、とゆっくりと開く扉。

 開いた先にはぺトラが言う様にリヴァイ、ハンジ、そしてエルヴィンがいた。

 

「エルヴィン。王都にはいつ行くんだ? ってか、今回はオレ連れてけ。ぜったいにな」

「決して暴れないと誓うのならな。今回の件。溜飲下がったのは事実だが、事後処理が頭痛の種だ」

「更地にする予定だったんだし、良いだろ? それと暴れ~に関しちゃ相手側の出方によるな。あんな連中がまた来る様なら、今度は笑顔で手を差し出して握手だ。念入りに」

「もー勘弁してよアキラ。後始末大変なんだから。それに絵的にも気持ち悪いかもしれないよ? そんな情熱的に握り合うなんてさ」

「おう。安心しろよ。お前さんの巨人愛を延々聞かされるよりは楽だと思うからにゅあっ!?」

 

 話が逸れそうなので、ぺトラはアキラの頬を挟み込んだ。

 ぎゅ~~っと力を込めて、口許がひしゃげる。

 

にゃにすんふぁひょ(なにすんだよ)ふぇとふぁ(ぺトラ)!」

「…………」

ふぁーった(わーった)。……ふぁかったから(わかったから)

 

 誤魔化せる雰囲気ではないな、と判断したアキラ。そして 目の色が変わった。それをぺトラも感じ取れたのだろう。挟んでいた手を放し、ややアキラに距離を取って座った。

 

 アキラを先頭に扇状に座る面々。皆がアキラの返答を待っていた。知らない者達は。

 

「あー…… あの時言った事は全部マジだ。オレがオレじゃなくなる。マジでやってたら特に顕著にな。厄介なモンを飼ってるみたいなんだわ。オレん中でな。―――一応言っとくけど、真面目な話だからな」

「真面目に話せ。頃合いだとは思っていた所だ。……んなに時間が掛かる事なんざ無かったからな」

 

 アキラの話については 同じ班内のメンバーでさえ知らない事だったが、リヴァイは知っているのだろう、とぺトラは思っていた。いや、リヴァイだけでなく、恐らくエルヴィン団長やハンジ分隊長もだ。

 ちらりと視線を向けたと同時にハンジが口を開いた。

 

「あはは。まぁ いきなりそんな突拍子もない事言われたってー、だよねぇ。こんな感じ アキラと知り合ったばかりの頃のヤツだよ。戻った気分かもしれないよ? 言う事もそうだけど、やる事だってぶっ飛んで滅茶苦茶だし」

「……なんでだろうな。ハンジに言われたら猛烈に色々否定したくなんだよなぁ、割と本当な事でも」

 

 アキラは頭を一頻り掻き毟った後に、一度大きく息を吸い込む。その後2~3秒程だろうか、息を止めた後に全てを吐き切った。

 

 空気が全て抜けたのを確認したかの様にもう一度吸い込み、言葉と共に吐き出した。

 

 

 

「……力そのものに呑み込まれそうになる。とも言えるか、この変な力のな」

 

 

 

 アキラは、そっと拳を握りながら続ける。

 

「まー あれだ。リヴァイじゃねぇけど、リスクも無しにぜーんぶを得ようなんて虫の良い話は何処にもねぇって事だな」

 

 拳を開いた時にはもう笑顔を見せた。問題ない、と言わんばかりに。だが 簡単に信じられる程単純な話ではない。

 そもそも、そんなに簡単な話なのであれば、黙っている理由がわからないから。 

 

 安易にもらせられないだという事は判る。先の大規模遠征での捕獲作戦も秘匿にされていた様に。アキラの力そのものも十分その対象なのだろう。変に敵側に知られたとなれば……、知られたとしても どうなるか判らないか。

 

「それで 時間を超えて、限界を超えたらどうなるの……?」

 

 単純な話ではない、が、まずは最も重要な所。全てと言って良い所をぺトラは切り出した。 

 

 今何よりも重要だとぺトラが思っているのは、その力を使い過ぎると本当はどうなってしまうのか、だ。

 以前までは、『身体能力が低下する』『生身の人間になる』としか聞いてなかった。

 

 そして、ぺトラ以外の全員も同じ気持ちなのだろう。グンタやエルドは何かを言おうとしたのだが、押し黙り、オルオも視線を完全にアキラの方へと固定したから。

 全員の視線を感じ取ったアキラは 続けた。 

 

「んん……。あの時言った通りなんだよなぁ。恥ずかしい言い方だが。感覚の話で実際そこまで突っ込んだ訳じゃないから、確信はねーけど、……オレがオレでなくなる。あー、やっぱ すっげぇ恥ずかしい表現だな。言いたかねぇんだけど、マジっぽいんだよコレ。だから 意識保つギリギリでヤってた。時間じゃないし感覚だから明確なのは判んねぇ。だから それっぽい時間をハンジやリヴァイと協議して、……決めた。話さない所も含めて」

 

 『決めた』という言葉を訊いた途端に、雰囲気ががらりと変わった。

 いつも通りの成りは息を潜める。恥ずかしい話、と半笑い、更に僅かに紅潮していた顔さえ 一瞬で元に戻った。

 

 そして、メンバー全員の顔を一頻り見た後に、改めて深く頭を下げた。

 

 

「黙ってて悪かった。理由は どうであれ オレもお前ら全員を騙してたも同然な事だ。……すまない」

 

 

 必要だったとはいえ、騙していた事には違いないだろう。命を預け、預けられる程に信頼していたし、されていたとアキラも思っている。

 

 

