目が覚めたら巨人のいる世界   作:フリードg

64 / 76
凄く遅れて御免なさいm(__)m
体調面と精神面が削られてしまってました。……少しずつですが頑張りますm(__)m


64話

 

 

 

 

 巨人の群れを率いながら、馬を走らせる女―――ピークは考える。

 

 

 潜入調査で壁の中へ 潜り込むのは容易だったが、ここウォール・ローゼの上で、行われるという事を早くに知る事が出来たのは幸運だったと言っていい。だが、この情報漏洩でさえも、撒き餌である可能性も捨てきれない。

 

 そして、最も確実に真実を確認できる相手、ライナーとベルトルトの2人との接触は不可能だった。

 

 何故なら明らかに警戒しているのが判ったからだ。

 その警戒がライナーとベルトルトの2人に絞っているかどうかまでは判らなかったが、確かに あるグループ内の誰か(・・)を警戒をしているのは明白だった。

 巨人の力を失うと言う極限のリスクを背負ってまで、潜入の段階で負う訳にはいかなかったのでピークは手だし出来なかったのだ。

 

 

 そして 作戦の決行はウォール・ローゼの上で行う事を事前打ち合わせで決めていた。。

 

 

「……見えた! 三つ子岩」

 

 そして、作戦の通りに動く。

ただ、それだけを意識しつつ 馬を走らせ続ける。目指した先、目的の場所へ向かって。

 

 そして、その場所に向かう寸前の所で、危険ではあるが巨人数体を自分自身に追いつかせる。その為に馬よりも脚力のある巨人を宛がわせた。

 

 潰されるか、握られるか、その限界ギリギリの所まで。

 

『絶対だ。……絶対。……絶対に、出てくる。アイツ(・・・)が出てくる』

 

 そこまで、追いつかれたなら―――ほぼ、間違いなく 出てくる(・・・・)。そう何度も言われた。

 

 そして、それは間違いなかった。

 

 

「オラぁッッ!!」

 

『悪魔が、出てくる』

 

 

 壁中の悪魔(・・・・・)が出てきた。

 

 

 

 

 

「っ……!! っっ……!!」

 

 

 そう言われていた。

 悪魔の名は、アキラ。その思考は極めて単純明快。仲間を見捨てる様な事は出来ないし、しない。どんな窮地だろうと中央突破し、全てを粉砕する男。あげた戦果は数知れず。

 

 故に、壁中ではもう生きる英雄だ。

 

 そんなアキラの行動は、完全に想定内……ではあるが、ピークは戦慄が走っていた。

 机上での話と実際に体感するのは訳が違う。

 

 それは まるで、雷、稲光だ。

 

 それが自分の直ぐ横を通り抜けた。そして雷鳴が轟く――と言わんばかりな轟音を周囲に轟かせたかと思えば、追いついていた巨人が、……数体の巨人が吹き飛ばされた。

 まるで、人間が巨人に吹き飛ばされるかの様に。……まるで、ムシケラ、ゴミの様に。

 

 

 数多の修羅場を経験してきたピーク。

 どんな事にも動じず、ただただ任務の為に、――――ひいては、自分自身の目的の為にも、与えられた命令を忠実にこなす。……必ず成功させる。ただそれだけを考えていた筈なのだが……。

 

「ふぅ、大丈夫か?」

 

 気付けば、目的地へと急行しなければならないのに、馬を止めて 視線固定されてしまっていた。

 

 そして、視界の中に入って来た男。その男は笑っていたが……、ピークの目には、得体の知れないバケモノにしか見えなかった。その笑顔は直ぐにドス黒く染まっていく様に感じる。真っ黒に塗りつぶされた顔。ニタリ、と口元が三日月の形に歪む。

 それは心底畏怖し、恐怖した瞬間だった。

 

