苦手な方はあとがきにて要約した説明を載せますので、そちらをご覧頂くことをおすすめします。
ちなみにどれくらい過激かといいますと・・・・・
運営から規制かかる覚悟で書きましたwww
目覚めた時から、そこは牢獄だった。
顔を上げれば鉄格子、下に向ければ冷たい土の床。横を向いても冷たい土の壁。少し視野を広げれば、私と同じ、両手に手錠をはめられた者たちがいる。獣人はもとより、人間や動物たちが収容されていた。
そして、その中には体の一部が欠落しているものがほとんどだった。腕や足、四肢の半分ほどないものもザラに居る。そんな者たちを見て『悲しさ』や『痛々しさ』を感じない程度に私は心が壊れていた。
どのくらい時間が経っただろう。もはや、時間の感覚も失せた私には、そんなことはどうでもよかった。
早くここを出たい。
帰りたい。
――――助かりたい。
舌を噛みちぎればいいだろうか。
手錠を使って首を締めればいいだろうか。
だめだ、もっと効率のいい方法があるはずだ。苦しむことなく、楽に死ねる方法が。
食事をとらなければいいだろうか。
いや、それは既に行っている。数日、私は何も食べていない。なのに私の体は衰弱どころか、エネルギーを消費しないように体が調節をしている。最早、この体はこういう環境に慣れ始めているのかもしれない。
皮肉だ。
脱出したいと思っているこの場所で、この環境で、体は適用しようとしているのだから。
成す術はないのだろうか。
こんな場所で、四肢を削られ、心をすり減らされ、最早生き物としての『機能』を無くされて死ぬしかないのだろうか。
――――それも悪くない。
そう思っている自分が、心のどこかに潜んでいるのもまた事実。
悲しいかな、心の壊れかけている私にはどれが一番いい選択なのか分からなくなりつつある。いっそ、壁に頭を打ち付けて出血多量で死ぬのもいいかも知れない。
脱出する時、わざと見つかって捕まるのもいいかも知れない。監守の一人や二人を殺せば『危険人物』扱いされ、殺される可能性もありうる。だが、私と同じことをして捕まり、見せしめとして公開処刑され、四肢を切断され『達磨』状態となって、今現在、私の牢獄の前で吊るされている。
そしてそれは幸か不幸か、『人間の女性』だった。
監守の性の捌け口として使われる毎日。一体、どういう処刑の仕方をすれば殺すことなく四肢を切断できるのだろうか。
もはや、私の目の前でぶら下がっている『彼女』には、社会的地位も人間としての、いや、生き物としての権利は剥奪されているだろう。
狂っている。
今も、捌け口に使われ、とても人間とは思えないような嬌声を上げる『彼女』。それを目の当たりにしてもなお、殺意や嫌悪感や羞恥心を感じない私も、もしかすると狂っているのかもしれない。
翌日。
私のいる牢獄に、一人の男性が収容された。私と同じ、ニャルタ族だった。名をタクス・サーヴェロ。そして偶然にも、住んでいた村まで同じだった。
私は奇妙な出会いもあるものだ、と彼を特別視していた。
「そっか・・・君も捕まってこんなとこに入れられたんだね・・・」
彼の目にはまだ、『生きる』という希望を抱いてた。まだ、目が死んでいなかった。私なんかとは違う、この世に抗うという強い意志を持っていた。私にはその瞳が魅力的に見えたのか、それとも、その強い『光』に感化されていただけなのかはわからないが、タクスという人物に心惹かれていた。
それからというものの、私は毎日、タクスと共に過ごす日々が続いた。といっても、同じ牢獄にいるのだからそれも当たり前なのだが、尽きることなく会話を楽しんでいた。
最初こそぎこちなく、ただ彼の話に素っ気なく相槌を打っているだけだったが、時が流れるうちに私にも目に光が灯してきたのか、二人の会話が明るく、楽しくなっていった。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
このまま永遠に共に時間を過ごせればいいのに。
そんな甘えが出るほどに、私の心の荒みも和らいでいるのかもしれない。
幾度となく月日が流れた。