――心と身体の安全。両方をこの調査兵団の皆からは貰ったとも思っている。

 

 

 そして今回の一件で僅かでも信頼に亀裂が入ってもおかしくない。信用をしていなかった、されてなかったと思われてもおかしくない。

 

 例え、リヴァイやハンジ、エルヴィン団長の指示だとしても 僅かにでも、ほんの僅かにでも心の中にしこりと言うものが残っても不思議ではない。口では言っても、何かほんの些細な何かを残してしまったかもしれない。残さない、なんて言えないから。

 

 そして、そんな僅かなしこり、そしてほんの少しの歪でも アキラは良しとはしない。

 

 それにリヴァイやエルヴィン団長が 今回の生け捕りを仲間達に黙っていた事とは違うとも思っている。100%自分事の話なのだから。

 

 

 口には決して出さないが、皆の事がそれ程までに――――だから。皆は―――だから。

 

 

 頭を下げるアキラの前に立つぺトラ。表情は険しいままだった。そして、目の前にぺトラがいる事を頭を下げ、見えていないアキラも判った。

 

「……えいっ!」

 

 だが、次のぺトラの行動だけは予想できなかった。

 ぺトラは、いつの間にか笑顔だった。笑顔のまま 頭を下げたアキラの頭にチョップをしたのだ。

 

「なーに今更そんな顔してんの? 今までアキラはどれだけ私達の事心配かけてきたと思ってる? ほんと今更だよ」

 

 にっ、といつものアキラの様な笑顔を近付けた。

 

「何考えてるのかは 大体判るよ? まーーーったく、こーんな時だけ深刻な顔して。もっともっと危ない所で私達の事を頼ってほしいって思ってるのに」

 

 ぺトラは両手を広げた。

 

「私達が怒るのは、アキラが1人で無理し過ぎるトコだけ! 全部背負おうとするトコだけ! それだけ頭に入れといて。次はもっと痛いのお見舞いするからね」

 

 呆気に取られたアキラだったが、ゆっくりとぺトラの言葉が脳の奥にまで響いてくる。

 漸く言っている意味を理解した所で、同じく表情が戻り、小さく笑みを見せた後『……おう』と一言返すのだった。

  

 

 

 

 

 

 その後、散々からかわれたが、それも自分のせいだとアキラは半ば自棄になって受け入れてた。

 話の話題は『力に呑まれる』と言って話題だ。

 

「どんな感じなんだ? まぁ、想像~程度は出来なくもないが、実際に本人が感じてる感想ってヤツを訊いてみたい」

「だな。こんな無茶な話を真面目に出来るのって、コイツにくらいだし」

「やかましいわ! 傷口に塩ばっか塗りたくってんじゃねぇ!!」

 

 力の事に関して聞いている筈なんだが、話が逸れそうだ。

 

「もう、真面目に聞いてよ。ほら、アキラどーぞ」

「ぐえええ!」

「ぐおおお!」

 

 ひょいっと オルオとグンタの襟を引っ張って話を戻すぺトラ。

 それを見たアキラは苦笑いをしながら続けた。

 

「……あー、なんていやー良いか……。うん、アレだ。酒あるだろ?」

 

 うんうんと、考えてたどり着いたのは、酒の例え話。

 つまり飲み過ぎるとどうなるか? と。

 

「飲みに飲んで、更に飲み過ぎると酔っぱらって、どーなるか判らん様になるだろ? ほれ、特にオルオ。オレに吹っ掛けといて、早々に潰れて大暴れ。最後は便所ン中で爆睡。あー、あん時は後始末大変だったよなぁー」

「う、うるせーーー!! よけーな事思い出させんな!!」

「とまぁ こんな感じ。あの酔っぱらって 頭ん中がハイになった感じ。んで、力に酔っぱらうと、酒の10~20倍くらい? はヤバくなる感じだ。ま、オレ(・・)はだが」

「……そ、それはきついわね」

 

 酒を使った例え話は 思いの外全員によーく伝わった様で、結構渋い顔をしていた。

 宴の際に浴びる程飲まされる機会も決して少なくなかったから、より理解してもらえたのだろう。

 

 そして改めて方向性は決まった。

 

「ま、アキラにあんまり無理させ続けない~ って方針は変わらないって事で良いかな? 皆。基本的にはアキラの自己申告だが、表情には出易いし、止めれる所は止めるで」

「そうだな。それに何だかんだ言ってたけど、結局は変わらないんなら、別に良かったよなぁ?」

「ま、珍しい絵が見れたし良かったわ。ある意味アキラ説教モードん時よりも」

「うっせ!!」

「あのー……私も思い出してほしくないから。それ」

 

 決まったのを見届けたリヴァイとハンジは、一歩前に出た。

 

「……それでアキラ。アニ・レオンハートから何か聞き出せたのか?」

「そうだよ。結構2人で話してたよね? 何か聞き出せたんじゃないの? まさか お楽しみでしたね? なーんて事するとは思えないし」

 

 リヴァイは兎も角一言余計なハンジ。

 一瞬ぺトラから凄まじい怨念に似たナニカが飛び出そうな気がしたが、アキラの方が早かった為、それは消失。

 

「あぁ。かなり興味深い話、聞けたよ。……アイツが何処で知ったのかは知らねぇけどな」

 

 ぺトラの嫉妬と言う名のナニカが消失した理由。

 それはアキラの表情にもあった。何処か怒りに似た何かが孕んでいるその表情に。

 

 

 

 

 

「わりぃけど ハンジ。……ローゼの壁の上に呼んで欲しいヤツがいるんだけど 頼めねぇ?」

 


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