救世主になりたい男の顛末   作:愛・茶

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番外章~問題児~

――――――ニャルタ族のローズ。

 彼女は、目つきが鋭いだけあって、戦士だった。見た目はあまり関係ないが、

 

羅美亜に拾われ――――連れて来られるまでは、一応傭兵として仕事をして

 

いたそうだ。

 そんな彼女の武器は――――

 

「・・・ハンマー?」

 

「我、装備」

 

 手袋から垂れる鎖の先には、スイカよりもデカイ鉄球が付いていた。重さも見

 

た目に相反して軽いわけもないだろう。きっと、あれで殴られれば一溜まりもな

 

いに違いない。

 

「重くないの?」

 

「愚問、調教済ミ」

 

「いや、そこは訓練でいいと思うよ?」

 

 それもそうか、ちゃんと訓練してないとこんな鉄球を振り回せるはずもないし。

 

「・・・・ギュッ・・・・」

 

「ローズ・・・お願いだから、後ろから抱きつかないで」

 

「・・・・ペロッ・・・」

 

「ひゃぅ!!み、耳も舐めない!!!」

 

「笑止!!」

 

「誰も笑わせるつもりはないよ!!?」

 

「・・・むにゅ・・・・」

 

「コラッ!へ、変なところ触らない!!!」

 

「・・・・・」

 

「こ、こらっ・・・ダメだって・・・ちょっ!ローズ!!」

 

 パパ、ママ、ごめんなさい。婚約相手を探す旅に出ておきながら、私は同性

 

に貞操を奪われそうです。

 

「心配不要、小味確認」

 

「そんな確認要らないから!!」

 

「あんたらがそれで会話できてんのが不思議でたまらないさね・・・」

 

「み、見てないで助けてよ!」

 

 はいはい、と呆れるように羅美亜は、私とローズを引き剥がそうと手をかざす・

 

・・ってちょっと待って、どうして手のひらに黒い球体を出現させて――――――

 

「さぁ、派手に避けな!?」

 

 それは、無音に近く、音速を越えるほど速度で私の頬の横を通って行った。

 

生まれてこの方、一度も感じたことのない感覚を今、この瞬間感じた。

 

「し・・・シヌカト・・・オモッタ・・・」

 

 歯がカチカチと音を立て、無意識に体が震えていた。自分の頬を、何度も震

 

える手で触り、無事な事を確認する。

 

「当たってたらどうす――――――」

 

 甲斐性のない使い魔に一喝入れようと、羅美亜の方に視線を合わせた。だ

 

が、私はその光景に言葉が詰まった。

 

「なんだい?その目は」

 

「不許、我主ノ敵」

 

 そこには、敵意剥き出しで睨み合う羅美亜とローズの姿があった。

 一方は鉄球を構え、臨戦態勢。

 一方は黒い球体を四、五個出現させ、完全に殺す気満々だった。

 どちらが劣勢かは見るまでもない。何せ、羅美亜の持つ異能力『破壊神《マ

 

ギノ・ブレイク》』は当たったものを無に変えるのだから、相討ちになる可能性は

 

ゼロだろう。

 

「ふっ・・・ニャン公風情が・・・・舐めんじゃないよ!!」

 

 何、その先公みたいな言い方・・・。

 

「全力行使!!」

 

 二人が勢い良く地面を蹴り上げ、距離を縮める。一体どちらが強いんだろう

 

。羅美亜は人間だけど、ローズはニャルタ族。身体能力的に見れば、ローズが

 

上かもしれない。だが、羅美亜の戦闘力を隠しているのかもしれない。これは

 

見逃せな――――って、これって・・・まさか!!

 

「ちょっと待って二人とも!!ここ宿屋だから!管理人に怒られ――――」

 

「お姫様、あんたにしちゃつまらない冗談さね!!」

 

「笑止」

 

「だから誰も笑わせてないってばぁぁぁあああ!!!」

 

 

 

 勿論、この後管理人に怒られ、追い出されたのは言うまでもない。

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