救世主になりたい男の顛末   作:愛・茶

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序章~救出~

 西の街から離れた場所に、それはあった。

 

 壁にはひびが走り、よくわからない植物のツルが建物に張り付いていて、古代遺跡か、と言われれば納得できるほど荒れ果てていた。とてもここに人が住んでいるとは思えない。

 

 しかし、中では声が響いていた。何故ならここは――――暴力団・ジェラードのアジトだからだ。街の自警団とは違い、不法なやり取りをしている、いわばヤクザのような連中である。

 ひとつの部屋に数人居るのが見える。部屋はさほど広くない。その奥に綺麗に整頓された机があり、そこに一人の男が座っていた。恐らくジェラードのリーダーのような男だろう。

 

 

「ボス、連れてきやしたぜ」

 

「ああ」

 

 

 ボスと呼ばれた男は無愛想に返事をする。手下であろう人物が部屋の中に一人の女性を連れてくる。そこには複数人の手下がいた。部屋の奥にある椅子を守るように、しかしまばらに立っていた。

 

 

「ほう・・・・、なかなかいい女だな」

 

「これがあの『改革者《ミヤムラアキト》』の仲間・・・・・?」

 

 

 奥の椅子に近い男がそう口をついた。

 そこに連れてこられた女性は、青い髪をしていたが、目に瘴気がなかった。

 

 

―――――如月葵。

 

 

 皆、彼女の容姿に見蕩れていた。それは好意ではない。興味だった。

 

 葵はボスを睨んでいたが、彼女の眼力では誰も怯むことはなかった。部屋の奥まで連れて行かれ、目の前での対面を果たす。

 

 

「情報はあってんだろうな?」

 

「はい、間違いはねぇです」

 

 

 今度はボスが葵を睨む。今にも人一人を殺しそうな瞳。そして、何を思ったか彼女の服にてを伸ばした。胸ぐらを掴む、のではなく、服を破こうとしていた。

 

 

「あぁ!?んだこの服・・・?」

 

 

 ボスはやたら頑丈な服に戸惑っていた。手下たちもいつもの行動だと思い、見守っていたが様子がおかしいことに気づく。

 無理もない。何せ彼女はブレザーを着ているのだ。そして、ボスが掴んでいるのはそのブレザーだった。意外に硬いものだ。

 

 

「・・・・・チッ・・・・・!!」

 

 

 そう舌打ちを漏らす。思い通りにならなかったことへの苛立ちだった。

 

 

「おい・・・・テメェら」

 

 

 ボスが指を軽く鳴らすと、周りにいた手下たちが葵の腕をロープで縛る。電光石火とはこのことだろう。まるで事前に打ち合わせでもしていたかのように、手馴れた動作だった。

 

 

「ボス、こいつどうしやす?」

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 葵は微動だにしなかった。まるで何も恐れていないような、それでいて何かを信じているような、そんな瞳をしていた。瘴気のない目をしているが。

 

 ボスはそんな彼女に不安がよぎったが―――。

 

 

 

「フッ・・・・・その態度は気に入ったぜ?」

 

 

 

 まるで新しい『おもちゃ』をもらった殺人鬼のような笑顔を浮かべる。彼女にもう一度手を伸ばす、今度は胸ぐらをつかんだ。

 

 

 

「俺はァそういう人間を失意のそこに叩き落とすのが好きなんだ」

 

 

 

 そう告げた後、服を今度こそ引きちぎる。中はカッターシャツなため、比較的安易に破くことができた。

 

 

 

 

「「「「「――――っ!!」」」」」

 

 

 

 

 その場にいた全員が絶句した。破れた服から覗く、白く滑らかな肌。二つの膨らんだ乳房がつくる谷間。彼女の胸は『巨乳』とまではいかないものの、それなりに膨らみはある。

 

 確かにそんなものを見てしまえば、絶句とまではいかないが、見蕩れることはある。

 

 

 