とはいえ、日付の感覚もないこの牢獄での一日が外での一日と同じである保証はないが、私の体内時計では一ヶ月は経っていたある日のことだった。
「結婚しよう・・・・・クリス・・・」
彼からの突然の言葉。
私の心は浮かれ、踊り、柄にもなくはしゃいでいた。子供のように、監守に怒鳴られることも恐れずに、私はタクスと抱き合っていた。
キスもした。
見つめ合った。
お互いに求め合うように、キスを、何度も唇を重ねた。
楽しさより、嬉しさより、愛しさが優っていた。
きっと私はこの人と一つになるのだろう、直感でそう思った。
「・・・・タクス・・・」
「クリス・・・」
私達はお互いの名前を囁き合いながら、求めるものは同じだった。
この幸せが続けばいい。
例えこの地獄に居続けることになったとしても、これから地獄が待っていたとしても、きっと彼となら乗り越えられると思う。いや、乗り越えてみせる。何故なら、それが私の彼に対する想いの強さなのだから。
後日。
二人の仲も以前よりもより近づいていたある日。
私には『あの日』がやってきた。
生理だとか、妊娠だとかじゃない。
――――『招かれた』のだ。
このイーストキャンプは、不定期に収容された者たちをとある場所へ招く儀式のようなことがある。勿論、良い儀式ではない。
私のいるこの牢獄に体の一部が無いものがいると言ったが、その者達すべてが『招かれた』者たちなのだ。
そして、もうすぐ私もその一人となる。
だが、私にはタクスがいる。例え腕が無くなろうとも、足が無くなろうとも、彼だけは私を受け入れてくれる。例え、心が壊れたとしても、タクスは私を愛してくれる。そう思うだけで私の下向きな顔は上を向ける。
「さぁこい!囚人77番!」
また会おうね、そう言うような表情をしていたのだと思う。恋人に見せるような柔らかい表情。タクスもそれに倣うように優しげな表情を見せていたのだから。
「ようこそ、ニャルタ族のお嬢さん」
私が監守に連れてこられた場所は、牢獄とは打って変わって小奇麗な場所だった。
半ば拍子抜けした私に一人の男が怪しげに近づく。
小太りの中年の男だった。
真っ白な白衣に身を包み、丸いメガネをかけた男。不清潔さは見られず、ただ小奇麗な医者という印象を受けた。
「・・・あ、・・・あなたが・・・?」
「そう、私がこの『イーストキャンプ』の監守長、グレモリア」
自己紹介をする男とは裏腹に、周りにいる監守たちが私を手際良く拘束していく。手枷、足枷、まるでいつもの作業のように、呼吸するような自然な流れで拘束していく。
「随分と大人しいね?これから何が行われるか知ったら、そんな余裕は消えるだろうけど」
「私は、例えどんなことをされたとしても、―――『希望』は消えない」
私は、グレモリアスに冷たくそう言い放った。その物言いが気に食わなかったのか、眉の端がピクリと動いた気がした。
私の言葉は本心だ。
例え、生首だけになって生き残ろうとも、ただの肉塊だけになったとしても、一人の男は私を受け止めてくれる。誰もが嫌悪感を示すような姿になろうとも、私を受け止めてくれる人がいるのだ。私はその人物を信じているからこそ、そう想っていられるからこそ、目の前で突きつけられるナイフにだろうと口付けをすることができる。
なんだって乗り越えていけるのだ。
「そんな強がりがいつまで続くかな・・・」
グレモリアスは、そんな嘲笑を一つすると部屋の隅にある戸棚を開け、大き目の瓶を取り出した。何かを見せつけたいのか、それとも拷問道具を取り出すのかは定かではないが、彼の出す物が、ただ物でないことだけはよく分かった。
「これを見たまえ」
「これ・・・は・・・?」
片手で持つには大き過ぎるほどの瓶。中には黄緑色の液体が入っていて、そして何かがそれに漬かっていた。
それが何なのかはよく分からない。初めて見る丸いような、楕円形のようなものだ。一瞬怖気がしたが、それが生き物でないと判断できた時には、グレモリアスの口が先に開いていた。
「ニャルタ族の―――子宮だよ?」
「――――――!!?」
我が耳を疑った。
耳を通り、脳みそを駆け抜け、それを理解し、感情を表す行程が馬鹿らしくなるほどに。
グレモリアスは、目の前の中年の男は何と言ったのだ?