 そして これは恐らく、この感覚は敵意を持つ者だけが感じるコトが出来るのだろうと感じた。壁中人類の皆が等しく言っていた、この男(アキラ)のイメージとは全くかけ離れている様に感じられたからだ。

 

「あっ……ああっ………」

「お前さんがどこの誰か、それは置いといてだ。……まずはコイツらだ、っと」

 

 悠長に話をしている間に、もう3体。5m級と10m級の3体の巨人が、左右正面から迫って来た。

 ほぼ同時攻撃。まるで巨人が連携攻撃を仕掛けてきたかのように。

 

 

「うぜぇ!!!」

 

 正面の巨人に右ストレート。

 左右の巨人には回し蹴りで纏めて吹き飛ばした。

 

 拳を受けた巨人は、頭部そのものが吹き飛んでしまい、弱点であるうなじが消し飛び、そのまま絶命した。左右からきた巨人は回し蹴りの威力で吹き飛びながら、上半身と下半身が分かれた。

 

 

「コイツら片付けたら、上まで連れてってやるから、隠れとけよ」

「は、はい! ……きゃあっ!!」

「っ!! っと!!」

 

 

 突如、飛来するのはデカい岩。

 まるで隕石の様に落ちてきた。

 アキラは間合いを取り、その攻撃を回避するのと同時に、暴れる馬から投げ出された女性を背負って着地。

 

「ったく、んな姑息な事が出来るヤツは決まってるよなぁ!」

 

 ギロッ、と睨む先にいる。

 あの15mは余裕で超えている巨人。……全身体毛で覆われている猿のような巨人だ。

 

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!』

 

 

 

 

 雄叫びが離れていても衝撃波となり伝わってくる。

 

 まだかなり遠方にいた。

 

「目測で、6、いや、700m程先か。……流石に、届かねぇな(・・・・・)

 

 拳をぶんぶん、と振る。

 叫びを上げたかと思えば、また一斉に巨人が現れた。四方八方取り囲む様に。

 

また(・・)だ。――――何もない所(・・・・・)から、巨人が出てきた。ったく、肝心な所は見せて貰えてねぇんだよな、オレ。……おい、今見てるかよ、エルヴィン。リヴァイ。……ついでにクソメガネ。そっちは存分に頭ぁ使ってくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□ ウォール・ローゼ上 □□

 

 

 

 

 アキラの奮闘を上から見ているのはエルヴィンとリヴァイ。

 因みに、今この場にはハンジは居なかった。

 

「リヴァイ。巨人が現れる前兆、みたか?」

「……いや。視えなかった。……少なくとも何にもねぇ(・・・・・)トコから急に出てたのは確かだ」

「……ふむ。私も似たようなものだ」

 

 エルヴィンは、目を凝らしながら、見ていた。

 アキラが事前に言った様に。……エルヴィン自身は言われるまでもない事だったが、改めて釘を刺された。

 

『何かがあるとすれば、壁上での尋問の時だ。俺は2人に注視しとくから、お前らは……()に目凝らしてみててくれよ? ま、内側も注意は必要だとは思うがな』

 

 それは 言われるまでもない事だった。

  

 そして今。……アキラが言ってた様に、そして自分達も決行時に事が起きた。

 突然の馬に乗った闖入者は想定外ではあったが、巨人の出現、そして獣の巨人の乱入は想定内だ。

 

 問題は、どうやって巨人が現れたか、にあったが……、全く見えなかったのだ。

 

 

「……だが、十中八九間違いないな。……あの獣の巨人が、巨人を引きつれている。方法手段は判らんが、目迎情報やアキラの証言から鑑みると、結論はそれだけだ。……後は、巨人が現れたポイント。地中に何か仕掛けがあるかどうかの確認も必要だな」

「………ああ。その辺は伝えとくつもりだ。下の掃除は、あの馬鹿なら直ぐに終わるだろうからそのあとにでもな。……あの獣には逃げられるかもしれねぇが」

 

