目が覚めたら巨人のいる世界   作:フリードg

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熱い・・・・・・・


73話 未来計画

 

「取り合えず、このまま作戦は続行という事で」

「ええ。……このままおめおめと引き下がった所で未来は変わりません。出来る事全部して、ここで散る覚悟です」

「……………」

 

 

ジーク、ライナー、ベルトルトの3人は、マリアの壁の上で話し、そして決めた。

現在の状況を鑑みたら、このまま本国(・・)へ帰り、対策をと進言するのが最善である、と言うのが普通の考えだが……、自分たちのルーツ、自分たちの存在を鑑みれば悪手の可能性、その公算が高い。

 

でも、出来る事はまだある。

残弾(・・)の確保も出来ている。

本国から持ち込んだ弾丸を含めると―――まだ望みはある。

 

 

「それで、勝算の程は? 正直、私はアレ(・・)の半径100m内に入り込む事も嫌になりました。睨まれるだけで吹き飛ばされる光景が目に浮かびましたもん」

「こらこらピークちゃん。士気落とすような事言わないの。―――まぁ、その気持ち十分過ぎる程わかっちゃうのが辛い所だけどね」

 

 

ジークはピークの言葉に苦笑い。

そう、アレの傍に居たのだ。ジークは傍どころか一度相対している。巨人を素手で屠る悪魔。まさにパラディ島の悪魔そのもの。原初の悪魔、とでも言えば良いだろうか。

巨人の力をも簡単に屠る悪魔に勝てると言うのか?

 

 

「非人道的な手段を取れば望みはある、ってな。この島にやってきた事を考えれば今更人道云々言えるような立場じゃないし。言うつもりもない。………それくらいしないと、どうしようもない」

 

 

悪魔の弱点。

唯一無二の弱点。

 

情に熱い。……否、弱いという事。

 

 

悪魔を打ち破るには、同じく悪魔になるしかない。

 

 

「ベルトルト」

「……はい」

 

 

そして、その要になる男であるベルトルトの覚悟を問う必要がある。

 

 

「辛いかもしれないけど、アニちゃんの事はもう踏ん切り付いたか?」

「……………」

 

ベルトルトは何も言わない。

アニが何を言ったか、アニが何故この場に居ないのか。……アニが何を選んだのか。全て聞いている。

ベルトルトの気持ちも当然解ってる。

色恋沙汰と言うのは厄介な物だ。ここぞと言う所で邪魔をし、思考が停止し、非常になりきれなくなる。

 

つまり、ベルトルトが使い物にならなかったら、この作戦は無意味になる。誰もあの悪魔を止める事が出来ない。

 

 

「……大丈夫です」

「ベルトルト……」

 

 

そんな心配は他所に、ベルトルトはそう言い切った。

それは虚勢ではなく決意が宿っている。

これはフラれた事がある意味良かった、と言えるのかもしれないと思ったのはライナーだ。元々勝算の薄い話ではあったが。

 

 

「こんな地獄は、もうたくさんだ。……ここで、全てを終わらせます。オレの手で」

「そうだな。……1つ間違いがあるとしたら、オレ()だベルトルト。……いい加減この呪われた歴史に終止符を打ちたい。あの悪魔の出現は、天啓だとも思っている。今しかない、と。―――絶対終わらせよう」

「はい。……この命を懸けて」

「…………」

 

 

ジークは2人の決意を確認すると、カップを掲げた。

 

 

 

「勇敢なる戦士たちよ。ここで終止符を。呪われた歴史に終止符を打ち、使命を全うしよう」

 

 

ジークが掲げたカップに合わせて、他の皆も同じ様に差し出した。

 

 

 

そして―――決戦はそのすぐ後の事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日前――

 

 

「本日、全ての準備が整った。―――2日後、ウォールマリア奪還作戦を決行する」

 

 

エルヴィンが高らかに宣言した。

ロッドレイスからの情報、そしてエレンの記憶……父親グリシャの秘密。

全てがシガンシナ区の彼の家にある。

そして十中八九、その場所が決戦になるだろう。巨人たちとの。

 

 

「オレがぱーーっといって、だーーーっと回収出来たらそれが良いんだけどなぁ……、あの街の事、そこまで詳しい訳じゃないし、地図とか詳細になるもん全部なくなってるし。時間がなぁ……」

「いや、そもそも却下だから。アキラが行ったら、巨人も蹴散らすかもしれないけど、街諸共壊滅させかねないし」

「アホか。いくら何でもそんな事せんわ」

 

 

壁内最強にして最大、切り札のアキラの扱いは最重要事項。

なので、安易な行動は禁止されている。そもそもアキラ自身の力の使い過ぎ、力に酔う、と言った形態の調査もしきれていない。

シガンシナまで向かう時間、戦闘時間、それらを考えたら不確定要素が多すぎる、と言う理由もある。何よりその単独行動を許さない者が非常に多い、と言うのが本当の意味だったりする。