「・・・・・お、おい・・・・どうなってんだ・・・・?」

 

 

 

 しかし、彼らはそんなことなどどうでもよかった。

 

 それもそのはず、彼女の胸のあたりには、円柱のようなものが突き出ていたのだから。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 葵自身、心底驚いていた。わけではなかった。むしろ驚いていることに疑問を持っていた。

 

 それが当たり前なのだと言わんばかりに――――。

 

 周りがざわついた。この人間は何なのか。そういう魔術かなにかなのか。それとも偽物なのか。色々な疑問が飛び交う中で、一人冷静な男がいた。

 

 

 ――――ボスだ。

 

 

 しかし驚いていないかと言われれば、嘘になる。だが、驚いたところで何もならないと分かっている。ならば、と策を巡らせた。

 

 

「テメェは何もんだ?」

 

 

 当然ながら葵は黙秘した。答えられない事情があるわけではない。ただ、答えたくないのだ。

 

 

 

「いいぜぇ・・・・・・。その黙秘を覆させるのもまた一興・・・・」

 

 

 

 そう言って指を二回鳴らすと、手下たちが彼女をどこかへ連れて行った。そして、この部屋には、ボス以外の手下は出て行く。

 

 

 

「さて、アイツらはどうするかな・・・・?」

 

 

 

 薄ら笑みを浮かべながら、ボスはポケットから葉巻を取り出し、口にくわえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わって、西の街。

 

 今日も賑わいを見せている商店街。食材を売っているところもあれば、武具や防具を売っているところもある。

 そしてその場所には人で溢れかえっている。そんな場所から少し離れた場所に人通りの少ない街の一角に一つの暗幕がかかった店がある。看板には不可解な文字で『占い』と書かれている。

 

 

 

「何だい?疑ったことに謝罪がいるなら、今すぐにでも謝るけど?」

 

 

 

 赤を基調とした服に身を纏い、赤い髪を後ろで一つ結びにしたポニーテール。

 

 呪術師ミケは、目の前に佇む男にそう言った。

 

 

「謝罪はいらねぇ、けど力を貸して欲しい」

 

 

 学ランの前を全開けにして腕捲くり、金髪に染めているにも関わらず不良感ゼロ。

 異能力者宮村明敏は、真剣な趣で告げる。葵がジェラードという暴力団に捕まったこと、彼女を助けるには一人では難しいこと、そして呪術が魔法より優れているという事を理解していることを。

 

 

「お前なら、大人数を相手取ることができるだろ?」

 

「見くびらないでくれる?アタシは呪術は得意でも、武術は苦手なの」

 

 

 そんなことは明敏自身よくわかっている。何故なら一度戦った時、動きを読む事ができたのだから。並みの喧嘩をしたことがある明敏にも避け切れる攻撃なのだ。戦闘が不得手なのは一目瞭然だった。

 

 

「それでもいい、ただ相手の注意を逸らすだけでいいんだ」

 

 

 あとは俺が何とかする、そう補足した。ミケは怪訝な顔をした。無理もない、暴力団相手に注意を逸らしてくれなどと無理難題を押し付けてくるのだから。

 

 

「・・・・アンタ、怒ってんの・・・?」

 

 

 ミケは、明敏を自分の仇だと勘違いしたことに罪悪感が残っていた。見ず知らずの人間に、突然攻撃されて家族の仇だ、と言われたのだから怒りはしないものの少なからず思うところがあるだろう。しかし明敏は真剣な表情を崩さず言った。

 

 

「怒ってねぇ、怒るわけがねぇ。お前が勘違いしたのは、俺に異能力があったからだ。

 

 そして、その異能力が違うことを証明できなかったからだ」

 

 

 淡々と、しかし諭すように語るように一言一言に感情を込めて言う。

 

 

 

「だから、気にしてねぇから、俺に、お前の力を貸してくれ」

 

 