 リヴァイが眼下を確認したその時だった。

 第2,第3の投石攻撃が始まったのは。 

 

「ちっ。エルヴィン。ヤツが壁上(ココ)に的を絞ったら厄介な事になる。最低限残して一度、内側へ部下達を下ろすぞ」

「……ああ。そうだな」

 

 2度目、3度目の投石も間違いなくアキラ狙いだった。

 ペトラやイルゼは大分我慢している様だが、そろそろ何か指示をしておくのが良いだろう。

 

 その後、リヴァイは事前に先行していた少数精鋭だけを壁上に残し、残りは下で頭上に警戒しつつ待機命令を出す。

 

「む……」

 

 命令を出したその時だ。

 眼下の状況が変わったのを見たのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□ ウォール・ローゼ下 □□

 

 

 

 また1体、また1体と巨人の数が増える。

 そして、増えれば増える程、巨人の死体が積み上がっていく。蒸発しきれなかった骸の残骸が山を築いていく。それでも、ただただ攻めてくるのを止めない。

 

 巨人の数が優に30を超えた辺りから、アキラは考えていた。

 ただ、闇雲に攻撃を仕掛けてきているのではない、と。

 

「ちっ……。そういう事かよ」

 

 そして、ある1つの変化に漸く気付けた。

 自身の背後にいた筈の、女が姿を消していたのだ。

 

 アキラは、直ぐに腰にぶら下げている信号弾を取り出し、装填した。迫っている巨人をなぎ倒す形で吹き飛ばすと、迷う事なく打ち上げた。

 

 それは灰の信号弾。

 異常事態発生の印。

 

 これは、本来はアキラが一目散に駆けつける為のモノだが、アキラ自身が撃ちあげると、意味が変わってくる。

 アキラが『警戒しろ』と全員に伝えていると言う事なので、当然最大級に警戒を強めた。

 

 そして、その信号弾を確認するや否や、即アキラの傍にまでやって来たのはリヴァイ。

 眼下で見ていた為即座に行動したのだ。この行動についてはエルヴィンを始め、各班長達にも伝えているので、別に驚く事ではない。

 

「……何があった?」

 

 リヴァイは、腰の剣を抜き、周囲の警戒をしつつ アキラに聞いた。

 見た感じでは、目の前に未だ迫ってくる巨人以上の脅威はない。……例えリヴァイ1人であっても、十分対処できる状況だ。アキラであれば尚更。

 

「消えちまったよ。さっきの女。……多分、その辺に何かあると思う」

  

 アキラが親指で指をさした先にあるのは、3つの連なった岩。前方をアキラが警戒している間に、リヴァイが確認をした。そして、しかめっ面をする。

 

「穴が開いてるぞ」

「だろうな。たったアレだけの時間で、ここから消えちまうなんて、空を飛んだか下にもぐったか、2択だと思ってたよ」

 

 アキラは、拳に力を入れ直すと、『オラぁっ!!』と気合一発。

 迫って来た巨人郡をなぎ倒した。穴を調べるだけの時間確保の為である。

 

「問題は何処に通じてるか、だろうな」

「ああ。……あの女が巨人に成れるヤツってんなら、正直、地下に入るなんてなかなか考えにくいんだが……。そんな先入観は捨てる事にするよ」

「わかってるじゃねぇか。……行くぞ」

「ああ。速攻で確認しよう。オレらがいない間に茶々入れられてもつまんねぇしな。……遠征ん時狙ったみたいにはいかねぇように」

 

 アキラはぐるぐる腕を回した。それを見てリヴァイも軽く笑う。

 

「上が騒がしくなったら、地下から出れば良いだけだろ」

「生き埋めになんねぇようにしろよリヴァイ」

「余計な気遣いだ。とっとと確認に行くぞ」

 

 

 2人はそのまま地下へと入っていった。

 

 

 

 ――ピークの狙いがもう既に完遂していたのも知らずに。 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。