 

 

 

「おいエルヴィン。何笑ってやがる?」

「……ああ。リヴァイ。そうか、私は今笑っているか」

 

 

 

そんな時だ。

リヴァイの声が聞こえてきたのは。

 

そして皆がエルヴィンの方に注目する。リヴァイが言う様に、確かにエルヴィンは笑っていた。子供の様に笑っていた。

 

 

「それ以外にその面をどう表現すりゃ良いか、オレの学じゃ無理だ。馬鹿みてぇな笑みだよ」

「リヴァイに同感。なに? エルヴィン。遠足行く前日って気分か? ああ、祭り前の子供もあんな感じだよなぁ」

 

 

リヴァイに続いてアキラもエルヴィンの顔を見てそう付け加えた。

エルヴィンの笑顔なんて結構久しぶりだったから。

 

 

「祭り……言い得て妙だな」

 

 

 

ここ数日……数か月。巨人の数をある程度減らす仕事以外に奔走していたエルヴィン。ロッドレイスの事やら憲兵団の事、王政へのクーデターの後始末、兎に角目が回る程の仕事量だった筈だ。それを全て涼しい顔で熟していたエルヴィン。ここへきて精神が緩んだのだろうか。

 

 

 

「―――まぁ、笑顔にもなるさ」

 

 

 

エルヴィンはそういった。

全員の眼を見ながら。

 

 

「この世の真実が徐々に明らかになっていく。そしてその集大成がエレンの家の地下室にある。その瞬間に立ち会えるのだからな。それを夢見て―――調査兵団に入ったんだ」

 

 

童心に帰るとはこの事なのだろう。

エルヴィンの笑顔はまるで輝いている様だった。

 

それに呆れる者が居たりつられて笑う者が居たり……。

 

 

「んじゃ、今日はパ―――っと前祝だな。エルヴィン。……なーんも心配いらねぇ。お前さんがGOサイン出した時点でもう結末は決まってるってなもんだ」

 

 

ぐぐぐぐ、とアキラはエルヴィンのような笑顔で、拳を握りしめた。

 

 

「邪魔する外の余計な巨人(奴ら)はオレに任せろ。……だから、色々ややこしい方は任せるぜ」

 

 

笑顔で言い切るアキラに対して、二つの手刀(チョップ)が落ちる。

 

 

「いてっっ」

「「単独行動禁止!」」

 

 

ペトラ&イルゼの二人組、である。

因みにアニは視線で訴えるかの様に目を細めていた。

 

何かを仕掛けてくるのは明白。そしてそんな簡単な相手じゃない事も解っている。

同郷者としてある程度の情はまだ残っているが……アニ自身は自分の選択を後悔していない。

 

これしか無い。これが最善。……父親を助ける為にも、これしか道はないんだ。

 

 

 

 

「あっはっはっは。全部片が付いたら、今度はアキラ未来計画も進めないといけないよね~~」

 

 

 

 

次にハンジから陽気な声が飛ぶ。

 

 

「あん? 未来計画? なんだそりゃ初耳だぞ?」

 

 

ゲシゲシッ! と攻撃を受けつつハンジの方を見るアキラ。

ハンジの言葉を聞いて……ペトラやイルゼは手を止めた。

 

何故なら、彼女たちは知っている、聞かされているから。そのとんでもない計画の内容を―――。

 

 

「あれ? 言ってなかったけ? アキラ程の優秀な存在を今代だけで終わらせる~なんて出来る訳ないでしょ? だから、アキラには全部終わった後沢山頑張ってもらって――――子宝を未来に残してもらいたい、って計画」

「………はい?」

 

 

一瞬、何を言っているのかわからなくなるのはアキラ。

いや、言っている意味は解る。それもそうだ。優秀な遺伝子を後世に残したい~なんて話はある種ベタな話だ。なんの意外性もない。

 

ただ、アキラが思うのは、この力は遺伝とかそういうものではなく、超常的な存在が齎しただけに過ぎないから、人類の繁栄、繁殖だけでそれが受け継がれるようなものじゃないのだ。(アキラ想像)

 

 

「だから例外的にアキラには一夫多妻制で言ってもらって、勿論無理矢理はアキラ自身が頷かないから希望者だけを募ってさ? 外の脅威が去った後なら色々領土も広がって潤う。うん。結果、見事にアキラの子を成した子たちが出てきたら、それに応じて褒章を――――むぎゅっっ」

「ちょ~~~~~っと一端黙ろうか? クソ眼鏡」

 

 

エルヴィンのような笑顔―――とは言わない黒い笑顔でアキラはハンジの顔を掴んだ。アイアンクロー、と言うプロレス技だ。アキラが本気でやれば人間くらいの頭は普通にトマトみたいに潰れるので流石にそこまではしないが、それは今後のハンジの態度次第。