 正義の味方が誰かに頼るのはいけないことかも知れない。救世主たる者、常に誰かを救わなければいけない。

 

 そんなことは明敏自身痛いほどわかっている。しかし、例え虫に土下座をしようとも、奴隷に成り下がろうとも、国家の犬になって蔑まれようとも、助けたい人、守りたいもの、愛した人を守るためならば魂を引き換えにしてでも助ける。

 

 宮村明敏とはそういう人間だった。

 

 そっと手を差し伸べる。それは能力を使うわけじゃない。触れたいからじゃない。

 それは誰かがしてくれた、誰かが変えてくれた、誰かが見せてくれた、疑いという感情を跳ね除けた、明敏が唯一拒絶した行動。しかし、今の彼ならばそれを誰かに伝えることができる。今の彼ならば、『触れる』という思い込みは変えられるのだから。

 

 

 

「・・・・・・・・わかった、力を貸してあげる

 

 ・・・・・・救世主《ヒーロー》・・・」

 

 

 

「―――――っ!!」

 

 

 明敏はその言葉に歓喜余るものがあった。しかし、そんなことをしている場合じゃない、と気持ちを切り替えミケの手を掴む。力は発動しない。明敏の手は頼もしいものに思えたのだろう。ミケは強く握り返した。

 

 

「場所はわかってんの?」

 

「ああ、勿論だ。歩いてそう遠くはねぇ」

 

「は?何言ってんの!?十キロあるのよ!?十キロ!!」

 

 

 ミケは驚いていた。てっきり馬車か何かで行くのかと思っていたが、予想外にも程がある。十キロを徒歩で行こうというのだから。

 

 だが明敏にとってその驚きは分からなかった。彼には融解《フィーリング》がある。足の速い動物か、鳥になれば十キロなどそう遠くはないのだ。

 

 

「・・・・おう・・・・わかってらぁ、十キロだろ?

 全力で飛ばせばすぐじゃねぇか」

 

「はぁ!!?一キロ千メートルなの!!分かってる!?」

 

「一般教育ぐらい終わってるっつーの」

 

 

 そう言いながら、明敏は手をクロスさせるように左手を掴む。

 

 

 

 

「染色体X《クロス・フィーリング》」

 

 

 

 

 恐らく相手が理解していないと判断したのだろう。見せたほうが早いと踏んだ彼は能力を発動する。

 

 光に包まれた彼の体は、人の形から外れてゆく。

 硬いウロコに覆われた皮膚、鋭く尖った爪、鋭い牙、太く長い尻尾、背中には大きな翼。まさにドラゴンだった。

 

 しかし彼の場合、ドラゴンでも人間でもないのだろう。

 

 

 

「―――――っ」

 

 

 ミケは目の前で起こる現実に絶句していた。確かに目に映ったのは人だった。しかし光に包まれた瞬間、その姿は異様なものに変わっていた。

 

 

―――――化物

 

 

 そう口をつこうとしたが躊躇った。こんな言葉を自分が言うべきではない。自分も魔法ではなく呪術というものを持っているのだから。奇形なのはお互い様なのだから、と。

 

 

「これ、触れたことがあるやつじゃねぇと使えねぇのかな・・・・」

 

 

 自分の手を、体を見ながら明敏は呟く。確かにこの姿は、以前貴族の祭典にいたドラゴンと同じものだった。

 種類が小さいものだったとは言え、ドラゴンなのには変わりない。背中の翼は力強く、その存在感があふれていた。

 

 

「よしっ!それじゃ行くぞ!!」

 

「え?・・・あ、・・・・ああ、わかった・・・けど、どこに掴まればいいわけ?」

 

 

 明敏の言葉で我に返ったミケは、形の変わった彼の触れる場所を探っていた。しかしあたふたと戸惑っている彼女を見た明敏は、大仰に体を抱える。

 

 

「え?ちょ―――――」

 

「しっかり掴んどいてやっから、暴れんなよっ!!!」

 

 

 そう叫ぶ明敏は、大きく屈んで翼を広げる。

 

 

 

 そして、大きく跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西の街から少し離れた場所。暴力団ジェラードのアジト前。

 

 

 

 

 

―――――キャアァァアアアァァァァァァァァァアアアア

 

 

 

 

 どこからかそんな女性の叫び声が響いた。それは上空からだった。

 

 鳥―――――否、明敏だった。一人の少女を抱え、トップスピードで急降下していた。

 

 

 

(ちと我慢してろよ・・・・!!!)