子宮?ニャルタ族の?
それ以前に、何故それを瓶詰めにしているのか理解できなかった。
殺人者に問う殺人理由ほど馬鹿馬鹿しいものは無いが、彼の持つ瓶が、彼の性癖なるものを示しているのだとすれば尚更理解ができない。
「な・・・なん・・・で・・・?」
「どうして瓶詰めにしているかって?そんなの決まってるだろう?」
聞きたくなかった。答えは見えているのだ。解答の分かり切った答え合わせほど無意味で苦痛なものは無い。だが、彼は言葉を続けた。
「私の趣味でもあり、ニャルタ族はよく売れるからね?」
――― 金儲け。
そんなことの為に命を乱暴に扱い、剰え粗末に奪っているのか。
許せない。
そんな感情は確かにあった。勿論、こんな場所に長い間閉じ込められてはいるものの、心や感性は壊れてなどいないのだから。だが同時に、私だけはああなりたくない、と、そんな考えが浮かぶばかりだった。
「最近では活きのいいニャルタ族が二人も見つかったからね?大儲けさ」
言葉も無かった。
かける言葉も、放つ言葉も、浴びせる言葉も、何も無かった。
「一つ聞きたいんだけど?」
「何かな?」
ニヤニヤと笑みをこぼすグレモリアスに、何故か私は質問を投げかけていた。
「どうやって・・・人を殺さずに、あんな状態にできたの・・・?」
確かに気にはなっていたことだ。私の入っていた牢獄の前にぶらさがっている『人であって人でない者』は両手足の無い状態で生きていた。何を持って生きると見なすのかはこの際置いておくとしても。
疑問に思っていたのは事実だ。切断したにしては、傷口が綺麗なままだった。医療技術を持っていたとしても不思議ではないが、正解は分からない。
だとしても、何故私はこのタイミングでそんな質問を投げかけたのだろう。あまりの衝撃的なものを見せられて、頭がおかしくなったのか?
「あぁ、あの達磨だろう?我ながらいい出来だと自負しているよ。今では監守達のいいオモチャさ」
「私を・・・同じ目にあわせるつもり・・・・?」
グレモリアスは、私の腹周りを撫でながら、狂気の目をしていた。彼の目には血飛沫と肉塊の惨劇しか見えていないかのように。
「いやいや、君は中々綺麗な体をしているからね?私の美学的には『身体』は傷つけたくない」
「ッ!?」
腹周りを撫でていた手が、次第に上へと上がっていく。
嫌悪感が背筋を凍らせるように走る。だが、彼の手は性欲ではなく、何かを探るような手付きだった。胸になど見向きもせず、無論、私には目を見張るほどの胸は無いが、それでも彼の手は首を通り過ぎ、口を通り過ぎ、目元までやってきた。
医療技術を持っているにしては、図太く、ゴツゴツとした指だった。
「・・・あ、・・・」
彼の異常な嗜好への恐怖からか、得体の知れない行動への恐怖か、私は声を発せずにいた。
「さて、始めようかな・・・」
不気味に上がる口の端しは、これから起こる異常さを物語っていた。
グレモリアスは、もう一度指先を私の腹周りに戻し、正確にはヘソの二センチ下に這わせていた。