 

 

「お? 散々働かせた後は人の事種馬扱いか? お? 兵器扱いの次はコレかコラ。そもそもオレを何だと思ってたんだ??」

「やだなぁ。アキラ。親友だって思ってるよ? それにハーレムってヤツだ。世の男の子なら喜びそうなシチュじゃない? 気に入るって思ったんだけどねぇ~」

「ほほう。そんで本心は?」

「色々慌てるアキラみて楽しめるし、何なら色々と研究も出来るかもだし、巨人が居なくなった後の世界の楽しみが増えるじゃん」

「よーし。残念無念だハンジ。お前さんはエルヴィンが夢見る世界にはいけねぇよ。一先ず先に退場してろ。『見事に心臓を捧げた男、メガネ』って墓には刻んどいてやるから―――おうっ!!?」

 

 

 

「ちょっとアキラ落ち着こう? ね?」

「そうそう。まぁ、ハンジさんの言う事も解るし、今後の人類の為にもなるんだし。ね? ね?」

 

 

ハンジの命脈を絶とうか否か(笑)! な寸前にがっちりとホールドするペトラ&イルゼ。

 

色々とライバル関係だった。

どう頑張れば未来にたどり着けるか、本当に未知数だった。

 

 

でも、この未来なら――――。

 

 

どうしても独占したい欲と言うモノは存在している。

それはそうだ。好きな人には自分だけを見ていてほしいんだ。当然の事だ。王政じゃあるまいし、市政間では一夫多妻なんて制度は無い。あまりに馴染みのない制度で絶対馴染まないとも思っていたが、相手が規格外であればある程度の納得……妥協点と言うモノが見えると言うモノ。

何より、色々と言い訳も出来ると言うものだ。

 

 

「それは随分面白そうな話だね……」

「えええ!! アニも乗り気だったりするの!?」

「……一番縁のない話題だと思ってたんだが」

 

 

にやっ、と笑うアニを見て驚きを隠せれないのはアルミンとエレン。

それはそうだ。アニと言えば強烈無比な蹴り・蹴り・蹴り。三度の飯より蹴り! である。そんな女がそんな欲を持つなんて……と意外過ぎるのだ。

 

 

だが、そんな2人に対して逆に呆れた目を向けるのはジャンである。

 

 

「いやいや、お前らの眼は節穴か? アキラ教官を見るアニの眼、全然違うじゃねぇかよ。まぁガキなお前らじゃ無理もねーか」

 

 

アニの好意的な眼は傍から見ても明らか。

あまりにも好意を寄せるメンツが多いので、どう突破しようか? と猛獣の様に詰め寄ろうとした所も見ている。

 

 

「……因みに、エレンはダメだから。絶対」

「ああ? 何がだよ」

「……教官と同じ事するの禁止。一夫多妻なんて認めない」

「なんでお前に認められなきゃいけねぇ―――って思うが、そもそもオレには無理だそんなもん。1人で十分っつーか、1人でも難しいくらいだ」

 

 

親を亡くし、全てを亡くし、もう自分には復讐しかないと思っていたエレン。巨人を一匹残らず駆逐する事しか頭に無かった。命の最後の最後まで、その使命を全うしようと思っていたのだが、……母親が生きていた事実を知って考え方を改めた。

 

生きたい……と前よりも強く想う様になった。未来の姿を希う様になった。

 

でも、それでも……中々普段の性格までは変えれない様で、ミカサに言われた事を頭の中でイメージしてみたが、どうにもならない。

 

 

「ひょっとしてひょっとすると、教官の子が出来たら、物凄い褒章が出る、とか?」

「あ? なんだサシャ。お前も興味津々なのか?」

「そりゃそーでしょ! 褒章ですよ褒章! 土地をもらえたりなんなり、って考えたら色々貰えるモノがたくさん想像出来て………」

 

 

じゅるり……と、涎を垂らすのはサシャ。

見事、子を成した暁に土地を貰い、そこで農業や牧場、養豚場、酪農家、酪農場……などなどイメージ。

そして並ぶ豪勢な食卓。一生食うに困らない光景。

 

 

「きょうかーーーん!! はいはいはーーーい!」

 

 

 

サシャが飛び込もうとしたが……、そこは皆が何とか止めた。

最初こそはハンジに対して攻勢に出てたアキラだったが、覇気ある女性陣に囲まれて速攻で劣勢になってしまっていて、これ以上は何だか可哀想だ、と思った教官想いな生徒たちのファインプレイである。

 

 

「…………」

「くりす……、いや、ヒストリアはダメだからな? オレのだ」

「何も言ってないから」

 

 

 

 

更には女王に即位する予定であるクリスタ改め、ヒストリアまで参戦の兆しを見せていたので、そこはヒストリア信者なユミルが止めた。

 

 

 

 

 

 

――――決戦まであと少し。

 

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