 

 

 

 そんな思いは少女には伝わるはずはなかった。しかし彼の思ったとおり数秒後には、地面に着地していた。まるで地上に舞い降りるように、急ブレーキをかけゆっくりと地に足をつけた。

 

 

 

「・・・・・・・・は・・・・・あ・・・・あ・・・・・」

 

 

 恐怖からか、抱えられていた少女ミケは地上に足をつけるなり腰が抜けたように座り込んだ。

 

 

「へこたれてる暇はねぇぜ」

 

「誰のせいよっ!誰のっ!!」

 

 

 覚束無い足で立ち上がるミケ。内心鬼だ、と思ったが明敏の言い分も、あながち間違ってはいなかった。

 何故なら、ミケの叫び声によってアジト内は警戒態勢に入ってしまったからだ。所々にある窓からチラホラとジェラードの一員であろう人物が見えていた。

 

 

「敵が来る・・・!!準備はいいか?」

 

「・・・・・・なんとか」

 

 

 頼りない返事だった。しかし明敏にはそれでも良かった。

 

 

「信じてるからな」

 

 

 唐突にそう伝えた。例え相手の注意を引くだけであろうと、信じる理由になる。お人好しだと言われるかもしれない。しかし明敏はそれでも良かった。

 

 ミケは彼のその言葉に何かを感じ取ったのだろう、気を引き締めるように背筋を伸ばし、しっかりと地を踏みしめた。そして明敏の前に出て、自らの掌に赤とも紫とも取れない、恨みに染まった炎を纏わせる。

 

 

「ミヤムラアキトだっけ?」

 

「?」

 

 

 突然、振り向きもせずミケが名前を呼ぶ。意図が読めず、彼女の言葉に耳を傾ける。

 

 

「信じてるなら、後で何かおごってよ?」

 

 

 ミケの声音は嬉しそうだった。明敏は当たり前だ、と言わんばかりに口の端を上げて答える。

 

 

「勿論!どんな要求でも聞いてやる!!」

 

 

 その言葉を皮切りにミケがアジトの中へ走り出した。明敏はというと、その場に屈み空へ飛び上がる。理由は至極簡単だ。

 

 

(ミケ、しっかり注意引いてくれよ!!)

 

 

 アジトの真上に浮遊し狙いを定める。恐らくこの辺りだろうと決めた後、大きく跳躍し、急降下する。足を突き出し、衝撃に備える。

 

 

 

 そして――――――――――アジトの天井を突き破った。

 

 

 

 激しい轟音と突然現れた人影に、建物内は半ばパニックに陥っていた。そこで明敏が颯爽と立ちはだかれば格好良かったのだが、勢いを殺しきれず、さらに床を突き破り下の階へと落ちていった。

 

 

「やっべ!!!」

 

 

 翼を広げ、勢いを殺すことができたが、後の祭りだった。華麗に着地した明敏は、しまった、と思いつつ周りを確認する。そこには複数人の男が一箇所に集まっていた。

 

 怪訝に思ったが引き返そうと、自分で突き破った天井に目を向ける。そのまま穴に手をかけ上がってしまえばよかったのだが、明敏は一箇所に集まっている男達に視線を向けた。

 

 

―――――お、おいなんだアイツ・・・

 

―――――天井突き破ってきやがった!!

 

―――――まさか、コイツ『改革者』か・・・?

