救世主になりたい男の顛末   作:愛・茶

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番外章~説教~

「はぁ~どうすんの?」

 

「何が?」

 

「何がじゃなくて・・・」

 

私は今、とある場所で、とある人物たちと、いや、この状況を作り出した張本人達と共に輝く夜空を眺めている。

いい眺め?そう思うのは筋違いだ。何せ

 

「今日の宿のことよ!!」

 

私達は、野宿をしているのだ。

 

「そうだったねぇ」

 

「呑気に空なんか眺めてるけどさ?

こうなったのは誰のせいだかわかってる?」

 

「いいじゃないかい、これも経験さね」

 

「いいように言わないで・・・」

 

ここ数日は野宿が続いている。その原因は言わずもがな。

羅美亜とローズだ。

「誰がベットを使うかで喧嘩して、誰がどの椅子に座るかで喧嘩して、最終的には誰が先に部屋を出るかで喧嘩してたよね?!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「過ぎたことは水に流さないかい?」

 

「面目無イ」

 

「はぁ・・・まるで大きな子供を目の前にしてるみたいよ・・・」

 

ため息交じりに愚痴をこぼす私に、頭を垂れるローズと、我関せずとそっぽを向く羅美亜。

ローズはわざとではないだろうと思えるが、羅美亜はそんなローズをからかっているように思える。

私に好意を寄せるローズの嫌がることをして暇でも潰しているのだろうか。だとすれば被害を被るのは避けたい。

 

「羅美亜って、暇なの?」

 

「そう見えるかい?」

 

「じゃなきゃこんなことしないでしょうに」

 

「そうさねぇ・・・暇といえば暇だねぇ。

仕事もないし?」

 

言われてみれば、羅美亜が突然いなくなることがない気がする。一時的なものだとは思うが、しかし、実際に居続けられると違和感を覚えてしまう。

 

「どうして仕事がないの?前は頻度は高かったのに?」

 

多い時で一日おきに仕事をしていた気がしたが。

 

「まぁ、今は大事な時期だからね・・・」

 

「え?大事なって?」

 

「いやいや、こっちの話さね」

 

羅美亜は遠い目をして話をはぐらかす。私もそれ以上踏み込めないと感じ、そこで話を断ち切る。

彼女に何かを質問したところで何も得られないことはわかっているのだ。

 

「はぁ・・・ここじゃ宿なんで見つかりそうにもないし、別の街に行こう?」

 

私がそう提案すると、

 

「東の街にでも行くかい?」

 

と、羅美亜が返答した。

東の街と言えば治安が悪いことで有名な場所だ。そんなところへわざわざ足を踏み入れるものなど居ないだろうに。

 

「え~?南にしようよ、暖かいし」

 

「いや、南も最近じゃ危ないからねぇ」

 

「でも東に比べると――――」

 

「知らないのかい?あの噂を」

 

「噂?」

 

何のことだろう。最近聞いた噂といえば、西の街にいる『改革者』ぐらいだ。今は、不在のようだけど。

 

「あぁ、南の街に出る悪魔さね」

 

「悪魔・・・って」

 

私は半ば呆れるように彼女の言葉を繰り返す。私自身、疑っているわけではないが、信憑性を感じなかった。

 

「全く・・・・信じてないね?まぁ無理もないさね、まだなんだからねぇ」

 

「まだ?どういう意味?」

 

「ん?あぁ・・・まだ目立ってないってことさね」

 

羅美亜の言う悪魔がどれ程の恐ろしいのかは分からないが、彼女が敬遠するくらいだ、たとえ噂といえど、避けて通る方が良さそうだ。

 

「わかった、じゃあ東の街ね?」

 

言うが早いか、私達は早速宿を求めて歩を進めた。

 

 

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