「羅美亜・・・・それ・・・何?」
私は、しばらく外出していた羅美亜に対して質問を投げかけた。聞いても答えてくれる保証があるとは思えないが、この質問には答えるだろうとおもっていた。確信はある。何故なら彼女の隣には、人が居たのだ。
「これかい?さっきそこで拾ったのさね」
「拾ったって、犬じゃないんだから!!」
短い赤い髪に、鋭い目つき。身体つきを見ると女性のようだ。いや、この場合は雌だろうか。
ニャルタ族。
見た目は人間なのだが、身体能力は猫のそれと同義な種族。聴覚や嗅覚も猫にも劣らないほど鋭く、群れを好まない。まさに猫を擬人化したような種族なのだ。いわば獣人だ。見た目も獣人なだけあって、獣耳と尻尾があるのが特徴。
私達が住む世界にはこうした『人ならざるもの』が多く生息している。もちろん、差別や弊害もある。それは、世の中の常だし、その考えは分からなくもない。が、私はそういうことに対しての嫌悪感は持たない主義だ。
「で、どうするの?その娘」
私は改めて彼女の連れて来た娘を見る。
見たところ、嫌々連れて来られたわけではねさそうだ。大人しく羅美亜の隣で辺りを見回している。
「飼育好きかい?」
「ペットみたいに言わないで!!」
「だけどねぇ・・・この子はあんたに惚れたみたいさね」
「え・・・?」
獣人の娘を見てみると、私の目を一点に見つめて離さなかった。まるで、獲物を狙う狩人のように挙動を伺っていた。
「ちょ、ちょっと待って・・・私は餌じゃないわよ?」
そう言ってなだめようとしてみたが、意味がなさそうだ。体を横にずらしても、視線は私を捉えて離さないでいる。まさに、取って食われるのではないだろうか、と思ったその時、
「!!!」
彼女は、私目掛けて地面を勢い良く蹴り上げた。さすがは獣人、と言わざるを得ないほどのすぴーで、お互いの距離を急速に縮める。やばい、殺される。そんな状況だというのに、羅美亜は薄ら笑みを浮かべたまま、こちらを観察していた。
なんて甲斐性がない使い魔なんだ、そんなことを考えていると、獣人は餌に食らいつくように大きく手を広げ、私の身体を掴んだ。もう、一環の終わりだ、そう覚悟を決め強く目をつむった。今頃、綺麗な鮮血を撒き散らしながら私は死の淵を彷徨うのだろう。まだ、やり残したことが一杯あったのに、などと思っていると、私の身体を何か柔らかいものが包んだ。
「・・・?」
恐る恐るつむった目を開ける。すると、そこには獣人の彼女が近くにあった。
「我、汝惚レタ」
いや、私の身体に密着していた。そう、彼女は私に抱きついてきたのだ。何気に首筋の匂いを嗅いでいるし、頭を優しく撫でてくれてる。腰も力強く抱いてるし、妙に包容力もある。なんだか、全て委ねてもいい・・・かも・・・・
「ってダメダメ!!私達は女の子同士なんだから!」
私は強く抱きしめる彼女を突っぱねて距離を置く。危うく間違いを起こすところだった。いや、起きないよ?女の子同士だし。
「我使命、汝ノ奉仕」
獣人の彼女は私の手を取り、甲に口ずけをする。さながら、紳士のように。
「我名、薔薇《ローズ》」
「良かったじゃないかい、新しい下僕ができて」
確かに、死の淵に立たされていた主人を放ってる使い魔よりも、従順なのかもしれない。
私の貞操が危うくなりそうだけど・・・・あれ、上手く笑えないなぁ・・・
こうして、ローズが私達の仲間になった。