気色の悪い感覚はあるが、そんなことを気にしている暇はない。これから何をされるかわからない恐怖の方が勝っているのだから。
「『解剖魔法発動《オペを開始する》』」
その掛け声とともに、彼の指先から魔力の流れを感じた。
とてつもない威圧感。
感じたことのない違和感。
まるで体の中を掻き回されているかのようだった。
「・・・・うぐっ・・・」
思わず声が漏れる。
胃の中はほとんど何も入っていないはずなのに、逆流してしまいそうになる。
「『切断《メス》』」
「―――!?」
その時、私の体の中で何かが起こった。正確には分からないが、何かが切れるような感覚だけが、私の脳内を駆け巡った。
「・・・な、なに・・・!?何を・・・したの・・・?」
「下準備は完了っと・・・」
私の問いに答える気もないように、グレモリアスは腹周りに這わせた指先を下へ下へと下げて行く。
「あとはここを―――」
「―――!?や、やめて!!そんなとこ触らないでっ!!」
私の股下へ指を這わせて行く。
気持ちが悪い。
最悪だ。
よりにもよってこんな男に触られるなんて。
屈辱以上に、死にたくなる。
「お願いっ!!そこだけは!っ!!」
ゴツゴツとしたゴツい指先が私の秘部を蠢くように這う。
タクス以外の男に触られている。興奮なんて出来ない。気持ちが悪いとすら感じる。もし、片腕でも動くのなら、その気色悪い指を再起不能になるまでへし折りたい。だが、それが出来ないのがこの現実なのだ。
嫌だ。
やめて欲しい。
そういう思いとは裏腹に、私の身体は受け入れるかのように反応してしまっている。
違う。
これはただの生理現象だ。
言うならば、水分を取りすぎるとトイレに行きたくなるのと同じなのだ。だから、これはただ触られているから反応するという現象なので、私の意思とは無関係の――――――
「言葉は拒絶している割には、身体は正直だね?」
「違うっ!それは・・・それは!!―――きゃっ!!」
グレモリアスはそう言うと、私の服を強引に引き剥がす。思わぬ行動に思わず声が出てしまった。
恥ずかしい。
屈辱だ。
これなら、まだ手足を切断された方がマシだ。
「殺して!!こんなことされるくらいなら死んだ方が――――――ッ!?」
声を張り上げた途端、先ほど指先で触れられていた場所に違和感を覚えた。
何かが来る。
直感的にそう確信した。
何?何なの?何が起こってるの?私の体・・・どうしたっていうの?
次第に大きくなる違和感。
お腹の中を何かが蠢いている。いや、確信は持てないが、何かが来る事だけは分かった。
それは吐き気や迫る感覚とは違った。ましてや絶頂感とも言えなかった。
ただ、『何かが来る』、それだけだった。
「・・・う・・・うくっ・・・」
踏ん張っていないといけない気がする。力を抜けば楽なのだろうが、私の心の何処かでそれはダメだと告げていた。
だが、その違和感は次第に大きくなるばかりだった。それに合わせるように踏ん張って、踏ん張って、何かが来るのを堪えていた。
「我慢しなくてもいいんだよ?辛いだろう?苦しいだろう?
