その昔、能力者狩りから逃れて陸地から離れた小島に住み着いた一族があった。彼らは島に結界を張り、周囲から気配を消すことで繁栄した。彼らは自分たちを守り、そしてこの場所へと導いてくれた男に尊敬の意を込めて島を『リンガート』と呼ぶ。
「……それがこの村の始まり?」
「そうじゃ。結界は強固な物で、一度も崩れたことがない。」
村のみんなが幸せそうに暮らすことができているのがその証拠だろう。それにしても、昔に張られた結界がいまだに崩れたことがないとなると、どれだけリンガートの能力が強大だったのか想像できない。
「時にシリウス、頬の模様が気になったことはないか。」
「あるよ、前までみんなにあるとおもってた。」
「その模様はじゃな、グランディアの者だけに表れるのじゃ。リンガートの力量に近いほど濃く、な。」
「へぇ……じゃあ、僕もリンガートみたいな凄い能力が使えるの?」
「努力次第じゃ。」
僕の一家は件のリンガートの血を引いていて、みな頬に模様がある。中でも僕の模様が一番濃く、はっきりとしている。深く考えたことは無かったが、話を聞いて自分の力に少し期待をしてしまった。というのも能力の顕現にのタイミングは個人差があり僕は未だに使えるようにならない。いくら強くたって宝の持ち腐れだ。
「おにーちゃん見ーっけ?」
僕の思考を遮り、ライラが駆け寄ってくる。見つけたものは逃がさないという彼女の信条に逆らうのは時間の無駄だ。
ばばさまには申し訳ないが、引き上げるとしよう。
「今日は時間切れみたいだ。またくるよ、ばばさま。」
「いつでも来るがよい。こんどはライラも連れてな。」
「そうするよ。」
ばばさまに微笑み、髪を夕焼け色に染めた彼女と帰路についた。
「またお話聞いてたの?」
「うん。僕の力を目覚めさせるためのヒントを貰うためにね。」
「ふーん。」
なんだかはぐらかされているような気分。彼女らしくないしゃべり方だ。
「ライラ……なにか悪いものでも食べた?いつもとなんか違うけど……」
「……お兄ちゃんはさ、能力が使えるようになるまでどうしているつもり?」
「どうって……努力してなんとかできるものじゃないから普通に生活するけど……」
「もし危なくなって戦わなきゃならなくなった時は?」
「……うーん、どうしようか。考えたこともないや。」
「じゃあさ、お兄ちゃんの力が使えるようになるまで、私がお兄ちゃんを守ってあげるっていうのはどう?」
「気遣いありがとう、ライラ。でも僕が守ってもらってるんじゃ、兄として恥ずかしいよ。」
「いーの!私が守りたいから守るの!だけどそのかわりに、お兄ちゃんの能力が使えるようになったら私やお母さん達を絶対に守ってよね!」
ここまで真剣な彼女は見たことがない。足踏みを続ける僕の背中を彼女は押してくれているのだ。その気迫と期待に気圧され、僕は首を縦に振るしかなかった。
稚拙過ぎる文章でごめんなさい。努力します。