 

 

 特に気に障る発言をしているわけではない。化物と言われたとしても気にする必用など今の明敏には無い。

 

 しかし、何気なしに視線を向けた先には、何か気になるものが見えた。だが、よく見えなかったため近づくことにした。

 すると次第に男たちの顔が曇っていく。それはドラゴンと人間の混合体である明敏の姿が気味悪かったわけではなさそうだった。何か見られてはいけないものを見つかったかのようだった。

 

 

「おい!!あいつを止めろ!!!」

 

 

 そう一人が言うと二人ほどの男が明敏に立ち向かっていく。

 

 

「邪魔だっ!!」

 

 

 明敏は男たちを蹴り一つで薙ぎ払う。近くの窓が割れた音がしたが気にもとめずに近づく。次第に男たちの後ろのものが見えてくる。

 

 

(人・・・・・か?)

 

 

 誰かが捕まっているのかもしれない、もしそうだとしても明敏は助けるだろう。つまりこの足は止まることはない。

 残り三人程暴力団員がいた。しかし恐れることなく進んでゆく明敏に男たちは恐怖を覚えた。一体彼は何者なのか、と。人間を一蹴する人間、否。

 

 

「化物がっ!!!!」

 

 

 一人が突っ込んでいくのを他の団員はただ見ていた。

 明敏はそんな男に一切怯むことなく、突っ込んでくる勢いを利用して懐に拳を叩き込んだ。

 

 

「―――――ぐふっ!!」

 

 

 断末魔の叫び、とは違うがうめき声を上げその場に倒れこんだ。明敏自身手加減をしているため、死ぬことはない。

 団員の一人が倒れたのを見たことで、その場に尻餅をつく者が現れる。だが、その恐怖がまだ序の口だということに団員たちは知る由もなかった。

 

 

「―――――っ!!・・・・あ・・・・ああ・・・」

 

 

 明敏は目の前の光景に体が停止――するよりも先に動いていた。何故ならその光

景にはよく見知った人間がいたからだ。

 

 

「―――葵!!!!」

 

 青い髪を携え、瘴気のない目をした少女。如月葵の姿があった。しかし、いつもとは違う様相をしていた。

 天井に吊るされた鎖に両腕を拘束され、常につま先立ちにされていた。それだけならば、まだ良かった。

 

 

 ―――だが現実は違う。

 

 

 服は傷つき、ボロボロの状態で、きめ細やかな肌にはムチのようなもので叩かれたあとや、鋭利なもので切ったような傷が目立っていた。致命傷になるほどの傷は多くないものの、明敏の目に映ったものは、明らかに彼の中の何かを断ち切った。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「・・・・・・あ・・・・き・・・?」

 

 

 か細い声でそう言った葵に明敏は、自身の爪で鎖を断ち切る。自由の身になった葵は力なく明敏に寄りかかる。

 

 

「・・・・葵、歩けるか?」

 

 

 努めて囁くように訊いた。彼女は多分、と弱々しく答える。

 

 

「じゃあここで待ってろ、すぐ迎えに行く」

 

 

 しかし彼女は疲れ果てたのか、安心したのか明敏の胸の中で目を閉じた。そっと葵を床に寝かし、残っていた団員に視線を向けた。

 

 

 

「・・・・・お前ェら、葵に下手な真似してみろ」

 

 

 

 彼の顔は怒りに満ちていた。まるで人一人殺しかねないほど、下手をすると彼のよく言っていた『世界を変える』という言葉を今すぐにでも実行しかねないほどに憤りを見せていた。

 

 

 

 

 

「・・・・全員・・・・・ぶち殺してやっからな」

 

 

 

 この場の誰一人、明敏の言葉を否定する者も、覆す者もいなかった。

 それだけ言い残すと、明敏は天井に開いた穴に手をかけて上へあがる。その場に残された団員は誰一人動くことはなかった。

 




あまりにも長くなりすぎたので

2話に分けました


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