何もかも楽になったほうが幸せだろう?」
グレモリアスは再び、その下衆な指を這わせる。だが、今の私にその気色悪さを感じる暇はなかった。
指が私の秘部に触れるたび、大きくなる違和感を堪えるたびに、額に脂汗が滲み出る。
辛い。
苦しい。
だが、それでも堪えなければいけない。
「さぁ、力を抜いて」
その言葉を皮切りに、グレモリアスの指はなりを潜めた。不思議に思う暇はない。だが、何故という疑問は残った。
「―――っく・・・!!はぁ、はぁ・・・うぅっ・・・」
気を抜いたのがいけなかった。一瞬だが、私の身体中を何かが駆け巡りそうになった。だが、そのおかげで違和感の正体を掴むことができた。
私の秘部から来るものなのだと。
正確には体内から、何かが私の秘部を通して出て行こうとしている。
「惜しいなぁ・・・もう少しだったのに」
「私を・・・はぁ、はぁ、りょ、陵辱する・・・つもりなら・・・無駄よ・・・?」
一連の行動。
ヘソ下二センチの場所に指先を這わせる。
魔法を使う。
秘部を触る。
この中にきっと私を性奴隷にでもする行動があったのかもしれない。
もしくは、私を体内から破壊する気なのだろう。異常な嗜好を持つ彼なら思いつかないわけがない。故に、私が最後まで屈服しなければ、彼は悔しがるに違いない。
そう思えば、こんな苦行なんて、断食をした時の方が辛かった。
「私は・・・っ・・・絶対・・・に・・・っく、負けないっ!!」
高らかに相手を負かす宣言をする。
さぁ、どうする?
諦めて私を殺す?
それとも、私をただの監守のオモチャにでもする?
たとえ、どんな姿になろうと私を愛してくれる人がいる。
どんな結末になろうと抱きしめてくれる人がいる。
それだけで、私はなんだって乗り越えられるのだ。
「・・・・」
私の強情さに嫌気がさしたのか、そそくさと私の前から遠ざかり、戸棚の前に行った。
何か作業を始めたが、またさっきのグロテスクな瓶詰めを見せるのだろうか。もしそうだとしても、私は屈しない。
「さて、そろそろかな・・・?」
そう言って、グレモリアスはもう一度私の前に戻り、今度は空の瓶を床に置いた。
何なんだ?何がしたいのだろうか。危険な嗜好の持ち主の考えなんてわからない。だが、彼が最早何もするつもりがない事だけは分かった。
諦めたのかな。だったらいいん――――――
「――――!!!??」
失敗した。
失敗した失敗した失敗した。
私は何をしているんだ。一瞬とはいえ、気を抜くなんて許されないことなのに、何故今、安堵な気持ちになったのだ。
ダメだ。止まらない。
私の中を駆け巡る違和感は、水を得た魚のように急速に外へと弾き飛ばす勢いで暴れ出した。
今更踏ん張ったところですでに遅かった。
「っく・・・っっ!!
――――――っう、っぁぁあああああああああ!!!」
ダムが決壊するかのように私の秘部を何かが溢れ出す。
それは大きく、容易に通り抜けないものだとわかるほどに。
「――――っああああああ!!!・・・っっくっ!!うぐっ!!」
食いしばる歯は強さを増し、まるで経験は無いが、出産をしているような感覚だった。
ゆっくりと、しかし確実に、私の身体から何かが溢れ出す。
それが何なのかは不明だが、出してはいけないことだけは分かっていた。だが
「――――あぁっ!・・・っ!」
それに逆らうことが出来ず、ただ全てが終わるのを待つばかりだった。
「――――っ!!――――くぁっ!!・・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」
終わった。
何もかもが終わったのだと信じたかった。
これで解放される。
そんな淡い期待は無駄だと分かっていても。
「いやぁ~なかなかの奮闘ぶりだね?もっと善がるかと思ってたんだけど」
虚ろな意識の中で、グレモリアスの声が反響する。
床に置いた空の瓶を持ち上げて私に見せつけるように差し出した。
朧げな視界だが、空の瓶に何かが入っていることは分かった。色は赤っぽく、楕円形に近い形をしていて、触覚のようなものもあった。
まさか、私は得体の知れない生物を産まされたのだろうか。最悪だ。辱めを受け、さらには妙な生物の母体にまでされるなんて。死にたい。こんな私を、彼は受け入れてくれるだろうか。こんな汚れた私を好きだと言ってくれるだろうか。何時ものように抱きしめ、愛してくれるのだろうか。
きっとそれは無いだろう。
こんな化物を産むような女を好きになんてならない。
「ほら、見てごらん?綺麗だろう?」
そんな考えを巡らせていると、次第に焦点が定まってくる。
目の前には、瓶、そして私が産んだであろう生物がその中に収まっている。
赤っぽい色、二本の触覚。楕円形の形。
だが、それは何処かで見たことがあるような気がした。そんなはずは無いが、完全に定まっていない視界だが、そんな気がしてならない。
もし、見たのならどこで見たのだろう。もう少しよく見てみよう。
「君の中から出てきたんだよ?」
生物にしてはおかしな部分が多い。
まず目が無い。
生まれたばかりだとしても、目に近いものはあるはずだ。だが、この生物は目が無い。
そして動いていない。
肺呼吸ならば、身体全体が動くはずだがそれが無い。もし皮膚呼吸だとしても、何かしらの動作はするはずだ。だが、それも無い。
まさか、生物ではないのだろうか。
――――――刹那。
その疑問とともに朧げな視界が完全に焦点を定め、私の目の前にある瓶を確実に捉えた。
頭が凍りついた。
背筋が凍りついた。
脳みそが活動を止めた。
心臓が跳ね上がった。
私の身体から、秘部を通して出てきたものは――――
「――――子宮が」
「―――――――――」
再度視界がぼやけた。
世界が揺れていた。
「――――う、うぅぅぁぁぁぁああああああ!!!!」
手首が痛かった。
足首も悲鳴をあげていた。
どうして体が思うように動かないのだろう。
「・・・いや・・・いや、イヤイヤイヤイヤイヤイヤァァアアアア!!!」
そうか、今、鎖で縛られているのか。手も、足も。
「殺して!!殺して殺して殺して殺して殺して殺してぇえ!!コロセぇぇえええ!!!!」
邪魔だなぁ・・・。
何で自分は縛られてるのかワカラナイけど。
ヒキチギレバイイか・・・、どうせクサリだし、コワレないわけじゃないんだし。
「ああああああぁぁぁあ!!!」
ナンでワタシの周りを囲んでいるの?
そのハモノはなに?
どうして、あなたは、ワラっているの?
「殺せっ!!殺して!!イヤっ!!いやぁぁぁ!!!」
アレ?
どうして、左目が、痛いんだろう。
目、開けてるのに、見えない。
「私の悪い癖が出ちゃったなぁ・・・、君の身体は傷付けないつもりだったんだけどさ?」
笑ってる、何故?
痛い、見えない。
笑ってる、嫌い、不快。
動けない、鎖、千切れない。
「もういいよ、解放してあげて?それ以上彼女には価値は無いから」
あれ?手の痛み、消えた。
楽になった、動く。
大丈夫、足、動ける。
見える、扉。
あの、先、自由がある。
「監守長!」
「捕らえろ!!いくら価値が無いと言っても、オモチャくらいにはなるだろう!?」
楽になる、苦しみは無い、扉の先。
「クリス!?」
声、誰?
見たこと、ある顔。
クリス?、誰?
「――――!!」
止まれない、あの人だけは、会えない。
この身体、見せられない。
「クリス!待ってくれ!!どこに――――」
聞こえない、聞きたくない。
こんな、私なんて、絶対、愛されない。
きっと、捨てられる。
それはイヤだ。
だったら、永遠に、思いでのままでいい。
あの人に愛されないのなら、二度と合わない方がいい。
「クリスーー!!」
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・。
・・・・・・。
・・・、・・・・。
「あら?まぁ!こんなところに人が!?」
・・・・。
・・・・・・。
「丈人さん!ここに人が倒れていますわ!!」
「え!?人!こんな森の中に!?」
・・・・・、・・・。
「ホントだ・・・しかも、服もボロボロだし――――っていてててて!!」
「丈人さ~ん?何をそんなにニヤついているのですか?もしかして、丈人さんは貧乳好きですか~?私が居ながら?」
「いててて!!違う違う!!断じてそんなことないって!!」
・・・・・・・。
・・・・・、・・・・・・。
・・・・。
「それはどうかしら?昨日も、お隣さんと楽しくお喋りをしていたではありませんか?」
「あれは、ただ落し物を届けただけで――――って目が怖いよ亜美!」
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・、・・・・・・。
「どうしよう、このまま彼女を置いておく訳にはいかないよね?」
「ですが、家には娘もいますし・・・病原菌が移るのはよくありませんし」
「いや彼女、ペットじゃないからね!?一応猫耳は付いてるけど、それだけでペットと判断するのは良くないよ!?」
「丈人さんは、獣人がお好みなんですの・・・?」
「いや、誰もそんなこと言って――――ちょっと待って!その手をどうするつもり!?落ち着いて!ゆっくり話し合おう?!」
・・・・。
・・・・・・。
「とにかく、弱ってるみたいだから何かあげない?」
「そうですわ!確か冷蔵庫の中にミルクが――――」
「猫じゃないんだからね!?もっと栄養のあるものをあげようよ?!」
「分かりました!
ツナ、サンマ、加えてねこまんまを持ってきますわね!」
「意図的に言ってるよね!?最後のなんて『ねこ』って言ってるよね!!?」
・・・・・。
・・・・・・・・。
「早速持ってきますわ!」
「せめて『人の食事』と呼べるものにしてあげて!!」
・・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
「持ってきましたわ!」
「よかった・・・普通にご飯と味噌汁だったよ・・・」
「幾ら何でも、私を馬鹿にしすぎですわ!」
「ゴメンゴメン・・・」
・・・・・。
・・・・・・。
「おっ!凄い勢いで食べてる」
「余程お腹が空いていたんですね」
・・・・。
・・・・・・。
・・・・・男・・・。
・・・・女・・・。
・・金、・・・髪色・・・。
「・・・・・恩人」
「え?ってちょっ!どこいくの!?」
「行ってしまいましたわね・・・」
「まぁ、ご飯は完食してるみたいだし、お腹いっぱいになったってこと・・・かな?」
「きっと、また戻って来ますわ・・・」
「そうだね・・・きっと」
「何せ、ご飯をくれる人には懐くと言いますし」
「いや、それ猫だからね?!」
五年。
長く、辛い日々を過ごし、目的もなく、果たすべき事柄も見つからなかった自分。
自分の名も忘れ、性別も無い。
何を好きになり、何を好んで、何を求めるのかさえ自分には分からない。
自分は、何が欲しいのだろう。何がしたいのだろう。そう思い返して月日が経っていた。
「こりゃ珍しいねぇ~?」
目の前に現れた一人の人間。
黒い服装を身に纏ったその人物は、自分を見るなり声をかけてきた。
「あんた、暇かい?」
無言で返答する。
忙しい者が、こんな路地裏で膝を抱えて座っているはずが無い、と。
「それじゃあ、一つ頼み事を聴いちゃくれないかい?」
人間は、自分の前に手を差し伸べ、優しくも、含みのあるような顔で口を開いた。
その言葉は、何も無く、空っぽとなった自分には丁度良かったのかもしれない。
目的も無い、果たすべき事柄も無い、好きなものも、何を求めるのかもわからない自分に出来た、唯一の『生き甲斐』なのだから。
「一人の少女を、護ってやってくれ」
ローズが『イーストキャンプ』に収容される。
タクス・サーヴェロと出会う。
愛を育み、将来を誓い合う。
ローズが監守長に呼び出される。
体を弄られ、『女性としての機能』を奪われる。
脱獄。
金髪の夫婦に助けられ一命を取り留める。
そして現在に至る。
本当は挿絵を描いていたのですが・・・
『アップロード禁止画像
・18禁画像』
Σ(゚д゚lll)
というわけで乗せられませんでした(´;ω;`)
アカウントをロックされたくはないのでねwww